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2008年11月30日 (日)

アメリカミズキンバイ

 アメリカミズキンバイ(別名ヒレタゴボウ)の実から種子がこぼれ出始めています。 果実は脈間の薄い部分が破れ、窓が開いたようになります。 果実の中には微小な種子が、ぎっしり詰まっています。
 下は、堺市南区畑の、いつも水が流れている水路で育っていたものです。

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 アメリカミズキンバイは熱帯アメリカ原産の帰化植物です。 50年代に愛媛県の松山市で見つかったのが最初で、現在では関東から九州に分布しています。
 「アメリカミズキンバイ」の名前は、熱帯アメリカ原産で、同じアカバナ科のミズキンバイに似ているところからです。 また、「ヒレタゴボウ」は、同じような環境に育つタゴボウ(=チョウジタデ)に似て、茎の角が発達しているところからです。
 花は夏から秋、鮮黄色で、群生すると、なかなか美しいものです。 下は今年の10月19日に奈良県の馬見丘陵広域公園で撮ったものです。

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 果実にはガクが残り、4稜があります。 下は堺市南区岩室の蓮田につながる湿地で写した花と実です。

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2008年11月29日 (土)

シリブカガシ

 シリブカガシのどんぐりがたくさん落ちていました。 私の住むあたりでは、11月の中旬くらいが落果のピークのような気がします。
 シリブカガシは近畿地方以南の太平洋側に分布しますが、分布場所は限られていて、特に近畿地方での分布は少なくなっています。 でも、私の住む付近では、シリブカガシ林が大阪府の天然記念物になっている美多彌(みたみ)神社をはじめとして点々と分布していて、「堺自然ふれあいの森」にもたくさんのシリブカガシがあります。 下はシリブカガシの株立ちの様子を春に写したものですが、手前の2本の幹はコナラで、手前に写っている葉もコナラの葉です。
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 カシといっても、なじみの深いアラカシ、シラカシ、ウラジロガシや、落葉性のクヌギやコナラなどとは属が違います。 後者はすべて Quercus 属(コナラ属)であるのに対し、シリブカガシは Lithocarpus 属(マテバシイ属)に分類されます。
 属が異なるということで、見慣れているカシの仲間とは、いろいろなところで違ってきます。 まず花は、春ではなく、9月の終わりから10月にかけてです。 そしてドングリが熟すのは、翌年の秋です。
 ドングリのつき方も、アラカシなどの見慣れたカシ類の、短い枝に数個のドングリがつく様子とは異なります。 雌花は長い花序につき、それがドングリになりますので、下の写真のように、枝にたくさんのドングリが並んでついたようになります。 枝には受粉できずに成長しなかった小さなドングリもたくさんついています。

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 シリブカガシのドングリの底部の、殻斗(=お椀)にくっついていた部分は凹んでいます。 これが「シリブカ」の名前の由来になっているのですが、ドングリを見分けるいいポイントです。
 Lithocarpus 属(マテバシイ属)のドングリは、シリブカガシもマテバシイも、生でも食べることができます。 渋みはほとんどありません。 でも、軽く炒ると、甘みが増して、一層美味しくなります。

◎ シリブカガシの花などについては、こちらに載せています。

◎ ドングリが大好きで私もお会いしたことのあるMさんが、「すばらしいドングリの世界」というHPを作成されました。 いろんなドングリがいっぱいです。 もちろんシリブカガシも載っています。 どんぐりの分類や各部の名称についてもまとめられています。

 

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2008年11月28日 (金)

スッポンタケ

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 スッポンタケは梅雨のころから秋まで、湿ったところで見られるキノコです。 名前はもちろんスッポンが首を伸ばしたところに似ているから。 珍しくはないのですが、柔らかくて寿命が短いので、なかなかいい姿の時に出会えません。 写真は「堺自然ふれあいの森」で見かけたものですが、傾いてしまっています。
 スッポンタケは腹菌類に分類されます。 腹菌類は、ホコリタケやツチグリなどのように“腹の中”つまりキノコの内部で胞子が作られるのですが、スッポンタケなどはなぜ腹菌類なのか? これを理解しやすくするために、私の頭の中にあるイメージを図にしたのが下です。

Fukkin

 つまり、スッポンタケなどでは、袋状の中で胞子が作られるのですが、その胞子をハエなどに運んでもらいやすくするために、表面に胞子をつけた部分(傘)が、「托」と呼ばれる部分によって押し上げられるのです。
 ホコリタケなどでも、若い時(図の①)には胞子の作られる部分(図の褐色の部分)はドロドロですが、スッポンタケなどではそれがドロドロのままで傘に張付いて持ち上げられるわけです。 この部分を「グレバ」と呼んでいて、ハエを呼び寄せ、ハエの体にグレバをつけて胞子を運んでもらうわけです。
 グレバはハエの好きなにおい、つまり人にはくさくてたまらないにおい(なかにはこのにおいが好きだという人もいますが・・・)がします。 でも、このグレバを洗い流し、根元のツボを取り除いて湯がき、水に晒すか乾燥させて、天ぷら、煮つけ、澄まし汁に入れるなどすると、いい食材になるようです(私はまだ試していません)。

※ じつはこのスッポンタケをみつけたのは11月15日でしたが、図を描くソフトに慣れるのに時間がかかって・・・
 ここに載せた図は Pixia というフリーソフトを使って最初に描いた図です。 Pixia は最初は分かりにくいのですが、分かってしまうと使いやすいソフトという印象です。

