コスズメの幼虫(鱗翅目の幼虫の眼)
スズメガの一種であるコスズメについては、昨年の8月10日に成虫のことをこのブログで書きましたが、その幼虫が、食草のひとつであるヤブガラシ(上の写真の右の葉)に来ていました(7月6日、堺市南区釜室)。 「コ」スズメとはいっても、幼虫も堂々たる大きさです。
足は2種類、前にある3対の尖っているのが胸脚、体の後ろにあるのが腹脚です。 この橋脚の付いている部分が胸部です。
第1腹節と第2腹節には、鳥を驚かせるのに有効なのでしょうか、眼状紋を持っています。 名前で分かるように、眼状紋から後ろは全て腹部です。 幼虫はひたすら葉を食べ、成長する、そのために葉を消化する腹部は大きくなっています。
スズメガの仲間の幼虫の特徴のひとつとして、尾角を持つことがあげられますが、写真では尾角の位置に茎が重なってややこしくなっていますが、赤褐色のものが尾角です。
上で胸部と腹部のことを簡単に書きましたが、下は頭部を斜め正面から写したものです。
顔も接写してみると、口周りがおもしろそうですし、色彩的にもなかなか美しいと、ファインダーをのぞいていると、個眼のようなものがあることに気づきました。 最初、下の写真の色を濃くした部分が複眼だと思っていましたが、それなら複眼の上に個眼があることになります。
調べてみると、驚くべき事実、チョウやガの幼虫には複眼は無い! あるのは6対の個眼のみでした。 考えて見れば、素早い動きもなしにひたすら葉を食べる幼虫に、そんなに大きな複眼は必要無いですね。
複眼のように見えたのは縫線のせいでこの内側は強力な襞(ひだ)となっていて、頭蓋の強化に関係しているようです。
今まで「個眼」という言葉を使ってきました。 これは昆虫の成虫に見られる「単眼」とは、その性質が異なるからで、個眼はむしろ複眼の未発達な状態と考えるべきようです。
上の写真では5つの個眼が円弧を描いて並んでいます。残りのもう1つは、その弧の内側(下方)に白く光っています。
下は頭部を横から見たところです。横から見ると上で書いた6番目の個眼ははっきりと分かりますが、今度はいちばん前方にある上から5番目の個眼が、よほど注意しないと分かりません。
上の写真で個眼の色が白く見えたり赤く見えたり黒く見えたりしていますが、これは光の当たり方によるものです。
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コメント
BBSへお尋ねした件、ご回答をいただきありがとうございました。おせわになりました。
個眼、複眼のおはなし、たいへん興味深く、また勉強になりました。
きょうはすぐ目の前でカマキリがクモを捕まえる場面がありました。
投稿: 七里 | 2008年7月12日 (土) 17時38分
鳥をビックリさす、眼の模様
私もビックリしました。
「お腹に眼があるなんてなんちゅうムシや!」
このムシちゃんは目にスゴイこだわりを持って生きているんですね・・・
投稿: わんちゃん | 2008年7月12日 (土) 21時43分
七里さんへ
私も昆虫は洞穴などで退化でもしない限り複眼はあるものだと思っていましたので、身近なチョウやガの幼虫が複眼を持たないというのは意外でした。
> きょうはすぐ目の前でカマキリがクモを捕まえる場面がありました。
「肉食どうしのバトル」というだけでおもしろい、というのは不謹慎でしょうかね?
わんちゃんへ
片方に2つ目玉模様があれば、横から見ても見つめられているように見える?
アケビコノハの幼虫との共通点を感じます。
投稿: そよかぜ | 2008年7月13日 (日) 07時37分
今日二匹 お持ち帰りしました
おんなじ場所で居ましたので
羽化まで飼ってみようと思っています
投稿: tumumasi | 2008年7月13日 (日) 15時03分
餌になる葉の補給がたいへんでしょうが、落ち葉などを寄せ集めて糸でつづった中での蛹の写真に期待しています。
投稿: そよかぜ | 2008年7月13日 (日) 18時04分