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2009年4月30日 (木)

大阪城公園の春の渡り鳥たち

 昨日(29日)、18日に続いて、今期2度目の大阪城公園へ。 26日から昨日までいたノゴマを期待して行ったのですが、既に抜けてしまったようです。
 確認できた鳥は、18日とほとんど同じで、オオルリ、キビタキ、アカハラ、クロジ、クロツグミなど。 コマドリが来ているというので、たくさんの人がカメラを並べていましたので、私もしばし仲間に加えていただきました。
 他には、ヤブサメをチラッと見たり、センダイムシクイの声を聞いたり。 帰宅してから他の人のブログを見てみると、ノゴマのメスやカラアカハラもいたようです。

 下はオオルリ。 前回の記事の写真では、尾の付け根の白斑がはっきり写っていなかったので、載せておきます。

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 下は西日を受けて枝にとまるクロツグミ。 帰り際に撮ったものです。 クロツグミも前回の記事では地面にいる写真ばかりでしたので、ちゃんと枝にもとまれますということで、写真を載せておきます

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2009年4月29日 (水)

クロバイ

 26日、人を迎えに車で関西国際空港へ。 阪和自動車道から見える山の斜面に、黒っぽい葉にいちめんに白い花をつけた木が点々とありました(下の写真)。 きっとクロバイでしょう。

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 下は家の近くの林で2年前の今日(29日)に撮ったクロバイです。 葉の色が濃いうえに葉の量も多く、樹冠の下はたいへん暗くなっています。

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 クロバイはハイノキ科に分類されています。 関東地方以西に生育する常緑高木で、比較的乾燥した場所に生育しています。
 クロバイの名は、枝葉を焼き、その灰を染色の媒染剤として利用することによります。 同様の使い方をするハイノキに比較して、葉の色が濃いところからの名前です。
 花の径は8mmほど。 総状花序は前年枝の上部の葉腋に出て、たくさんの花をつけますので、なかなか見事です。

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2009年4月28日 (火)

クロジ

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 大阪城で撮ったクロジです。 胸の様子といい、上嘴は黒っぽくて下嘴は肉色であることも、足が肉色であることも、クロジの特徴です。 でも、メスではないようですし、オスにしては黒味が足りません。 若いオスがまだ夏羽に成りきっていないのでしょうか?
 クロジはホオジロ科の鳥ですが、多くのホオジロ科の鳥に見られる外側尾羽の白斑はありません。

 昨日のアカハラ同様、大阪付近ではクロジも冬鳥です。 この冬には箕面でも見ました(写真には撮れませんでしたが・・・)。 暖かくなると少し北に移動し、繁殖は本州中部以北で行います。 本州中部では留鳥、北海道では夏鳥です。 移動距離は短く、アカハラなどと違って、日本国外で見ることは珍しい鳥です。

 ところで、このクロジの「ジ」はどういう意味でしょうか? クロジの漢字を調べると「黒鵐」となっています。
 菅原浩・柿澤亮三 編著の『図説 鳥名の由来辞典』(柏書房)という本があります。 この本によれば、「鵐」は「しとと」と読み、奈良時代や平安時代にはホオジロ(の仲間)のことを指し、すでに『古事記』にこの名が出ているそうです。
 室町時代になると、「しとと」を「あをじとと」(アオジ)と「ほほじろ」(ホオジロ)に区別するようになり、「しとと」は主にアオジを指すようになってきました。
 この後「しとと」は「じとと」になり、さらに「あをじとと」と「くろじとと」が区別されるようになり、江戸時代になると、「あをじとと」が「あをじ」に、「くろじとと」が「くろじ」になったようです。
 では、最初に戻って「しとと」とは何でしょうか。
 「鵐」は「巫+鳥」です。 『古語拾遺』には巫女(みこ)が神社で占いをする時に、側にホオジロ(と思われる鳥)を置き、この鳥の動作を見て占いをしたという事が書かれています。
 これとは別に、もしかしたら「しとと」は「しと(湿)+と(処)」かもしれません。 「しと(湿)」は「しっとり」や、雨が「しとしと」などとつながります。 たしかにアオジもクロジも薄暗い地面で餌を探していることの多い鳥です。