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2008年11月27日 (木)

ウラジロノキ②

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 11月16日に記事にしたウラジロノキの場所に、また行ってみました。 落果はますます盛んで、上の写真のように房になった実がたくさん落ちていました。
 上の写真に写っている一番下の果実は、横に細長く線状に傷んでいます。 きっと鳥がもう食べられるかと嘴ではさんで熟し具合を確かめ、まだもう少しと、食べずにおいた跡でしょう。

 11月16日の記事では、ウラジロノキは葉を丸めるしくみを持っていて、丸まった状態で落葉を迎えたと考えられることを書きましたが、最初の写真のように、もう葉は丸まっていません。 離層が形成されて紅葉が進み、葉が積極的に丸くなる力を失ってきたようです。
 上を見上げると葉がきれいに色づき、その隙間から見える枝先には、まだ実がいっぱいついています。
 ウラジロノキの花は、虫たちに目立つように木の外側に咲かせ、内側の葉に囲まれた場所には咲かせません。 つまり、実もいちばん外側、林の中では一番高いところにつくことになります。

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 Webで調べてみると、ウラジロノキの実にはタンニンが多いので苦味があると書かれているものがありました。 でも、この時期に柔らかくなって落果している実では、いろいろかじってみましたが、苦味のあるものは1つもありませんでした。 また、ウラジロノキの実では、果肉に石細胞下の)が含まれていて食べにくいという記事もありました。 でも、私はこのナシに似た食感が好みです。
 まだ暫くは落果が続き、すっぱくジャリジャリとした味を楽しめそうです。


 石細胞(せきさいぼう)とは、細胞にリグニン、ペントザンなどが蓄積し、細胞膜が固く、木に近い状態に変化したものです。
 通常石細胞は果実の皮などに多く存在しますが、ナシなどでは果肉に多くの石細胞を蓄積しています。 植物の表面に存在する石細胞の役割は組織を固くし保護する為といわれていますが、ナシの果肉などに存在する石細胞の役割はよく分かっていません。
 石細胞は人間が食べた時の食感に影響していて、ナシのシャリシャリ感は石細胞によるものです。 また石細胞は人間の胃腸では消化されず、腸を刺激し便通を良くする効果があるといわれています。
(「注」の文は「ウィキペディア(Wikipedia)」の文をまとめなおして書きました)

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2008年11月26日 (水)

ケチヂミザサ

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 ケチヂミザサの種子散布の方法はとても変わっています。 1つの種子は5枚の頴(えい)下の注)で保護されていて、第1頴~第3頴の先には太く長いノギがあります。 このノギは未熟な種子を保護する役割があるのでしょうが、種子が成熟すると、ノギの表面の細胞が解けて、粘液に変わり、動物の体に粘り付いて種子の散布が行われます。 上の写真でも粘液があちこちで水玉のようになって光っています。

 ケチヂミザサの名前は、笹の葉を小さくしたような葉の葉面が縮んで波を打ったようになり(下の写真)、花軸や葉に毛が多いことによります。

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 花は8~10月、このブログのこちらで記事にしています。

注)
 5枚の頴とは、第1包頴、第2包頴、退化した第1小花の護頴、種子をつくる第2小花の護頴と内頴です。 これらのつくりはエノコログサの仲間などと同じで、こちらで記事にしています。

ケチヂミザサ=チヂミザサ はこちらにも載せています。

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2008年11月25日 (火)

ニトベエダシャク

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 秋が深まるにつれて虫たちの姿も次第に少なくなってきました。 でも、ガの仲間には、冬尺をはじめとして、寒い頃に発生する種類も少なくありません。 ニトベエダシャクもそのうちの一種で、成虫は11月に現れます。 ちなみにこの後は、卵で越冬し、春に幼虫になり若葉を食べて育ち、6月に土に潜って蛹化し、11月までサナギのままで過ごします。
 上の写真は、11月23日にメタセコイアの幹にとまっていたものです。 真正面から撮っているのですが、ニトベエダシャクはいつもこのように体を丸めていて、眼は窪んだ部分の奥にあります。 触角もフサフサした毛の中につっこんでいて、見えません。
 顔が見たいのでつついてみると、下にパタパタと飛び降りて枯葉につかまりました。 触角は出したものの、頭部はやはり下に曲げたままです(下の写真)。

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 ちょうど成虫の発生時期で、同じ日に別の場所でもニトベエダシャクを見つけました。 下は上とは別の個体です。 画像処理で周辺を消してみました。

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2008年11月24日 (月)

ワレモコウ

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 上の写真、黄葉の木を背景に咲くワレモコウです。 ワレモコウの花期は夏から秋ですが、畦などに生えているものは、草刈りで刈り取られた後にまた成長し、花を咲かせたりしますので、遅くまで花をつけています。
 群生していると見ごたえがあるのですが、上の写真のように少数の花序を重ならないように大写しにしようとすると、上のほうには葉も無く、なかなか絵になりにくい花です。 上の写真では、いちおう葉も左に入れています。
 ワレモコウもたくさんの花が集まっています。 たくさんの花が「吾もまた紅なり」と競い合っていて、紅一色ですので、なかなか1つの花のつくりは分かりにくいものです。 でも、咲いたばかりの花では、白っぽいので、メシベの柱頭の様子もよく分かりますし、黒くて分かりにくいオシベも、花粉を出していて分かりやすくなっています(下の写真)。

