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2008年4月 5日 (土)

ヤマアイ

 西国観音巡礼4番札所施福寺の参道で、イラクサ科のヤマアイが花をつけていました。
 通常の藍染(あいぞめ)に使うのは、タデアイというタデ科の植物ですが、宮中の大嘗祭(だいじょうさい)などに着用する小忌衣(おみごろも)の染色には、このヤマアイを使います。
 ヤマアイにはインディゴという藍色の色素は無いのですが、この植物の根からとった液と、媒染剤としての銅を組み合わせると、みごとな発色が見られるとのことです。 また、媒染剤を変えると、緑や茶色にもなるといいます。
 上は辻村喜一氏の研究によるもの(染織と生活社『萬葉の山藍染め』,1984)ですが、なかなかさんのこちらのHPでは、この辻村氏の研究を実証的に詳しく紹介されています。(この段落は'08年5月4日に追加)

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     ※ 写真はクリックで拡大できます

 下は雄花の花序。 雄花は3個のガクと多数のオシベからなります。

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 ヒラタアブの仲間が来ていました(下の写真)。

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 下は雌花をつけているヤマアイ。 雌花の花序は、雄花の花序のように長くはなりません。

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 下は雌花の拡大。 3個のガクと2個の棒状体と1個のメシベからなります。 子房は扁平な2つの球がくっついたような形をしていて、柱頭も2裂しています。 この棒状体は、雌花の花盤が左右に分かれ、細く上に伸びたもののようで、蜜を分泌するとのことです(なかなかさんのブログ「花*花・Flora」より)。

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 下は果実になりかけ。 子房はかなり大きくなってきていますが、柱頭がまだ残っていますし、棒状体も残っています。 それぞれの膨らみに1つずつ種子が入っています。

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コメント

こんばんわ~

ヒラタアブの仲間の虫ちゃん
お顔にいっぱい花粉をつけて、一生懸命その使命を果たしているところと見受けましたが・・・・・


>棒状体は何が変化したものでしょうか?
質問  何が変化したものなの?
何も考えようとしないでスミマセン

投稿: わんちゃん | 2008年4月 5日 (土) 22時56分

はい、ヒラタアブ君、花粉まみれになっていました。
棒状体は花弁かオシベが変化したものだと思いますが、わかりません。

投稿: そよかぜ | 2008年4月 6日 (日) 09時11分

はじめまして そよかぜさん
ヤマアイで検索していましたら、こちらにたどり着きました。 どのページもとても丁寧に解説され写真もすばらしいですね。

さて、お尋ねしたしたいことがあるのですが、記事の中に「ヤマアイには・・・この植物の根からとった液と、媒染剤としての銅を組み合わせると、みごとな発色が見られるとのことです。」とありますが、よろしければ、この情報は何からなのかを教えていただけないでしょうか?

はじめて訪問して、いきなりの質問で失礼かもしれませんが、どうぞよろしくお願い致します。

投稿: なかなか | 2008年4月16日 (水) 13時26分

ヤマアイの発色と媒染剤としての銅の関係は、長田武正著「検索入門 野草図鑑⑦」(保育社)の153ページに、辻村喜一著「萬葉の山藍染め」(染織と生活社 1984)の紹介がされていて、そこからの引用です。
なかなかさんのブログこそいろいろ詳しく掘り下げて、興味ある内容がいっぱいです。
ヤマアイの棒状体は、雌花の花盤が変化したものなのですね。私の記事の中に入れさせてくださいね。

投稿: そよかぜ | 2008年4月17日 (木) 00時53分

そよかぜさん ありがとうございます。
長田先生の「検索入門 野草図鑑⑦」でしたか。 この図鑑は手元にありませんので、図書館で見てみます。 面白そうな内容ですね。
棒状体の件、どうぞいつでもお使い下さい。 棒状体から蜜が出ていることを観察して、蜜腺だと思っていました。 花盤のことは平凡社「日本の野生植物・草本Ⅱ」に書かれていましたので、間違いないと思います。

投稿: なかなか | 2008年4月17日 (木) 07時42分

蜜を出して、現実に虫が来ている・・・
ヤマアイは風媒花のような姿をした虫媒花ということになるのでしょうね。

投稿: そよかぜ | 2008年4月18日 (金) 01時16分

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