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2008年6月30日 (月)

コハンミョウ

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 昨日記事にしたカイエビを採集していた時に、足元に来て餌を狙っていたのが、このコハンミョウ君です。 自宅に招待し、冷蔵庫で涼んでいただいてから撮影しました。
 ハンミョウの仲間も種類が多く、よく知られているハンミョウ(ナミハンミョウ)は美しいのですが、他の種類でよく見かけるのは、多くは褐色系です。 '07年5月10日に載せたニワハンミョウともよく似ていますが、斑紋の様子も大きさも異なります。
 ハンミョウの仲間は開けた場所で生活しています。そのため、視覚、走る速さ、素早く翅を広げる能力などに優れています。 写真を見ても、大きな複眼や、スラリと伸びた脚が印象的です。

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2008年6月29日 (日)

カイエビ

 田んぼでT型をしたものがウヨウヨ。 カイエビの交尾です。 カメラのレンズを水につける訳にも行かないので、持って帰りましたが、Tは-と l に“解散”してしまっていました。
 T型というのは、横向きのカイエビの腹側中央に別の固体が頭を付着させた姿で、たぶん交尾でしょう。 カイエビの生殖器のつくりは知りませんが、卵塊はメスの体の中央部の背中側に、半透明の“貝殻”の内側に透けて見えます。
 カイエビは、名前のように二枚貝のような甲羅を持っていて、活発に泳ぎます。 体長は8mm前後、頭部と、30節のそれぞれに一対の鰓状の付属肢体をつけて体の大部分を占める胸部、それに短い腹部から成ります。 頭部には、短く目立たない第1触角と、基部から2本に分かれた長い第2触角(左右合わせて計4本あるように見えます)があります。 耐久卵で水のない時期を過ごし、田んぼに水が入ると発生します。

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   オスを横から 左右一対の第2触角が目立ちます

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   腹側から

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   メスを横から(左)と背中側から(右) 白いのは卵塊です

 カイエビは、この時期に田んぼで見ることのできるカブトエビホウネンエビの仲間です。 これらの動物は、いずれも分類学的には、節足動物門・甲殻綱・鰓脚亜綱に属します。(ミジンコもこの仲間です)
 大雑把に言ってしまうと、カイエビやミジンコは体が背と腹の方向に広がり、カブトエビは左右の方向に広がり、ホウネンエビは“貝殻”を失ったと考えればよいでしょう。
 これらの仲間の共通点は、遊泳脚が鰓の役割も兼ねていることや、乾燥に耐える卵を産み、温度や水分の条件が整うとふ化し、短期間で生殖活動ができるまでに成長することなどがあげられます。
 写真はカイエビだと思いますが、この仲間は、トゲカイエビ、ヒメカイエビの仲間、タマカイエビなど、日本では7種類ほどが知られています。 世界的には200種ほどが知られています。

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2008年6月28日 (土)

ヒメスズメバチ

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 “お化粧中”のヒメスズメバチに出会いました。 撮影のチャンスです。
 マムシなどでもそうですが、強くて自身があまり襲われる心配の無い生物は逃げませんから、写真には撮りやすい生物です。 特にヒメスズメバチは、大阪でよく見る5種類のスズメバチの仲間のうちでは、オオスズメバチに次いで大きい(とまっているのはヒラドツツジの葉の上ですから、おおよその大きさは想像していただけるでしょう)のですが、スズメバチの仲間ではわりあい“おっとりした”性格です。 こちらが知らないうちに巣に近づいて、巣を守ろうとする行動を取られる時意外は、刺激するような行動を取らない限り、かなり近づいても大丈夫です。
 いろんな角度で撮影し、正面に回りこんで顔のアップを撮ろうとした時に、“お化粧”の終わったヒメスズメバチが“離陸”しました。 下の写真は“離陸”直前で、前足は既に葉を離れています。 レンズとの距離は数cm、大迫力でした。

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clip 眼がどれか分からないというコメントをいただきましたので、上と同じ写真に顔の各部の名称を入れたものを下に追加しておきます。
 複眼はアンテナの付け根の部分がへこんで、いびつな形になっています。
 頭楯(とうじゅん)の形も、分類時のポイントの一つです。

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2008年6月27日 (金)

マルバデイゴ・サンゴシトウ

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    マルバデイゴ

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    サンゴシトウ

 来る夏を予告するかのように、マルバデイゴもサンゴシトウも、今が花盛りです。 これらの熱帯花木は温度さえあれば季節を問わず花をつけるようですが、落葉の冬を終え、新しく展開した葉で光合成を行い、花を咲かせるに足る養分を蓄えて花芽を形成し、その花が咲くこの時期が、それぞれの枝の条件が揃っているため、一番多くの花をつける時期です。
 マルバデイゴとサンゴシトウは、きわめて近縁の植物です。 ところが花の向きが上下まるで逆さまになっています。 そこで今日はこの両者を並べて載せてみました。
 写真の花で分かるようにどちらもマメ科の木なのですが、マルバデイゴの花の旗弁は下になっていて、サンゴシトウの多くの花の旗弁は、他の多くのマメ科の花のように上を向いています(上の3枚の写真を比較してみてください)。

one マルバデイゴ(丸葉梯姑)
 沖縄にはデイゴという木がありますが、マルバデイゴというのは、デイゴに似て(同じ仲間です)、葉の形が丸いところからの名前です。 原産地はブラジル南部です。
 このマルバデイゴとよく混同されている植物にアメリカデイゴ=カイコウズ(海紅豆)がありますが、こちらの方は小葉が細長く、葉の先端が尖り気味です。
 マルバデイゴの花は鳥媒花です。 花の赤い色は鳥好みで、昆虫は人には見えない紫外線領域が見えるのですが、昆虫には赤は見えないのです。 そして鳥の硬いクチバシでつつかれても耐えられるように、ガクは厚く硬くなっていて子房を保護し、花弁も厚くなっています。 そして昆虫より体の大きな鳥を満足させられるように、蜜をいっぱい蓄えます。 下の花の断面の写真で、花の付け根に蜜を蓄える広いスペースがあるのが分かります。(ここに蓄えられていた蜜は、断面を作る時にこぼれてしまいました。)