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 ワレモコウの花は、ガクが4枚(長持ちします)、花弁は無く、オシベが4本、蜜を出す花盤の中央からメシベが伸びだしてきていて、イボイボの柱頭がステキです。 子房は花の後ろに隠されていて、写真には写っていません。
 双子葉類の花は5を基本数としている場合が多いのですが、五角形の花では、サッカーのボールのように、六角形を混ぜないとうまく集まることができません。 でも四角形なら菱形をいくらでも集めてくっつけることが可能です。

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2008年11月23日 (日)

肋骨雲

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 昨日(22日)の大阪は雲も楽しませてくれました。 朝の蒸気霧のことは昨日のブログに載せましたが、2時過ぎにふと空を見上げると、見事に肋骨雲が広がっていました。
 上の写真には、雲の分類からすると、巻雲、巻積雲、高積雲が写っているのですが、直線状に伸びた雲の帯に直行する波状の雲が織り成す芸術です。
 今日の写真(1枚目と2枚目)も、クリックしていただくと、1024×680まで拡大できます。 大きなCRTをお持ちの方は拡大してお楽しみください。
 気象学上は、「肋骨雲」のような雲塊の配列による雲の分類は「変種」になります。

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 上の写真のすぐ横では彩雲も見られました(下の写真)。

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2008年11月22日 (土)

蒸気霧

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    写真をクリックして画面を広げていただくと、1024×680まで拡大できます。

 蓮田に連なる湿地でのできごとです。 昨日、少し雨が降りました。 夜露も降りたことでしょう。 とにかく葉の表面の水分は十分。 その下は元々湿地で、水分はたっぷり。
 それまで斜面の陰になっていたそんな所に太陽の光が当たり始めました。 暖められた水は水蒸気となり、それが冷やされ霧となり、写真のような幻想的な世界が広がりました。
 時間は朝の9時15分頃、そんなに寒くはありませんでした。
 この現象はほんの数分で終わりました。 周囲の空気も暖められたのか、蒸発しやすい条件にある水分が減少したのかは分かりません。
 こんな現象にはきっと名前がついていて、俳句などにも使われていると思い、調べてみましたが、見つけることができませんでした。
 似た現象として、暖かな水をたたえた海や湖や川の水面に冷たい空気が流れ込んできた時、水蒸気の急激な蒸発によって霧が発生することがあり、「気嵐」(けあらし)と呼ばれているようです。

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2008年11月21日 (金)

ヨメナとノコンギク

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    ヨメナ

 

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   ノコンギク

 

 夏から咲いているヨメナとノコンギクが、そろそろ終わりを迎えつつありますが、まだ咲いています。
 いわゆるノギク(野菊)と呼ばれている植物には多くの種類がありますが、このヨメナとノコンギクも野菊と呼ばれることがよくあります。
 ヨメナのほうがやや湿地を好む傾向があるので、私の印象(=大阪平野の傾向?)では、ヨメナは田の畦などの平地に多く、ノコンギクはやや山手の道沿いに多い印象があります。 しかし、ノコンギクとヨメナはほんとうによく似ています。
 ヨメナにもノコンギクにも白っぽいものから紺色の濃いものまでありますから、色で区別はできません。
 両者を区別するには、花序の柄下の)がヨメナの方が長いのですが、きっちり見分けるには頭花を割って冠毛の様子を見るのが確実です。 ヨメナの冠毛はたいへん短く、ほとんど目立たないのに対し、ノコンギクの冠毛は子房の2倍ほどの長さがあります。

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   ヨメナの頭花の断面

 

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   ノコンギクの頭花の断面

 

 子孫を作るというのはとても大切なことですので、子房周辺の様子は容易には変わりません。 冠毛の有無は種子散布にも関係することで、頭花を割ってみなければ分からない小さな違いのようですが、種の違いとしては大きな違いということになります。


 花序とは、「花のつき方のきまり」のことですが、そこから、一つひとつの花ではなく「花の集団」の意味にもよく使われます。 ヨメナなどキク科の1つの花のように見えているのはたくさんの花の集団で、このような花のつき方を「頭状花序」またはそれを略して「頭花」と言います。
 「花序の柄」とは「1つの花のように見えているものの柄」、つまりここでは、「枝分かれしてから頭花に至るまでの茎」の意味で使っています。 1枚目の写真に写っている大部分は「花序の柄」だということになります。

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2008年11月20日 (木)

アキノノゲシ

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 稲刈りの終わった田に囲まれた道を歩くと、アキノノゲシの淡いクリーム色の花が、柔らかな秋の日差しを受けて、あちこちで優しく咲いていました。
 アキノノゲシは東南アジアの原産で、古くに稲作と共に日本へ渡って来た史前帰化植物だと考えられています。 上の写真の下の方に写っているように葉は細いのですが、じつはレタスの仲間です。
 頭花は、13日のガンクビソウなどとは逆に筒状花は無く、舌状花のみからなります。

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 もう種子をつくっているものもたくさんありました。

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 種子はひどく扁平で、細いくちばしの先に、白い冠毛がついています。

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2008年11月19日 (水)

