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2008年8月31日 (日)

キンケハラナガツチバチ?

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 キンケハラナガツチバチと思われる蜂(少し自信が無いので、タイトルも「?」付きです)がミントの花に来ていました。
 このブログの'07年9月7日でキオビツチバチについて書きましたが、ツチバチの仲間は、コガネムシなどの幼虫に卵を産みつけて寄生します。 どのようにして地表から地中にいるコガネムシの幼虫を見つけるのか不思議ですが、見つけたら土を掘り進み、幼虫に針を刺して麻痺させ、卵を生み付けます。
 でもこの日のキンケハラナガツチバチ?は自分の食事に夢中。 ミントの花をなかなか離れようとしませんでした。 このような姿を見ていると、とても穴掘りが得意なハチとは思えないのですが・・・

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 タイトルに「?」を付けましたが、キンケハラナガツチバチにはよく似た仲間が何種類かいます。 いずれもオスの触角は長く、前翅長の3分の2ぐらいあり、写真の個体はメスでしょう。
 オオハラナガツチバチでは、メスの腹部の白毛帯は3本で、幅も細くなっています。  ヒメハラナガツチバチは、名前のとおり、もっと小型です。 また、ハラナガツチバチの腹部は、全体にもっと光沢があるように思うのですが・・・。

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2008年8月30日 (土)

コナギ

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 雨の水田横の溝にコナギがたくさん茂っていました。 コナギは雨によく似合う・・・といっても、梅雨の話ではありません。
 コナギは1年草で、種子から発芽した株は夏の暑さで急に成長する水田雑草の一種です。 そして秋に花を咲かせるのですが、そのコナギの花が咲きだしています(写真の撮影は8月23日)。
 コナギが水田雑草である理由のひとつは、発芽に際して酸素を好まない植物だからです。 水田のように水に覆われた土ではよく発芽するのですが、空気中から酸素を十分取り込むことのできる畑などでは、ほとんど発芽がみられません。
 コナギはミズアオイと同じ属で、ホテイアオイとも近縁です。 コナギ(小菜葱または小水葱)の名前も、ミズアオイの古名である水葱(ナギ)からきているのですが、ミズアオイのほうはたいへん少なくなってしまいました。

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 さて、そのコナギの花ですが、単子葉植物の多くの花のつくりと同じく、基本数は3。 上の写真では、晴れていなかったので花は大きく開いていませんが、オシベとブラシ状になった柱頭を持つメシベを取り囲むように、3枚の内花被と、その外側に背側が緑色を帯びた3枚の外花被が写っています。 特に変わった特徴を持った花とは思えませんが・・・
 花被片を取り除いてみると、この花の変わった特徴が見えてきます。 6本のオシベのうちの1本だけが特大です(下の写真)。

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 花被片を取り除く作業の時にたくさんの花粉を落としてしまったのですが、この黒ずんだ特大のオシベの先端からは盛んに花粉が出されていて、すぐ横にあるメシベの柱頭にたくさんの花粉がついていました。 長田武正著「検索入門野草図鑑②」には、この大きなオシベはツボミの中で既に花粉を出している、とあります。
 コナギは1年草で、次の年に向けてたくさんの種子を作らねばなりませんし、小さな花ですので飛翔力のある大きな昆虫に花粉媒介をしてもらうことも期待薄、周囲は水ですからアリなどに来てもらうことも期待できず、同花受粉の方向に進化したのでしょうが、これだけの花を咲かせるのに他花受粉にはあまり期待をかけていないようです。 個々のコナギの花の咲いている時間も、たいへん短くなっています。
 下の写真は、花被片を取り除いた花を別の角度から撮ったものです。 特大オシベの花糸は幅広く平たくなっていますが、そこから大きな「つの」が出ています。 この「つの」は機能的に何かに役立っているのでしょうか。 それとも目立たないところで着飾る“自己満足的装飾”なのでしょうか。

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 近年、北アメリカ原産のアメリカコナギが帰化しています。 この植物についてはこちらでどうぞ。

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2008年8月29日 (金)

キボシカミキリ

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 近所のイチジクの木にキボシカミキリの雌雄がいました(8月23日撮影)。 後ろが雄で、雄の方が少し小さいようです。
 いた場所の周囲の枝には、たくさんの食み跡があります。 幼虫もクワやイチジクなどの生木の中で生活しますので、産卵もこの木でするつもりかもしれません。
  ※ イチジクもクワ科です。
 キボシカミキリは、黄色い斑紋と長い触角が特徴ですが、体の色や斑紋の様子は住んでいる場所によって違ってくることが知られています。

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2008年8月28日 (木)

コマクサ・ニッコウキスゲ

 8月10日から六甲高山植物園や神戸市立森林植物園で見た植物や虫たちを載せ始めましたが、今回で18回目になってしまいました。 この間、季節も確実に進んで来ています。 まだまだ載せたい植物などが残っているのですが、そろそろこのあたりで、いったん植物園を離れ、家の近所に戻りたいと思います。
 今回のシリーズの締めくくりとして、コマクサとニッコウキスゲを載せておきます。 これらはあまりにも有名な植物ですので、解説は省略し、かわりに写真で少し遊んでみました。

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 8月11日にも書いたように、今回は私、わんちゃん、Oさんの3人で出かけましたが、わんちゃんのブログでも、私が載せなかった植物も含め、六甲高山植物園や神戸市立森林植物園の植物などが紹介されていますので、下からリンクを張っておきます。
 折々の花~六甲高山植物園~
 折々の花~六甲高山植物園PARTⅡ~
 折々の花~六甲にて最終章~

