サツマノミダマシ
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上から
昨年の7月16日にアミガサハゴロモについて書きましたが、それに近い仲間のベッコウハゴロモです。
一見ガの仲間のようにも見えますが、ハゴロモの仲間は、ウンカ、ヨコバイ、セミなどに近い仲間です。 もう少しグループを広げれば、カメムシの仲間で、カメムシ目(=半翅目)に分類されます。 これらの仲間は全てストロー状の口を持っていて、植物などの汁を吸っています(一部には昆虫など動物の体液を吸う種類もいます)。
ベッコウハゴロモも、幼虫も成虫も、いろんな植物の汁を吸って生活しています。 あまり飛んで逃げようとはしないので、撮影は楽です。
アミガサハゴロモのところでも書きましたが、翅の表面についている粉は生活しているうちに取れてきて、翅の色はかなり変化します。 上の写真は羽化後に時間が経過して粉が取れ、地色の黒っぽい色になっていますが、下の写真は羽化後そんなに時間が経過しておらず、翅の色は緑っぽい粉の色が強く出ています。
横から おもしろい眼の模様です
お尻から失礼・・・
※ 幼虫の様子はこちらに載せています。
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久しぶりに「私はどこでしょう」シリーズです。
下の写真、コウンモンクチバが写っているのですが、何秒で見つかるでしょうか?
このコウンモンクチバ、私が歩いて行くと、飛び立って数m先の枯葉のつもった地面にとまりました。 とまった位置をしっかり確認してからカメラに目をやり、再度確認しようとすると、もう枯葉にまぎれて分からなくなり、近づきすぎると逃げられるので、見つけるのに苦労しました。 でも、昼間の活動は不活発なようです。
コウンモンクチバはヤガ科シタバガ亜科に分類されます。 成虫は6~8月に出現し、幼虫はフジ、ニセアカシアなど、主にマメ科の葉を食べて育ちます。
成虫は個体変異が大きいのですが、見分けるポイントは、翅頂から後縁まで亜外縁線が走ることと、前翅中室端の2個の小さな白点です。
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よく行く散策コースで、私の前を歩く人が追い立てたようにチドリが飛び立ち、私の前を飛び去りました。 降り立ったあたりからはピッピッピッピッと声がします。
声の方向に近づくと、走って出てきて、こっちこっちと言わんばかりに、私との距離を一定に保って走ります。 このコチドリ、きっと私を巣から引き離そうとしているのでしょう。
コチドリの擬傷行動はよく知られています。 犬などが近づくと傷ついて飛び立てないように振る舞い、走って逃げて犬に追いかけさせて巣から遠ざけます。
この暑い中、私は走ってコチドリを追いかける元気もありませんから、擬傷行動は観察できませんでしたが、物陰に半分身を隠してじっとしていると、「こっちだってば!」とばかりに、逆に近づいてきてくれます。 このページの写真は全て35mm換算で300mm望遠での撮影ですから、どれくらい近づいてくれたのか、想像していただけると思います。
追いかけていくと、巣があると予想される場所(じつは人は容易に近づけません)から90mほど離れると、飛んで巣の方向に戻ります。
私はこれに2度お付き合いをして、その場を離れました。
※ コチドリによく似たイカルチドリは、こちらに載せています。
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コシロカネグモです。 逆光の中で、脚の透明感のある緑がとても美しいと思いました。
6月14日にチュウガタシロカネグモについて書きましたが、また違った美しさです。
シロカネグモの仲間の網は、下の写真のように、水平に張られます。 体の割には大きな網です。
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下は今年の5月4日に撮ったセイヨウミヤコグサです。
このように春に咲き誇っていたセイヨウミヤコグサも、7月のこの時期になると、少しの花が見られる程度です(下の写真)。