ツワブキ

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 あちこちの家の庭などでツワブキが美しく咲いています。
 厚い光沢のある葉は1年を通して楽しめます。 ツワブキの名は、葉に艶のある蕗、つまり「艶葉蕗(ツヤバブキ)」が転じたとされています。 でも、やはり花が咲き競うと、周囲が明るくなった気がします。
 ツワブキは海岸の崖などに自生しています。 そのような場所では潮風に晒されて乾燥しやすく、葉の厚さも光沢も、乾燥に対する防衛手段なのでしょう。
 ツワブキの頭花は大きいので、キク科の花のつくりを見るにはいい材料です。 ツワブキの頭花(頭状花序)は、周辺部の舌状花と中心部の筒状花からなります。

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 上の写真、筒状花はほとんどまだツボミで、左下の1つだけ咲いているのですが、咲いたために上に伸び、カメラに近づいてピントがぼけています。 舌状花はみんな咲いていて、メシベを出しています。 キク科のメシベの柱頭は、通常は2裂するのですが、写真では3裂のものが混じっています。 野生のツワブキでも、所詮舌状花は飾りということで、柱頭が2裂のものと3裂のものが混ざるのか、それともこのツワブキは園芸的に改良されているので生殖的にはいい加減になっているのか、野生のツワブキで確かめる必要がありそうです。
 下の写真は、上よりも少し時間が経過した状態で、筒状花も咲き出しています。 2つの頭花が写っていますが、まだ咲いている小花の少ない下の頭花の方が分かりやすいでしょう。 ①は雄性期で花粉を出しています。 ②は雌性期で、2裂した柱頭が見られます。
 この花の筒状花では、周辺部から中心部に向かって順々にきれいに開花するようにはなっていないようです。 これも栽培されているものだからなのか、野生のものでもそうなのか、確かめてみたいものです。

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 ③について:(次からの3つの段落は、11月20日に追記したものです)
 撮った写真をPCで見ていて、③の存在に気づきました。 周囲のツボミより大きなツボミ状のものがメシベのようなものを出しているのだと思い、何かわけの分からない不思議なものがあると記事に書いたところ、なかなかさんから、これは筒状花の花弁が開く前の蕾がふくらんだ状態ではないか、ツワブキでは花が開く前にツボミは膨らんで、写真のように少し飛び出すのだ、というコメントをいただきました(コメント欄参照)。
Tuwabuki_7  そこで再度写真をよく見ると・・・ 右の写真は、上の③の部分の拡大ですが、この膨らみから出ているように見えた“メシベのようなもの”は、その後ろの舌状花のメシベの柱頭で、偶然にみごとに重なって写っただけのようです。 上の写真に写っている2つの頭花のうちの上の頭花にも③の状態は写っており、ここには“メシベのようなもの”は写っていません。 この段階で気づくべきでしたが、先入観念とは恐ろしいものですね。
 コメントをいただいたなかなかさんに感謝するとともに、すぐに多くの人から反応をいただけるブログという情報伝達のしくみにも感謝です。

 下の写真は、上の写真の①とほぼ同じ状態の小花です。 オシベの葯がくっつきあって筒状になり、その筒状の内側に出された花粉が、めしべが伸びてくるにしたがって押し出されてきています。

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 下の写真では、オシベの葯はくっつきあっていますが、オシベの花糸は離れていることが分かります。 筒状になった葯からは、2股に分かれたメシベの柱頭が出ています。

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2008年11月18日 (火)

アキグミ

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 アキグミは春に花を咲かせ(こちら)、秋に実をつけます。 時々行く散歩のコースで、実をいっぱいつけたアキグミがありました。 グミの仲間は、根に共生菌類を持っていて空中窒素を固定できるので、たとえ痩せた土地でも、こんなにいっぱい実をつけても大丈夫なようです。
 グミの仲間には、葉にも枝にも果実にも、星状毛や鱗片があります。 多くの場合、星状毛とは、一点からたくさんの枝分かれした毛が出ているのですが、アキグミの星状毛はその枝分かれした毛の間に薄い膜があり、まるで傘のようです。

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   果実の表面の星状毛

 

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   葉の表の星状毛

 

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   葉の裏の星状毛

 下は葉の星状毛を10円玉の表面に落として撮ったものです。

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2008年11月17日 (月)

ヤナギバルイラソウの果実と種子

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 ヤナギバルイラソウはメキシコ原産の園芸植物で、半耐寒性常緑小低木です。 花の写真はこちらに載せていますが、秋になり、たくさんの果実が爆ぜています。 まるでワニが口を開いたようです(上の写真)。
 ワニの口の歯のように見えているのは弾糸で、この弾糸の力によって種子をはじき飛ばします。 このように種子を散布することは、キツネノマゴ科の特徴のひとつです。
 若い果実が残っていました。 若い果実は下の写真のように下を向いています。

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 この若い果実を割ったのが下の写真です。 まだ十分発達していない種子がきれいに並んでいます。

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 下の写真のようなものを見つけました。 中央に移っているのは、最初の写真に写っているのと同じもの、種子です。 葉の裏に硬くくっついています。

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 そこで思い出したのが、なかなかさんのホームページ「花*花・flora」にあった記事、「ヤナギバルイラソウの種子」です。 記事には、ヤナギバルイラソウの種子は水に触れると、水を吸って粘性を発揮すること、この粘性はセルロース性ハイドロコロイドによると考えられること、このしくみがあるおかげで、弾き飛ばされた種子はいろんな場所にくっついて分布を広げるのに役立っているのであろうことなどが書かれてありました。
 私も早速実験してみました。 ヤナギバルイラソウの種子に水を落とすと、すぐに種子からモヤモヤとした毛のようなものが広がってきます(下の写真)。 この毛のようなものは、種子が乾燥しているときには種子の表面にくっついていて、それが水を吸収して膨らんできたようです。 なかなかさんのホームページでは、このモヤモヤの顕微鏡写真が載せられていて、この毛の中につまっていたセルロース性ハイドロコロイドが放出されることで、水に粘性を与えているようです。

