カモたちの集まる場所
大阪平野は瀬戸内式気候ですので、特に河川の少ない南部には、たくさんのため池があります。
ため池の作り方は、丘陵地であれば地形を利用して、谷筋をせき止める等でも作れるのですが、平地のど真ん中だと、掘るしか方法がありません。 この掘った土をどうするか、昔はダンプカーで運ぶわけにもいかず、池の中央を残して掘り、残した場所に掘った土を積み上げて島になったような池がたくさん見られます。 これらの池は、一見堀を伴った古墳にも似ています。
そして、大阪平野には、堀をもった大小さまざまな古墳も見られます。
このような堀に囲まれたような小島または古墳は、カモたちにとって都合のいい場所になります。
カモたちの夜寝る場所は、種類にも寄りますが、水面に浮いて寝るとは限りません。 水面は野犬などに襲われる心配はありませんが、眠っているうちに風などに吹かれて岸に近づいてしまうこともあるでしょう。 それよりも堀に守られた島の方が安心です。 堀が動物の侵入を防いでくれますし、木の茂みの下に潜り込めばタカなどからも姿を隠してくれます。 とにかく、安心できることが分かれば水面に浮いて寝ることもするでしょうが、その土地に不案内なカモが降り立つ場所としては、安心できるであろう場所がある所が好まれるのでしょう。
今、大阪平野では、そんな池や古墳の多くが、人家に囲まれたかたちで存在しています。 人とカモとの距離が縮まりました。
カモたちにとって、町の人間は、いったん慣れてしまうと味方です。 山中では鉄砲で撃たれるかもしれませんが、町の人間は餌はくれるし、危害を加えようとしません。
最初に人に慣れたのは、パンなどの水に浮く餌を好むヒドリガモやオナガガモなどの水面採餌ガモだったでしょう。 そんなカモたちを見て、最近では、キンクロハジロやホシハジロなどの潜水ガモも、人の与える餌を食べるようになってきている場所が増えてきました。
鳥の文化も広がるようです。 ある池で人から餌をもらっていたカモが別の池へ行き、そこでも人を恐れない。 そんなカモを見て人は餌を与える。 そんな餌をもらうカモを見て、他のカモも餌をもらうことを学習する・・・
そんな餌をもらうカモたちを見て、そんなに個体数の多くない種類のカモも、その餌をもらうグループに加わりつつあるようです。 次回から、そんなカモとして、トモエガモとヨシガモを順次記事にしていきたいと思います。
(以下1月17日追記)
下は餌を与える人の多い古墳のひとつです。 朝でまだ人影も無く、餌をもらえると思ったのか、一斉にカメラを構える私の方へ泳いできました。 この中にトモエガモも混じっているはずです。
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コメント
そよかぜさんがある日カモになりすまして、
カモの世界を潜入レポート
「そんなこと、ありえな~~い」
でも、あり得るようなド迫力です。
カモになりきってます。
トモエガモとヨシガモ(どっちも知りません)へのインタビューの結果楽しみにしてます
投稿: わんちゃん | 2009年1月13日 (火) 15時08分
>昔はダンプカーで運ぶわけにもいかず、池の...
なるほど、そういうことで池の真ん中に島があるんですか。
何も考えずに池の島を眺めていたんですが、ものには理由があるものなんですねぇ。
投稿: 餡 | 2009年1月14日 (水) 05時54分
わんちゃん、そよかぜは小さな隙間からでも潜入できる!? でも、まだソロモンの指輪は入手できません。
餡さん、私も最初は小規模の古墳だと思っていました。
投稿: そよかぜ | 2009年1月14日 (水) 06時54分