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2008年8月27日 (水)

クワカミキリ

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 神戸市立森林植物園のクワの木にクワカミキリが数頭。 撮るに手頃な場所にいなくて、枝を手繰り寄せようとすると落下してしまいます。 仕方が無いので一頭だけ持ち帰り、庭の木にとまらせて撮ったのが、上下2枚の写真です。
 クワカミキリは、クワやイチジクなどの害虫として知られていますが、ポプラやヤナギ類、ミカン類など多くの樹木に被害を与えています。

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 体の地色は黒で、灰黄褐色に見えるのは細かい毛の色です。 触角が白と黒が交互の“線路模様”に見えるのも、白い部分には白い毛が生えているからです。 下の写真くらいに拡大すると、そのことが分かります。
 下の写真は殺して撮ったのではありませんので念のため。 じつは下の写真を撮ってから上の2枚の写真を撮っています。

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2008年8月26日 (火)

ノリウツギ

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 写真は神戸市立森林植物園で写したノリウツギです。 写真で見てのとおり、アジサイの仲間(ユキノシタ科アジサイ属)です。 ほとんどの花は、5枚の花弁と10本の雄しべを持つ小さな両性花ですが、周辺に点々と、大きな花弁状に変化したガク片を持つ装飾花をつけます。
 ノリウツギの生育立地は多様です。 とにかく十分な光さえあれば、乾燥した痩せ地では地面を這い、高層湿原の泥炭上にも出現します。

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 和名は、樹液を和紙をすく際の糊に利用したことによります。
 現在普通に使われている機械紙は、製造過程で様々な薬品を使うため、残留した薬品の影響で紙が劣化してきます。 それに対し、和紙は1000年以上前の紙が残っています。
 和紙はコウゾ、ミツマタ、ガンピなどの繊維を絡めて作られます。 コウゾはほとんどの和紙の主原料です。 ミツマタは紙幣や証券用紙に、ガンピは日本画や版画用紙などに使われます。 このときにこれらの繊維をまとめる糊分が必要となり、コウゾ、ミツマタにはノリウツギやトロロアオイが、ガンピにはノリウツギが使われます。
 ノリウツギの皮をはいで叩くと、ねばねばしたのり状のものが出て来ます。それを和紙の材料に混ぜて漉きます。 細い枝の樹皮を剥いで触ってみても、糊状の成分のためでしょう、ツルツルしていました。

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2008年8月25日 (月)

アオカナブン

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 8月10日に載せたオオムラサキのすぐ傍の樹液に来ていたアオカナブンです。
 8月1日に書いたカナブンの緑色型と色はそっくりです。 肉眼で見ると緑一色なのですが、フラッシュの光を当てると銅色が出てくるところも似ています。
 両者を見分けるには、ひっくり返して後ろ足の付け根が接するくらい近いのがアオカナブンで、離れているのがカナブンなのですが、アオカナブンの方が体型がややスリムです。

 下は上と同じ樹液に来ていた虫たちです。

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左より、カナブン、ホシアシナガヤセバエ、ヨツボシオオキスイ、ハエの仲間

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2008年8月24日 (日)

カルーナ

 E・ブロンテの小説「嵐が丘」の舞台ヒースの丘、ヒースは本来はイギリス北部やアイルランドなどの荒れ地のことですが、過放牧が原因とも考えられるヨーロッパのあちこちに広がる痩せた土地もヒースと呼ばれています。
 ヒースに生えることのできる植物は限られていて、主に生えているのは、ツツジ科のエリカ属やカルーナ属の植物です。 エリカ属の植物は何種類かありますが、カルーナは1属1種です。 どちらも乾燥に耐えることのできる小さな葉をつけますが、カルーナは葉が十字対生することやガクが花冠よりも長いことにより、エリカ属と区分することができます。
 カルーナはヨーロッパと北アフリカに分布する常緑低木ですが、様々な園芸品種が作られていて、園芸的には世界中に広がっています。
 六甲高山植物園にも園芸的に改良されたカルーナが植えられていて、葉の色も緑色、黄色、赤色など様々です。 下の写真は'08年4月3日に撮影したものですが、新しい葉が色鮮やかです。 後ろの赤いのもカルーナです。

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 そのカルーナが花の時期を迎えていました。 花の色も白色から深紅色まであります。 下は白い花のカルーナで、ガクも花冠も白ですが、上に書いたようにガクが花冠より長くなっています。

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 昨日は別の記事を入れましたが、六甲高山植物園と神戸市立森林植物園で見た植物や虫たちのシリーズを、もう数回続けたいと思います。 植物園の植物を紹介するのではなく、植物園を利用して、いろんな植物や虫たちを紹介したいと思います。
 このブログは身近な動物や植物を紹介していますが、植物園を利用すると、いろんな植物なども身近に観察することができます。 自然の中での生き様とは少し違うかもしれませんが・・・

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2008年8月23日 (土)

