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2008年8月14日 (木)

キキョウの花(自家受粉を避けるしくみ)

 有性生殖は他の個体と遺伝子を混合し、様々な形質の子孫を作ることに意義があります。 植物は工夫を凝らして自家受粉(花粉を同じ花のメシベで受粉する)を避けようとしています。 そのことをキキョウの花の場合で見ていくことにします。
 下の写真には、キキョウの花のツボミ(中央上と右下)から花の終わった後(中央上)まで、様々な段階の花が写っています。 開いている花は3輪ですが、メシベとオシベの様子は全部違っています( 右下の花は花弁の数まで違っています(奇形)が・・・)。 これは自家受粉を避けるために複雑なことを行っているためなのですが、どのような順番で変化しているのでしょうか?

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① 咲いたばかりの花では、メシベの花柱にオシベの葯が押し付けられています(下の写真)。 この時既に花粉は出されているのですが、その花粉はメシベの花柱にくっつけるように出されます。

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② 花粉を出し終わったオシベはメシベから離れます。 メシベの花柱には花粉がいっぱい付いています(下の写真)。 この花粉の付いている部分では、メシベは受粉できません。

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③ 蜜はメシベの根元にあります。 この部分ではオシベの付け根が膨らみ、縁には毛が生えていて、蜜のある場所を保護しています(下の写真)。
 メシベの花柱は丈夫にできています。 虫が②の状態の花の、突き出たメシベの花柱の先端(そういう場所がとまりやすい)に着地し、スルスルと花柱を伝って蜜のありかに近づこうとしたり、花柱につかまって口を伸ばそうとすれば、虫の体は花粉まみれになるでしょう。

Kikyou080809_4

④ さて、今度は花粉を受ける番です。 この時になってはじめてメシベの先端にある柱頭が開き、受粉できる場所が表に表れます。 柱頭の表面には短い毛がビッシリと生えていて、花粉を受け止めやすくなっています(下の写真)。 他の花の花粉を体につけた虫が柱頭にとまれば、めでたく受粉できることになります。

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 このページの写真は全て六甲高山植物園で撮ったものです。 キキョウはあちこちで栽培されていて、わざわざ高山植物園にまで行って撮る花ではないでしょうが、いろんな段階の花が揃っていたもので・・・・

※ 同じような自家受粉を避ける仕組みは他の花でも見られますが、リンドウの場合をこちらで紹介しています。

【 メモ 】 「キキョウ」の語源について
 キキョウを漢字で書くと「桔梗」ですが、「桔」も「梗」も、普段はあまり使わない漢字です(「脳梗塞」くらいかな)。 「桔梗」の読みを聞かれて答えられない人もいるでしょう。
 じつは「キキョウ」は漢名の「桔梗」の読み「キチコウ(キチカウ)」から変化したものとされています。 キキョウの根は薬草として用いられていて、「桔梗」は乾燥した根が硬いところからです。

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コメント

ウチの庭のキキョウをさっそくチェック×2
最後の写真と同じでした、どれも・・・

身近なお花で、こんなことに気づくと、
このキキョウの花の見方も変わってくるかも?
見るキキョウ、見るキキョウ
どうかな?・・・・・

投稿: わんちゃん | 2008年8月14日 (木) 22時37分

お盆です。

 帰郷の庭に 朝顔の花 咲くを見る

というのはいかがでしょうか。

万葉集で詠まれている「朝顔」はキキョウだと考えられています。

 朝顔は 朝露負ひて 咲くといへど
 夕影にこそ 咲きまさりけり
     (万葉集巻10-2104)

上の歌では夕方にも咲いていますし、現代のアサガオは平安時代に薬草として入ったものです。

キキョウの膨らんだツボミの中には思い出がいっぱい、かな?

投稿: そよかぜ | 2008年8月14日 (木) 23時25分


桔梗を帰郷とかけてその心は?
桔梗を朝顔と見る、ふるさとの庭に・・・・

その蕾、思い出を一つづつじわ~~っとだすがごとく開くのでしょうか?
それとも、イッキだしのようにポ~~ンと開くのでしょうか?

投稿: わんちゃん | 2008年8月15日 (金) 15時54分

> その蕾、思い出を一つづつじわ~~っとだすがごとく開くのでしょうか?
> それとも、イッキだしのようにポ~~ンと開くのでしょうか?

以前に、ハスの花が開くときの音はするのか、しないのか、記事にしたことを思い出しました。
キキョウの花開く瞬間の様子は・・・
庭にキキョウを植えてあるわんちゃんにお任せします。

投稿: そよかぜ | 2008年8月15日 (金) 23時48分

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