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 上で、マルバデイゴの花は、他の多くのマメ科の花とは逆に、旗弁が下を向いていると書きました。 この花のつくりは、どのような意味を持っているのでしょうか。
 じつはハチドリのような鳥がマルバデイゴの花を吸蜜に訪れたとき、オシベの葯とメシベの柱頭は、ちょうど鳥の頭が触れる位置にあるのです。 でも、そのような鳥のいない日本では、種子もできず、鳥のための多量の蜜も、その一部がアリに利用されるだけです。

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 この花を見つけたら、近くで枯れたイネ科の草を探してください。 このイネ科の草の節間を切り取って小さなストローを作り、花に差し込んで吸うと、甘い蜜が口の中に広がります。

two サンゴシトウ(珊瑚刺桐、珊瑚紫豆)
 サンゴシトウはヒシバデイコ(菱葉梯梧)とも言われています。 漢字で書かれる場合に最もよく使われる「珊瑚刺桐」は、「珊瑚」は花の色から、枝に少しトゲがあるので「刺」、葉が桐のようだというので「桐」というわけです。
 このサンゴシトウは、シドニー植物園で、アメリカデイコとエリツリナ・ヘルバケアの交配により作られた園芸品種なのです。 エ・ヘルバケアは草本ですので、草と木の交配というたいへん珍しい交配です。
 人工的に作られた植物なので、人にとって美しく見えることが全て。 受粉のしくみはいいかげんです。 そのため花の向きはマメ科本来の旗弁が上になっている花が多いのですが、アメリカデイゴの血も引いているため、横を向く花も出てきます。 旗弁もマルバデイゴのように大きく開きませんので、花は筒状に締まって見えます。

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2008年6月26日 (木)

ドクガ

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 昨年の10月16日のこのブログでチャドクガについて書きましたが、今回は正真正銘のドクガです。 前翅の先端に近いところの黒い斑点は、1対のこともあります。
 ドクガの2齢以降の幼虫は鋭い毒毛を持ち、成虫や蛹に毒毛は生えていません、繭の表面にも成虫のメスの尾毛にも幼虫の毒毛が付着していますので、触れると毒毛による被害を受けることになってしまいます。 このあたりのことは、チャドクガとほとんど同じです。
 このように、幼虫も繭も成虫も人間に被害をもたらすわけで、嫌われても当然という気もしますが、成虫は何も食べずにいると聞くと、同情心も沸いてきます。
 成虫は6月~8月に見ることができます。 幼虫はカキ、サクラ、コナラ、イタドリなど、いろんな植物の葉を食べて育ちます。

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2008年6月25日 (水)

クチナシ

 クチナシの花の季節です。 散歩していると、あちこちからクチナシの花の甘い香りが漂ってきます。
 クチナシも園芸的に改良が進み、八重咲き、大きな花、小さな花など、様々な花を見ることができます。

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 でも私は、野生タイプに近い一重の花(下の写真)が、清楚さもあって好みです。
 野生のクチナシは、東アジアに広く分布し、日本でも静岡県以西の暖地の沿岸域の、尾根筋の明るいマツ林などの、やや乾燥した場所などに生育しています。

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 上の写真の花を咲かせる木は、野生型に近く、毎年たくさんの実をつけます。 下は1月に撮ったものですが、クチナシ(口無し)の名前は、この実が裂開しないところからの名前です。 この実は黄色の天然着色料として、栗きんとんの色付けなどに使われます。

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 クチナシが黄色の色素を持っていることなど、白い花を見ている限りは想像すらできません。 しかし、この白い花も、落花すると黄色くなります。 この黄色が実の黄色と同じ色素かどうかは分かりませんが・・・ でも、少なくとも枯れて茶色っぽくなった色とは違うようです。

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2008年6月24日 (火)

オナシカワゲラ

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 上はオナシカワゲラ科の一種だと思うのですが・・・
 水生昆虫の代表格であるカゲロウやカワゲラのほとんどの幼虫は、カゲロウでは3本の尾毛を持ち、カワゲラでは2本の尾毛を持っています。 この尾毛の様子は成虫になっても維持されます(カゲロウの成虫が3本の尾毛を持っていることは、ガガンボカゲロウをご覧ください)。
 ところがオナシカワゲラなどでは、この尾毛が見当たりません。 実際には2本の尾毛を持っているのですが、短くて翅に隠れてしまっています。 ですから“尾無しカワゲラ”です。
 写真の個体は、体長約1cm、泉北ニュータウン内の公園にいたものです。 泉北ニュータウン付近の地下には水を通さない粘土層が多く、あちこちで湧き水が見られます。 この公園でも湧き水を利用して渓流のような場所が作られているのですが、そこで育ったものと思われます。
 オナシカワゲラ科の仲間は、珍しくないカワゲラではあるのですが、カワゲラの仲間は分類が難しく、種名まではわかりません。

◎ オナシカワゲラ科と思われるもの(上と同種?)はこちらにも載せています。

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2008年6月23日 (月)