セイヨウミヤコグサはヨーロッパ原産の帰化植物です。 1本の花茎に、在来のミヤコグサが花を2~4個つけるのに対し、セイヨウミヤコグサは3~6個の花をつけるというのが本来の姿ですが、この時期のセイヨウミヤコグサは、花が少なくなり、ミヤコグサのような花のつき方をしています。 でも、ミヤコグサの茎や葉には毛が無いのに対して、セイヨウミヤコグサはガクに毛があり、茎や葉にもわずかですが毛があることや、葉の色が白っぽい緑であることなどの特徴からすると、やはり花の少なくなったセイヨウミヤコグサです。
花が少なくなったかわりに、たくさんの果実が見られます。 緑のいわゆるマメの形の果実もたくさん見られますが、すでに茶色になったサヤが2つに割れてねじれ、そのねじれの力で種子を散布し終わった状態もたくさん見ることができます。 2つに割れてねじれたサヤは、種子散布が成功したVサインでしょうか。
ミヤコグサの名前は、奈良の都か京都の都か、とにかく林の中ではなく、昔の都市の近郊によく見られたことによるのでしょう。 しかし、「脈根草」がなまったものであるとする説もあります。
近年になってヨーロッパ原産の帰化植物であるセイヨウミヤコグサがよく見られるようになりましたが、マメ科植物で根粒を持っていて肥料分の少ない所でもよく育つなどの特徴のため、法面に播種されるなど、積極的に活用されることも多くなりました。
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連日暑い日が続いています。 堺市南区高倉台にある高倉寺の手水用の水盤には、ハチたちが水を求めて飛来していました。 昆虫が水を飲む姿を見る機会はそんなに多くはありませんが、この場所では毎年暑くなるとハチたちが飛来しています。
キアシナガバチは、セグロアシナガバチと並んで、日本のアシナガバチの中では最大級で、鮮やかな黄色の紋が目立つ美しい種です。
※ キアシナガバチについては、こちらでも記事にしています。
下は同じ場所で撮ったミツバチです。 こちらは集団で来ていました。 たぶんニホンミツバチだと思います。
ニホンミツバチはセイヨウミツバチに比べて全体が黒っぽいと言われていますが、ニホンミツバチも夏には黄色みが増してきますし、光の関係でより黄色っぽく写ってしまいました。
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亜麻色の鷺、アマサギです。 堺市南区富蔵で撮りました。
アマサギは日本には夏鳥として飛来しますが、熱帯地方に分布の中心を持つサギです。 でも、さすがにこの暑さ、口をあけて喉を震わせ、体温を下げようとしていました。
5月頃に見られる婚姻色では、足や嘴が赤紫色になり、眼の色も赤くなるのですが、今はもう夏羽の色も薄くなりつつあります。
下の写真、右はダイサギで、左端は上の写真と同じ個体ですが、中央左よりの白いサギもアマサギでしょう。 この個体はもう冬羽に変わってしまったのでしょうか。 それとも、若くて夏の羽への生え変わりが遅いのでしょうか。
◎ 西表島で撮った飛翔中のアマサギをこちらに載せています。
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昨日に続いてのヨツボシシリーズ、本日はキスイの仲間です。 キスイは木吸(きすい)、樹液を吸うところからの名前です。
まずはヨツボシケシキスイ。 ヨツボシケシキスイを漢字で書くと、四星・芥子(けし)・木吸です。 ケシの実はよく小さなものの例えにつかわれます。 ヨツボシケシキスイは1cm前後ありますが、ケシキスイの仲間には小さな種類が多いところからでしょう。
上の写真は、暗い所に黒い個体が集まっているので、分かりやすいように全体を白っぽくしています。
3頭のヨツボシケシキスイが写っていますが、右の個体は側面が、左上はお尻が、左下は頭部が写っています。 左下の個体では、発達した大顎がよく分かります。 それぞれの個体には数匹のダニが乗っていますが、体液は吸われていないようです。
続いて、ヨツボシオオキスイです。 下の写真で、背中の端にある白い点はゴミで、名前のとおり、星の模様は黄色い4つのみです。
ヨツボシケシキスイもヨツボシオオキスイも、堺市南区にある樹液の出ている同じクヌギの樹で撮りました。
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正面から
トリノフンダマシの仲間は、夜間に水平円網を張り、活動するクモです。 昼間は葉の裏でお休み。 今日の写真は全て葉をひっくり返して撮ったものです。
上から
昼間は、葉をひっくり返しても、逃げるような行動はほとんど取りません。 動こうとせず、平然としています。 この自信はどこから来るのでしょうか?
