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2009年5月 4日 (月)

ヒトリシズカ

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 5月2日に金剛山で見たヒトリシズカ。 花は終わりかけでしたが、まだ見ることができました。
 「ヒトリシズカ」の名は、謡曲の「二人静」(詳しくはフタリシズカの項を参照)にちなんだフタリシズカに対し、花穂が多くは1本であることからです。 その清い姿を静御前に見立てた名前で、古くは「吉野静」と呼ばれていたということです。
 特に花が咲き始めの頃の、4枚の葉がそっと花穂を包み込むような植物の姿から受ける印象は清く、4枚の葉しか付けない姿からは、か弱い印象も受けますが、じつは地下茎が長く横に這い、同じ株が大きな面積を占める大きな植物なのです。 それによく見ると、花も変わったつくりをしています。

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 ヒトリシズカはフタリシズカと同属( Chloranthus属 )で、センリョウ科に分類されています。 センリョウの記事で、センリョウの花ではメシベの子房の“横腹”にオシベがついていることを書きました。 そしてフタリシズカの記事でも、子房の“横腹”にオシベがくっついていることは同じだと書きました。 フタリシズカと同じ属であるヒトリシズカの花のつくりでも、そのことは変わりません。

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 ヒトリシズカの花にもフタリシズカの花にも、花弁やガクはありません。 ヒトリシズカの花で白く長く伸びているのはオシベです。 フタリシズカでは3本のオシベが互いにくっつきあって、葯のついている側を内側にして丸くなり、外から見ると、まるで小さなお団子が並んでいるようでした。 ヒトリシズカの花では、この3本のオシベがくっついているのは基部だけで、それぞれ真っ直ぐに伸びています。 ただ、フタリシズカの場合は、それぞれのオシベに葯がついていましたが、ヒトリシズカの場合は中央のオシベには葯は無く、左右のオシベの葯も半葯です。

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コメント

一枚目の写真に見惚れてしまいました


投稿: わんちゃん | 2009年5月 5日 (火) 14時00分

背景の色が少し気に入りません・・・

投稿: そよかぜ | 2009年5月 5日 (火) 17時41分

 下2枚の写真と解説のおかげでヒトリシズカの花の作りがよく分かりました。

 この記事の御陰をもちまして私もヒトリシズカの記事が書けました。

 有難うございます。

投稿: itotonbosan | 2013年3月 5日 (火) 10時08分

ヒトリシズカの花に限らず、センリョウ科の花のつくりは、ほんとうに特徴的でおもしろいですね。
理解のお役に立ててうれしいです。

投稿: そよかぜ | 2013年3月 5日 (火) 21時54分

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