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2008年7月 6日 (日)

カブトエビ

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 ホウネンエビカイエビなどと並んで、水田の水の中を泳ぐ代表的な生き物、カブトエビです。
 日本で見られるカブトエビは、アメリカカブトエビとアジアカブトエビ、それに少ないですがヨーロッパカブトエビの計3種類で、世界的にはもう1種類、オーストラリアカブトエビがいます。 卵は乾燥に耐えることができますので、サギなどの鳥の足に付いた土と一緒に卵が運ばれているようです。
 カブトエビの飼育セットが、「トリオップス」などの名前で販売されているそうですが、この Triops は、これらのカブトエビの仲間の属名です。
 写真のカブトエビはアジアカブトエビだと思いますが、きちんと同定はしていません。 カブトエビは、カイエビ、ホウネンエビ、ミジンコなどとともに、甲殻綱鰓脚亜綱(または甲殻亜門鰓脚綱)に分類されます。 平たく言うと、エビやカニなどと同じ甲殻類の中の、鰓を兼ねた泳ぐ脚を持ったグループということになります。 頭部に発達した第2触角を持つ(ホウネンエビは普段は丸めている)ことや、胸部には多数の鰓脚を持つこと、細長い腹部とその先に2本の尾を持つことなどはホウネンエビやカイエビなどと共通です。
 カブトエビのたくさんいる水田では、いつまでも水が濁っています。 波打つ鰓脚で泥を巻き上げているのです。 このために、種子から発芽した雑草は引き抜かれるので、カブトエビは昔から「田の草取り虫」と呼ばれていました。

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Kabutoebi080705_1

 カブトエビを採集していると、道行く人が「何取ってるの?」。 カブトエビだと話すと、「それ、大きくなるとカエルになるんやろ」。 カブトエビ採集道具として、穴あきおたまを使ってはいましたが・・・・
 でも、たしかにおたまじゃくしもたくさんいましたし、上から見ると色も大きさもよく似ています。

 カブトエビは、よくカブトガニと混同されています。 一見似ているようですが、大きさも全く違います(カブトガニは成長すれば体長70cmに達します)し、分類的にはかなりかけ離れています。 カブトガニは甲殻類でもありません。 鋏角亜門という別のグループに分類されていて、どちらかというとクモに近い仲間です。
 下にカブトガニの写真(脱皮殻です)を載せておきますので、上のカブトエビの写真と比較してみてください。 カブトエビは、上に書いたように、鰭状の鰓脚があるだけで歩行に適した足は持っていませんが、カブトガニには歩くことのできる脚があります。

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Kabutogani080705_2

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無脊椎動物(その他)」カテゴリの記事

コメント

こんばんは♪
今日田んぼの中を覗きこんでみました
足の生えたオタマジャクシ、ヤゴ、ホウネンエビ、
スクミリンゴガイ、黒い粒々(ミジンコ?!)がいました
カブトエビもカイエビもいませんでした
どこにいるんでしょうか

ひょっとしてカブトガニの脱皮殻はそよかぜさんのコレクション?

投稿: エフ | 2008年7月 7日 (月) 21時44分

私の経験では、ホウネンエビのいる田には多くの場合、カブトエビもいるのですが・・・
もしかしたら、季節の進行の早い九州では、カブトエビはもう卵を産んでしまって死に絶えたのかもしれませんね。
「黒い粒々」はどれくらいの大きさでしょうか? それがカイエビではないでしょうか。

> ひょっとしてカブトガニの脱皮殻はそよかぜさんのコレクション?
ハイ 岡山県笠岡産です。

投稿: そよかぜ | 2008年7月 7日 (月) 22時49分

私もね、田んぼの中を覗いて見ましたが、
収穫はありませんでした。
と言うよりも気がつかなかったのかも?

