ヤナギバルイラソウの果実と種子
ヤナギバルイラソウはメキシコ原産の園芸植物で、半耐寒性常緑小低木です。 花の写真はこちらに載せていますが、秋になり、たくさんの果実が爆ぜています。 まるでワニが口を開いたようです(上の写真)。
ワニの口の歯のように見えているのは弾糸で、この弾糸の力によって種子をはじき飛ばします。 このように種子を散布することは、キツネノマゴ科の特徴のひとつです。
若い果実が残っていました。 若い果実は下の写真のように下を向いています。
この若い果実を割ったのが下の写真です。 まだ十分発達していない種子がきれいに並んでいます。
下の写真のようなものを見つけました。 中央に移っているのは、最初の写真に写っているのと同じもの、種子です。 葉の裏に硬くくっついています。
そこで思い出したのが、なかなかさんのホームページ「花*花・flora」にあった記事、「ヤナギバルイラソウの種子」です。 記事には、ヤナギバルイラソウの種子は水に触れると、水を吸って粘性を発揮すること、この粘性はセルロース性ハイドロコロイドによると考えられること、このしくみがあるおかげで、弾き飛ばされた種子はいろんな場所にくっついて分布を広げるのに役立っているのであろうことなどが書かれてありました。
私も早速実験してみました。 ヤナギバルイラソウの種子に水を落とすと、すぐに種子からモヤモヤとした毛のようなものが広がってきます(下の写真)。 この毛のようなものは、種子が乾燥しているときには種子の表面にくっついていて、それが水を吸収して膨らんできたようです。 なかなかさんのホームページでは、このモヤモヤの顕微鏡写真が載せられていて、この毛の中につまっていたセルロース性ハイドロコロイドが放出されることで、水に粘性を与えているようです。
この水に浸した種子をピンセットで持ち上げ、別の場所に置こうとした時のことです。 下の写真では、粘液の糸で種子とピンセットとがつながっています。 粘性のすごさに驚かされました。
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コメント
そよかぜさん こんばんは
写真がとても綺麗で、わかりやすくすばらしいです。
葉の裏にくっついている種子を良く見つけましたね、とても面白い姿です。 きっと雨水か何かに反応したのでしょうね。
最後の画像も、セルロース性ハイドロコロイドが縦方向にものすごく伸びる性質をよくとらえていて、すばらしい1枚だと思いました。
(弾糸ですがコケ類にみられる胞子を跳ね飛ばす役割の細胞ではなかったでしょうか?)
投稿: なかなか | 2008年11月17日 (月) 21時31分
なかなかさん、写真をほめていただいて、ありがとうございます。
「弾糸」はスギナの胞子についている腕のようなものを指す場合のほか、キノコの腹菌類の胞子をばら撒くしくみなど、いろんなところで使われているようです。
キツネノマゴ科の場合の「弾糸」は、長田先生の『検索入門野草図鑑』などで使われていますが、保育社の原色図鑑などでは使われておらず、たしかにあまり一般的ではなく、「糸」というのにはふさわしくない太さと硬さですね。
なかなかさんの使っておられる「射出器」の方がいいかもしれません。
投稿: そよかぜ | 2008年11月18日 (火) 00時36分
「弾糸」は、長田先生の『検索入門野草図鑑』などで使われているのでしたか。 そよかぜさんのことですので、出典の根拠があるはずと思ってお尋ねしてみました。
私ももう少し調べてみようと思います。 ありがとうございました。
投稿: なかなか | 2008年11月18日 (火) 07時22分
”実験は成功のマザー”ですね・・・・
偶然のことが大きな驚きに・・・なんて。
最後の写真、オドロキの一瞬ですねw(゚o゚)w
キレイです。
投稿: わんちゃん | 2008年11月18日 (火) 18時45分
いろいろとやってみるもの、書いてみるものですね。
情報発信も、発信する段階で整理ができて、その反応をいただくことで、新しい発想が生まれ、知的な深まりが得られて知的に楽しむことができる・・・
“知的生産のススメ”ですね。
投稿: そよかぜ | 2008年11月18日 (火) 22時33分