体には艶があり、光っています。 そしてこのおもしろい模様。 何かに擬態しようとしているのでしょうか? 少なくとも名前のように鳥の糞に擬態しているとは思えないのですが・・・
横から
※ オオトリノフンダマシの写真はこちら
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ハマキフクログモの特徴のある巣が並んでいました(下の写真:7月13日に堺市南区畑で撮影)。 写真の傍にもう2つ。 あまりたくさん並んでいるので、うれしくなって、イネ科の植物の葉が何であったのか、確認は忘れてしまいました(ススキだったような・・・)。
ハマキフクログモは、上の写真のように、イネ科の葉を三つ折りにして住居を作り、昼は住居に潜んでいて、夜に徘徊して餌を取ります。
でも、今は産卵の季節。 期待して葉を広げてみることにしました。 葉を無理やり引っ張って広げたのが下の写真です。 かすかに母グモと黄色い粒々が透けて見えます。
巣は頑丈に作られています。 その巣を破って写したのが下の写真です。 もう子グモが孵っていました。
もし私と同じように巣の中を撮影しようとする人がいましたら、くれぐれも素手ではしないように。 母グモの鋭い牙で噛まれる可能性がありますから。
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リョウブの花が咲いていました。 蜜が多いのか、いろんな虫たちが来訪していました。
リョウブの仲間は、1科1属で、世界的には64種ほど存在するようですが、日本では1科1属1種で、枝の出方(仮軸分枝)、根元からの枝の出やすさなど、細かく見れば、いろいろと変わった性質を持った木です。
10本のオシベの様子も少し変わっていて、葯は下端が尖っていて、上端が斜孔開します(下の写真)。 雌しべの柱頭は3つに分かれています。
リョウブは漢字で書くと「令法」。 救荒植物として法令を定めて植えさせたことが由来のようです。
「三陸地方の食用野草」(昭和21年:青森営林局)にはリョウブ飯の作り方が書かれています。 それによると、乾燥した葉をホウロウで煎って手で揉み砕き、葉柄は木槌で砕いて粉末にし、米3合に葉粉2合の割合に混ぜ、少量の塩または醤油を加えて炊く、とあります。
食べた人の話によると、不味くは無いが美味しくも無い、とのことです。 食糧難の時に飯を増量させる意味はありそうです。
他にもブログを調べると、いろんな食べ方が紹介されています。 葉の天ぷらは無難なようですし、次の方法などは手軽に試してみることができそうです。
新芽を塩を一つまみ入れたお湯でゆがいたあと、水にさらしてアク抜きをし、それをきざんで塩とともに炊けたご飯に混ぜ込んで、しばらく蒸らしたら完成です。
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マルカメムシの幼虫がクズの茎にビッシリ(堺市と大阪狭山市の境にある「あまの街道」で撮影)。 一部は葉の上にもいました。
成虫には毛が無いのに、幼虫には毛がいっぱいです。
下は成虫。 6月7日に撮った写真ですが、やはりクズの茎にビッシリとついていました。
マルカメムシは幼虫の形態も特異ですが、成虫の見かけも、他の多くのカメムシと違っています。 多くのカメムシの仲間では、背中の左右の翅の基部の間に三角形の部分があり、この部分を小楯板(しょうじゅんばん)と呼んでいるのですが、マルカメムシではこの小楯板が大きく発達して腹部の背面全体を覆い、その下に前翅と後翅がはいっています。
(以下、2012.5.13.追記)
下はクズの茎に産み付けられたマルカメムシの卵です。
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漢字で書くと、薄翅蜉蝣。 ウスバカ下郎ではありません。 でも、この名前よりも、アリジゴクの親と言った方が、分かった気になってもらえるかもしれません。
ウスバカゲロウは、クサカゲロウなどと同じ脈翅目(アミメカゲロウ目)に分類されます。 5月28日に書いたガガンボカゲロウなどの蜉蝣目の昆虫とは、かなり違っています。
幼虫期(アリジゴクの期間)は、餌が落ちてくるのをじっと待つライフスタイルで、なかなか成長できず、2~3年かけて成虫になります。 成虫は2~3週間の命で、下の拡大を見ても口はそんなに発達しておらず、水を飲むだけの生活かと思われていましたが、これに近縁の種では肉食も見つかっていて、その可能性もあります。
成虫は主に夜行性で、日中は林縁などのやや薄暗い環境で休んでいますが、カメラを近づけると、不器用に飛んで逃げるくらいの反応はします(下の写真)。
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スズメガの一種であるコスズメについては、昨年の8月10日に成虫のことをこのブログで書きましたが、その幼虫が、食草のひとつであるヤブガラシ(上の写真の右の葉)に来ていました(7月6日、堺市南区釜室)。 「コ」スズメとはいっても、幼虫も堂々たる大きさです。