ガクアジサイ

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      (写真はクリックで拡大します)
 梅雨の雨にアジサイの花がよく似合います。 最近ではさまざまなアジサイの仲間が園芸店の店先を飾っています。
 アジサイの仲間は、たくさんの花が集まって咲くことはよく知られています。 ガクアジサイでは、花序(「花のつき方」の意味ですが、ここでは「多くの花の集まり」の意味で使っています)を構成している花に2種類あります。 周囲にある目立つ花を「装飾花」と呼び、これは本来は花の存在を目立たせて虫を引き付けるための花で、種子を実らせることはできません。 そして、中心部に集まっている小さな花を、オシベとメシベが揃っている花ですので、「両性花」と呼んでいます。
 庭に植えて大きくなる、昔からのなじみのある装飾花ばかりのアジサイは古くにガクアジサイから装飾花の多いものを選び続けて作られた園芸種でしょうが、ガクアジサイは本州や四国の太平洋側の海岸に野生することが知られています。 私たちが普通目にするガクアジサイは、やはりよりきれいな花を求めて作られた園芸種ですが、まだ野生的な性質を残していると言えるでしょう。
 ガクアジサイの装飾花では、花のガクが大きく発達しています。 だからガクアジサイ・・・ではありません。 もしそうなら、装飾花ばかりの普通のアジサイの方が、よほどガクアジサイです。 ガクアジサイの名前は、両性花を取り囲む装飾花を額縁に見立てた“額アジサイ”なのでしょう。 ちなみに、アジサイに「紫陽花」の漢字を当てはめるのは誤りです(下のclip)。
 上に書いたように、装飾花は生殖活動が目的ではありません。 ですから、上の写真でも下の写真でも、両性化は花開き花粉を出しているのに、装飾花の花弁はまだ開いていません。 装飾花は早くからガクのみを開き、遅くまでガクをそのままで保ちます。
 虫媒花の花は①虫を引き寄せ、②花粉を媒介してもらわなくてはなりません。 ガクアジサイの花は、この①と②を装飾花と両性花で分担することで、両者の機能をより充実させようとしている花なのです。

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clip 「紫陽花」とは、唐の詩人白楽天の詩にみられる植物で、中国の招賢寺にあり、色は紫で芳香を放つ仙界の麗花(この植物が何であったかは不明)の名前なのですが、昔、アジサイに漢名をあてはめる必要に迫られたとき、この詩に書かれている植物がアジサイに違いないと、この漢字を当てはめたのですが、アジサイが芳香を放つとは言えないでしょうし、アジサイは中国渡来の植物ではなく、上に書いたように日本に自生していた植物です。
 現代の中国では、アジサイは綉球、天麻裏花、八仙花などと、さまざまに表現されていますが、日本から持ち込まれた園芸的に改良された花であることを示す名前が多くなっています。 日本で間違った「紫陽花」も、日本から“逆輸入”して使用されているようです。
 天麻裏花は「テマリ花」から来ているのでしょうが、八仙花は、両性花を取り囲むガクアジサイの装飾花を、8人の仙人に例えたのかもしれません。

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2008年6月22日 (日)

キスジホソマダラ

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 交尾中のキスジホソマダラです。 交尾中の昆虫は、オスとメスの比較ができるので、違いを理解するには便利です。 この写真では右がオスで左がメスです。
 産卵のためにはオスとメスが出会わなくてはなりませんが、その場合、一般的には卵を持つメスはあまり動かず、オスがメスを探して行動する場合が多くなります。 ですから、オスはメスの出すフェロモンを受け取るために触角が発達します。 キスジホソマダラの場合も、メスの触角が太めの糸状であるのに対し、オスの触覚は櫛歯状になっています(写真をクリックして拡大してご覧ください)。
 キスジホソマダラは、マダラガ科クロマダラ亜科に分類されます。 マダラガ科は熱帯に多い種類で、翅がよく発達しています。 キスジホソマダラも、灯火にも飛来しますが、花に集まるなど、日中によく行動する蛾です。 そんなキスジホソマダラでも、触角に雌雄の差が見られるのは、オスがメスを探すときには視覚にのみ頼っているのではないということを示しているのでしょう。
 幼虫はササやススキなど、イネ科の葉を食べて育ちます。

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2008年6月21日 (土)

キンモンガ

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 昼間に活動し、とまるときは写真のように翅を広げています。 体つきもほっそりしていますし、触角も細く、花を訪れているときなどは、チョウのようです。
 金色の紋があるのでキンモンガですが、九州では紋の白っぽいものが多いようです。
 アゲハモドキガ科に分類され、分布は、本州、四国、九州。 6月から7月によく見られます。 といっても、幼虫が食べるのはリョウブの葉ですので、近くにリョウブの生えている林の近くということになります。

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2008年6月20日 (金)

ゴマダラチョウ

 エノキの葉の上でゴマダラチョウの幼虫を発見しました(H20.6.14.堺市南区畑)。 エノキは幼虫の食樹です。
 ゴマダラチョウの幼虫は、よく葉の表にいます。 これで鳥などに食べられてしまわないのか、心配です。
 このような幼虫の撮影は、逃げられる心配がなく、安心です。 葉の位置を変えたりして、さあ写そうとファインダーをのぞくと、写真のような姿勢を取っていることに気づきました。 背中を丸めて頭部を体の下に隠し、角を低く突き出しています。 防御姿勢なのでしょうが、この姿勢にどのような意義があるのか、分かりません。

