インパチェンス(雄性先熟の花)
この記事は昨日からの続きです。
インパチェンス(アフリカホウセンカ)の花は雄性先熟なのですが、そのオシベとメシベの交代の様子がおもしろいものです。 日本のツリフネソウなどでも同様のことが起こっているのですが、ツリフネソウよりも観察が容易( 姿勢を低くして花の中を除きこまなくてもいい )なインパチェンスで、その花のつくりを見ていくことにします。
白い花の方が影ができやすく立体的に理解しやすいので、まずは白い花で・・・
下は咲いて間もない花の中心部です。 モコモコのフードを被ったような下に花粉が出されています。 このように5本のオシベの葯は癒合して集葯雄ずいとなっています。 メシベはこれらのオシベに覆われていて、全く姿が見えません。 蜜を狙って虫がオシベの下に開いている空間に入ってくると、花粉がその虫の背中につくことになります。
時を経て花粉を出し終わると、この癒合していたオシベはポロリと落ちて、メシベがその姿を見せます。 下の写真は、少しピントが甘くなってしまいましたが、メシベの右に、脱ぎ捨てられた集葯雄ずいが転がっています。
下はこのメシベを正面から見たところ。 柱頭は花粉がくっつきやすくなるように湿っています。
下の赤いインパチェンスの花は、メシベの先から粘液が垂れ下がっています。 蜜は長い距の中に入っているはずですから、これは蜜ではないでしょう。 こんなに粘液を出しては出しすぎではないでしょうか。 でも、こんな花が多いのです。
※ なかなかさんのブログには、ハガクレツリフネでの上記の変化が載せられています。
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コメント
このお花も複雑なんですね。何回も読み返しているのになかなか理解できません。ここのこういうとこだけでも…と、いうところ教えて下さい。え~っとこの花の蜜を採集する虫は花に潜るのですか?
投稿: わんちゃん | 2008年10月30日 (木) 15時31分
ドキッ! 核心を突いた鋭い質問!
今回の記事はオシベがついている状態と取れた状態で様子がまったく違って見えるところから、オシベやメシベがどうなっているのか、調べて記事にしたもので、私もどんな生物が花粉を媒介するのか、非常に興味があります。
この細~く長~い距の蜜を吸うのはどんな生物なのか?
この答を困難にしている理由としては、①日本に自生していないインパチェンスの花粉を媒介する生物は日本にいるとは限らないですし、②園芸的に改良を加えられていて自生の状態とは違っているかもしれませんし、最大の問題は③自宅で育てていないので十分観察できないことです。
参考になることとしては、インパチェンスはそのままではあまり種子ができない(①と関係?)ので、種子を採るときは人工授粉しているということを聞いたことがあります。また花弁が3枚ですので、花弁間の隙間は見かけよりも広がります。
投稿: そよかぜ | 2008年10月31日 (金) 00時03分
初めまして。
カメムシの事検索しててこちらの毎フォトへへたどり着きました。またゆっくり見せてもらおうとお気に入りにも登録させてもらいました。
インパチェンスに対してのコメントでなくてすみません。
投稿: フレデリカ | 2008年10月31日 (金) 02時32分
スゴク詳しく教えていただきありがとうございます。少~し解りかけてきてます。名前も聞いたことがあるしご近所さんのお庭でみたこともあると思うのですが結構謎めいてますね
投稿: わんちゃん | 2008年10月31日 (金) 07時05分
フレデリカさん、こんにちは
私もお気に入りに登録してハワイの自然を楽しませていただきます。
投稿: そよかぜ | 2008年10月31日 (金) 07時07分