アシダカグモ

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      この写真は、クリックすると、1024×680の大きさでご覧いただけます。
 アシダカグモは帰化種で、分布の中心は全世界の熱帯・亜熱帯地域です。 日本に生息する網を張らない徘徊性のクモでとしては最大です。
 日本にはコアシダカグモという、アシダカグモに似たクモがいるのですが、こちらは森林の落ち葉や枯れ木の下におり、室内性のアシダカグモとは、うまく棲み分けているようです。
 アシダカグモは夜行性で、薄暗い所を好み、昼間見かけることはほとんどありません。 平均寿命は、オスが3~5年、メスが5~7年程度で、メスは日本では、夏に2回の産卵を行います。
 アシダカグモは、クロゴキブリなどのゴキブリやハエなどの衛生害虫、それに時には小さなネズミなども捕食してくれます。 アシダカグモには、捕食中に別の獲物を見つけると、現在の獲物を置いて新しい獲物を捕食しようとする習性があるため、短時間に多数の害虫を捕らえることができます。 アシダカグモが2~3匹いる家では、そこに住むゴキブリは半年で全滅するということです(安富和男著『ゴキブリ3億年のひみつ』)。
 アシダカグモは、人間に影響する毒は持っていません。 素手でつかむなどしない限り、人間に対しての咬害も起こっていません。 また、アシダカグモが捕食対象へ注入する消化液には強い殺菌能力があり、また自身の体もこの消化液で常時手入れを行うため、アシダカグモが病原体を媒介する可能性はきわめて低いと考えられます。
 アシダカグモは、見かけは不快感を抱かせるかもしれませんが、上記のようにきわめて優秀な益虫です。 殺虫剤の場合のように人に与える影響も心配ありません。

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 このブログの左のサイドバーに、「マイフォト」を設置しています。 記事はともかく写真だけをパラパラと見てもらうために置いてあるのですが、この「マイフォト」の「クモ」に入れてある「アシダカグモ」を訪問していただく方が、'08年8月中旬よりたいへん増加しています。 多くの方が Google の検索から来られているようです。
 なぜ急にアシダカグモの写真に人気が出たのか分かりませんが、分布を北に広げているようですので、そのことと関係しているのでしょうか? ぜひアシダカグモに関する情報がありましたら、コメントをお寄せください。

【関連記事】
 アシダカグモの越冬
 越冬中のアシダカグモのその後
 アシダカグモ動き出す
 アシダカグモのゴキブリ退治

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2008年8月22日 (金)

フシグロセンノウ・マツモトセンノウ

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 フシグロセンノウは、少し前までは金剛山でもたくさん見かけたのですが、最近は少なくなってしまいました。 薄暗い林床で咲く花はたいへん目立ちますので、採られてしまうのでしょうか。
 そのフシグロセンノウが六甲高山植物園できれいに咲いていました。
 フシグロセンノウの名前は、センノウに近い仲間で、節が太くて黒紫色を帯びる(上の写真でもよく分かります)ところからつけられました。 センノウというのは、中国原産のナデシコ科の多年草で、京都府嵯峨にあった仙翁寺(現在は廃寺となっています)に伝わったところから、この和名がついています。 センノウの花弁には何箇所も深い切れ込みがあるのですが、フシグロセンノウの花弁には切れ込みはありません。 でも、この素朴さが私の好みです。

 下は同じくセンノウの仲間で、六甲高山植物園で咲いていたマツモトセンノウ。 阿蘇山の草原に生えるツクシマツモトという植物を元に園芸的に改良されたものと言われています。 歌舞伎役者の松本幸四郎の紋所に似ているところからの名前です。

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2008年8月21日 (木)

クサレダマ

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 「腐れ玉」ではありません。 「草レダマ」です。
 「レダマ」はヨーロッパの地中海西部沿岸からカナリア諸島に分布しているマメ科の常緑小低木で、日本には江戸時代の初めに入ってきており、スペイン語の「Retama de olor」に由来します。
 この小低木のレダマに似て(と言っても、似ているのは花の色だけ?)、草本性の植物ですから、「草レダマ」です。 でも、たしかに両者の黄色い華やかな花の色は人目を引きます。 以前、信州の湿原で一面のクサレダマを見た時は感動しました。
 六甲高山植物園では混み過ぎているのか、あまり花は多くなかったのですが、アップで撮ると、なかなか美しい花です。
 ガクにある赤い縁取りのように見えるのは腺体です。 花弁は5枚の離弁花のように見えますが、切れ込みが深いものの、合弁花です。
 オシベの数が花弁の数と同じ多くの花では、オシベは花弁と重ならないように、つまり花弁と花弁の間にオシベが来るように配置されるのですが、このクサレダマでは、5本のオシベは花冠の裂片に重なるように配列しています。 じつはこのことは、サクラソウ科の特徴の1つなのです。
 クサレダマは、Lysimachia属、つまりオカトラノオなどと同属の植物です。 花穂の長さはオカトラノオのように長くはありませんが、基本的な花のつくりはオカトラノオによく似ています。

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2008年8月20日 (水)

シラタマノキ

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 シラタマノキは本州中部以北の亜高山帯以上の草地等に生えるツツジ科の常緑小低木です。 多くのツツジ科の植物がそうであるように、比較的乾燥した場所に生えます。
 自生地でドウダンツツジのような釣鐘型の花を見ることができるのは7~8月なのですが、標高の低いここ六甲高山植物園では、もう実になっていました。
 実の大きさは1cmたらず。 「実」と言っても本当の果実ではなく、ガクが肥大して果実を覆ったものです。 ちょうど花が終わったばかりの時期でしたので、ガクが肥大していく様子がよく分かります(下の写真)。
 この肥大したガクを潰すとサリチル酸のにおいがするのですが、植物園でそれを確認するのはちょっと・・・。