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 ゴマダラチョウの成虫は黒地に白のまだら模様が特徴で、名前は「胡麻斑蝶」の意味でしょう。 ただしこの黒と白の比率は発生時期で違っていて、春型は夏型に比べて白紋が大きく、白っぽく見えます。 また、メスはオスに比べて黒色が薄い傾向があります。
 下の写真は5月14日に写したもので、春型のオスでしょう。

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 ゴマダラチョウは雑木林に生息し、花を訪れることは少なく、クヌギなどの樹液やカキなどの腐った果実、獣糞などにやって来て汁を吸います。 昨年も夏に樹液に来ているゴマダラチョウに会えました。 今年もこれから夏型に出会えることでしょう。
 ゴマダラチョウはタテハチョウ科に分類されています。 オオゴマダラはマダラチョウ科で、他人の空似です。

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2008年6月19日 (木)

モンウスギヌカギバ

 蝶は美しく蛾は気持ち悪い、というイメージを持っている人も多いようですが、ドクガの仲間の存在がそうさせているのでしょうか。 しかし、日本にはチョウやガの仲間が3500種類知られていますが、そのうちでチョウが250種類、他はすべてガです。 ですから、ガの仲間にはいろんなものがいて、美しく、翅の模様のデザインもおもしろい種類がたくさんいます。
 モンウスギヌカギバも、美しくデザイン的にもおもしろいガだと言ってよいでしょう。「ウスギヌ」の名前のように、翅は少し透けていて(写真をクリックして拡大してご覧ください)、優雅な感じがします。 開張は4cm前後、カギバガ科に分類されるガで、幼虫はアラカシやシラカシなどを食べて育ちます。
 下の写真は、'08年6月14日に、堺市南区槇塚台で撮ったものです。

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 カギバ科の成虫は、中型の大きさのものが多く、体に比べて翅の面積が大きくなっています。 触角はオスもメスも櫛歯状で、口吻は退化傾向にあります。 「カギバ」は、前翅の先がかぎ形に突出する傾向にあるところからです(モンウスギヌカギバでは、前翅の先端はかぎ形に曲がっていますが、突出はしていません)。

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2008年6月18日 (水)

オオウスベニトガリメイガ

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 アカメガシワの葉の裏にオオウスベニトガリメイガ(もしかしたらキモントガリメイガかな?)がいました。 写真を撮るために葉をそっとめくると、その場でクルッと回転して頭を上にします。 かなり素早い行動なのですが、飛び立つ気配は全くありません。
 触角を背中に密着させ、のけぞって腹部の端を持ち上げて翅を下に下げ、4本足で立つ独特の姿勢も、たいへんおもしろいものです。
 このような行動や姿勢がどのような意味を持つのか、今のところは何も思いつきません。 野外のいろんなケースでの観察が必要だと思います。
 色はどちらかというと地味系ですが、前翅前縁の“線路模様”も印象的です。
 オオウスベニトガリメイガは、メイガ科(Pyralidae)シマメイガ亜科に分類され、5月から8月にかけて観察されています。
 昨日のモノサシトンボに続いて、写真の個体でも、頭部と胸部の境にダニが寄生しています。

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2008年6月17日 (火)

モノサシトンボ

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 水辺の木陰にモノサシトンボが数匹。 14日の散歩では、モノサシトンボ以外にも、ハラビロトンボ、コシアキトンボ、シオカラトンボなどなど、たくさんのトンボの仲間に出会いました。 いつの間にかトンボの季節の真っ只中になっているのですね・・・
 モノサシトンボは、イトトンボの仲間としては大型です。 名前は腹部にものさしの目盛に似た模様があるところからですが、これに似た模様を持つイトトンボの仲間はたくさんいて、むしろ足の白いところに注目する方が間違わないかもしれません。 中足と後足の白色の部分は、グンバイトンボほどではないにしても、少しだけですが、幅広くなっています。 足の長さも長めです。
 上の写真の胸部の橙色の点はダニです。

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2008年6月16日 (月)

ヤハズハエトリ

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 6月8日のアリグモに続いて、特徴的なハエトリグモの仲間をもう1種、ヤハズハエトリのオスです。 ネズミホソムギの穂の上にいました。
 最初はクルッと、この細い穂の裏に回って見えなくなりましたが、そっと穂をねじって見えるようにすると、今度は動かないほうが得だと思ったのか、頭を下にして脚をいっぱいに伸ばしたままの姿勢でいました。
 ヤハズハエトリもハエトリグモの仲間ですから、網を張らず、待ち伏せたり襲いかかったりして餌をとります。
 写真のような状態では、たしかに色は白と黒で、穂の色と全く違い、存在は目立つのですが、ただでも細い体でこれだけ細い姿勢を取られると、クモだというイメージはなくなります。 こんな擬態もあるのですね。
 ヤハズハエトリは、写真のようにイネ科の草の上でよく見られます。 出現時期は5月から9月にかけてです。
 オスは写真のように頭胸部が黒地に白のだんだら模様で、腹部は黒地に矢はず状の白い模様があります。 第一脚がたいへん長くなっています。
 ちなみにメスは、頭胸部は白灰色に茶褐色まだら、腹部は銀灰色に二条の黒茶色のタテオビ模様があります。

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2008年6月15日 (日)

ウメエダシャクとカノコガ

 ここ1週間ほど、飛び回っているウメエダシャクの姿をよく見ます。 今、この文を書いている窓の外でもヒラヒラ飛んでいます。 どのような理由によるのか、少なくとも私の家の周辺では、今年はかなり広い範囲でウメエダシャクがたくさん発生しているようです。
 そして14日の散歩では、あちこちでカノコガに出会いました。 ウメエダシャクほどは飛び回りませんが、やはり昼間に飛びます。
 両者は、分類的にはかなり離れているのですが、雰囲気の似たガです。 翅は黒地に白っぽい模様で、触角は細く、胸部や腹部の模様も黒と黄色です。 そしてどちらもよく見るガで、発生時期も重なります。 そこで、今までも左の「マイフォト」に両者の写真を載せていましたが、改めて両者の写真を並べて比較してみることにします。

