ヤブデマリ
アジサイの季節になってきました。 民家の庭や公園などにはアジサイやガクアジサイが、山に入ればアジサイと同じ Hydrangea属の、ガクアジサイに似たガクウツギなどが咲いています。
ところでこの記事の写真、よくアジサイの仲間に間違えられるのですが、全く違うグループのヤブデマリです。
ヤブデマリは山の谷筋など、水分の多い所でよく見られます。 葉は対生、花序の縁には装飾花として機能している無性花が、中心部には両性花があります。 つまり、虫を引き寄せる役目をもった花と、花粉を媒介してもらって種子を形成する花とに“分業”しています。 と書くと、ますますガクアジサイに似てきますね・・・
ところが、ガクアジサイなどのアジサイの仲間はユキノシタ科に分類されているのに対し、ヤブデマリはスイカズラ科に分類されています。
科が違うということは、かなりの違いです。 どこがどう違うのか?
じつはよく見ると、ヤブデマリはガクアジサイと全く違う花のつくりをしています。 ガクアジサイの装飾花は4枚のガクが大きくなっています(だからガクアジサイというのではないことはこちら)。 ところが、ヤブデマリの装飾花は、大きい花弁が2枚と小さい花弁が2枚の、計4枚の花弁を持つように見えますが、よく見ると、もう1枚、たいへん小さな花弁があります(下の写真)。 そして、これらの花弁は基部で互いにくっつきあっています。 つまり、ヤブデマリの花は、切れ込みの深い合弁花です。
上の文では数を中心に書きましたが、同時に、ガクアジサイの装飾花はガクが大きくなっているが、ヤブデマリの装飾花は花弁が大きくなっていると書きました。 お気づきでしょうか。
つまり、ガクアジサイとヤブデマリでは、大きくなって目立って虫をひきつけようとしている部分がガクと花弁、全く違う部分なのです。
ヤブデマリの装飾花の白い目立つ部分がガクではなく花弁だという証拠は?
これは簡単に証明できます。 裏から見れば、ちゃんとガクがあります(下の写真)。 もちろんガクアジサイの装飾花を裏から見ても、さらにガクがあるということはありません。
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コメント
わあ、目から鱗です。
ヤブデマリは萼ではなく花なのですね~!ほんとだ、小さなほんものの萼がちんまりとついてます。
スイカズラ科・・・香もいいのでしょうか?
今までアジサイのような植物で香を確かめるという発想がありませんでした。今度確かめてみます。
紫陽花・・とても似合う漢字だと思っていたのですが、そもそもは勘違いからの始まりなのですね。
投稿: ひとえ | 2009年6月16日 (火) 07時30分
U~~~NNNNN です。
つい最近、山で
ヤブデマリを見た
昨日、庭のアジサイを写真に撮った
ガクアジサイも・・・・
いや~~恐れ入りやした・・・・
投稿: わんちゃん | 2009年6月16日 (火) 13時27分
ひとえさん、スイカズラは甘いいい香りがしますが、スイカズラ科全体となると、どうでしょうか。
わんちゃん、知っているものは見える、知らないものは見えない、見えないものは撮れない
同じものを見ていても、見え方が変化するのが楽しいところです。
投稿: そよかぜ | 2009年6月17日 (水) 00時38分
ごもっとも・・・
それでね、ヤブデマリを写真に撮っていたので、よ~く見ると、なんと、お花の裏側もちゃんと撮ってたんですよ、
偶然なのか??ひとつ、ひっくり返って写ってました。
コレやね、
じっくりと見たのは言うまでもありません
投稿: わんちゃん | 2009年6月17日 (水) 11時46分
近いうちにアジサイの仲間の裏からの写真も載せなくっちゃ、ね。
投稿: そよかぜ | 2009年6月18日 (木) 22時27分