キバナアキギリ
キリの花に似たアキギリ(下の)、そのアキギリに似て黄色い花を咲かせるシソ科の植物が、キバナアキギリです。 花の盛りは過ぎていましたが、六甲高山植物園の林床で咲いていました。
花を拡大してみると(下の写真)、赤いメシベの柱頭と、同じく赤い2つの葯が目立ちます。 メシベの柱頭は大きく開いていますが、オシベの葯は花粉を出している様子がありません。
じつはオシベは4本あり、2本ずつがくっつきあっていて、そのうちの片方は花粉を出しません。 写真に写っている2つの葯は、この花粉を出さない方の葯です。 この花粉を出さないオシベと花糸どうしがくっついている他方の葯、つまり花粉を出す葯は花冠の上唇に隠されています。 昆虫が蜜を求めて花の中に入って来ると、この花粉を出さない葯を押し上げるかたちになり、それと連動している花粉を出す葯がテコの原理で昆虫の背中に降りてきて、花粉をつけるというしくみになっています。
でも、花の断面を作ってこのしくみを写真に撮るには、すぐ側で作業をしておられる植物園の人の横ではちょっと・・・ それに花の写真も柵から身を乗り出してやっと撮ったもの。 花の断面の写真を載せるのは、またの機会に。
キバナアキギリの学名は Salvia nipponica 、「日本のサルビア」です。 Salvia属の花は、ガクの雰囲気が互いによく似ています。
Salvia属はシソ科に分類されます。 シソ科の特徴としては、茎の断面が四角形、メシベの柱頭が2つに裂けている、全体に香りがある植物が多い、ほとんどがくちびる形の花をつける、対生の葉が多いなど、いろいろありますが、何と言っても大切なのは子孫を作る、つまり種子を作る子房の様子です。 シソ科の子房は深い溝で4つに分けられ(「4分果」と言います)、そのそれぞれの中で1つずつ種子が作られるという特徴があります。 ただし、4つの分果とも種子が作られるとは限りません。
キバナアキギリの子房は比較的大きく、観察に適しています。 下は、ガクの中で、4分果ともきれいに揃って大きくなりだしている子房の様子です。 4つの分果に囲まれた中央にある黒い点は、花柱がついていた場所です。
下はアキギリ、9月7日に金剛山で撮影したものです。
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コメント
このお花の模型を手作りしてみて
ちっちゃな虫ちゃんを模型の中に潜り込ませたらどうかしら?
>テコの原理で・・・
を見てみたいですね
でも、ホンモノの花粉も蜜もなければ、虫ちゃんも迷惑がって・・・・・
やっぱり、お花の断面が必要かも??
投稿: わんちゃん | 2008年10月 7日 (火) 23時12分
じつは大阪市立自然史博物館の展示室にこの模型があります(今もあるかな?)。
大きな模型のキバナアキギリの花の中に、大きな模型のハナバチが電気仕掛けで入っていきます。
投稿: そよかぜ | 2008年10月 8日 (水) 06時58分
そ・それって、ど・何処にあるんですか?
えぇ~~ハナバチも模型ですって??
スッゴイ!!
調べてみる価値アリですね・・・・・
投稿: わんちゃん | 2008年10月 8日 (水) 13時27分
自然史博物館の常設展示場にあります。
ボタンを押すと数十cmのハナバチの模型がキバナアキギリの中に入って行き、ハナバチの体でオシベが動かされます。
投稿: そよかぜ | 2008年10月 9日 (木) 06時58分