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  ウメエダシャク

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   カノコガ

 ウメエダシャクは、シャクガ科エダシャク亜科に分類されます。 6~7月に年1回発生し、幼虫が食べるのは、名前のとおりウメやモモなどのバラ科が主ですが、マユミ、エゴノキ、ガマズミなど、さまざまな木の葉を食べることが知られています。
 一方のカノコガは、ヒトリガ科のカノコガ亜科に分類されたり、独立したカノコガ科とされることもあります。 名前は翅の「鹿の子模様」から来ています。 幼虫はシロツメクサ、ギシギシ、タンポポなど、草原の雑草を食草としていると言われています。 幼虫で越冬し、成虫は6月と8~9月の、年2回発生します。

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   ウメエダシャク

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   カノコガ

 両者は翅の表側から見るほうが違いがはっきりします。 ウメエダシャクには、頭部や胸部に黄色の部分があります。 腹部の黄色の部分もウメエダシャクの方が多く、黄色と黒が縞模様になっています。 また、ウメエダシャクの方が、翅の模様が複雑です。
 すこし気づきにくい特徴なのですが、カノコガの後翅がたいへん小さいというのも、分類上のちがいからくる大きな違いです。
 カノコガの仲間でキハダカノコというガがいます。 名前のとおり頭部も胸部も腹部も黄色と黒で、いっそうウメエダシャクに似てくるのですが、上に書いた翅の大小や模様の複雑さの違いは、ウメエダシャクとキハダカノコを区別するときにもあてはまります。

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2008年6月14日 (土)

チュウガタシロカネグモ

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 チュウガタシロカネグモは、アシナガグモ科シロカネグモ属のクモです。 「シロカネ」は腹部が銀白色に輝くところから、「チュウガタ」は渓流沿いにみられるオオシロカネグモや林周辺などにいるコシロカネグモなどに対しての名称ですが、チュウガタシロカネグモには腹部の前方に1対の黒斑があることから、他のシロカネグモの仲間と区別できます。

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2008年6月13日 (金)

シナヒラタヤドリバエ

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 上の写真は、5月24日に堺市南区鉢ヶ峯寺の草地で、下の写真は、6月7日に堺市南区岩室で撮影したものです。 5月24日には、近くに数頭いました。
 シナヒラタヤドリバエと思われますが、この仲間も、きっちりとした同定はヤドリバエの専門家でないと無理なようです。 でも、ヒラタヤドリバエの仲間であることには違いないでしょう。
 ヒラタヤドリバエ亜科は、以前はヒラタハナバエ亜科と呼ばれていました。 顔が上口部とくっついて、鼻のように少し突出しているのが、この仲間の特徴です。
 この仲間は、カメムシ専門の寄生バエです。 シナヒラタヤドリバエはスコットカメムシやイネ科植物の汁を吸うエビイロカメムシなどに直接卵を生みつけるので、上の写真の個体は後者あたりを狙っていたのかもしれません。

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 シナヒラタヤドリバエの後腹部の黒い色は、雄に限ってはこの模様が消失する事もあるようです。

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2008年6月12日 (木)

イモサルハムシ

 コヒルガオにイモサルハムシがいました。 なかなか美しいハムシ(=葉を食べる虫)てす。

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 「○○サルハムシ」という名のハムシが何種類かいます。 みんな丸い体型のハムシです。 どこが「猿」なのかと思っていましたが、どうやら「くくりザル」に似ているところからのようです。 このくくりザルというのは、手足を縛られた猿をかたどったぬいぐるみで、本能的な欲のままに行動する猿を人間の中にある欲望に喩え、人間の中にある「欲望」が動かないようにということのようです。
 ところで、なぜコヒルガオに「イモ」サルハムシなのでしょうか。 じつはサツマイモはコヒルガオなどと同じヒルガオ科の植物なのです。 イモサルハムシはサツマイモの葉にもコヒルガオの葉にも来るということです。

 下はこのイモサルハムシのいたコヒルガオ。

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 こちらのコヒルガオの花には、マルカメムシとアリが来ていました。

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2008年6月11日 (水)

ゴミグモ

 ゴミグモの巣がありました。 下の写真、左右と上に大きくはみ出して、円形の大きな巣が写っています。 その中央にたくさんの糸を重ねて白く目立つようにした円形のかくれ帯(おび)があります。 そして、そのかくれ帯を貫くように、食べかすなどで作った細長いゴミのかたまりがあります。 クモはこのゴミのかたまりの上にいるのですが、写真に写っていない側です。

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 下の写真は、上の写真の反対側を少し斜めから撮ったもので、今度はクモがちゃんと写っているのですが、分かりますか?

