あちこちの家の庭などでツワブキが美しく咲いています。
厚い光沢のある葉は1年を通して楽しめます。 ツワブキの名は、葉に艶のある蕗、つまり「艶葉蕗(ツヤバブキ)」が転じたとされています。 でも、やはり花が咲き競うと、周囲が明るくなった気がします。
ツワブキは海岸の崖などに自生しています。 そのような場所では潮風に晒されて乾燥しやすく、葉の厚さも光沢も、乾燥に対する防衛手段なのでしょう。
ツワブキの頭花は大きいので、キク科の花のつくりを見るにはいい材料です。 ツワブキの頭花(頭状花序)は、周辺部の舌状花と中心部の筒状花からなります。
上の写真、筒状花はほとんどまだツボミで、左下の1つだけ咲いているのですが、咲いたために上に伸び、カメラに近づいてピントがぼけています。 舌状花はみんな咲いていて、メシベを出しています。 キク科のメシベの柱頭は、通常は2裂するのですが、写真では3裂のものが混じっています。 野生のツワブキでも、所詮舌状花は飾りということで、柱頭が2裂のものと3裂のものが混ざるのか、それともこのツワブキは園芸的に改良されているので生殖的にはいい加減になっているのか、野生のツワブキで確かめる必要がありそうです。
下の写真は、上よりも少し時間が経過した状態で、筒状花も咲き出しています。 2つの頭花が写っていますが、まだ咲いている小花の少ない下の頭花の方が分かりやすいでしょう。 ①は雄性期で花粉を出しています。 ②は雌性期で、2裂した柱頭が見られます。
この花の筒状花では、周辺部から中心部に向かって順々にきれいに開花するようにはなっていないようです。 これも栽培されているものだからなのか、野生のものでもそうなのか、確かめてみたいものです。
③について:(次からの3つの段落は、11月20日に追記したものです)
撮った写真をPCで見ていて、③の存在に気づきました。 周囲のツボミより大きなツボミ状のものがメシベのようなものを出しているのだと思い、何かわけの分からない不思議なものがあると記事に書いたところ、なかなかさんから、これは筒状花の花弁が開く前の蕾がふくらんだ状態ではないか、ツワブキでは花が開く前にツボミは膨らんで、写真のように少し飛び出すのだ、というコメントをいただきました(コメント欄参照)。
そこで再度写真をよく見ると・・・ 右の写真は、上の③の部分の拡大ですが、この膨らみから出ているように見えた“メシベのようなもの”は、その後ろの舌状花のメシベの柱頭で、偶然にみごとに重なって写っただけのようです。 上の写真に写っている2つの頭花のうちの上の頭花にも③の状態は写っており、ここには“メシベのようなもの”は写っていません。 この段階で気づくべきでしたが、先入観念とは恐ろしいものですね。
コメントをいただいたなかなかさんに感謝するとともに、すぐに多くの人から反応をいただけるブログという情報伝達のしくみにも感謝です。
下の写真は、上の写真の①とほぼ同じ状態の小花です。 オシベの葯がくっつきあって筒状になり、その筒状の内側に出された花粉が、めしべが伸びてくるにしたがって押し出されてきています。
下の写真では、オシベの葯はくっつきあっていますが、オシベの花糸は離れていることが分かります。 筒状になった葯からは、2股に分かれたメシベの柱頭が出ています。
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