 下はアオジ。 '09年4月19日に、堺市南区畑で撮りました。 アオジも北へ向かうのですが、普段はこんな所にあまり出てこないアオジも陽気に誘われて囀りたくて出てきた風情。 頭頂部の羽を立てています。
 背景の色は、建物の壁の色です。

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2009年4月27日 (月)

アカハラ

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 アカデミック・ハラスメントではありません。 大阪城で撮ったアカハラです。 昨日のクロツグミ同様、ツグミ科ツグミ属(Turdus属)に分類されている鳥です。
 アカハラは大阪付近では冬鳥で、これから北へ移動して、繁殖は本州中部以北で行います。 この冬に大泉緑地でも撮りましたが、中国南部やフィリッピンあたりからも飛来してきますので、やはりこの時期は大阪城公園などでよく見かけるようになります。
 下は、ツグミやムクドリなどと混じって、芝生の上で餌を探しているアカハラです。 タタタと走って急にとまって胸を張るところなどは、ツグミによく似ています。

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 下はアカハラに対するシロハラ。 同じくツグミ科ツグミ属の冬鳥です。 ヤマハゼの実を食べています。 今年の1月24日の撮影です。

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2009年4月26日 (日)

クロツグミ

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 大阪城で撮ったクロツグミのオスです。 ツグミの仲間(ツグミ科ツグミ属)は、ツグミ、アカハラ、シロハラ、トラツグミなど、冬鳥も多いのですが、クロツグミは、西日本では越冬する個体もいるものの、多くは夏鳥として渡って来ます。 渡りの時には小さな群を作りますので、大阪城公園でもクロツグミがいる時は数羽がいる状態が普通です。 ツグミの仲間では最も小さい方になります。
 渡りを終えると、丘陵地から山地の森林で生活し、地面をはね歩きながら、昆虫やミミズなどを捕食しています。
 さえずりは大きな声で複雑な節回しをしますが、他の鳥の声を自分の歌に取り入れることも、よくします。

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 メス若鳥の写真はこちらに載せています。 オスもメスも成鳥の嘴は黄色ですが、若鳥の嘴は黒い色をしています。

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2009年4月25日 (土)

キビタキ

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大阪城で撮った、渡りの途中のキビタキのオスです。
 キビタキはヒタキ科に分類されている、全国の山間部で見ることのできる夏鳥です。 金剛山でもさえずりを聴くことができますし、姿も見ることができますが、いつも高い木にいるのを下から見るばかり。 でも、大阪城は石垣で高低差があるために、比較的水平に見る機会も多くなります。
 下は背中側から撮ったもの。 翼にある白い斑がよく分かります。 黄色い背中を黒っぽい翼で隠しているようで、翼を広げたところを背中側から見てみたいものです。

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※ 背中が目立つことに関しては、少しコメント欄で考察しています。

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2009年4月24日 (金)

オオルリ

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 大阪城公園で撮ったオオルリのオスです。 渡りの途中ではありますが、大阪城公園でも囀っています。 写真のように姿の美しい鳥ですが、囀りもゆっくりとした美しい声で、なかなかいいものです。
 ただし、オスが写真のような美しい色彩になるには、2~3年を要すると考えられています。 それ以前の若鳥の時代の色は茶褐色中心で、青色は背面に少し見られるのみです。
 メスは頭から尾にかけて、背面が茶褐色で、喉と腹は白い色をしています。 メスも大阪城公園に飛来しているはずですが、どうしても目立つのはオスの方です。

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 オオルリの繁殖は、南西諸島を除く北海道から九州までの全国各地で行われています。 渡りを終えて分散した後は低山帯から亜高山帯にかけての山地や丘陵に生息し、特に渓流沿いのよく茂った森林に多いようです。 そのような場所で縄張りを持ち、ヒタキ科の鳥らしく、飛翔している昆虫を空中で捕食もしています。

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2009年4月23日 (木)

