カキノハグサ
和歌山県北部の龍門山にカキノハグサが咲いていました。 まだつぼみが多く、多くの花が見られるのはこれからのようです。
カキノハグサは、大阪府下では、大阪府と和歌山県の境にある和泉山脈の大阪側の麓ではよく見られますが、他で見たことはありません。 北の六甲山系にはあるようですので、不思議な分布です。 全国的にも、分布の中心は、近畿地方と東海道で、静岡県から西、岡山県から東の地域に限定されているようです。
カキノハグサの名前は、葉が柿の葉に似ているからですが、花の色も柿の実の色です。
花の形は変わっています。 この特徴のある花の形は、このブログの'07年4月18日に載せたヒメハギの仲間(ヒメハギ科ヒメハギ属)で、基本的な花のつくりはヒメハギと同じです。
もう少し丁寧に一つの花を見ていきましょう。
ガクは5枚ありますが、そのうちの上の1枚と下の2枚は緑色ですが、側片の2枚は大きく花弁状になり、両手を広げて万歳をしているように、斜め上に伸びています。
花弁は3枚です。 重なり合ってオシベやメシベを包み込み、根元の方はくっつきあって筒状になっています。 下側の花弁の先には鶏冠のような飾りがついています。
オシベやメシベは外からは見えません。
花の断面を作ってみると(下の写真)、下の花弁には節があり、そこから先が丸くなっていて、虫が入ってくると下に折れ曲がるしくみになっています。 そしてその丸い部分に保護されて、メシベの柱頭やオシベの葯があります。
8本のオシベも基部がくっついて筒状になり、メシベを取り囲んでいます。
上の写真は花の断面をオオバギボウシの葉の上に載せて撮っています。 オオバギボウシ(もちろん自生)も龍門山ではたいへん多い植物です。
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コメント
カキノハグサの分布
京都府下ではどうなんでしょうか?
南部のほうだったら見れるかも?
投稿: わんちゃん | 2008年6月 5日 (木) 23時41分
比叡山にはたくさん生えているとは聞いていますが、詳しくは知りません。山にしか無いと思います。
投稿: そよかぜ | 2008年6月 6日 (金) 00時44分
比叡山ですかぁ?
延暦寺は遠足で行ったことがあります。
そんな程度です。
比叡山も歩けばたくさんの山野草に出会えそうですね?
ヨシ!!機会があれば行くぞ~~
投稿: わんちゃん | 2008年6月 6日 (金) 13時26分
私もよく知らないのですが、比叡山の山頂は舗装道路の走る“町”ですから、カキノハグサのあるのは中腹かな?
投稿: そよかぜ | 2008年6月 7日 (土) 00時48分
そよかぜさん おはようございます
さすがそよかぜさんです。 カキノハグサの花をちゃんと確認されていますね。
私もヒメハギの花に興味があって、花を観察してみました、柱頭が2つに分かれているという面白い形をしていました。
カキノハグサはこちらでは見られないので、お尋ねしたいのですが、柱頭は2つに分かれているのですか?
投稿: なかなか | 2009年5月 8日 (金) 07時12分
なかなかさんのヒメハギの柱頭の様子、ていねいな観察の成果ですね。
カキノハグサについては、なかなかさんの場合のようにていねいには見ていませんので自信は無いのですが、ヒメハギの前方の柱頭に相当する部分だけだと思います。ただ、この部分が発達していて、柱頭の前後にある小突起も、かなり立派なものになっています。
投稿: そよかぜ | 2009年5月 8日 (金) 22時39分
そよかぜさん こんばんは
カキノハグサの柱頭はかなり立派で、ヒメハギとはまた違った形なのですね。 花の大きさも大きいようですし、色も形も違っているとなると、訪問昆虫が違う可能性もありますね・・・
情報ありがとうございました。カキノハグサも花のようすを見てみたいものです。
投稿: なかなか | 2009年5月 9日 (土) 20時21分
私も機会があればカキノハグサの訪花昆虫を調べてみます。
以前スマトラ島で、ヒメハギそっくりのつくりで、カキノハグサよりずっと大きな花を見たことがあります。ヒメハギタイプの花のつくりで、いろんな大きさの訪花昆虫に対応できているようです。
投稿: そよかぜ | 2009年5月10日 (日) 08時24分