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 昨日に続いてのツツジ科でしたが、同じツツジ科といってもいろいろです。

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2008年8月19日 (火)

ホツツジ

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 ホツツジは日当たりの良い酸性の山地に生える落葉低木で、小枝が角張るのが特徴の一つです。 花は小さく、あまり人目を引くわけでもなく、ここ六甲高山植物園でも植物名を記した札はついていなかったと思います。 きっと植物園の外にも生えているはずです。 でも、たくさん咲くと美しいですし、拡大した花の姿が私は好きです。
 高山を除けば多くのツツジの仲間が春に花を咲かせるのに対し、ホツツジの花期は8~10月です。
 3裂した花冠はクルクルと先が反り返ります。 オシベは花糸の基部がくっつきあい、筒状になって子房を取り囲んでいて、花糸の上部は、やはり反り返っています。 雌しべは長く突き出ています。 子房は3室です。 花弁が3、オシベ6本、子房3室と、この数字だけを見れば単子葉植物のようです。

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 アセビをはじめとして、ツツジ科には毒のある植物がありますが、このホツツジも植物全体に毒があります。 昔、汲み取り式の便所だった頃、便槽にウジ(ハエの幼虫)がわくのを防ぐため、ホツツジが近くにあるところでは、便槽にこの葉を入れたそうです。
 花の蜜は虫を呼び、食べてもらうために作るのですから、無毒であるのが普通です。 ところがホツツジは蜜にまで毒があります。 昆虫には無毒なのかもしれませんが、少なくとも人間には有毒です。 ミツバチが集めた蜜にホツツジの蜜が混じっていて、問題になったことがありました。

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2008年8月18日 (月)

オニユリのむかご

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 オニユリは人里近くで生育していますし、「ユリ根」として売られているものもオニユリの鱗茎である場合が多いので、なじみのあるユリです。
 六甲高山植物園でもオニユリがきれいに咲いていました。 その花の付け根を見ると、黒褐色の丸いものが・・・ むかごです。

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 むかごは芽の変化したもので、地面に落ちると、そこから新しい植物が生じます。 種子とは別の、栄養体生殖のためのものです。 芽という体の組織の一部から新個体が生じるわけですから、生じた固体は元の個体と全く同じ遺伝子を持つクローンということになります。
 オニユリのむかごは、茎の中程から下の方につき、茎の上の方の花が咲くところにはつかないとされていますが、この写真のオニユリでは、葉の腋芽が伸びてツボミとなり、その副芽がむかごになっています。 茎が傾いていることが関係しているのでしょうか?

(以下、'09年8月15日追記)
 京都府相楽郡南山城村の童仙房で撮ったものです。 クモの巣が多く、あまりきれいな写真ではないですが、むかごが葉腋から離れないままで、根を出しています。 条件によっては、こんなことも起こるのですね。

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2008年8月17日 (日)

ミドリバエ

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 チダケサシの花にミドリバエが来ていました(六甲高山植物園で撮影)。
 ミドリバエは体長9mm程度、クロバエ科に分類され、日本固有の種と考えられています。 よく花に集まり、胸部が黄緑色ですので、他のハエの仲間とは区別は容易です。
 オス・メスの区別は、オスの方が複眼が発達していて、複眼と複眼の間隔が狭くなっています。 上の写真はメス、下2枚はオスです。

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 下はチダケサシ、湿地を好む植物です。
 茎葉は少ないうえに丈夫なので、食べると美味しいチチタケ(乳茸)というキノコ採りの時に、たくさん採ったチチタケをこの長い花茎に刺して持ち帰ったところからの名前のようです。

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2008年8月16日 (土)

タマアジサイ

 タマアジサイの自生地は、福島県以西、関東地方、中部地方、岐阜県以東の、山地の沢沿いや、やや湿った林縁などということです。 ですから、関東・中部地方の人たちにとっては見慣れた植物かもしれませんが、関西に住む者にとっては珍しい植物です。
 花はアジサイの仲間としては遅咲きのうえに一斉に開花するのではないので、派手さはありませんが、長く花を楽しむことができます。 六甲高山植物園でもまだまだツボミが多く、開花は9月まで見られるようです。
 派手さが無いゆえに日本ではあまり栽培されていませんが、欧米では、中国産のタマアジサイ類も含め、庭園樹として評価されているようです。
 タマアジサイの特徴は、何と言っても、玉のようなツボミです。 花の集団(「花序」と呼びます)の傍にある葉で、普通の葉と形態的に区別される葉を「苞(葉)」と呼んでいますが、この苞が発達していて、ツボミの段階では完全に花序を包み込んでいます。
 下の写真では、苞の隙間から、ツボミが少し顔を出しています。

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 でも、花が開き始めるや否や、苞葉は落ちてしまい、“普通の”アジサイの姿になります。 虫を引き付けるための装飾花と種子生産のための両性花とからなり、下の写真では頂の両性花のみが咲いています。 装飾花の花弁のように見えるのは、ガクが発達したもので、アジサイの仲間に共通の性質です。