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 この水に浸した種子をピンセットで持ち上げ、別の場所に置こうとした時のことです。 下の写真では、粘液の糸で種子とピンセットとがつながっています。 粘性のすごさに驚かされました。

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2008年11月16日 (日)

ウラジロノキ

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 里山の林の中を歩いていると、赤い実がいっぱい落ちていました(上の写真)。 柄のついている反対側にガクやオシベのあと、リンゴなどと同じつくりです(柿やミカンなどは柄の側にガクのあとがあります)。 果実の表面には薄茶色で小さな丸い皮目が点在しています。 これはウラジロノキの実、かじると、すっぱいリンゴに似た味がしました。
 周囲を見渡すと、ありました。 大きなウラジロノキです(下の写真)。 ウラジロノキの名前は葉の裏が白いからなのですが、下から見上げたのでは見えるのは葉の裏ばかり、表と裏の比較はできません (^-^;)

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 でも、改めて落ち葉が敷き詰められた地面を見ると、明らかに葉の裏が他の葉より白っぽい落葉があります(下の写真)。 これがウラジロノキの葉です。

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 多くのウラジロノキの落葉は、葉の表を内側にして丸まっていて、葉の裏側が見えています。
 ウラジロノキは尾根などの乾燥しやすい場所でも生育できる木なのですが、その理由のひとつとして、夏の暑い日など水分不足が心配される状態になると、元気な葉でも葉の表を内側にして丸くなります。 葉の裏が白いのは白毛が密生しているからなのですが、この葉の裏側を太陽に向けることで、水分の蒸散を防ぐとともに、太陽光を反射するしくみなのです。
 高木でこのように葉が光に対して反応する植物は他にはあまりないのですが、このような葉の丸まりやすい性質が落葉時にも現れています。

 ウラジロノキもこれから紅葉が始まります。 11月下旬のウラジロの様子はこちらでどうぞ。

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2008年11月15日 (土)

フォックス・フェイス

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 車で自宅から岩湧山に向かう途中で、フォックス・フェイスをつくっている畑がありました。 生け花の材料などによく使われていて、目にする機会は多いのですが、畑でつくられているのを見るのは初めてでした。
 フォックス・フェイスは、果実の付け根に角のような突起があるところから、ツノナス(角茄子)とも呼ばれています。 この突起は、ガクと互生的に突き出しています。 ということは、オシベの花糸の隙間から突き出すような位置関係になるのですが、どのようなしくみでこのような突起が生じるのか、興味があります。 実の断面も見たい衝動に駆られたのですが、さすがに実をいただいて断面を作るのは憚られましたので、それはまたの機会に花屋さんで購入するなどして確かめたいと思います。
 フォックス・フェイスは熱帯アメリカ原産の低木ですが、耐寒性が無いため、日本では1年草扱いで育てているようです。 傍には花も咲いていて、この花を見ればナス科であることも納得できます。

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 フォックス・フェースは和製英語で、英名は nipple fruit で、突起を乳首に見立てているようです。
 ナス科には有毒植物や薬用植物が多い(毒と薬は紙一重)のですが、このフォックス・フェースの果実も有毒です。 まさかナスのように食べようとする人はいないでしょうが・・・

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2008年11月14日 (金)

紅葉(岩湧山にて)

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 岩湧山で見た植物などの今回のシリーズの最後に、紅葉の様子をいくつか載せておきます。 いろんな木や草が、それぞれの“個性”を出しながら紅葉していました。 でも、これらはほぼ2週間前の様子ですので、今はもっと紅葉も進み、違った植物も紅葉していることでしょう。

 クマイチゴ(花や果実はこちら

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 オカトラノオ(花はこちら

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Okatoranoo081104_2

 

 ヤマウルシ

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2008年11月13日 (木)

ガンクビソウ

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岩湧山の林道脇に咲いていたガンクビソウです。 ガンクビソウは、このような森林の道沿いや倒木跡など、明るい場所に生育する多年草です。 花期は夏から秋、枝先に1つずつ下向きの頭花をつけます。 名前の由来は、この下向きにつく頭花の様子を、煙管(キセル)の雁首(下の)に見立てたものですが、刻みタバコも煙管も身近なところから無くなってしまいました。
 下の写真は頭花(=頭状花序:たくさんの花の集まり)を拡大したものです。 舌状花はありませんし、筒状花の花冠も小さくて目立ちません。 下の頭花では、花粉が押し出されて出てくる雄性期は既に終わり、ちょうど雌性期のさかり、メシベの二又に分かれた柱頭がズラリと並んでいます。

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 雁首(がんくび)とは煙管の先のタバコをつめる部分で、鳥のガンの頭に似ているところからでしょう。 またそこから転じて、私たちの「頭」を乱暴に言う言葉としても使われます。 無能な者ばかりが揃う様子を、「これだけの雁首を揃えながら・・・」などと使います。
 ホームページ「キセルの街だった新潟県・燕市」に、キセルの種類や各部の名称などが載っていますので、リンクを張っておきます。

