このブログの6月4日の記事でスイカズラについて書いたところ、夕菅さんは、庭に植えてあるスイカズラについていろいろ調べられて、ご自分のブログに記事を載せられました。
その中で、実がつかないと書かれていましたので、それは受粉していないからで、人工授粉はどうですかとお勧めしたところ、既にメシベの柱頭に花粉がついていたこと、それまで気がつかなかったが、ほとんど毎朝のようにクマバチがスイカズラの花に来ていることを発見されました。
しかし、スイカズラの花のつくりから期待される花粉媒介者は、下の写真の水色のような昆虫ではないでしょうか。 クマバチがうまく花粉媒介できるのか、気になりました。
そこで、花の横から、クマバチと花の関係が分かる写真をお願いし、送っていただいたのが下の写真です。
クマバチはスイカズラの花筒の上に馬乗りになっています。 そして、この写真でははっきりしませんが、花の外から、口を直接蜜のある所へ突き刺しています。 クマバチの去った後の花には、大きな傷が残っています(下の写真)。
クマバチはよくこんなことをします。 花が花粉媒介してもらおうと準備した蜜を、花が想定した方法とは別の方法で奪い取るこの行動を「盗蜜」と呼んでいます。 下の写真も夕菅さんに送っていただいたもので、チェリーセージのガクの上から、クマバチが口をブスリと差し込んでいます。
さて、話をスイカズラの受粉に戻します。
夕菅さんはスイカズラのメシベに花粉がついていて、それはクマバチによるものだと考えられました。 たしかに2枚目のクマバチの馬乗りの写真で、オシベがクマバチの腹に接しています。 クマバチの大きさとスイカズラの花の大きさからして、このように馬乗りになる前に、クマバチがスイカズラのメシベに触れることも十分考えられるでしょう。
しかし一方、私の6月4日のスイカズラの記事で、スイカズラの花では、オシベの葯ととメシベの柱頭が自然に接して、花粉が柱頭につくことがしばしば見られることを書きました。 たぶんこの時期にはメシベには受粉能力はなく、自家受粉を避けているのだと思っています。
夕菅さんが観察されたメシベの柱頭についていた花粉は、クマバチによるものなのか、クマバチに無関係についたものなのか、クマバチは昨年も来ていたが気がつかなかったのか、今年初めて蜜源があることを学習して毎日来るようになったのか、そして果実はできるのか、夕菅さんの庭のこれからがたいへん楽しみです。
自然の中での花と昆虫の関係は、ほんとうにおもしろいものです。 そして、野に咲く花が庭にあれば、その関係を頻繁に観察することが容易です。 ただ、庭という特殊な環境で、野外と同じ訪花昆虫が来るのかという事は注意しておくことは必要ですが・・・
◎ この記事に使用した写真は、1枚目を除いて、全て夕菅さんの撮影によるものです。 写真を使わせていただいたことを感謝します。
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