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2009年3月 2日 (月)

ヤドリギ ②

(「ヤドリギ ①」からの続きです)
 ヤドリギは半寄生植物で、他の木から養分を奪うとともに、高い光合成に有利な場所で自身も光合成を行うというと、ずるい生き方をしているようですが、ヤドリギにも“悩み”はあります。 それは、他の木の上に種子がくっつかなくてはならないことです。
 他の木の上に種子を運んでもらうには、鳥に頼らなければならないのですが、それでも他の木の上で、鳥がヤドリギの種子が入った糞をしてくれるのは確率的には低いことです。 また、ヤドリギの種子がうまく枝にくっついたとしても、その枝が細すぎると、他の枝の成長のために落枝したり、ヤドリギの成長に耐え切れずに落枝してしまう可能性もあります。 ですから、ヤドリギはたくさんの果実を作ります。
 果実は淡黄色で、葉の色とそんなに変わらず、目立ちにくいのですが、たくさんの果実をつけて鳥の“常連さん”に餌のある場所を覚えてもらって何度も通ってもらうためには、“一見(いちげん)さん”を呼び寄せる派手な“広告”は不要なのでしょう。
 下はヤドリギを望遠で写したもので、あちこち淡黄色で丸い果実が写っています(写真はクリックで拡大します)。 写真には果実を食べに来たヒレンジャクという鳥も写っています。 じつはこのヤドリギには、この1週間ほどたくさんのヒレンジャクが通い詰めているのですが、まだまだたくさんの果実が残っています。

Yadorigi090228_3

 ヤドリギが他の木の上で生育するための問題点その2です。 鳥がヤドリギの種子を含んだ糞を木の上でしてくれても、その種子が木の上にくっつかなくては意味がありません。 また、ヤドリギの種子から根が出てその根を木の枝に食い込ませるためには時間がかかります。 その間、ヤドリギの種子は、ずっと同じ場所にくっついていなければなりません。
 下の写真はヒレンジャクが糞をしているところです。 ヤドリギの果実では、種子の周囲をヌルヌル・ベタベタした粘液の層が取り囲んでいる(注)のですが、この粘液がほとんど消化されないで、そのまま排出されているようです。 種子も消化されずにそのまま出てきているようです。

Yadorigi090228_4

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 鳥から排出されたヤドリギの種子は、この粘液によって、木の枝にくっつくことができます。 そしてこの粘液は、時間とともに乾燥し、ヤドリギの種子を木の枝に密着させ、固定させるのです。

(注):3月7日追記
 ヤドリギの果実の果肉は、次の3つの部分に区別できそうです。 つまり、① 枝などにくっついてぶらさがるのに役立つ部分(Viscin組織)、② 種子が枝にくっつくのに役立つ、種子の周囲にある粘着質部分、③ 通常の果肉部分(食べた鳥の栄養分となる部分) です。 なかなかさんのHPの「ヤドリギの果実」には、そのあたりのことが、よく分かる写真とともに、詳しく書かれています。

【関連項目】
 ヤナギバルイラソウの種子の周囲の粘液物質

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コメント

私もねヤドリギの身になって、一度は大いに悩みました。
しかし、証拠写真と共にその悩みは一挙に解決・・・・・

冠がカッコ良い、羽色の綺麗な鳥、ヒレンジャク
オスマシ顔のヒレンジャク君も
こんな姿を撮られていたなんて・・・
それでも、おすまし顔がニクイニクイ!


投稿: わんちゃん | 2009年3月 2日 (月) 13時45分

すましているようにみえても、はずかしくて顔が赤くなっている?

投稿: そよかぜ | 2009年3月 2日 (月) 22時41分

そよかぜさん おはようございます
レンジャクがたくさん渡って来たようですね。 ほんとに綺麗なカッコイイ鳥ですよね。
ヤドリギは私も昨年観察しました。 特に種子と果肉の間に、ぶらさがるための粘着質(白い筋)と、樹木にくっつくため粘着質の2種類があります。 ヤドリギの種子は、とても巧妙に樹木の枝にからみついて、くっつくようにできていて、驚きました。

↓お暇なときにでも、ご覧下さい。(もうご覧にになっているかもしれませんが・・)
http://www.juno.dti.ne.jp/~skknari/yadorigi.htm

投稿: なかなか | 2009年3月 3日 (火) 07時41分

なかなかさんの記事は以前にサラッと読ませていただいていましたが、今回きちんと読ませていただくと、ほんとうにきっちりと調べておられることに感心します。
ただ、名称については、種子の周囲にある果皮に包まれた部分全体を果肉と言ってはいけないのかなあと思います。
つまり、果肉は機能的に3つの部分(①ぶらさがるためのViscin組織、②くっつくために種子の周囲にある粘着質部分、③その他の果肉部分)に分けられる、という言い方です。
主に③の部分が鳥の栄養になるのでしょうね。

投稿: そよかぜ | 2009年3月 3日 (火) 22時45分

ヤドリギのページを読んで頂いてありがとうございます。 そよかぜさんのコメントのように、名称はすべてを含めて果肉ととらえても良いと思います。 
ただ、3つの部分は、組織がそれぞれ違っていますので、同じ部分から発生したのではないかも・・とも考えられます。 また、ぶら下がる組織(白い筋)については、ヤドリギの果実がもっている独特の特徴だということを、ほとんどの図鑑や本は表現されていなく、この部分は曖昧にされている(見落とされている)のでは・・・と思われます。

今日のヒレンジャクの記事で、オスとメスの見分け方が書かれていて、ちょっと驚きました。 私の持っている鳥のミニ図鑑にはヒレンジャクは雌雄同色と書いてありますので、てっきり見分けがつかないものと思っていました。いいことを教えて頂きました。
早速自分の撮したヒレンジャクの画像を見ましたが、どの部分を見比べたら良いのかわからないので、いまだに雄か雌かわかっていないんですよ。(笑)

投稿: なかなか | 2009年3月 5日 (木) 07時29分

ヒレンジャクの雌雄の違いは主に翼に見られるので、下からの写真では難しいでしょう。
このブログのヒレンジャクのページの1枚目の、翼に赤い班が点々と見られるのがオスで、2枚目は喉の黒い部分の輪郭もぼやけていますので、メスだと思っています。羽を広げたヒレンジャクを上から見ればよく分かると思います。見たいものです。

このページの記事に、果肉に3つの部分があることを加筆したいと思います。

投稿: そよかぜ | 2009年3月 6日 (金) 07時01分

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