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 クモを探すコツは、ゴミの固まりは細長いのですが、それに目を奪われず、円形の網の中心を見てください。 ゴミグモは、ほとんどいつも円形の網の中心にいます。
 なんとなく足のようなものがあるのが分かると思います。
 下の写真はその部分の拡大で、ゴミグモが大きく写っています。 分かりましたか?
 ゴミの中に潜っているのではありません。 これでちゃんと全身が写っています。 存在が分かっているのに見えない、まるでステルスです。

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 上の写真では、6本の足をそろえて頭胸部の大部分を隠しています。 残りの2本の足は腹部の横を後ろ(写真では上)に出しています。 腹部には、前方背面に2個、後方に6個の円錐状の突起があります。 これがいい目印になりそうなものですが、ゴミのデコボコに混じってかえって境が分からなくなっています。
 もう少し分かりやすくしようと、棒でつついて移動させようとしたのですが、どちらからつついても、いちど足を少し動かしただけで、全く動きません。 よほど隠蔽的擬態に自信があるのでしょうね。
 下は上と同じ写真に、腹部の円錐状の突起が分かるように、赤い線を入れました。 これで腹部の形も理解していただけるでしょう。

Gomigumo080607_4

 ゴミグモの仲間は日本には十数種類いて、多くは山間でみられるのですが、そのなかでゴミグモはごく普通のクモです。 たたし上のように、巣は簡単に見つけられても、ゴミグモそのものの姿を見るためには、注意深く観察する必要があります。

(以下、6月16日追記)
 この記事を読まれた七里さんが、ゴミグモを巣から引き離したときの顛末とよく分かるゴミグモの写真を載せておられます。 こちらから七里さんのページへどうぞ。

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2008年6月10日 (火)

聞いたことの無い鳥の声

 昨日書いたニホンノウサギに会っての帰り道、何か虫はいないかと草むらの中に入っていくと、鳥が鳴き続けているのに気がつきました。 そして鳴きながら目の前を何度か横切ります。 聞いたことの無い鳴き方で、最初は鳥の種類も分かりませんでした。
 撮影してみると(肉眼では分かりません)、ウグイスです。 今まで聞いたことの無い鳴き方で、もちろんさえずりの「ホーホケキョ」でも谷渡りでも地鳴きでもありません。 それに下の写真のようにウグイスが姿を見せて鳴くのも珍しいことです。

Uguisu080607_1

 と、足元で草がガサッと揺れ、小さな声が!
 これで全てが理解できました。 どうやら知らないうちに、ウグイスの巣に近づいてしまったようです。 雛はもう歩けるようです。 ガサッと揺れる場所が移動します。
 親鳥は鳴き続けています。 注意を自分の方へ引き付け、私を雛から離したかったのでしょう。 必死な様子が伝わってきます。
 雛の姿を見たい気持ちもありましたが、膝より高い草丈で、ガサッと動く所は、すぐ近くなのですが、かなりの段差がありますので、あきらめました。
 聞いた鳴き声を帰ってからネットで調べてみましたが、この鳴き声を記録したページを見つけることはできませんでした。 この記事を書いていて、再度録音に行くべきだったと思いましたが、後の祭り。 次の土日には雛は育って、もういないでしょう。

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2008年6月 9日 (月)

ニホンノウサギ

 近くを散歩していて、ニホンノウサギに出会いました。 ニホンノウサギは夜行性ですので、これまで林の中を歩いていて糞を見かけることはあっても、姿を見ることはあまりありません。 ところがこの日は代かきを済ませた田の連なる所に出てきていました。 草刈りの済んだ田の畦で伸びたした雑草の新しい柔らかい葉を求めて出てきたのでしょうか?
 見ていると、おもむろに代かきをしたばかりの田を横切っていきます。 向かう方向の林を普段の生活場所にしているのでしょうが、大胆な行動で、人に慣れているようです。 これで植えられた稲の苗を食べたりしたら、害獣として嫌われるのでしょうね。
 ニホンノウサギの体は、全身褐色ですが、耳の先端が黒くなっています。

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2008年6月 8日 (日)

アリグモ(オス)

 堺市南区の林縁でアリグモを見つけました。 以前公園で見つけた時は下手に追いかけて1枚も撮れないまま逃げられてしまいました。 今回もクルッと葉の裏に回りましたが、今回はアリグモはハエトリグモ科のクモであるという知識があります。 ハエトリグモと付き合うつもりでじっとしていると、案の定、葉の表に出てきました。
 下は斜め後ろから写したもので、アリそっくりです。 この個体はオスで、大きな上顎を持っていますが、メスには大顎が無く、大きさからしてもクロヤマアリにそっくりです。

Arigumo080607_1

 昆虫の体は、頭部、胸部、腹部に分かれていますが、クモの体はは頭胸部と腹部に分かれています。 もちろんアリグモも頭胸部と腹部に分かれているのですが、頭胸部の前の部分は丸く盛り上がっていて、後ろの部分は円筒形になっており、まるで頭部と胸部に分かれているようです。
 さらに、昆虫の足は6本、クモの足は8本ですが、アリグモはいつも第1脚を前に伸ばしていますので、これが触覚のように見え、足は6本であるかのように見えます。
 このようなことから、アリグモとアリは“他人の空似”ではなく、アリグモはアリに擬態しているのだと考えられます。 ではなぜ擬態しているのでしょうか?
 以前は攻撃的擬態、つまりアリを捕食するためだと考えられていました。 アリに似ていることでアリが安心して近づいてくるというわけです。
 ところが、アリを捕食している観察例は無く、むしろアリが近づいてくると、アリグモはアリを避けるように行動することも観察されているということです。
 最近では、アリに似せることで外敵から身を守るという隠蔽的擬態であると考えられています。 アリは“翅を持たないハチ”です。 アリは外敵に対し、噛み付いたり蟻酸をかけたりして攻撃するので、このようなアリに似ることで敵を恐れさせ、身を守ろうとしているというわけです。
 このようにアリグモは上から見ても横から見ても後ろから見てもアリにそっくりです。 でも、正面から見ると、サーチライトのような眼は、まさしくハエトリグモの仲間の眼です(下の写真)。

