カラスビシャク
まずは「半夏生(はんげしょう)」について。
二十四節気をさらに細分化したものに七十二候があり、その1つに「半夏生」があります。 夏至から数えて11日目(現在では天球上の太陽の位置からもう少し正確な定義があります)にあたり、農家にとっては、この日までに田植えを終える大事な節目の日でした。 この日は骨休めの日、私の子供の頃、ハゲッショ(半夏生のなまったものでしょう)と言って、主婦も家事を楽にできるようにということでしょう、アカネコ餅というものを作っていました。 本来は小麦と米をついて作るもののようですが、我家では単なるおはぎだったような気がします。 親も意味が分からず風習を守っていたのかもしれません。
話をややこしくしているのは、ハンゲショウという植物があるからで、この植物の名前も、葉の半分が白くなることから「半化粧」に由来するという説もありますが、七十二候のひとつである半夏生の頃に花をつけるからだという説もあります。
話を元に戻します。 この七十二候のひとつである半夏生は、「半夏(はんげ)が生えている頃」から来ています。 この半夏とは、鎮吐や去痰など、様々な薬効がある漢方の名前で、じつはこれがカラスビシャクの球茎なのです。 半夏は有名な漢方であるため、半夏の取れるカラスビシャクそのものの別名ともなっています(長い前振りでした ^-^; )。
半夏生の頃にたくさんあるはずの、その半夏(=カラスビシャク)が、そろそろ生え出しています。
カラスビシャクは、ミズバショウ、マムシグサなどと同じサトイモ科の植物です。 花が仏炎苞に包まれているのは、みんな同じ。 でも、ミズバショウでは花に雌性期と雄性期がありました。 マムシグサやテンナンショウの仲間には雌株と雄株があります。 カラスビシャクでは・・・
カラスビシャクの仏炎苞を外から見ると、2段になっています(下の写真)。 じつはこの段差のある部分から下には雌花があり、上に雄花が並んでいます。
下の写真は仏炎苞を破いたもの。 雌花はメシベのみで、雄花はオシベのみです。 メシベは全部前を向き、オシベは前後左右全ての方向を向いています。 じつはたくさんの花を周囲につけている花軸が、段差のある部分から下部(=雌花のついている部分)では、仏炎苞の背側に合生していますので、前を向かざるを得ないわけです。
カラスビシャクは葉にむかご(球芽)をつけるのですが、この時期はまだそれには早すぎるようです。
| 固定リンク
コメント
カラスビシャク 高倉寺 本堂前の植え込みにありました
面白い形のものですね
投稿: tumumasi | 2008年5月14日 (水) 13時31分
>アカネコ餅というものを作っていました。 本来は小麦と籾米をついて作るもののようですが、我家では単なるおはぎだったような気がします。 親も意味が分からず風習を守っていたのかもしれません<
ひょっとして小麦ともち米では?
小麦と一緒につくよりもおはぎのほうが口当たりも良く美味しいと思います。
お母様はそこのところを・・・・
と、ちゃいますか?
手作りのお餅を朝からたくさん作るんですよね、なかなかお母様もタイヘン・・・・
でも、何でも手作りだったんですね、今じゃおはぎさえ買ってしまいます。
カラスビシャクのピュンと伸びたのがウラシマソウの釣り糸に似てますね、
カラスビシャクのことを半夏といって、半夏生のお花もこの頃咲く・・・・
ややこしいわぁ・・・・
でも、お花は全くちがいますね。
投稿: わんちゃん | 2008年5月14日 (水) 16時38分
tumumasiさん、カラスビシャクの花は基本的にはマムシグサなどに似ていますが、小さいのはかわいいですね。
わんちゃん、アカネコは記事にも書いたように、「本物」のアカネコは、なぜ「アカネコ」と言うのかも含めて、知らないのです。苗を作るために用意してあった米の残りを使うのかとも思いますが、それならウルチ米になりますね。
とりあえず、本文の方は「米」に訂正しておきました。
カラスビシャクとわんちゃんが以前記事にしていたハンゲショウとは全く別の植物ですから、ややこしいですね。
投稿: そよかぜ | 2008年5月15日 (木) 07時05分
こんばんは♪
なるほど注意してみると2段になってますね
仏炎苞の中はこうなってたんですか
中は暖かそうです
オオハンゲを見つけたので勝手にリンクお願いします
投稿: エフ | 2008年5月16日 (金) 20時51分
この花のつくりには、納得できないところがあります。上から虫が入ってきて下に行き、オシベを経由してメシベに行くと、自家受粉になってしまいます。自家受粉は避けたいはずですが・・・
オオハンゲ、緑一色ですが、どうして昆虫を呼んでいるのでしょうか? においも無さそうですし・・・
投稿: そよかぜ | 2008年5月17日 (土) 23時54分