冬に咲くラベンダー
ラベンダーオイルに含まれる香り成分には、精神を和らげる効果があります。 また、防虫、殺菌などにも効果があるとされています。
ラベンダーの名前は、その属名の Lavandula からきていますが、Lavandula は「洗う」という意味のラテン語に由来しています。 これは、ローマ人達が入浴や洗濯の際にラベンダーを湯や水に入れ、その香りを利用したためだと言われています。
ローマ時代の後もラベンダーは栽培され続け、ヨーロッパ各地で盛んに品種改良が行われました。 そのため、もともと園芸的には学名などは軽視される傾向があるうえに、分類的には同一種でも産地により精油の成分構成が異なり、実用上それらを区別するために名前をつけますので、学名や品種名はかなり混乱しましたが、とにかくたくさんの種類ができました。
日本でも香料の原料として栽培されていましたが、筒井康隆の小説『時をかける少女』で一躍有名になり、観賞用としての品種改良も盛んになりました。 その結果、ラベンダーはもともと夏に雨が少ない地中海性気候が原産地で、夏の高温多湿には弱かったのですが、耐寒・耐暑性に優れた四季咲き性のものもできています。
写真のラベンダーもそのようなもので、この時期でも花が咲いていました。
植物の体の栄養分の生産・消費の観点からすると、花を咲かせることは栄養分の消費です。 花の咲かせ方の違いは、光合成で生産した物質の使い方の違いです。 ダラダラと咲く四季咲き性のラベンダーの花は、ある時期に短期間に咲く、例えば北海道の美瑛や富良野のラベンダー畑に比較すると、「一面に咲く」という見事さは期待できません。 でも、狭い家庭の庭で咲く一輪の花をマクロレンズを通して見た美しさでは負けません。
写真のラベンダーは、デンタータラベンダーだと思いますが、紫色の葉のような形をした苞と、同じく紫色の花冠が5裂した筒状花が見えます。 上に書いたように、ラベンダーには多くの種類があり、苞が発達したものとそうでないものとでは、全く別の植物のように見えます。
デンタータラベンダーは、葉の鋸歯が深いのも特徴です。 植物全体の印象としては、地中海性気候の夏の乾燥に対する防御対策をいろいろ工夫しているように見えます。
| 固定リンク
「園芸」カテゴリの記事
- フレンチ・ラベンダー(2014.05.01)
- フユシラズ(2013.01.29)
- チーゼル(2012.08.06)
- アルディシア・ピラミダリス(2012.03.02)
- フレイキネティア・ムルチフローラ(2012.02.27)
コメント
紫の絨毯を敷き詰めたようなラベンダー畑の写真はよく見ますが、
マクロレンズを通して見たラベンダーの美しさは、初めてです。
葉っぱが反り返っているのは????
夏の乾燥に対する防御対策の一つ??
理由がわからない??
投稿: わんちゃん | 2009年1月 3日 (土) 19時34分
> 葉っぱが反り返っているのは????
植物は光合成の材料として二酸化炭素を主に葉の裏側に分布する気孔から取り込みます。ところが二酸化炭素を取り込もうと気孔が開くと、水分が蒸散作用によって失われます。この水分の蒸散を少しでも少なくするために、葉の裏周辺の空気があまり移動しないように丸く覆って風を防いでいるのだと思います。
投稿: そよかぜ | 2009年1月 3日 (土) 22時30分
遅れ馳せながら、明けましておめでとうございます。今年も色々な植物知識を期待しています。どうぞ宜しくお願い致します。
投稿: 多摩NTの住人 | 2009年1月 4日 (日) 16時01分
あけましておめでとうございます。
多摩NTの住人様の堅実な植物観察には及びませんが、今年も興味関心の趣くままに Nature Watching をやっていきたいと思っています。よろしくお願いいたします。
投稿: そよかぜ | 2009年1月 4日 (日) 21時35分