セッカ

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 19日、ツマキチョウを撮った後、近くの田園地帯を散策していると、セッカの声が・・・
 セッカは草原の鳥で、昆虫などを食べている、スズメより少し小さい鳥です。 繁殖期には高い声で「ヒッヒッヒッヒッ」と飛びながら鳴いて上昇し、低い声で「ジャッジャッジャッ」と鳴きながら下降するという、全く違う2種類の声で縄張り宣言をする鳥ですが、この日はまだ縄張り宣言を本格的に始めていないのか、とまったままで「ヒッヒッヒッヒッ、ジャッジャッジャッ」とやっていました。 とまったままでさえずるのははじめて見ました。
 写真は私を意識してさえずるのを止めています。

 上空ではヒバリがさかんにさえずっていました(下の写真)。

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2009年4月22日 (水)

エノキの花

 春は鳥や虫など、このブログに載せたい事がいっぱいで、エノキの花を載せるのも遅くなってしまいました。
 エノキは身近な木です。 身近すぎて、このブログでも何度か登場しましたが、それはエノキの葉の虫えいエノキトガリタマフシであったり、エノキの葉を食べて育つゴマダラチョウの幼虫の記事であったりと、ずっと脇役としての登場でした。 今回初めてエノキそのものの花を取り上げます。
 エノキの花は風媒花で、美しいと言える目立つ花ではなく(だから記事にするのが遅くなりました)、雄性両全性同株、つまり雄花と両性花が同じ木に咲きます。

 雄花は昨年の枝の葉腋または新枝の下部につきます(下の写真)。 花被片は4でオシベは4本、花被片とオシベが重なって配置されているということは、この花被片はガクであり、花弁は退化していると考えればいいのでしょう。 メシベはありません。

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    若い雄花

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    ほとんど花粉を出し終えた雄花

 オシベもメシベも持つ両性花は、新枝の上部の葉腋につきます。 1つの花には4枚の花被片と4本のオシベが重なり合ってつき、中央には2裂した花柱を持つ大きなメシベがあります(下の写真)。

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 この大きなメシベの子房は受粉すると、秋には小鳥が喜んで食べるおいしい実になります(下の写真)。 エノキの名前は、「餌の木」とも考えられます。

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2009年4月21日 (火)

オスのツマキチョウ

 ツマキチョウは春のみに見られる可憐な蝶です。 私の好きな蝶なのですが、なかなかとまってくれませんし、近づくとすぐに飛び立ってしまい、撮影の難しい蝶です。
 いる所にはたくさんいるのですが、どういうわけか分布が限られているチョウですので、今回は以前見かけて撮影できなかった場所に、いちばん個体数の多いであろう頃を見計らって行ってきました。 とは言っても、幼虫の食草はタネツケバナなどの野生のアブラナ科ですので、家のすぐ近くの田の広がる場所です。
 出かけたのは4月19日、ツマキチョウは晴れた暖かい日にはよく活動するのですが、天気の悪い日は活動しません。 この日は雲ひとつ無い暖かい天気、予想どおりたくさんのツマキチョウが飛び回っていました。 チョウは他にもモンシロチョウ、モンキチョウ、アゲハチョウ、ルリタテハ、ベニシジミなども見ましたが、いちばん多かったのがこのツマキチョウでした。 これだけいれば、暫く待てば花にとまってくれるツマキチョウもでてきます。
 ツマキチョウの飛んでいる所を何気なく見ていると、モンシロチョウと区別できないかもしれません。 両方が飛んでくれると、ツマキチョウの方がモンシロチョウより小さいですし、飛び方もせわしなく飛びますので、はっきり区別できます。
 ツマキチョウのオスは前翅の表の先端に橙色の部分がありますが、メスではこの部分が白色です。 妻が黄色なのではなく、オスの端(つま)が黄色なんですね。

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 この日見たツマキチョウは、どういうわけかオスばかりでした。 オスよりメスの方が発生は遅いのですが、もうとっくにメスも羽化している時期なのですが・・・

