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2008年4月30日 (水)

モチツツジ

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 モチツツジの花の美しい季節になりました。
 モチツツジは、花は美しいのですが、ガクや新しい葉を指で触れると、その名のとおり、ベタベタとくっつきます。 下はその粘液を出している腺毛を拡大したものです。

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 このネバネバは、花の後ろから穴をあけて蜜を盗もうとする虫や、新しく柔かい葉を食べようとする虫たちに対する防御なのでしょうが、そうでないような虫たちもたくさん犠牲になっています(下の写真:ガクにくっついた虫たち)。 まるで食虫植物です。

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 でも一方で、このネバネバをものともせず、モチツツジの上を動き回る虫たちもいます。 ツツジトゲムネサルゾウムシはモチツツジととても関係の深い昆虫だと思われます。 またヒメクロオトシブミのモチツツジでの揺籃づくりについても書いています。 今月26日にもモチツツジで揺籃づくりに励むヒメクロオトシブミをあちこちで観察しました。
 他にもモチツツジの上で活動する虫たちもいろいろいます。 アカマキバサシガメについてはこちらでどうぞ。

(関連記事)モチツツジの花と紅葉

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2008年4月29日 (火)

タガラシ

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 タガラシは田の縁や溝などによく見られますが、ほぼ一定の水深が確保されているような場所では、上の写真のように、水面に浮いた葉の中央から茎を伸ばし、そこに葉と花をつけるという、おもしろい姿を見せてくれます。 こんな姿になる理由を考えてみました。
 まずおさえておかねばならないポイントは、葉は光合成という「生産」活動を行う場所ですが、どの細胞も生命活動をしている限り「呼吸」を行い、呼吸の材料となる物質を消費していますから、その葉を支える葉柄や茎は、「消費」の多い場所だということです。
 発芽したタガラシは、小さな種子に蓄えられたわずかな栄養分を元に、まず“儲ける工場”である葉を作らねばなりません。 “元手”は限られていますので、この時はできるだけ消費をおさえる必要がありますから、丈夫な葉柄は必要ありません。 水中での光合成には限度がありますから、消費を抑えて作った細く柔かい葉柄を長く伸ばし、まず水面に葉を広げます。
 水面に浮いた葉で光合成を行い、ある程度“貯蓄”ができると、次にはそれを元手に多少の消費を伴ってでも、もっと“荒稼ぎ”をしようとします。 つまり空中に葉を広げようとするのです。
 なぜ水面に浮く葉よりも空中の葉の方がたくさん光合成できるのか。 光合成の材料は、光と水と二酸化炭素です。 二酸化炭素は気孔から取り込みます。 光合成は通常は葉の表側を中心に行い、気孔は葉の裏側に配置します。 水面に浮く葉では、この気孔の配置ができません。 それに水面は平面です。 光を有効に利用するためには立体的に葉を配置する必要があります。 その結果が上の写真のような姿というわけです。

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 タガラシの花は、多数のメシベが集まって楕円形のかたまりになっていて、オシベも多数あります。 キンポウゲ科の、4月27日に載せたウマノアシガタと同じ Ranunculus属の植物です。

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2008年4月28日 (月)

コガタルリハムシの幼虫

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 コガタルリハムシの成虫のことを'07年5月14日に書きましたが、その幼虫が、やはり集団でギシギシの葉をボロボロにしていました。
 黒い体に、よく見ると細く長い毛が体中に生えています。
 幼虫も成虫もすごい食欲です。

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2008年4月27日 (日)

ウマノアシガタ

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 ウマノアシガタがあちこちで咲いています。 ウマノアシガタの花は光沢が強いので、下の写真はその光沢を強調して写してみたものです。

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 これまで何度かキンポウゲ科について書きました。 このキンポウゲ(金鳳華)というのは、このウマノアシガタの別名としても使われていますが、元はウマノアシガタの八重咲きのものに付けられた名前です。
 もちろんウマノアシガタもキンポウゲ科ですので、オシベもたくさん、メシベもたくさんあります。 メシベの集合はそのまま果実になります。 2枚目の写真の右下には果実になりかけている状態が写っています。
 4月25日にキンポウゲ科のリュウキンカについて書きましたが、この花にもよく似ています。 ということは、花弁のように見える黄色いものはガク・・・ ではありません。 花弁です。 花には緑のガクもちゃんとあります(下の写真)。 キンポウゲ科の花全てで花弁が退化しているわけではありません。

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 下はウマノアシガタの花弁を1枚持ってきて、その基部を写したものです。 穴のあいたようになっているのは蜜腺です。
 ウマノアシガタの学名は、Rananculus japonicus。 園芸植物としてよく知られているラナンキュラスと同じ属です。 上に書いたように花弁の基部に蜜腺を持つのは、Ranunculus属の花全体に共通の性質です。

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 ウマノアシガタの花にもいろんな昆虫が来ています。 下はヤブキリの幼虫(1枚目)とモモブトカミキリモドキ(2枚目)です。 どちらも花粉を食べていました。

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2008年4月26日 (土)

クマバチのホバリング

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 上の写真をクリックして拡大すると、毛むくじゃらの様子がよくわかります

 春は恋の季節。 クマバチだって恋の季節。 いろんな所でクマバチのオスが空中に留まり、メスが通りかかるのを待ち構えています。
 見ていると、とりあえず動くものには、いろんなものに反応するようです。 自分よりはるかに小さなアブを追いかけたり、小石を投げても追いかけます。 追いかけて行っては元の場所に戻ることを繰り返し繰り返し・・・ クマバチ君もたいへんです。
 その大変さに少し付き合ってみました。 いい位置に入り込むことができると、レンズの先から1~2mの所でホバリングしてくれるのですが、こちらの首も痛くなりました。