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お願い

お願いその①
 左のサイドバーのカウンターは、「マイフォト」のみの訪問者数はカウントしていないのですが、最近、その「マイフォト」の「ルリモンハナバチ」と「アシダカグモ」が、このトップページをはるかに凌ぐ驚くようなアクセス数を記録しています。 8月12日には、「ルリモンハナバチ」に、1日だけで310人437件のアクセスをいただきました。 「アシダカグモ」もここ数日高いアクセス数を記録し続けていて、昨日は251人に訪問いただいています。
 両写真のアクセス数が多くなったのは別の理由によるものと思われますが、それぞれいったい何が起こっているのか、知りたいと思っています。 自然に関する講座か何かで取り上げていただいたのでしょうか? 「マイフォト」の上記写真ページからこちらに回ってこられた方がおられましたら、ぜひコメントをお願いいたします。
 でも、これだけ「マイフォト」に人気が出るのであれば、「マイフォト」の充実も図らねばなりませんね。

お願いその②
 「人気blogランキング」と「にほんブログ村」への投票、よろしくお願いしま~す。
 サイドバーでの「人気blogランキング」への投票は、結果反映には少し時間がかかりますが、いただいた一票は決して無駄にはなっていませんので、よろしくお願いします。

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2008年8月15日 (金)

トラマルハナバチ

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 ベロニカの花にトラマルハナバチの働きバチがたくさん来ていました。 忙しく次から次へと花を移動し、じっとしてくれません。 後足には花粉団子をつけています。

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 この日(8月9日)、六甲高山植物園ではトラマルハナバチが大活躍。 キレンゲショウマの花には体を突っ込んだままなかなか出てきません。 マルハナバチの仲間は種によって吸蜜に用いる口器(中舌)の長さが異なり、中舌の長いトラマルハナバチなどは蜜源の深い花を訪れる傾向があるのですが、この日はタマアジサイの花でも忙しく動き回っていました。
 トラマルハナバチは、春先に女王バチが単独で巣を作り、働きバチが増えると女王バチは産卵に専念します。 そして夏から秋にかけて次世代の女王バチとオスバチを産みます。 交尾した新女王は、翌年の春まで土の中などに潜り込み、越冬します。
 マルハナバチの仲間は、毛が長くて花粉が付きやすく、多くの植物にとって重要な送粉者です。

※ コメントで質問をいただきましたので、マルハナバチの口吻の図を載せておきます。
(文一総合出版「共進化の生態学-生物間相互作用が織りなす多様性-」より引用)

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◎ トラマルハナバチはこちらにも載せています。

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2008年8月14日 (木)

キキョウの花(自家受粉を避けるしくみ)

 有性生殖は他の個体と遺伝子を混合し、様々な形質の子孫を作ることに意義があります。 植物は工夫を凝らして自家受粉(花粉を同じ花のメシベで受粉する)を避けようとしています。 そのことをキキョウの花の場合で見ていくことにします。
 下の写真には、キキョウの花のツボミ(中央上と右下)から花の終わった後(中央上)まで、様々な段階の花が写っています。 開いている花は3輪ですが、メシベとオシベの様子は全部違っています( 右下の花は花弁の数まで違っています(奇形)が・・・)。 これは自家受粉を避けるために複雑なことを行っているためなのですが、どのような順番で変化しているのでしょうか?

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① 咲いたばかりの花では、メシベの花柱にオシベの葯が押し付けられています(下の写真)。 この時既に花粉は出されているのですが、その花粉はメシベの花柱にくっつけるように出されます。

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② 花粉を出し終わったオシベはメシベから離れます。 メシベの花柱には花粉がいっぱい付いています(下の写真)。 この花粉の付いている部分では、メシベは受粉できません。

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③ 蜜はメシベの根元にあります。 この部分ではオシベの付け根が膨らみ、縁には毛が生えていて、蜜のある場所を保護しています(下の写真)。
 メシベの花柱は丈夫にできています。 虫が②の状態の花の、突き出たメシベの花柱の先端(そういう場所がとまりやすい)に着地し、スルスルと花柱を伝って蜜のありかに近づこうとしたり、花柱につかまって口を伸ばそうとすれば、虫の体は花粉まみれになるでしょう。

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④ さて、今度は花粉を受ける番です。 この時になってはじめてメシベの先端にある柱頭が開き、受粉できる場所が表に表れます。 柱頭の表面には短い毛がビッシリと生えていて、花粉を受け止めやすくなっています(下の写真)。 他の花の花粉を体につけた虫が柱頭にとまれば、めでたく受粉できることになります。

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 このページの写真は全て六甲高山植物園で撮ったものです。 キキョウはあちこちで栽培されていて、わざわざ高山植物園にまで行って撮る花ではないでしょうが、いろんな段階の花が揃っていたもので・・・・

※ 同じような自家受粉を避ける仕組みは他の花でも見られますが、リンドウの場合をこちらで紹介しています。

【 メモ 】 「キキョウ」の語源について
 キキョウを漢字で書くと「桔梗」ですが、「桔」も「梗」も、普段はあまり使わない漢字です(「脳梗塞」くらいかな)。 「桔梗」の読みを聞かれて答えられない人もいるでしょう。
 じつは「キキョウ」は漢名の「桔梗」の読み「キチコウ(キチカウ)」から変化したものとされています。 キキョウの根は薬草として用いられていて、「桔梗」は乾燥した根が硬いところからです。

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2008年8月13日 (水)