Arigumo080607_2

 さらに、大顎を開いてはいけません。 こんなアリはアリマセン。(下の写真)

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(以下、6月9日追記)
 上で私が「サーチライトのような眼」と書いたものですから、「どれがその眼だ?」というコメントを連続していただきましたので、眼に関してもう少し詳しく書いておきます。
 クモの仲間は昆虫のような複眼を持たず、多くのクモは8個の単眼を持っています。 この8個の単眼は、多くのクモの場合は、上下ほぼ2段に4個ずつ並んでいるのですが、ハエトリグモの仲間では、下の写真のように、ほぼ1列に並んでいます。 このような眼の配列をしたクモの仲間は、ハエトリグモの仲間以外にはありません。

Arigumo080607_4

 この4種(左右に各2個)の眼のうち、前中眼が特に大きく(昆虫と比較すると、これが複眼ではなく単眼というのは驚きです)、これを「サーチライトのような眼」と表現しました。

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2008年6月 7日 (土)

コガクウツギ

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 「ウツギ」を漢字で書くと「空木」で、茎が中空になっているところからの名前ですが、「○○ウツギ」という名前の植物は、じつにたくさんあります。 分類的にも、ユキノシタ科、スイカズラ科、バラ科、フジウツギ科、ミツバウツギ科、ドクウツギ科など、多くの科に「○○ウツギ」が存在します。 花の色も形も様々で、これらの植物の共通点は、茎が中空または髄が柔らかいことです。
 昔の人はいちいち茎の断面を調べたのか? と、疑問に感じるかもしれませんが、花を活けようと茎を切れば分かりますし、採集して標本を作る時にも当然茎を切りますから、茎が中空またはそれに近いものであることは気づきやすい特徴なのでしょう。
 コガクウツギは、“額縁に相当する位置の花が目立つ小型のウツギ”の意味。 写真を見ても分かるように、アジサイの仲間で、ユキノシタ科に分類されます。 種子を生産するための両性化と虫を呼ぶための装飾花が混じって咲き、目立つ装飾花が額縁のように外側に位置しますが、コガクウツギでは装飾花が少ないため、額縁とは言えません。
 “兄弟分”のガクウツギと比べると、装飾花のガク片の長さはほとんど同じなのに、葉が小さく、花序もこじんまりしているので、装飾花が独立して大きく見えます。

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2008年6月 6日 (金)

フタリシズカ

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 2対、まれに3対の対生の葉の上に、通常2本の花穂が立っています。 この2本の花穂を、静御前の霊が若菜摘みの娘に乗り移り、霊自身とともに同じ衣装の二人が、義経が都を追われたときの様子を舞い、吉野の勝手社の神職に弔いを頼むという、謡曲の「二人静」に見立てています。

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 上で通常2本の花穂が立つと書きましたが、花穂の本数は1本のことも3本以上のこともあります。 下は“3人静”と“4人静”です。(もちろん全部フタリシズカです。)

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 花穂には白い丸いものが付いていますが、これは3本のオシベの花糸が太くなり、互いにくっついてカールしたもので、その中央にメシベを抱きかかえています。 ひとつの花はこれだけで、他にはガクも花弁もありません。
 オシベの葯は丸くなったオシベの内側にあるので、外から見える白い部分をオシベの葯だと思っていると、いつまで経っても花粉が出てこないように思えます。
 花粉を出し尽くすとオシベは落ちてしまいますので、この段階ではじめて外からメシベが見えることとなります(下の写真)。

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 上の写真で、既に受粉能力を失ったメシベの柱頭が黒く写っています。 オシベの付いていた跡を見ると、子房の横腹であることが分かります。
 フタリシズカはセンリョウ科に分類されています。 このブログの'07年12月10日でセンリョウについて書きましたが、子房の横腹におしべが付くところは、フタリシズカもセンリョウも共通です。

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2008年6月 5日 (木)

カキノハグサ

 和歌山県北部の龍門山にカキノハグサが咲いていました。 まだつぼみが多く、多くの花が見られるのはこれからのようです。
 カキノハグサは、大阪府下では、大阪府と和歌山県の境にある和泉山脈の大阪側の麓ではよく見られますが、他で見たことはありません。 北の六甲山系にはあるようですので、不思議な分布です。 全国的にも、分布の中心は、近畿地方と東海道で、静岡県から西、岡山県から東の地域に限定されているようです。
 カキノハグサの名前は、葉が柿の葉に似ているからですが、花の色も柿の実の色です。

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 花の形は変わっています。 この特徴のある花の形は、このブログの'07年4月18日に載せたヒメハギの仲間(ヒメハギ科ヒメハギ属)で、基本的な花のつくりはヒメハギと同じです。

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 もう少し丁寧に一つの花を見ていきましょう。
 ガクは5枚ありますが、そのうちの上の1枚と下の2枚は緑色ですが、側片の2枚は大きく花弁状になり、両手を広げて万歳をしているように、斜め上に伸びています。
 花弁は3枚です。 重なり合ってオシベやメシベを包み込み、根元の方はくっつきあって筒状になっています。 下側の花弁の先には鶏冠のような飾りがついています。
 オシベやメシベは外からは見えません。
 花の断面を作ってみると(下の写真)、下の花弁には節があり、そこから先が丸くなっていて、虫が入ってくると下に折れ曲がるしくみになっています。 そしてその丸い部分に保護されて、メシベの柱頭やオシベの葯があります。
 8本のオシベも基部がくっついて筒状になり、メシベを取り囲んでいます。