足は2種類、前にある3対の尖っているのが胸脚、体の後ろにあるのが腹脚です。 この橋脚の付いている部分が胸部です。
第1腹節と第2腹節には、鳥を驚かせるのに有効なのでしょうか、眼状紋を持っています。 名前で分かるように、眼状紋から後ろは全て腹部です。 幼虫はひたすら葉を食べ、成長する、そのために葉を消化する腹部は大きくなっています。
スズメガの仲間の幼虫の特徴のひとつとして、尾角を持つことがあげられますが、写真では尾角の位置に茎が重なってややこしくなっていますが、赤褐色のものが尾角です。
上で胸部と腹部のことを簡単に書きましたが、下は頭部を斜め正面から写したものです。
顔も接写してみると、口周りがおもしろそうですし、色彩的にもなかなか美しいと、ファインダーをのぞいていると、個眼のようなものがあることに気づきました。 最初、下の写真の色を濃くした部分が複眼だと思っていましたが、それなら複眼の上に個眼があることになります。
調べてみると、驚くべき事実、チョウやガの幼虫には複眼は無い! あるのは6対の個眼のみでした。 考えて見れば、素早い動きもなしにひたすら葉を食べる幼虫に、そんなに大きな複眼は必要無いですね。
複眼のように見えたのは縫線のせいでこの内側は強力な襞(ひだ)となっていて、頭蓋の強化に関係しているようです。
今まで「個眼」という言葉を使ってきました。 これは昆虫の成虫に見られる「単眼」とは、その性質が異なるからで、個眼はむしろ複眼の未発達な状態と考えるべきようです。
上の写真では5つの個眼が円弧を描いて並んでいます。残りのもう1つは、その弧の内側(下方)に白く光っています。
下は頭部を横から見たところです。横から見ると上で書いた6番目の個眼ははっきりと分かりますが、今度はいちばん前方にある上から5番目の個眼が、よほど注意しないと分かりません。
上の写真で個眼の色が白く見えたり赤く見えたり黒く見えたりしていますが、これは光の当たり方によるものです。
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体長は7~8mm、アワフキの中では頭部が小さいため、「コガシラ」です。
体色には変異がありますが、翅の先が最も赤味を帯びています。
コガシラアワフキは、林に近い草むらや、林縁のマント群落で見つかる種です。 今年になっていちばんたくさん見かけたのは6月21日で、イヌビワにたくさんいました。 上の写真もイヌビワにいるところを撮ったものです。 でも、今でもいろんな植物にいるのを見かけます。 年1回の発生ですが、8月くらいまでは見ることができるでしょう。
昨年の5月16日にシロオビアワフキの幼虫について書きました。 この幼虫の作った泡は今年もあちこちで見ることができました(いちいち泡から幼虫を追い出して確認せねばならず、面倒ですが・・・)。 しかし、コガシラアワフキの幼虫は、親はこんなにあちこちで見かけるのに、目にすることはありませんでした。 調べてみると、幼虫は半地中性で、根ぎわや、石の下の根などに泡を作るということです。 目のつける場所が違ったようです。
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腰のくびれ、腹の下げ方、翅のひろげ方、どこから見ても、オオカバフスジドロバチやオオフタオビドロバチなどのドロバチの仲間にそっくりです。 これがハナアブの仲間とは・・・ しかし、ハチの仲間(膜翅目)は翅が4枚あるのに対し、ハエやアブの仲間(双翅目)は翅が2枚、残りの2枚は、小さな平均棍というものに変化しています。
ちなみに平均棍は、写真でもきれいに写っています(黄色で先の膨らんだ棒状のもの)が、この器官を取り去ると双翅目の昆虫は全く飛翔できなくなるので、何か飛翔に重要な役割を担っているようです。 片方だけでもあれば飛行は可能なので、物理的にバランスを取っている(「平均棍」の名前の由来)ような働きでは無いようです。
ハチモドキハナアブもクヌギの樹液の出ているところに来ていました。 よく樹液のところに来るのですが、樹液を求める行動は遠慮がち。 樹液を得る事に関しては、ドロバチに似ることで、そんなにメリットがあるとは思えませんでした。
卵はクヌギの樹皮下に産みつけるそうです。 写真のハチモドキハナアブも腹部の先端をちょんちょんと樹皮にくっつけていました。 産卵していたのかもしれません。
産卵後の幼虫の詳しい生態は不明だそうです。
ハチモドキハナアブは上記のように食事も産卵もクヌギ林に依存しています。 泉北ニュータウンでは、公園として、あちこちにクヌギ・コナラ林が計画的に保存されています。 小規模な林であっても、さまざまな虫たちの生活の場である林を大切にし、人との共生を図って行きたいものです。