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2008年11月12日 (水)

ミズタビラコ

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 岩湧山登山道の途中の、いつも水が少し流れているところにミズタビラコが咲いていました。 といっても、ミズタビラコの花期は5~6月。 でも、他に当てはまる植物もないし・・・

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 サソリが尾を持ち上げたように先端で渦を巻いているサソリ状花序はムラサキ科の特徴です。 花冠の喉部に副鱗がある花のつくりはキウリグサとよく似ています。 じつはミズタビラコはキウリグサと同じ Trigonotis属、「Trigonos」はギリシャ語で「三角」、4つの分果が三角錐(=四面体)であることに由来します。 キウリグサも四面体の分果を作りますが、分果のくっつき方が違います。 下の写真のように分果が十字に配列するのはミズタビラコ以外には思い当たりません。

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 11月にミズタビラコらしきものの花が咲いていたということを記録に残しておく意味で、記事にしておきます。

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2008年11月11日 (火)

ベッコウバエ

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 岩湧山の登山道にいたベッコウバエ、獣糞に来ていました。
 ベッコウバエは、黄褐色で翅に黒色紋があり、ハチのような大きさと色のハエです。  多くは林の中で春から秋にかけて見られ、獣糞以外にもクヌギの樹液やキノコなどにも来ています。
 上の写真で、下になっているのがメスで、腹部が黒くなっているのは影ではなく、メスの特徴です。
 この場所では他にも数頭のベッコウバエが来ていたのですが、カメラを向けると逃げてしまい、残ったのは写真の2頭だけ。 何枚か方向を変えて写真を撮っていると、この2頭も逃げ出しましたが、離れようとはせず、すぐて近くにとまりました(下の写真)。

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2008年11月10日 (月)

マムシグサ

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 岩湧山の登山道脇にあったマムシグサ、葉も紅葉しかけです。
 マムシグサの名前は、その茎の模様がマムシの体の模様に似ているからだと言われています。 この時期に鳥に食べられずにちゃんと実が残っているのは、鳥が好まないからのようです。 マムシグサの実にはサポニンを初めとする毒成分が含まれていて、人が食べると舌がしびれ、喉にやけつくような刺激痛がおきるということです。
 でも、鳥に食べてもらわないことには種子散布はできません。 それに春になると赤い実は消えています。 冬の寒さにあたると、実の毒は消えてしまうのでしょうか?

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2008年11月 9日 (日)

センブリ

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岩湧山の茅場の斜面に咲いていたセンブリです。
 センブリはリンドウ科センブリ属の二年草で、北海道から九州までの日当たりの良い草地に自生しています。 草丈はよく育ったものでは30cmを超えますが、岩湧山で見たものは5~15cm程度でした。
 センブリの花は花弁が5枚あるように見えますが、合弁花で、花冠が深く、多くは5裂しています。 でも、下のセンブリでは、花冠が4裂している花が混じっています。

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 センブリの花冠のそれぞれの裂片には、2つずつ蜜腺があります。 このことは同じセンブリ属に分類されているアケボノソウのところで既に記事にしていますが、センブリの蜜腺の周囲には毛が生えていて、王冠のようになっています(下の写真)。

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 センブリは胃に効く生薬(「当薬」)として、よく知られています。 ただし、学名 Swertia japonica が示すように、センブリは日本固有の植物で、漢方薬には使われません。
 センブリの名前は「千回振出してもまだ苦い」ことに由来しています。 岩湧山でセンブリの写真を撮っていると、横を通る人が何をしているのかと覗き込むので、センブリであることを言い、葉を咬んでもらうと、皆さん納得しておられました。
 苦いものが胃に良いと信じている人も多いようです。 でも、センブリの苦味成分が胃に対する薬効を持っているわけではありません。 多分ヨーロッパで胃腸薬に使用していたゲンチアナがたいへん苦いものであったので、それとの類似性による混乱の結果なのでしょう。

 センブリの仲間で、よく似た植物にイヌセンブリがあります。 イヌセンブリに比較してセンブリのほうが葉の幅が狭く、花のガクの幅も狭くて短く、蜜腺の周囲の毛が短いなどの違いがあります。 写真のセンブリは葉だけを見るとイヌセンブリのようにも見えるのですが、生育環境などからしてもセンブリだと思います。 センブリにも変異の幅があるようです。
 センブリやイヌセンブリの仲間に、もう一種、ムラサキセンブリがあります。 下は龍門山の山麓で撮ったムラサキセンブリです。

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2008年11月 8日 (土)

ハバヤマボクチ

 火口(ホクチ)とは、火打ち石などから火を移し取るために用いるもので、木炭やがまの穂なども使われますが、葉の裏に生えている白い綿毛を乾かしても作ります。 ハバヤマボクチ(葉場山火口)の名前は、「山の葉場(草刈場)生える、火口(ホクチ)の材料となるアザミ」の意味で、まさに岩湧山頂の茅場にふさわしいアザミです。
 ハバヤマボクチは、福島県以南の本州・四国・九州に分布する多年草です。 大形の草本で、草丈は高いものではススキの高さを超えていました。
 花茎には葉は少なく、大きな根出葉を広げている(下の写真)のですが、これはススキの茂みの間ですので、うまく撮れません (^-^;

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 花は10月に咲きますので、ほとんどは種子になっていました(下の写真)。 白いクモ毛(クモの巣状の毛)に包まれた総苞片は硬く、触ると痛いものです。