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 上の写真は花の断面をオオバギボウシの葉の上に載せて撮っています。 オオバギボウシ(もちろん自生)も龍門山ではたいへん多い植物です。

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2008年6月 4日 (水)

アオジョウカイ、キイロトラカミキリ

 昨日記事にしたアカガネハムシダマシ以外にも、キイシモツケの花には、ツマグロヒョウモン、セセリチョウの仲間、ハエやアブの仲間など、いろんな昆虫が来ていました。
 今日はそのうちの甲虫をもう2種類、アオジョウカイとキイロトラカミキリを紹介します。昨日のアカガネハムシダマシを加え、これで赤・青・黄が揃いました wink

アオジョウカイ
 ジョウカイボンの仲間(clip)は肉食ですので、最初は花に来る虫を狙っているのだと思いましたが、これほど顔に花粉がベッタリとついているということは、蜜も熱心に飲んでいるのでしょう。

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clip '07年5月17日の記事で、キンイロジョウカイ、セボシジョウカイ、クビボソジョウカイを載せています。

キイロトラカミキリ

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 カミキリムシ科カミキリ亜科に分類されます。 幼虫は各種広葉樹の朽木を食べ、成虫は花の蜜や花粉を餌にしています。
 キイロトラカミキリはこちらにも載せています。
 トラカミキリの仲間は、今までにトゲヒゲトラカミキリアカネトラカミキリを載せていますが、この仲間もたくさんの種類がいます。

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2008年6月 3日 (火)

アカガネハムシダマシ

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 キイシモツケに来ていた昆虫を紹介します。 アカガネハムシダマシまたはアカハムシダマシでしょう。 と、あいまいな書き方をしたのは、触角が11節あり、ハムシダマシ科の昆虫には間違いないのでしょうが、写真の昆虫の属するアオハムシダマシ属(Arthromacra)には似た種類があり、現在整理されつつある状態です(下のclip)。
 とにかく美しい昆虫ですが、写真ではその光沢がうまく表現できません。 下は露出をオーバー気味にしてみました。

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clip 詳しくはブログ「今坂正一の世界」の「今考えていること」をご覧ください。

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2008年6月 2日 (月)

キイシモツケ

 粉川寺の南、紀ノ川を越えたところに龍門山があります。 標高757mの山ですが、車だと私の家から1時間少しで行けますし、しかも標高450mくらいまでは車で行くことができる山です。
 この山には蛇紋岩(下のclip参照)が多く、蛇紋岩地帯は多くの植物にとっては育ちにくい環境ですが、このことが逆に他ではあまり見られない植物の存在を可能にしています。
 キイシモツケは和歌山県蛇紋岩地帯の特産で、シモツケ属の分布の西端にあたり、和歌山県指定の天然記念物になっています。 花期は龍門山では5月中旬から6月中旬で、今頃が一番の見ごろ。 6月1日に龍門山に登ってきました。 下の写真2枚、見えている川は紀ノ川、白く見えている花は、すべてキイシモツケです。

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 キイシモツケはイワシモツケの変種で、多くは白い花ですが、ところどころ下の写真のようにピンクが混じっている花も咲いていました。

Kiisimotuke080601_3

clip蛇紋岩について
 蛇紋岩は、変成岩または火成岩中の超塩基性岩に分類される岩石で、(Mg,Fe)3Si2O5(OH)4の化学組成を持つ蛇紋石を主成分とします。
 蛇紋岩は蛇紋石の他にクロムやニッケルを含んでいることが多いのですが、このうちのニッケルは植物に障害を与えることがあると言われています。 また多量に含まれるマグネシウムは、植物の水分吸収能力を低下させるとも言われています。

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2008年6月 1日 (日)

リンゴコフキゾウムシ

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Ringokofuki080531_2

 クズの葉の、特に縁が下の写真のようにボロボロになっている場所がありました(5月31日:堺市南区畑)。 葉の裏を見ると、リンゴコフキゾウムシがいて、あちこちで交尾していました。 どうも犯人はこのリンゴコフキゾウムシのようです。

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 昨年の5月9日にリンゴコフキゾウムシとして載せていた記事があるのですが、その時に見た種類とは、似ているのですが、どこか違います。 今回この記事を書くにあたって改めて調べなおすと、昨年の5月9日に載せていたのはコブヒゲボソゾウムシで、今回の写真のものがリンゴコフキゾウムシのようです。 もっとも、どこを調べてもリンゴコフキゾウムシがクズの葉を食べるとは書かれていないので、また間違っているのではないかという不安はあるのですが・・・
 今の私の理解では、リンゴコフキゾウムシもコブヒゲゾウムシも体表についている鱗片できれいな色に輝いているのは同じですが、リンゴコフキゾウムシはコブヒゲボソゾウムシよりも胸部の周りが太く、前肢の中間部に太さの違う段差があります。 触角もコブヒゲボソゾウムシよりも短く、鱗片の分布も少し違うようです。
 雨が降ってきたので、リンゴコフキゾウムシの撮影は家に持ち帰って行いましたが、すぐに交尾姿勢にはいりました。 交尾器もきれいに写すことができました(下の写真)。

Ringokofuki080531_3

 交尾は次のようなステップで行われました。 2組で観察し、同じステップをたどりましたので、普遍的な行動パターンだと思われます。

  1.  メスの後ろからオスが近づき、メスの背中に乗る。
  2.  オスはメスの背中でUターンしメスの腹部端を確かめる。
  3.  オスは再度Uターンし、自分の腹部端をメスの腹部端に近づける。
  4.  しばらくそのままの姿勢を維持し、落ち着いたところでオスが交尾器を出す。

 

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