ムロウテンナンショウ
テンナンショウの仲間(=マムシグサの仲間)には種類が多く、金剛山にも、ムロウテンナンショウ、コウライテンナンショウ、ムロウマムシグサの3種があると言われています。 上の写真はムロウテンナンショウだと思っているのですが、私の関心は受粉のしかたにあり、種の同定ではないので、「マムシグサの仲間」としておく方がいいのかもしれません。
マムシグサの仲間はミズバショウなどと同じサトイモ科に分類される植物で、上の写真で花のように見えているのは、ミズバショウでは白いところにあたる「仏炎苞」で、ほんとうの花はその中に包まれるようにして存在します。
下はこの仏炎苞の側面を取り去り、中を見たものです。 中央にある緑の柱のような部分は「付属体」と呼ばれていて、花はこの付属体の下につきます。
マムシグサの仲間は雌雄異株で(この仲間は性転換をするのですが、このことはまたの機会に)、下の写真は雄株です。 このあたりの様子は、カラスビシャクとは違っています。
虫たちのポリネーター(花粉媒介者)は仏炎苞の上の口のように開いている部分から入ります。 においに導かれ、付属体に沿って上から下に降りていくと考えられるのですが、付属体は下に行くほど太くなり、仏炎苞の壁との隙間は次第に狭くなります。 でも、次第に狭くなる通路の先には広い空間と花が見えており、ポリネーターはがんばって花にたどり着こうとするでしょう。
しかし、花にたどり着いたポリネーターが上に出ようとすると、急に太くなっている付属体が弁のように機能し、なかなか上に登ることができないのではないかと考えられます。 下の写真は雌株でそのことを示したものです。 「×」で、付属体が障壁となっているであろうことを示しました。
虫たちは花の周辺でもがくことになり、その時に花粉媒介が行われると考えられます。 しかし、雄株の花の花粉を雌株の花に運んでこそ意味があるので、昆虫たちが花から脱出できないのでは意味がありません。
マムシグサの仲間の仏炎苞の下部には、ちゃんと“脱出口”が用意されているようです(下の写真)。 と、いちおうの説明はつくのですが、いちど花の前にすわりこんで、仏炎苞の上から出てくる虫と“脱出口”から出てくる虫の数の比較や、雄株と雌株で脱出のしやすさに違いはあるのかなど、じっくり観察してみたいものです。
雌花の様子は3枚目の写真で大きく写っていますので、下に雄株の花の拡大を載せておきます。
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コメント
三枚目の写真で虫たちはどうなるの?
と、ハラハラドキドキ
四枚目でホット一安心・・・・
脱出口ですかぁ~~
投稿: わんちゃん | 2008年5月24日 (土) 00時10分
おはようございます♪
ここでハサミが登場するんですね
きっとナイフもバックに入ってるのかも
飛行機だったらピーと警報が鳴りそうです
昆虫もインディ・ジョーンズのように上手く
脱出口を探さないと生死にかかわりそう
行きはよいよい帰りは怖い
中は暗いんでしょうか
投稿: エフ | 2008年5月24日 (土) 08時36分
わんちゃんもエフさんも虫のことが心配なようで・・・
記事に書いたように、私も虫が出てくるところを見たことはありません。そんなにいつも虫が中に入っているわけでもありませんし・・・
どんな様子で出てくるのか、いちど見てみたいものです。
投稿: そよかぜ | 2008年5月24日 (土) 16時42分