キレンゲショウマ

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 キレンゲショウマは朝鮮半島南部や中国東部にも隔離分布しており、日本と大陸が地続きであった時代の遺存的な種であろうと考えられています。
 日本での自生地は、宮尾登美子の小説「天涯の花」で四国の剣山が知られるようになりましたが、紀伊半島の大峰山系や四国・九州の深山の石灰岩地帯の湿った木陰に稀にみられるようです。 光の少ない林床でできるだけたくさんの光を受けようとしているのでしょうか、細い茎に対生の大きな葉をつけるものですから、簡単に茎が折れてしまう、か弱い植物です。
 レンゲショウマはキンポウゲ科ですが、このキレンゲショウマはアジサイなどに近縁のユキノシタ科で、花のつくりも違います。 萼筒は半球形で萼裂片は先が三角に浅く5裂し、黄色の花弁が5枚、おしべは15本、花柱は3裂します。 花弁は痛みがはやいのか、六甲高山植物園では、咲いている花の花弁はどれも周辺が茶色くなっていました。

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※ 写真をクリックしていただくと、1024×680 でご覧いただけますが、画面の小さい人もおられるので、最初の写真画面は 800×680 で開くようにしています。 大きな画面の方は画面を広げてご覧ください。

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2008年8月12日 (火)

アカスジキンカメムシ

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 サンショウバラ(1)の実の上にアカスジキンカメムシがいました(六甲高山植物園にて撮影)。 「歩く宝石」の異名をとる大きくて美しいカメムシです。
 フラッシュを光らせていますので少し金色が出ていますが、肉眼では緑の地に赤い模様、どこが「キン」カメムシなのかという疑問も生じます。 まさか、腹側の色からの名前?

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 じつはアカスジキンカメムシはカメムシ目(=半翅目)のキンカメムシ科に分類されていて、「キンカメムシ」は科の名称なのです。 キンカメムシ科のカメムシには、赤や朱色など華やかなものや金属光沢を持った美しい種類が多いのです。
 キンカメムシ科のカメムシの胴体の外見は、中胸から腹部の背面が背盾板(2)に覆われていて、羽根はその下に隠されてしまっています(下の写真)。

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1 サンショウバラは、わが国の固有種で、富士箱根地方にのみ分布しています。 枝にもトゲが多いのですが、実には写真のようにトゲがいっぱいです。
2 背盾板とは、前胸の後ろで、左右の前翅がくっつき合えない隙間を隠すように存在する三角形の部分です。 

※ アカスジキンカメムシの幼虫はこちらに載せています。

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2008年8月11日 (月)

レンゲショウマ

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 レンゲショウマは日本特産の1属1種の多年草で、本州太平洋側の深山の湿り気のある場所に生えます。
 名前の由来は、花の形がハスに似ていて、葉が升麻(ショウマ)に似ているところから。 ショウマについては、トガクシショウマの所で書いています。
 レンゲショウマはキンポウゲ科に分類されます。 このブログでもキンポウゲ科の花はたくさん登場しましたが、レンゲショウマの花もキンポウゲ科の花の特徴をよく示しています。 7~10枚のガク片は大きく発達し、花弁化しています。 その内側にあって、周辺部分の色が濃くなっているのが、本当の花弁です。

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 オシベは多数(下の写真)、メシベは2~4本あって離生しています。 上の写真の右下にはガクも花弁もオシベも散ってしまい、めしべだけになった姿が写っています。

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今回の写真について
 いつもコメントをいただくわんちゃんから、お友達のOさんの希望でレンゲショウマの花を見たいので、咲いている場所を教えてほしいとの連絡がありました。 ちょうど六甲高山植物園にレンゲショウマを見に行く計画を立てていた時だったので、3人で行こうということになりました。
 六甲高山植物園では、計画ではレンゲショウマの花の盛りのはずだったのですが、この1週間の天候不順のせいか、少し遅れ気味で、奥の方にやっと数輪の花が咲いているのみ。 それが1枚目の写真です。
 植物園を出て、時間的にまだ余裕があったので、神戸市立森林植物園へ行こうということになりました。 そこでなんと、レンゲショウマの株が販売されていました。 じつは2枚目と3枚目の写真は、その株の花というわけです。
 ということで、しばらくは六甲高山植物園と神戸市立森林植物園で撮った写真を載せることにします。 昨日のオオムラサキも、この時の写真です。

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2008年8月10日 (日)

オオムラサキ

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 日本の国蝶オオムラサキです。 オスの翅の表は光沢のある青紫色で美しいのですが、写真は残念ながらメスです。 メスはオスより一回り大きいのですが、翅の表はこげ茶色です。 樹液の出ている所から動こうとはしませんでした。 神戸市立森林植物園での撮影です。

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 写真の蝶に出会う少し手前で、低い所にとまっているオオムラサキに気づかずに近づき、飛んで逃げられました。 体をかすめて飛んだオオムラサキは鳥のように力強く羽ばたき、速い速度で高い梢に向かい、そこにピタッととまりました。
 オオムラサキの成虫は年に1回、6~7月に発生するだけです。 この日に見たオオムラサキも、写真のように既に翅に傷みが見られます。

※ いろいろなオオムラサキ
 オオムラサキという、雑種起源の園芸種と考えられているツツジがあります。 また、オオムラサキシキブというムラサキシキブの変種がありますが、こちらは神戸市立森林植物園にもありました。

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2008年8月 9日 (土)