 下は横から撮ったところです。 後翅の裏は、迷彩色のように繊細な網目模様になっています。 これもこのチョウの私が好きなところです。

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 ツマキチョウはこの後、卵から孵った幼虫は夏にはサナギになり、翌春までの眠りにつきます。

※ 追記
 翌年にメスも撮ることができました。 その様子はこちらに載せています。

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2009年4月20日 (月)

春の渡り(大阪城の夏鳥たち)

 冬鳥たちは次々と北に帰っていきます。 私の家の近くの大蓮池のカモもずいぶん少なくなりました。
 代って、冬の間を暖かい東南アジアで過ごした夏鳥たちが、次々と飛来してきています。 これらの鳥たちはしばしの休憩を取りながら、次第に本州中部から東北へ、そして北海道へと分布を広げていきます。
 これらの鳥たちは、当然大阪付近も通過するわけですが、緑の少ない大阪では、しばしの休憩を取る場所として、鳥たちは緑のある場所に集中することになります。 これらの場所として、大阪府下では、大泉緑地、南港野鳥園、長居公園、大阪城、服部緑地、鶴見緑地などが挙げられます。 特に大阪城公園は木も大きく育っており、そのうえ石垣による高低差があって、場所によっては高木の上にいる鳥を横から見ることができるというメリットもあります。
 本来ならば信州などの山に出かけなれれば会えないような鳥達に会えるのですから、土日は人が多いといえどもじっとしてはおれません。 4月18日、天気も出かけることを促しているようです。 大阪城に出陣です。

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 その時に写真に撮れたのは、オオルリ、キビタキクロツグミアカハラ、センダイムシクイ、コサメビタキです。 その他、漂鳥ですが南からも来るクロジも撮る事ができました。 特にオオルリはあちこちで見ることができました。 この他、情報として聞いたところでは、コマドリ、ヤブサメなども最近大阪城にいたようです。

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    木漏れ日の中のオオルリ
    陽に当たったオオルリの美しい色は「オオルリ」の記事で。

 鳥の種類によって渡りの時期は少しずつずれるのですが、ここ暫くが第一陣のピークになるようです。 このピークは大阪府下では4月の終わりには枚岡公園などの山麓に、そして5月の上旬には金剛山頂などに移っていくようです。
 大阪城にはこの後、コルリ、ノゴマ、サンショウクイなどの第二陣が、そして5月中旬までには、サンコウチョウ、ジュイチ、ツツドリ、マミジロなども飛来するはずです。 しばらく出会いの楽しみが続きます。

 上に名前を出した鳥たちは、順次できるだけ紹介していきたいと思っています。 でも春は虫も花も載せたいものが目白押しで・・・ とりあえず今日は大阪城公園で春に見られる夏鳥たちの概略だけを載せることにしました。
 春は楽しくいそがしい季節です。

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2009年4月19日 (日)

チョウゲンボウ

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 大阪駅から西北西へ1.4km、街のど真ん中で、淀川沿いの草原などで餌を捕って暮らしているタカがいます。 全長(嘴の先から尾の先まで)が35cmほどの小型のハヤブサの仲間、チョウゲンボウです。

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 進む時は尾を狭めていますが(上の写真)、餌を捕らえる時は尾を広げ、ヒラヒラとホバリングして(下の写真)狙いを定め、急降下します(写真に撮れない (-_-;)。

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 餌にしているのは、ネズミやカエルや昆虫など。 捕った獲物はその場で食べることが多いのですが、餌を運んでいくのでカメラで追跡していくと、なんとビルの屋上で餌のプレゼントです(下の写真)。
 チョウゲンボウは、断崖の横穴や岩棚、樹洞などで子を育てるのですが、ビルの屋上で卵を温めているのかもしれません。

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 チョウゲンボウのオスとメスの違いは、オスの頭と尾は青灰色でメスはその部分も褐色、メスの方がひとまわり大きい体です。 写真の2羽は左側がオスなのでしょうが、この写真では色の違いははっきりしませんね。

※ 撮影日は'09年4月11日です。

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2009年4月18日 (土)