稲は大きく成長しているし、田んぼの水は・

穴あきおたまを持って畦道をウロウロしているそよかぜさんを想像するのは不謹慎?
おウチの中の道具がいろいろとお役立ちなんですね。

投稿: わんちゃん | 2008年7月 7日 (月) 23時04分

農薬などのせいでほとんど何も動物が見当たらない田んぼはたくさんあります。
田んぼに水を入れるときに、田んぼから田んぼへと水を流すと、隣どうしの田の環境が似てきます。あちこちの離れた場所の田んぼを見てみてください。
穴あきおたまはカブトエビ採集には最適ですね。

投稿: そよかぜ | 2008年7月 8日 (火) 06時55分

>穴あきおたまはカブトエビ採集には最適ですね。
これって、おウチの中の道具をあれこれ試されて後の結果ですか?

水の流れの違う田んぼもいっぺん見てみますね。

投稿: わんちゃん | 2008年7月 8日 (火) 23時46分

カイエビ、ホウネンエビに次いで、ついにカブトエビが載っていたのですね。

どちらも「生きている化石」ですが、気になったのはカブトガニの方です(笑)。どこから持ってこられたのでしょう?魚屋さん?ペット屋さん?それともどこかの研究所か大学ですか?

投稿: タロ | 2008年7月 9日 (水) 01時20分

わんちゃんへ
いつもフィルムケースは持って歩くのですが、これでは採集できなかったので、何を使えば便利かな、と考えた結果です。泥の表面にへばりついている場合が多いので、目の細かい網などでは、泥も一緒にすくって重くなります。

タロさんへ
かなり昔、岡山の笠岡に何度か行った友達がいて、その人が拾ったものをいただきました。
脱皮殻は軽くて腐らず、いいですね。

投稿: そよかぜ | 2008年7月 9日 (水) 07時05分

過去、ペット屋か魚屋かで見かけたことがあり、不思議に思っていました。ただ抜け殻ともなると飼ってでもいないと・・・・とさらに不思議になってしまったので、伺いました。お気を悪くなさらないで下さい。
それにしてもカブトガニの抜け殻ともなると、殻の厚みもスゴイですね。なかなか丈夫そうです。

投稿: タロ | 2008年7月 9日 (水) 11時40分

カブトガニの殻の厚みは、たしかに表は厚いのですが、裏は脚の部分を除くと薄いですよ。
それよりも驚かされるのは、内臓のスペースの少なさです。裏側から見るとほとんどが足を動かすスペースです。
横断面を作るとこのことはよく分かっていただけると思いますが、殻を壊すのも惜しいし・・・

投稿: そよかぜ | 2008年7月 9日 (水) 22時28分

黒い粒々がナンなのかおたまですくってみました
我が家のメダカ、金魚必須アイテムのひとつ古いおたま
黒い粒々は1mm弱の極小サイズ
カブトエビじゃない・・
足がいっぱいで見たことのない虫?
色は透明と茶透明でした
毎年メダカや金魚の稚魚に食べさせてました

投稿: エフ | 2008年7月11日 (金) 22時46分

1mm以下でミジンコでないとしたら、カイミジンコ?

投稿: そよかぜ | 2008年7月12日 (土) 00時34分

昨日田んぼを覗き込んだらもうホウネンエビも
謎の極小な虫もいませんでした
毎年短い期間だけ発生しているんでしょうか

金曜の夜にホウネンエビとカブトエビを食べる番組を観ました
長崎には時差があるようです
味がわかりました
ホウネンエビはあんまり味がなくカブトエビはえげつない味がすると言ってました
誰も食べてないワケですね~
そよかぜさんも食べるのはやめておきましょう

投稿: エフ | 2008年7月13日 (日) 16時42分

来年の楽しみというところでしょうか。
私の記事も遅すぎたくらいですから。

「探偵ナイトスクープ」は、他にもアメフラシなど、いろんなものを食べるのをシリーズにしているようですね。

投稿: そよかぜ | 2008年7月13日 (日) 18時10分

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