ヤナギハナガサに集まるチョウたち

 3日連続してヤナギハナガサに集まっている蜂の仲間を紹介しましたが、ヤナギハナガサには紹介した3種以外の蜂も来ていました。 蜂以外にも、ブチヒゲカメムシはたくさんいて飛び回っていましたし、アブの仲間もチョウの仲間も来ていました。
 チョウでは、キアゲハ、アオスジアゲハ、ツマグロヒョウモン、モンキチョウ、キチョウなどが見られました。
 今日は美しいチョウでも鑑賞して、しばし暑さを忘れていただきましょう。 ぜひ写真をクリックして拡大してご覧ください。

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2008年8月 8日 (金)

オオハキリバチ

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 8月2日にヤナギハナガサの花に来ているハチの中で、いちばん数が多かったのが、このオオハキリバチでした。 日本に50種ほどいるハキリバチの仲間のうちでは、一番大きいハチです。 胸部と第一腹背板に黄色い毛が密生しています。 翅は黒褐色で、基部は透明です。 頭が大きく大きな大顎を持っており、もちろん護身用の毒針も持っていますが、おとなしいハチで、人を襲うことはありません。 7月頃から10月頃まで観察できます。

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 オオハキリバチは、ハキリバチの仲間ではありますが、葉を切ることはあまり無く、竹筒などに作られる幼虫を育てる巣の仕切り壁は、松ヤニを集めて作られます。

 同じ所に来ていた下もハキリバチ科でしょう。 しかし写真はこれしか撮れていないので、種名はペンディングとしておきます。

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2008年8月 7日 (木)

トモンハナバチ

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 昨日に続いて、ヤナギハナガサの花に来ていた蜂、本日はトモンハナバチ、年1回、盛夏に発生するハチです。
 トモンハナバチの名前は、腹部に黄色い10個の紋があるところからです。 ただし腹部に黄色い10個の紋があるのはメスで、オスではこの紋の数は12個になります。 腹部だけを比較すると、色は違いますが、ルリモンハナバチとよく似た模様のパターンになっています。
 頭部には1対の黄色の小さな紋があります。

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 オスと雌の違いは、紋の数以外にも、顔を正面から見ると、オスには黄色の部分があり、メスは黒色です(下の写真)。

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 上と下はキダチハッカに来ていたトモンハナバチです。 長居植物園で撮りました。

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 トモンハナバチは、竹筒やヨシ筒をヨモギの毛などで仕切るというおもしろい習性を持っています。 仕切った部屋には花粉や蜜を貯え、幼虫の餌にします。

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2008年8月 6日 (水)

ルリモンハナバチ②

 泉北ニュータウンの近くの休耕田にヤナギハナガサの群落があり、そこにいろんな虫たちがやって来ています。 そのうちの何種類かをシリーズで紹介しようと思います。

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 まず今日はルリモンハナバチです。 昨年も同時期(8月12日)に同じ場所に来ていたルリモンハナバチを紹介しました。

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 昨年と同じ場所で同じ種類の珍しい昆虫に出会えるというのは、昨年と変わらない環境が維持されているという安心感を感じます。 と同時に、ルリモンハナバチはケブカハナバチ属(Anthophora)などの巣に労働寄生する(=幼虫を育ててもらう)蜂ですし、昆虫の場合は昨年と同じ個体が来ているわけはないですから、同時期に同じ場所に来ているということに対し、不思議さも感じます。

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 ルリモンハナバチは少なくとも5~6頭はいるようです。 花から花へ、蜜を求めて忙しく動き回った後、飛び去ります。 どこへ戻り、何をしているのか、追跡しようとするのですが、黒っぽい体はすぐに見えなくなってしまいます。

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2008年8月 5日 (火)

ギンボシリンガ

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 コブガ科に分類されているギンボシリンガ、開張で2.5cm前後の小さなガですが、目立つ色彩をしています。 泉北ニュータウン槇塚台でみつけました。
 コブガ科はヤガ科やヒトリガ科に近縁の小型種の科で、単眼を持っていません。
 成虫が出現するのは、5月と、7月から8月にかけて。 ネットで調べると幼虫はミツバツツジを食べて育つとありましたが、近くにはミツバツツジはありませんので、ほかの植物を食べている可能性があります。
 はじめに「目立つ色彩」と書きましたが、無紋型もあり、こちらは真っ白です。

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2008年8月 4日 (月)

マイマイカブリ

 マイマイカブリはオサムシ科に分類される昆虫です。 前方に細くなった頭部と前胸部をマイマイ(=カタツムリ)の殻につっこんで食べる姿が、マイマイの殻を被っているように見えるところから、この名前が付きました。 カタツムリの他、ミミズや他の昆虫なども食べる肉食ですが、熟して落ちた果実や樹液などにも来ます。
 5月24日にクロナガオサムシを載せましたが、それよりも長く伸びた頭部と前胸部の分だけさらに大型の昆虫です。
 歩き回って餌を取るので、飛ぶことはできません。 後翅は退化していますし、左右の前翅はくっつきあっています。
 そのマイマイカブリがミミズを引きずっていました。 長い脚で走る速度の速いこと、ミミズの重さなど、全く関係ないようです。 写真を撮ろうとしましたが、ブレて写真になりません(下の写真)。

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 草の茂みに入ろうとしていましたので、落ちていた枝でそれを妨げようとすると、ミミズを放して逃げ出しました。 仕方なしに持ち帰って撮影することにしました。 例によって、走る前にフィルムケースをサッと置いてスポッ。 かなり窮屈なサイズですが、どうにか捕らえることができました。
 マイマイカブリは危険を感じると、尾部から刺激性の強い液体を噴射します。 特に目に入ると大変なことになるので、注意が必要です。