ユリカモメ

 ちょうど今頃、ユリカモメが頭の白い冬羽から頭の黒い夏羽へと変化する時期です。 下の写真では、左から冬羽、夏羽、換羽の途中と、きれいにそろってくれました。 頭の色の変化に合わせてクチバシの色も黒っぽく変化していくのがおもしろいところです。

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 下はもう少しで換羽が終了するユリカモメ。 成鳥では足の色は暗赤色になります。

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※ ユリカモメの全般的なこと飛翔の様子などは別の所で記事にしています。

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2009年4月17日 (金)

オオソリハシシギ

 大阪駅から西南西に直線距離にして約1.7km、市街地のど真ん中と言っていい場所に、海老江干潟と呼ばれている小さな干潟があります。 ここは淀川本流(=新淀川)の、河口から2kmほど遡った所で、プンと磯の香りがする汽水域です。
 その海老江干潟にオオソリハシシギが来ていました。 写真は4月11日に撮ったものですが、暖かい快晴の土曜日、近くには潮干狩りをする人たちもいましたが、オオソリハシシギは元気に長い嘴を泥に差し込み、餌を探していました。
 オオソリハシシギは旅鳥として春と秋に全国に渡来します。 写真のように雌雄とも、ほぼ夏羽になっていました。

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    オス 手前はシロチドリ

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    手前がメス、奥はオス

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    細長い餌(ゴカイの仲間?)を引っ張り出しているメス

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2009年4月16日 (木)

オオカマキリの孵化

 3月にオオカマキリの卵鞘を見つけ、ビンに入れて部屋の中においておきました。
 卵鞘は卵と同時に分泌される粘液が泡立てられ、それが固まったもので、形や大きさは種によって決まっています。 中には多数の気泡が含まれていて、温度変化や衝撃から卵を守っています。(いちばん下の写真)
 その卵鞘から幼虫が孵化しました。 といっても、孵化に気付いた時は撮影する時間がなく、撮影は気付いてから丸一日経ってからになりました。

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 卵から孵化したばかりの幼虫は、前幼虫(ぜんようちゅう)と呼ばれていて、薄い皮をかぶった状態です。 この状態で前幼虫は体をくねらせて卵鞘の外へ出て、すぐに薄皮を脱ぎ捨てます。 その様子を撮りたかったのですが、時既に遅し、脱ぎ捨てられた薄皮は互いにくっつき合って乾燥して縮み、卵鞘の下に垂れ下がっています(下の写真)。

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 幼虫はなかなかかわいいものです。 撮影の後は庭に放してやりましたが、この段階では、少し大きくなれば餌にするアリにも襲われる危険性があります。 成虫にまで育ってくれるでしょうか。

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 下は幼虫が出てしまった卵鞘の断面です。 抜け殻になった卵が中央にきれいに並んでいます。

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2009年4月15日 (水)

ユリワサビ

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 金剛山の谷筋にユリワサビが咲いていました(4月5日撮影)。
 ユリワサビの名は、同じアブラナ科であるワサビに似ていて、冬には葉柄のつけ根付近が紫黒色にふくらみ、小さなユリ根に似るところからということです。
 ユリワサビにも、ほんのわずかですが、ワサビに似た辛味と香気があり、葉や花茎を山菜としておしたしや和え物などにしますが、ワサビよりずっと小さな植物ですし、ワサビのように根茎が太くなることはありません。

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 下は六甲高山植物園で'08年4月3日に撮ったワサビです。 比較のために載せておきます。

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2009年4月14日 (火)

ツノハシバミの花

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 金剛山でツノハシバミの花が咲いていました。 花の盛りは過ぎ、特に雄花はほとんど終わっていました(4月5日撮影)。
 ツノハシバミは雌雄異花です。 雌花は枝の先の方に、尾状花序である雄花は枝の下の方につきます。 雌花は10個前後の花が芽鱗に包まれ、赤い柱頭を外に出しています(下の写真)。 1つの花の柱頭は2股に分かれていますから、花の数は外に現れている柱頭の数の半分ということになります。

