アケボノソウ
アケボノソウは、葉は3脈が目立ち対生、多くの枝を分け、その先に白っぽい花をつけます。 金剛山の沢沿いでも見ることができますが、このページの写真は六甲高山植物園での撮影です。
花を拡大すると(下の写真)、花弁には黄緑色のやや大きな丸い斑点が2個と、たくさんの緑紫色の小さい斑点があります。 アケボノソウの名前は、この様子を明けの空の星に見たてたところからと言われています。
上の写真、花弁の丸い斑点にアリが来ています。 この斑点は蜜腺です。 花弁に蜜腺がある植物は珍しいでしょう。
しかし上の写真では、この蜜腺は花粉媒介に役立っているようには見えません。 アケボノソウの花粉媒介については、こちらで考察しています。
アケボノソウはリンドウ科のセンブリ属に分類されています。 鋸歯がなく対生する葉や大きなメシベを見ると、なるほどリンドウの仲間というのが納得できます。 でも、リンドウは合弁花、写真の花は離弁花・・・ではありません。 花冠がほとんど基部まで深裂していて花弁同士が連なっているところはオシベで隠されていますが、やはり合弁花です。
上でアケボノソウはセンブリの仲間だと書きました。 じつはセンブリも花冠の裂片それぞれに2つずつ蜜腺があるのですが、もっと花冠の基部近くですし、その周囲に長毛が生えているので気がつきにくいつくりになっています。
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コメント
ペタッとハンコで捺したような黄緑色の蜜腺
ネバッとしているのでしょうか?
サラッとしているのでしょうか?
ネバッとしていたらアリの足がくっついて離れにくくなったりするのでは?とか、
サラッとしていると、蜜がすぐに蒸発してしまうんじゃない?とか
勝手におせっかいなこと考えてます。
投稿: わんちゃん | 2008年10月12日 (日) 12時59分
蜜はそんなには出ていないようです。
ところで、蜜は水分が飛んで濃くなることはあっても、蒸発して無くなることはありませんからね。
投稿: そよかぜ | 2008年10月12日 (日) 22時00分
こんなところに蜜腺があって、受粉に役立ってくれるんでしょうか?蜜の盗られ損っていうことはないんでしょうか?
投稿: タロ | 2008年10月13日 (月) 01時12分
私も気になっている点ですが、頻繁に観察できる場所に無いので、なかなか解決できずにいます。
可能性として考えているのは、
① アリではダメですが、ハエなどもよく来ていますので、オシベもメシベも止まり木的役割をしていて、これでちゃんと受粉できている。
② めしべの根元にある受粉に役立つ大切な蜜を、受粉に役立たない虫たちに取られないように、これらの虫たちを遠ざけるための蜜腺を、花弁の中央に別に用意した。
ただし、メシベの根元にも蜜腺があるのかどうかは確認できていません。少なくとも肉眼的には無さそうです。
③ 花外蜜腺と同じ理由で、アリに来てもらうことで花を守ろうとしている。
もちろんそれ以外の蜜腺の存在意義があるのかもしれません。
投稿: そよかぜ | 2008年10月13日 (月) 08時01分