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 でも、1つだけ咲いている頭花を見つけました(下の写真)。 茎は元々枯れたような色をしていますし、濃い花の色ですので、枯れているようにも見えますが、これで花の盛りです。 雄性先熟の花で、中央部の小花はまだツボミ、周辺に向かうにつれて、白く写っているのは花粉で、花粉を出している時期が雄性期、周辺部の雌性期の小花はメシベを伸ばし、二又になった柱頭が長く伸びています。

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 岩湧山のホクチアザミも、人が維持管理している茅場で生きる、換言すれば間接的に人に生活の場を提供されている植物で、その植物の花が私たちを楽しませてくれ、風媒花であるススキに代わって虫たちに食料を提供してくれている花ということになります。

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2008年11月 7日 (金)

岩湧山頂の茅場

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(上の写真はクリックして画面を広げていただくと、1024×680でご覧いただけます)

 なんだか風に揺れる銀波を見たくなって、岩湧山に登ってきました。 岩湧山は大阪府の南部、和泉山脈が大阪府側に枝が出たように突き出しているところにあります。
 自宅から麓の岩湧寺まで車で半時間、そこから山頂まで1時間半かけてキョロキョロしながらのゆっくりした登山です。
 岩湧山の山頂付近約8haは一面のススキで、茅(カヤ)場になっています。 ススキの間には、ハバヤマボクチセンブリ、リンドウ、アキノキリンソウ、マルバハギ、シラヤマギクなどの植物の姿も見えます。
 茅葺の民家が急速に減り、茅の需要が減って茅場が放置され、次々と無くなっているなかで、岩湧山の茅場は山麓の滝畑地区の人々の努力で守り続けられており、地元の名刹・光滝寺の屋根葺き替えなどに使われているようです。
 山頂付近で育つカヤは、茎の中の空洞が少なく、葺き替え作業で変形せずに強いということです。

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 「茅(カヤ)」という言葉は、ススキの別名としても使われますし、チガヤなどいろんなイネ科植物の総称としても使われます。
 茅葺屋根も、用いる材料によって、藁葺(わらぶき)屋根、草葺屋根などと区別して言う場合もあります。

※ ススキの小穂の様子はこちらでどうぞ。

※ 岩湧山の茅場に関して、このブログには次のような内容も載せています。
 9月初旬のススキの穂の出る頃の様子
 山焼きで元気になったオオナンバンギセル

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2008年11月 6日 (木)

ササキリ

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 朝晩は冷え込むようになりましたが、まだササキリがいました('08.11.2.「堺自然ふれあいの森」にて撮影)。
 ササキリは体長約2cm、翅の両側と後脚の膝の黒色が目立ちます。
 そして下は幼虫です。 幼虫は親にも増して黒っぽい色をしています。 今年の7月21日の撮影です。 上の撮影場所とほとんど同じところで撮りました。 長い触角を全部画面に入れようとしたら、体が小さくしか写らなくなってしまいました (^-^;

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※ ササキリに近いホシササキリについては、こちらに載せています。

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2008年11月 5日 (水)

フユノハナワラビ

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 フユノハナワラビがたくさん生えている場所がありました。
 フユノハナワラビは、シダ植物です。 多くのシダ植物では葉の裏に胞子嚢(胞子が入っている袋)をつけます。 つまり、葉の表で光合成を行い、葉の裏で生殖活動を行っているわけですが、フユノハナワラビでは栄養葉(光合成をするための葉)と胞子葉(生殖用の葉)とが、きれいに分かれています。 この時期になると、金色に輝くたくさんの胞子嚢をつけた胞子葉が高く伸びてきます。 「ハナワラビ」の名前は、この胞子葉を花に見立てた名前ですが、この様子がおもしろく美しいので、鉢で育てている山草愛好家もたくさんいらっしゃいます。
 栄養葉は夏の終わりごろから葉を広げて光合成を始めますが、写真のようにそんなに高く葉を持ち上げませんので、背の高い草がたくさん生えていると、光合成が十分できず、育つことができません。 写真を撮った場所は、段々畑の畦で、乾燥気味で草があまり生えないうえに、丁寧に草刈りが行われている場所です。
 もうひとつ、フユノハナワラビがよく見られる場所であるための条件、それは人があまり通らないことです。 よく人が通るような場所では、写真のような胞子葉は、すぐに踏まれて折れてしまいます。 特に下の写真のように胞子葉が若いうちは緑色で、気づきにくいものです。
 このフユノハナワラビも、このように人が作った環境で人のあまり通らない場所という、人との微妙な関係のなかで生きているのです。

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2008年11月 4日 (火)

ナナホシテントウ一家の大活躍

 下はアメリカイヌホオズキにつくアブラムシです。 大きさの異なる個体が混ざっていますが、これは次々と胎生の子供が生まれている証拠です。

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 こういう場所には・・・ やはりいました、ナナホシテントウです(下の写真)。 ナナホシテントウはアブラムシが大好物です。

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 成虫だけではありません。 ナナホシテントウの幼虫もあちこちに見られました。 元気に動き回ります。 ナナホシテントウは幼虫もアブラムシを食べて育ちます。

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 ナナホシテントウの成虫や幼虫の傍にはアブラムシはほとんど見られません。

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 上の写真の幼虫は、アブラムシを咥えています。 下はその部分の拡大です。

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2008年11月 3日 (月)