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倒木にムラサキホコリの仲間(スミスムラサキホコリかな?)がたくさんの子実体を形成していました。(堺市南区岩室にて7月5日に撮影)
'07年の6月18日にはタマツノホコリについて、'07年8月26日にはツノホコリについて書きましたが、これらは原生粘菌類でした。 ムラサキホコリは真正粘菌です。
原生粘菌と真正粘菌は、基本的な生活史はよく似ていますが、原生粘菌の子実体はどうにか写真に写る程度の大きさで、子実体1個の胞子のうに含まれる胞子は1~2個と少なかったのに対し、真正粘菌の子実体は大きく、たくさんの胞子を持っています。 写真に写っているムラサキホコリは、すべて子実体そのものです。
ムラサキホコリの仲間の多くは、大きなアメーバ状の変形体は倒木の内部で生活していて、表面に出てくるとすぐに子実体を形成し始めます。
たくさんの胞子を入れる子実体の胞子のうは、その形態を保つために、細毛体という網状の構造があります。 写真のムラサキホコリは子実体ができてからすこし時間が経っていて、出てきた胞子で胞子のうの表面が乱れています。 なかには多くの胞子が既に飛んでいってしまい、網状の細毛体が確認できる子実体もたくさんありました(下の写真)。 変形体を見ればだれもキノコの仲間とは思わないでしょうが、真正粘菌の子実体は時々小さなキノコと間違われることがあります。 しかしキノコには細毛体はありませんから、もっとキノコによく似た子実体であっても見分けることが可能です。
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クヌギの樹液を吸いに来たオオスズメバチです。 泉北ニュータウンの槇塚公園で撮りました。
6月28日のこのブログにヒメスズメバチを載せましたが、それより少し大きく、世界で最も大きくて攻撃性の強いハチです。 樹液の取り合いになるとカブトムシでも退けるというハチですが、食事を邪魔しなければ大丈夫。 食事を中断してまで怒って来るような分からず屋ではありません。
とは言っても、この記事を読んで接写しようとして刺されても責任は負えませんからね。 特に香水などを付けている場合は危険です。 香水などには、しばしばスズメバチ類の攻撃フェロモンと同じ物質が含まれています。
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ホウネンエビ、カイエビなどと並んで、水田の水の中を泳ぐ代表的な生き物、カブトエビです。
日本で見られるカブトエビは、アメリカカブトエビとアジアカブトエビ、それに少ないですがヨーロッパカブトエビの計3種類で、世界的にはもう1種類、オーストラリアカブトエビがいます。 卵は乾燥に耐えることができますので、サギなどの鳥の足に付いた土と一緒に卵が運ばれているようです。
カブトエビの飼育セットが、「トリオップス」などの名前で販売されているそうですが、この Triops は、これらのカブトエビの仲間の属名です。
写真のカブトエビはアジアカブトエビだと思いますが、きちんと同定はしていません。 カブトエビは、カイエビ、ホウネンエビ、ミジンコなどとともに、甲殻綱鰓脚亜綱(または甲殻亜門鰓脚綱)に分類されます。 平たく言うと、エビやカニなどと同じ甲殻類の中の、鰓を兼ねた泳ぐ脚を持ったグループということになります。 頭部に発達した第2触角を持つ(ホウネンエビは普段は丸めている)ことや、胸部には多数の鰓脚を持つこと、細長い腹部とその先に2本の尾を持つことなどはホウネンエビやカイエビなどと共通です。
カブトエビのたくさんいる水田では、いつまでも水が濁っています。 波打つ鰓脚で泥を巻き上げているのです。 このために、種子から発芽した雑草は引き抜かれるので、カブトエビは昔から「田の草取り虫」と呼ばれていました。
カブトエビを採集していると、道行く人が「何取ってるの?」。 カブトエビだと話すと、「それ、大きくなるとカエルになるんやろ」。 カブトエビ採集道具として、穴あきおたまを使ってはいましたが・・・・
でも、たしかにおたまじゃくしもたくさんいましたし、上から見ると色も大きさもよく似ています。
カブトエビは、よくカブトガニと混同されています。 一見似ているようですが、大きさも全く違います(カブトガニは成長すれば体長70cmに達します)し、分類的にはかなりかけ離れています。 カブトガニは甲殻類でもありません。 鋏角亜門という別のグループに分類されていて、どちらかというとクモに近い仲間です。
下にカブトガニの写真(脱皮殻です)を載せておきますので、上のカブトエビの写真と比較してみてください。 カブトエビは、上に書いたように、鰭状の鰓脚があるだけで歩行に適した足は持っていませんが、カブトガニには歩くことのできる脚があります。