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 秋になると、堅果が緑色の筒状の総苞に包まれて実り、食べることができます。 ヘーゼルナッツは、このツノハシバミに近縁のセイヨウハシバミの実です。

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2009年4月13日 (月)

ゴジュウカラ

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 金剛山の山頂付近で撮ったゴジュウカラです(4月5日撮影)。 この日は曇り空で、背景が真っ白になってしまって、ちょっと残念・・・。
 とまっている木はハンノキで、花はほぼ終わっていました。
 ゴジュウカラは雑食性の、落葉広葉樹林に住む小鳥です。 他のカラ類と混群もつくり、名前には「カラ」とついていますが、シジュウガラ、ヒガラ、コガラ、ヤマガラなどはみんなシジュウカラ科(Paridae)に分類されていますが、ゴジュウカラはゴジュウカラ科(Sittidae)に分類されています。
 顔つきも他のカラ類とは少し違っていますが、大きな特徴は、木の幹に頭を下にして垂直にとまり、幹を回りながら降りる習性があることです。 キツツキ類などは幹に垂直にとまることはできますが、幹に頭を下にしてはとまりません。
 ちなみに、ゴジュウカラの名前は、シジュウカラと少し違うし、背中の色が50台のロマンスグレーに似ているからだとか・・・

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 ついでに書いておくと、シジュウカラは始終動き回っているからだそうで、こうなると洒落の連続ですが、私が言ったのではありませんからね!

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2009年4月11日 (土)

ハナノキ

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 金剛山でハナノキが咲いていました(4月5日)。
 ハナノキはカエデの仲間です。 ではどうして「○○カエデ」という名前ではないのか。 それは他のカエデの仲間と比較すると、もちろん基本的な花のつくりに共通点は多いのですが、花がひときわ美しいからです。(あたりまえすぎて面白くない・・・(^^; )
 若葉の展開時も秋の紅葉も美しいのですが、若葉が展開する前に咲く花は、一つひとつの花は小さいのですが、紅色で、枝一面に花をつけた様子は見事という他はありません。

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 ハナノキは雌雄異株で、特に雄株は花が多く見事で、写真の木も雄株です。 花序は束生し、雄花ではメシベはなく、花の中央には黄色い花盤が見えます。 オシベは5本です。

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 ハナノキは、最近では街路樹や公園などにも植えられることも多くなりましたが、日本固有種で、自生地は長野県、愛知県、岐阜県しか知られていません。 ということは、この金剛山のハナノキも植えられたものでしょう。 生えている場所はたしかに茶店の横なのですが、大きく育ち、まるでそこに自生している木のようでした。

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2009年4月 9日 (木)

フサザクラ

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 4月5日の金剛山ではフサザクラがちょうど見ごろでした。 とは言っても、花が終わっている木もあれば、まだこれから咲く木もあり、このように多様な“個性”のあるのが“野生”の状態、ソメイヨシノのように人の手によって“個性”が揃えられた植物とは違っています。
 フサザクラは「サクラ」という名前がついていますが、バラ科のサクラとは全く違った植物で、フサザクラ科に分類されています。 葉に先立って花が咲くのはソメイヨシノなどと共通ではありますが・・・
 花のつくりは、房のように見えているのはオシベで、オシベの付け根にはメシベがありますが、花弁もガクもありません(下の写真)。

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 日当たりのいい所の花はオシベが赤く美しく色づいているのですが、日当たりの悪い所の花は、上の写真のように、白っぽい色をしています。

 フサザクラ科の植物は世界的には珍しく、日華区系に特産する科で、日本、中国、ヒマラヤに3種があるのみです。

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2009年4月 7日 (火)

