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2008年12月14日 (日)

クヌギの根元

 河内長野市の清水付近を歩きました。 細く続く道に沿ってクヌギが並んでいます。 でも、このクヌギ、どの木も根元が異常に膨らんでいるように見えます(下の写真)。

Kunugi081129_1

 下の写真では、奥のクヌギは上と同じように根元が膨らんでいるように見えますし、手前のクヌギは、膨らんだ部分から2本の幹が出ています。 クヌギの本来の樹形は、株立ちになることはありません。

Kunugi081129_2

 なぜこのような姿になったのでしょうか。 じつはこのような姿にしたのは人の営みなのです。
 炭が大切な燃料だった頃、クヌギは炭の材料にたくさん使われました。 また、シイタケの榾木(ほだぎ)や薪としても、クヌギはよく使われました。
 クヌギは萌芽力の強い木です。 地上部を少し残して伐採すると、その残された部分から新しい枝が伸びてきます。 この枝は、根がしっかりしていますから、たいへん早く成長します。
 クヌギの幹を利用する側からすれば、ドングリから育てるよりも早く利用できる太さに育ってくれる方がありがたいわけですから、地上部を少し残して切る事を繰り返します。 つまり、上の写真の根元の太い部分は、切らずに残されてきた部分で、それより細い幹は、残された部分から伸びた枝が育った部分ということになります。 残された部分の右にも左にも枝が出て、両方が育てば2枚目の写真のようになります。
 下の写真のクヌギは、3本の株立ちのように見えますが、注意してよく見ると、やはり切られた痕があり、元の幹の痕は腐って洞になり、そこに腐葉土が溜まって、草が生えています。

Kunugi081129_3

 鹿の多い北摂(大阪府の北部)では、クヌギを切る高さを、そこから伸びる新しい枝に鹿の口が届かないように、高くします。 この残す地上部を、新しく枝が伸びる土台になる部分という意味で台場または台木とよび、台場を持ったクヌギの木を「台場くぬぎ」と呼んでいます。 長年利用されてきた台場くぬぎは、台場の部分がたいへん太くなり、おもしろい姿を見せてくれます。
 大阪市立自然史博物館には、北摂から運び込んだ本物の台場くぬぎの展示があります。

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コメント

造園用に使われる 「だいすぎ」もこの方法で作られたもののようですね

投稿: tumumasi | 2008年12月14日 (日) 11時18分

炭も夏場に2~3回するかしないかのバーベキューに使うくらいなら需要は知れてますね。

童仙房でシイタケ栽培をされてる方がシイタケの榾木(ほだぎ)にクヌギを季節がきたら採りに行くって聞きました。

ウチで何回もシイタケ育てたことがあります
あの木がクヌギだったんですねぇ・・・・

投稿: わんちゃん | 2008年12月14日 (日) 13時24分

tumumasiさん、台杉の「台」も同じ意味です。元はたくさんの材をとるための工夫だったのですが、今はすっかり造園用の仕立てになっています。

わんちゃん、シイタケの榾木にはクヌギを使うことが一番多いようです。
シイタケはたくさん採れましたか?
住宅地ではどうしても乾燥してしまって、たくさん出ないようです。

投稿: そよかぜ | 2008年12月14日 (日) 21時32分

ウチでのシイタケの栽培ですが、
お風呂場に置いたりしたこともありました。
木の根元にもたれるように置いたり、
結構、採れましたよ・・・・

投稿: わんちゃん | 2008年12月15日 (月) 15時29分

湿度の条件が良かったのでしょうね。川が近いから?
ナメクジの被害に遭ったりもして、なかなか大変なのですが・・・

投稿: そよかぜ | 2008年12月16日 (火) 06時43分

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