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 マイマイカブリは飛べないので、地域変異が激しい昆虫です。 大阪付近で見られるのは「マイマイカブリ」です(特に他の亜種と区別する時には、「ホンマイマイカブリ」といいます)が、日本全国には「○○マイマイカブリ」と名づけられたたくさんの亜種がいます。
 世界的に見てもオサムシの仲間では大型であること、形態の特異なこと、日本固有種であること、様々な変異が見られる亜種があることなどの理由で愛好家も多く、海外のオサムシ収集家にも人気がある昆虫です。

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2008年8月 3日 (日)

オオシオカラトンボの羽化

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 ヤゴが水から出て壁にいました。 羽化間近の様子。 でも、じっと見続けているほど辛抱強くないので、他の場所の観察に出かけたところ、いろいろ写したいものが出てきて、戻るのが遅くなってしまいました。
 2時間後に戻ってみると、既に下の写真の状態。 羽化の決定的瞬間を撮り損なってしまいました。
 この状態では、まだ色が出ていなくて、トンボの種類までは分かりません。 どんな色が浮き出してくるのか、楽しみです。

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 上の写真から1時間半後、かなり色がはっきりしてきました。 オオシオカラトンボだったようです(下の写真)。

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 下の写真は別の日に撮った、元気に飛びまわっていた別の個体です。

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 オオシオカラトンボは色がシオカラトンボに似ていてよりやや大きいことからの名前です。 未成熟のうちは、写真のように雌雄とも黄褐色の地に黒色斑があるのですが、オスは成熟すると翅胸部と腹部が蒼白色の粉で覆われます。 後翅の基部が黒褐色になるのもいい特徴(下の写真:後日撮影)ですが、羽化の3枚目の写真でも、その色が現れはじめています。

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2008年8月 2日 (土)

サンカクヅル

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 一見早くも秋の紅葉のようですが、これは元気な伸び盛りの色。 サンカクヅルはまだまだ伸長中です。
 ところで、植物の器官は根、茎、葉と生殖用の花しかありません。 ツル植物の巻きひげは茎か葉の変化したものと考えられます。
 サルトリイバラの場合は、巻きひげは托葉、つまり葉の一部または葉の付属体であることを、4月19日の写真などで紹介しました。 では、サンカクヅルの巻きひげは茎でしょうか、それとも葉でしょうか。 写真から何が読み取れますか?

        

 葉と巻きひげは向かい合って付いています。 もし巻きひげが葉の変化したものであったとしたら、対生の葉の一方が巻きひげに変化したことになります。 同じ所に付く葉がこんなにみごとに葉と巻きひげに分化するでしょうか?
 茎の一点から左右に葉と巻きひげが出ているように見えますが、葉と巻きひげがペアになっていることを前提に、伸び盛りの先端部に注目してください。 どの葉とどの巻きひげがペアなのかを確認しながら先の方を見ていくと、「巻きひげ」と「これから葉を広げながら伸びようとしている茎」の関係は逆転しています。 二又に分かれた巻きひげがいやに大きく見えます。
 巻きひげは茎そのものなのです。 巻きひげとなって成長が止まった茎に代わって、さらに長く成長するために、葉の付け根にあった芽(腋芽)が伸びだして、新しく葉をつけながら伸びていく茎になります。 その茎も巻きひげとなって成長が止まり・・・と、これを繰り返しているわけです。
 巻きひげが茎なら、茎から茎が枝分かれしても不思議はありません。 二又の巻きひげの片方は元の茎であり、他方はその茎にあった退化した葉の腋芽が伸びた新しい茎なのです。 伸びている先端の方の巻きひげを見ると、どちらが枝分かれした茎なのかが分かります。

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2008年8月 1日 (金)

カナブン・アオドウガネ・コガネムシ

 コガネムシの仲間も似た種類が多く、分類に迷うことがあります。 今回は、背面が緑色系統の模様の無い、よく見られる3種類を写真で比較してみました。

 カナブン

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 頭部が四角いところが、下の2種とは違います。 色彩的には、上の写真の左側のような銅色から、緑がかった色まで、個体による変異が大きい種です。
 アオカナブンという種もいるのですが、こちらはもう少しほっそりしています。 上の写真の3頭はみんな同じ体型をしていて、右側はカナブンの緑色型(=青色型)です。
 よく樹液に集まっていますが、カブトムシなどのように夜行性ではなく、日中も活発に活動しています。
※ 上の写真でたくさんいる小さなハエはショウジョウバエです。

 アオドウガネ

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 鈍い光沢がある緑色のコガネムシです。 腹部には長い毛が生えているのが特徴です。
 成虫の食べ物は、いろいろな植物の葉。 ですから、樹液に集まるようなことはありません。
 下はまさに大顎で葉の表面を噛み起こした瞬間です。

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 幼虫は、地中で植物の根などを食べて育ちます。
 アオドウガネは、気候温暖化によってか、分布を北に広げている昆虫の1つです。

 コガネムシ

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 この記事の3種類は全てコガネムシ科に分類されていますが、上の写真はコガネムシ科のコガネムシ。 きれいな光沢です。
 コガネムシは雑木林の周辺に普通に見られ、いろんな植物の葉を食べています。 この種類も、幼虫は土の中で植物の根を食べています。

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