アメリカイヌホオズキ

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 イヌホオズキの仲間は、イヌホオズキ、アメリカイヌホオズキ、テリミノイヌホオズキ、カンザシイヌホオズキ、オオイヌホオズキなどがあって、いつかきちんと調べたいと思いつつ、そのままになっています。 写真はアメリカイヌホオズキだと思います(確信はありません)が・・・。
 下の写真、花の陰に黒く小さな集団が・・・ アブラムシの仲間のようです。

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 アブラムシとくれば・・・ この続きは明日に。

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FLO:Qをはずしました

 この春にPCのOSをXPからVistaに変更したところ、サイドバーに設置してある「サイト内検索」とカレンダーがうまく機能しなくなりました。 これらはなおゆきさんのブログ「爆想」からいただいたブログパーツで、機能しなくなって私自身が不便を感じていたのですが、サイドバーに設置していた「FLO:Q」をはずすと正常に機能することが分かりましたので、原因が分かるまではずすことにしました。
 「FLO:Q」で楽しんでいただいていた方には申し訳ありませんが、ご了承ください。

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2008年11月 2日 (日)

Leucadendron②

 この記事は昨日の続きです。 最初にこの記事を目にされた方は、昨日の記事からお読みください。

 断面を作っているうちに、どんどん“マッチ棒の頭”が花粉まみれに変化していきます。 断面を作るために触れたり乾燥していくためでしょう。
 下は断面の一部の拡大です。 “マッチ棒”の根元には白い毛が密生していて、その毛に守られるように子房らしきものが並んでいます。 そして、このように拡大すると、“マッチ棒”に2種類あるのが分かります。 “マッチ棒の軸”が太いものと細いものがあります。 花粉がついている方は“マッチ棒の軸”が細く、その“軸”の周辺がゴチャゴチャしていて、“マッチ棒の頭”の大きさも、一回り小さいようです。

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 この2種類の“マッチ棒”の関係を推測し、その証拠となる状態を撮ろうと探すと・・・ ありました。 それが下の写真です。

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 上の写真、「1」は太い“マッチ棒”ですが、裂け目が入っています。 この裂け目から裂けてできた4個の裂片が「3」、4個の「3」に囲まれて、その中心にあったのが「2」です。 「2」に寄り添っている2つの「3」は、その後ろにある“太いマッチ棒”が邪魔をしていて反り返れないのでしょう。
 「2」は、花の中心部にあったのですから、メシベの柱頭でしょう。
 反り返っている2つの「3」を見ると、2種類のものが重なっています。 内側にあったものは花粉を出しているので、オシベでしょう。 ですから、その外側にあるのは花弁かガクということになりますが、これは「1」のような状態の時にはずっと外側にあって内部を守っていたわけですから、ガクと考えるべきでしょう。 それに、もしも花弁なら、多くの場合はオシベと互生するはずです。 つまりこの花では、花弁は退化して無くなっているのでしょう。
 下に1つの花を取り出したものを載せておきます。

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 さて、花のつくりが分かったところで、この花の名前です。 このような花のつくりは、ヤマモガシ科のものです。 でも、本でもネットでもヤマモガシ科をいろいろ調べたのですが、分かりませんでした。 似た形態のものとして、Leucadendron属の植物があるのですが、この属は雌雄異株だと書かれています。 上で書いたとおり、この花は立派な柱頭を持っていますし、花粉もたくさん出しています。
 写真などから見ると、ルーカデンドロン・ガンダースノーやルーカデンドロン・ディスカラーなどが近いように見えるのですが、上に書いた理由でルーカデンドロン(またはレウカデンドロン)かどうかも疑問です。 この仲間は園芸的に注目され、かけあわせによって多くの園芸品種も作られているようですので、とりあえずこの記事のタイトルは「Leucadendron」としておきました。 
 種名がわからないのは残念ですが、ヤマモガシ科の花のつくりの面白さはお伝えできたでしょうか?

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2008年11月 1日 (土)

Leucadendron①

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 花屋さんの切花セットの中に、上のような花がありました。 黄色い花弁のようなものに囲まれて、マッチ棒の頭のようなものがぎっしり並んでいます。 わけのわからない花を見ると、そのつくりを調べてみたくなるのが、自称「花の解剖マニア」の私です。
 まず、花弁のようなものは、葉から連続していて色が違うだけなので、これは苞だと分かります。 では、ガクは? 花弁は? オシベは? メシベは? “マッチ棒の頭”は、いったい何?
 “マッチ棒の頭”をよく見ると、下の方で少し様子が違っていて、花粉まみれになっているようです(下の写真)。 “マッチ棒の頭”はオシベ? でも割れ目のはいっている“マッチ棒の頭”もあります。

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 訳が分からないので、断面を作ってみることにしました。 そして、断面を作りはじめてすぐに確信しました。 これは1つの花ではない!
 断面を作ろうとナイフを入れ始めましたが、とても硬いのです。 木片を切っているようで、ナイフでは刃が立ちません。 花がこんなに硬いはずは無く、きっと枝の周辺にたくさんの花がついている構造に違いありません。
 ナイフを大型のキッチンバサミに持ち替えて、ようやく作った断面が、下の写真です。 酸化されやすいのか、作ったばかりの断面は緑色をしているのですが、すぐに褐色になってしまいました。

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 この写真から、どんなことが読み取れるでしょうか。 “マッチ棒”の正体は? この続きは明日の記事で・・・

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