ヒガンバナ①
自宅から直線距離にして2kmほどの所に、ヒガンバナの美しい小規模の棚田があります。 毎年ヒガンバナの花茎が出てくる直前に草刈りをしていただいているようで、ヒガンバナの花が咲き揃うと、畦道が赤く染まります。
ヒガンバナは中国か朝鮮半島から持ち込まれた帰化植物と考えられていますが、ヒガンバナが畦道に多いのには、訳があります。 ヒガンバナは鱗茎にアルカロイド(リコリン)を多く含む有毒植物ですが、昔の農家はこの毒を利用しようとしたと考えられます。 稲を育てる時に、モグラなどによって畦に穴を開けられると水が流出してしまいます。 そのために有毒であるヒガンバナをあえて持ち込み、あぜや土手をモグラなどの小動物から守ろうとしたと考えられます。
もうひとつの理由として、救荒食として増やされたとも考えられます。 ヒガンバナの毒は長時間水に晒せば無くすことが可能ですし、鱗茎にはデンプンがたくさん含まれています。 救飢植物としては第二次世界大戦中にも利用されたようです。 ただし、水に晒す時間が不足したりすると中毒になりますので、軽々に試食することは勧められません。
私が幼かった頃、ヒガンバナを庭に植え、「そんな縁起の悪いものを!」と、しかられたことがありました。
ヒガンバナは死人花(しびとばな)などともよばれ、不吉であると忌み嫌われてきました。 これは花の時期には葉が見当たらず、不思議な植物として気味悪がられたこともあるかもしれませんが、昔はヒガンバナが墓地に多く見られたことによるのでしょう。 でも、これも上記と同じ理由によると考えられます。 つまり、土葬であった時代には、死体が動物によって掘り荒されるのを防ぐためや虫除けのために、人の手によって植えられたのだと思われます。
しかし、ヒガンバナの美しい花は、そのような風習を持たない欧米を中心に、園芸的に改良が進みました。 そして、黄色や白い花弁をもつものも作られ、学名のリコリス(Lycoris)という名で出回っています(下の写真)。 リコリスは庭にも植えられています。 リコリスの普及とともに、ヒガンバナの美しさが素直に見直されつつあるように思います。
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コメント
曼珠沙華、素敵なショットですね~。
毎年この時期には会いに行く花です。庭には白い曼珠沙華があります。
あまりに見事な赤なので、自分の中に蓄積した毒気がすべて抜けるような気がしてすっとします。
花の終りが打って変わって醜い姿になるところまで含めて好きな花です。
投稿: ひとえ | 2008年9月25日 (木) 10時29分
どれも好きですが、
特に真ん中のがいっそう好きです。
葉のあるときには花はなく、花のときには葉がない。
このことから 、韓国では「サンチョ(相思華)」と呼ぶそうです。
花と葉が同時に見られることがないため、お互いに想いあうことからそう呼ばれているそうです ...
「花は葉を思い、葉は花を思う」という、なんとロマンチックやないですか・・・・
ウチの庭の彼岸花、紅白揃い踏み・・・
大人になって植えることができたんですよ
投稿: わんちゃん | 2008年9月25日 (木) 11時31分
お二人とも庭に白いリコリス、いいですね。
そしておふたりとも写真をほめていただいてありがとうございます。
1枚目の写真について、撮影者の思いを・・・
この写真は、一見平凡な写真ですが、農作業をしている人の位置と姿、車もアクセントになっていて、木の位置なども含め、構図的には整った写真だと思っています。
ただ、整いすぎていておもしろくないかな? コンピュータの小さな画面ではなく、大きく引き伸ばして壁に飾るような写真かもしれませんね。
投稿: そよかぜ | 2008年9月26日 (金) 06時41分