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秋に紫色の小さな実をいっぱい付けるムラサキシキブの花が咲いていました(「堺自然ふれあいの森」にて撮影)。 (実の様子はこちら)
大阪付近では、自然の林ではヤブムラサキの方が多く、花もほぼ同時期に咲くのですが、ヤブムラサキは全体に毛が多く、花を比較しても、ヤブムラサキのガクは毛深く中~深裂するのに対し、ムラサキシキブのガクは無毛で浅く5裂しています。
なお、ムラサキシキブは高さ3mほどになる落葉低木で、園芸店などで「ムラサキシキブ」としてよく販売されているのはコムラサキ(別名コシキブ)で、ムラサキシキブの仲間ですが、別の種類の木です。
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泉北NT近郊の水辺シリーズ、本日はトンボの仲間、ハラビロトンボです。
ハラビロトンボは、平地や丘陵地の、水生植物の多い池や湿地で見られるトンボです。 どのトンボも幼虫(ヤゴ)は水中で生活しますが、ハラビロトンボは成虫になっても、発生地からはあまり遠くまで行ってしまわないようです。
名前のとおり、腹部の幅が広いトンボですが、特にメスの腹部は幅広く、黄色と黒色とのまだら模様になっています(下の写真)
メス
上と同じ個体の顔のアップ
オスは、メスほどには腹部の幅が広くありません。 最初はメスに似た黄色い体色ですが、成熟していくにつれて黒く変化し、真っ黒い時期を経て、青い粉がふき出してきます。 青く輝く前額が美しいトンボです。
褐色のオス 6月1日の撮影です。
上の個体の顔のアップ
黒から青に変化しつつあるオス ほんの一部に褐色が残っています。
※ 3枚目の写真を除いて、写真をクリックすると拡大します。
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堺市にもカギモンハナオイアツバがいました。
カギモンハナオイアツバは、本州、四国、九州に分布しますが、記録は少なく、稀な種で、レッドデーターブックに載せている県もあります。 生活史もよく知られていなくて、幼虫の食草なども不明です。
オギなどがある河川敷など、水辺周辺の草原で見つかるガですが、6月24日のオナシカワゲラのところでも書いたように、泉北ニュータウン付近の地下には水を通さない粘土層が多く、あちこちで水の枯れない湧き水の流れが見られます。 このガもそんな流れの側にいました。
しかし、珍しいガだと書きましたが、多くの人がこのガを見た時に、注目するとは思いません。 昆虫に少し関心のある人でも、ガの種類は多く、「また知らないガがいる」くらいで終わってしまい、見逃されているケースも多いと思います。
カギモンハナオイアツバは、頭部から背中にかけて筋状に隆起している不思議な格好のガです。 名前の由来は、翅に鉤型の紋があり、鼻を背負っているように見えるとここからです。 芥川龍之介の小説「鼻」を連想してしまいますが、この“鼻”の正体は、長くなった「下唇ひげ」です。 ただし、写真のように“鼻”の長いのはオスで、メスの“鼻”は短いようです。
アツバガの仲間はたくさんいるのですが、「アツバ」の意味は、少し調べたのですが、分かりませんでした。
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ホウネンエビは「豊年エビ」で、これがたくさん発生した年は豊作になるとも、豊作の年にたくさん見られたからだとも言われています(結局は同じこと?)。 なぜホウネンエビが豊作につながるのかは分かりませんが、ホウネンエビとカブトエビは同じ田に見られることが多く、カブトエビは田の土の表面をかき混ぜることで発芽したばかりの雑草を引き抜くことになり、雑草抑止効果があるとされています。
ホウネンエビも、6月29日に記事にしたカイエビ同様、乾燥に耐える卵で冬を越し、水田に水が張られると、数日のうちに孵化します。 体長は2cm程度、半透明で、青みを帯びた個体や、上の写真のように緑色を帯びた個体も見られ、泳ぐ姿は優雅で楽しめます。
普段は腹側を上にして、胸部にある鰓脚を動かして泳いでいます。 いざとなればけっこう速く移動できるので、フィルムケースで捕らえるのには苦労しました。
写真で、頭から出ているのが第1触角です。 第2触角は、メスでは小さいのですが、オスでは発達し、先が枝状に分かれていて、メスを捕まえるのに使われます。 ただし普段は丸めています。 上の写真は、卵の入った保育のうを持っているメスです。 そして下の写真はオスですが、両者を比較すると、オスの頭の部分がモコモコしているように見えますが、これは第2触角を丸めているためです。
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