ミソサザイ

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 5日の日曜日、金剛山に行ってきました。 目的のひとつはミソサザイのさえずりの様子を写真に撮りたかったこと。 渓流沿いの道を歩くと、あちこちからミソサザイのさえずりが聞こえてきます。 体は小さいのに、たいへん大きな声です。
 ミソサザイのさえずりを聴くことのできる期間は長く、いろんな時期に聴くことができるのですが、そのうちでも今の時期あたりが最もよくさえずっているような気がします。 ミソサザイは冬は一部の個体が平地や低山帯に降りてきて越冬し、繁殖は亜高山帯~高山帯で行われるとされていますが、金剛山でも繁殖しています。
 '08年5月2日のこのブログの記事で、4月29日に金剛山でミソサザイのさえずりがあちこちで聞かれたことと、巣材を運ぶミソサザイの写真を載せました。 さえずりの期間が長いということは繁殖の期間も長く、何度か子を育てるのだと思うのですが、やはり最初の巣作りに入る前が、いちばんよくさえずる時期ではないでしょうか。
 でも、さえずりの期間が長いということは、さえずってばかりでは腹が減ってしまいます。 今回は1羽のミソサザイを半時間ほど観察し続けてみたのですが、さえずったのは3回、時間にして2分ほどで、後は斜面で落ち葉をひっくり返して虫などの餌を探していました。 ミソサザイは体長10cmほどで、日本で最小クラスの大きさの鳥です。 しかも体の色は杉の枯れた葉などとよく似た暗い色をしています。 でも、チョコチョコと動いている場合は、目を離さずにいると追い続けることができます。 むしろ動かずにさえずっている場合は、近くにいても、なかなか見つけることができません。

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 後ろから撮ると、短い尾をいつも上にあげているミソサザイの仲間特有のポーズがよく分かります。

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2009年4月 5日 (日)

マエアカスカシノメイガ

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 4月4日、家のすぐ近くのクチナシの葉の上ににマエアカスカシノメイガがいました。 1週間ほど前には4kmほど離れた所でも見ています(この時はカメラを持っていませんでした)ので、成虫で冬を越した個体が動き出しているようです。
 マエアカスカシノメイガは、2cmほどの小さなガで、名前を漢字で書くと「前赤透野螟蛾」、前翅の前縁が赤褐色で、翅には鱗粉が少なくて少し透けています。 成虫は大阪付近では4月頃から夏の終わり頃まで見ることができますが、暖かい所では通年見ることができるようです。  幼虫はキンモクセイをはじめとするモクセイ科の木の葉を食べて育つので、市街地でよく見るガです。

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2009年4月 3日 (金)

コオニタビラコ

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 田の畦で見つけたコオニタビラコ。 春の七草のホトケノザは、シソ科のホトケノザではなく、このコオニタビラコだと言われています。 地面に接するように八方に広がる葉の中心に仏様がお座りになるイメージでしょう(下の写真)。

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 では、このコオニタビラコの名前はどのようにしてついたのでしょうか。 「タビラコ」は田にある平たい植物、「コ」は「どじょっこ」「ふなっこ」などの小さなものに対する愛称でしょう。 では「コオニ」は?
 もともとコオニタビラコは単にタビラコ(田平子)と呼ばれていたようです。 このタビラコに似て大きな植物があり(下の写真)、これにオニタビラコという名前がつけられました。 そして、このオニタビラコに似た小さな植物(つまりタビラコ)に「小さなオニタビラコ」ということで、「コオニタビラコ」という名前がつけられてしまったようです。

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      オニタビラコ('07.4.8.堺市槇塚台)

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2009年4月 1日 (水)

タヌキ

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 田畑と林の境にある道を歩いていると、何か横たわっているものが・・・
 顔の様子はまさしくタヌキ! でも野生動物がこんな所で昼寝をする訳はない、もしかしたら死んでいるのかも・・・と、そーっと近づくと・・・
 顔を動かし(ドキッ! でもシャッターは切る)、

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 むっくり起き上がって歩き出しましたが、とても辛そう。 もしかしたら農薬のついた何かを食べたのかもしれません。
 心配ですが、どうしようもありません。 近くで写真を撮らせてもらったのはいいのですが・・・。

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 最近はアライグマが増えて田畑を荒らしているのですが、アライグマはタヌキに似ているものの、鼻に黒い筋があり、尾にリング状の模様があるなど、明らかに違います。

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