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2009年6月21日 (日)

スイカズラの受粉とクマバチの盗蜜

 このブログの6月4日の記事でスイカズラについて書いたところ、夕菅さんは、庭に植えてあるスイカズラについていろいろ調べられて、ご自分のブログに記事を載せられました。
 その中で、実がつかないと書かれていましたので、それは受粉していないからで、人工授粉はどうですかとお勧めしたところ、既にメシベの柱頭に花粉がついていたこと、それまで気がつかなかったが、ほとんど毎朝のようにクマバチがスイカズラの花に来ていることを発見されました。
 しかし、スイカズラの花のつくりから期待される花粉媒介者は、下の写真の水色のような昆虫ではないでしょうか。 クマバチがうまく花粉媒介できるのか、気になりました。

Suikazura070526_1plus

 そこで、花の横から、クマバチと花の関係が分かる写真をお願いし、送っていただいたのが下の写真です。

Kumabachi0906_1

 クマバチはスイカズラの花筒の上に馬乗りになっています。 そして、この写真でははっきりしませんが、花の外から、口を直接蜜のある所へ突き刺しています。 クマバチの去った後の花には、大きな傷が残っています(下の写真)。

Kumabachi0906_2

 クマバチはよくこんなことをします。 花が花粉媒介してもらおうと準備した蜜を、花が想定した方法とは別の方法で奪い取るこの行動を「盗蜜」と呼んでいます。 下の写真も夕菅さんに送っていただいたもので、チェリーセージのガクの上から、クマバチが口をブスリと差し込んでいます。

Kumabachi0906_3

 さて、話をスイカズラの受粉に戻します。
 夕菅さんはスイカズラのメシベに花粉がついていて、それはクマバチによるものだと考えられました。 たしかに2枚目のクマバチの馬乗りの写真で、オシベがクマバチの腹に接しています。 クマバチの大きさとスイカズラの花の大きさからして、このように馬乗りになる前に、クマバチがスイカズラのメシベに触れることも十分考えられるでしょう。
 しかし一方、私の6月4日のスイカズラの記事で、スイカズラの花では、オシベの葯ととメシベの柱頭が自然に接して、花粉が柱頭につくことがしばしば見られることを書きました。 たぶんこの時期にはメシベには受粉能力はなく、自家受粉を避けているのだと思っています。
 夕菅さんが観察されたメシベの柱頭についていた花粉は、クマバチによるものなのか、クマバチに無関係についたものなのか、クマバチは昨年も来ていたが気がつかなかったのか、今年初めて蜜源があることを学習して毎日来るようになったのか、そして果実はできるのか、夕菅さんの庭のこれからがたいへん楽しみです。
 自然の中での花と昆虫の関係は、ほんとうにおもしろいものです。 そして、野に咲く花が庭にあれば、その関係を頻繁に観察することが容易です。 ただ、庭という特殊な環境で、野外と同じ訪花昆虫が来るのかという事は注意しておくことは必要ですが・・・

◎ この記事に使用した写真は、1枚目を除いて、全て夕菅さんの撮影によるものです。 写真を使わせていただいたことを感謝します。

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コメント

こんにちは。
とてもわかりやすい説明を有り難うございました。いつもながら大変参考になります。素晴らしいブログですね。

投稿: 多摩NTの住人 | 2009年6月21日 (日) 16時53分

今回の記事は夕菅さんの努力の結果です。特に最後の写真などは、見事に瞬間を捕らえていると思います。

投稿: そよかぜ | 2009年6月21日 (日) 18時39分

一つの謎がもつれた糸を解きほぐすように明かされていく
ちゃんと証拠が残っているから・・・・

そして一つ一つの推理がどのような結果として現れるのか?
読む者の好奇心を駆り立てる・・・・

投稿: わんちゃん | 2009年6月21日 (日) 21時17分

偶々クマバチと出会えたのも、そよかぜ先生の理にかなったお導きがあったからこそです。私の方は一人何役かの生活で もたもたしてますのに、拙い写真を早速こんな立派な記事にしていただいて光栄です。
実は昨夕蚊に刺されながら、開花直前のスイカズラの花や蕾に袋や網をかけましたのに、その後生憎の雨。今朝から雨の中を数回見に行きましたが、クマバチの姿はなく、盗蜜の傷跡もありません。花粉も雨で流されたよう。
花は残り少なくなっていますので今年の観察はこれで終わりかもしれません。
チェリーセージの方がたくさん写真が撮れていますので、後程私のブログにも書いておきたいと思っています。
いろいろとご教授ありがとうございました。     そよかぜ学校1年生

投稿: 夕菅 | 2009年6月21日 (日) 22時32分

わんちゃん、スイカズラは野外ではちゃんと実がなっていますが、この特殊なつくりをした花の花粉を媒介しているのは誰なのか、盗蜜も花粉媒介に役立っているのか、白から黄色への色の変化は生態的にどんな意味を持つのか、などなど、疑問はいっぱい。
いろんなところで疑問がいっぱいだから、また出かけたくなるんですね。

夕菅さん、とりあえずはこれから実ができるかどうかですね。できてもできなくても「なぜ?」は残ります。
その結果を踏まえて、一歩進んだ目でまた自然観察。
これが自然観察の楽しさだと思います。
チェリーセージのブログも楽しみにしています。

投稿: そよかぜ | 2009年6月21日 (日) 23時06分

そよかぜさん、こんにちは
クマバチの蜜泥棒から検索して、夕菅さんの決定的な瞬間を見せていただきました。そして、そのリンクをたどって参りました。いつもわかりやすい説明をありがとうございます。
私が現行犯で見つけたのはクララです。でも、私もクマバチの視線でクララの花を見てみたら、蜜泥棒のほうが簡単そうと思えるのです  ^m^

投稿: panda | 2011年5月28日 (土) 14時45分

スイカズラもクララもクマバチを送粉者として期待していないのは確かだと思うのですが、それよりも“ここから蜜が吸えますよ”という花からの“メッセージ”を無視して、クマバチはどのようにして盗蜜行動を身につけたのか、気になります。

投稿: そよかぜ | 2011年5月28日 (土) 17時37分

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