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   あっちでも

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   こっちでも・・・

※ ハチの仲間のなかでのクマバチの系統的な位置などについては、こちらに書きました。

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2008年4月25日 (金)

リュウキンカ

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 六甲高山植物園よりリュウキンカ、漢字で書くと「立金花」です。
 写真のいろんな花をよく見ていただくと、緑色のツボミの外側、つまりガクが、広がりはじめると同時に次第に黄色くなっていく様子が分かります。 つまりこの花も、花弁のように見えているのはガクで、花弁は退化してありません。
 オシベは多数あり、写真ではよく分かりませんが、メシベも5~10個あり、やはりキンポウゲ科に分類されています。
 リュウキンカのなかで、花茎が横に倒れて長く伸び、その先の節から根を出して増える変種または品種があり、このタイプのものを、長く伸びた花茎をテナガザルの手に例え、エンコウソウ(猿猴草)とよんでいます。 このエンコウソウも六甲高山植物園にありました(下の写真)。

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 この1週間、20日に撮った六甲高山植物園の植物を紹介してきました。 今までに載せた以外にも、アカヤシオ、イワウチワ、オオバキスミレ、キバナイカリソウ、チングルマ、ヒカゲツツジ、ユキモチソウなどの花や、外国の花としてはヒマラヤの石楠花であるロードデンドロン・アルボレウムやセイヨウオキナグサなど、たくさんの花の写真を撮ってきましたが、“4月20日の六甲高山植物園の花”シリーズは、いったん終了ということにしたいと思います。

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2008年4月24日 (木)

ツバメオモト

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 今日も六甲高山植物園の植物からです。
 ツバメオモトは近畿地方以北の亜高山帯に生える多年草です。 名前は、「ツバメ」については、濃藍色の果実を燕の頭に見立てたなど、諸説があります。 「オモト」については、葉がオモト(万年青)に似ているからでしょうが、本物のオモトよりはずっと柔かい感じがします。
 ユリ科に分類され、花被片はガク片が3、花弁が3で、ガク片と花弁はほぼ同形です。 オシベは6本、メシベの花柱は長く、柱頭は3裂しています。

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2008年4月23日 (水)

オサバグサ

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 オサバグサは、おもに本州中北部の亜高山帯の湿り気のある樹林内に産する一属一種の日本特産のケシ科の植物です。 が、写真はやはり六甲高山植物園。 深く羽状に裂けた葉は、一見シシガシラなどのシダを連想させます。 オサバグサの名前も、このくしの歯状の葉の形が織物を織る筬(オサ)に似ているところからのようです。
 下の写真、ツボミには1本の線が見えます。 つまり、ツボミの外側は2枚の白いガク片で覆われています。 花が開くと、4枚の花弁が確認できますが、この白いガクはみあたりません。 つまりガクは早落性です。
 昨日載せたエゾエンゴサクの仲間もケシ科でしたが、同じケシ科でもオサバグサの花は、かなり“一般的な”花のつくりをしています。 でも、早落性の2枚のガク片、4枚の花弁、それに下の写真では分かりませんが、子房を切って拡大してみると側膜胎座であることなどは、ほかのケシ科の花と共通する性質です。

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2008年4月22日 (火)

エゾエンゴサク

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 六甲高山植物園よりエゾエンゴサクです。
 '07年5月6日にヤマエンゴサクについて、また'08年3月31日にはジロボウエンゴサクについて書きましたが、エゾエンゴサクはこれらと近い仲間の植物です。 花の色や葉の様子など、3者は少しずつ違いますが、延胡索(えんごさく)の代用生薬とすることや、毒草が多いケシ科のなかで食べることができることなども共通した特徴です。
 エゾエンゴサクの分布は、中部地方北部以北(もちろん北海道も含みます)です。

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2008年4月21日 (月)

トガクシショウマ

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 昨日に続いてしばらくは六甲高山植物園で写した写真を紹介します。 大自然の中での珍しい植物との出会いの感動は得られませんが、植物園で「身近に観察できる」という点では、このブログのテーマに沿っているでしょう。
 今日はメギ科のトガクシショウマです。 トガクシショウマは一属一種、日本海要素を代表する日本特産の植物です。
 名前の「トガクシ」は長野県の戸隠山で最初に発見されたことによりますし、「ショウマ」は中国にも分布するサラシナショウマ(金剛山でも見ることができます)の漢名「升麻」からきていて、葉が三出複葉であるところがサラシナショウマと共通です。
 分布は日本海側の多雪地帯が中心で、白馬、戸隠、尾瀬をはじめ、北は青森県まで分布していますが、自生地での個体数は少なく、生育範囲も狭く、絶滅が心配されている植物です。 でも幸いなことに種子からはよく育つようです。
 花はおもしろいつくりをしています。 花弁のような6枚はガク片で、その内側で小さく6本のオシベを抱きかかえるようにしている6枚が本当の花弁です(下の写真)。 多くの花ではガクと花弁、花弁とオシベの配置は互い違いになっているのですが、この花では、ガク、花弁、オシベの配置がきれいに一致しています。
 1枚の花弁には2つずつ、蜜腺がついています。

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2008年4月20日 (日)

シラネアオイ

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 今月9日~11日のブログで六甲高山植物園で撮った植物を紹介しましたが、再度行って来ました。 第一の目的は、このシラネアオイに会いたかったから。
 シラネアオイの「シラネ」は日光の白根山から、花がタチアオイ(立葵)に似ているところからの名前で、本州中北部から北海道にかけての日本海側を中心に分布しています。 花弁はなく、淡紫色の大きなガク片4枚の、径6~8cmもある大きな美しい花をつけます。

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 花弁は無く、写真のようにオシベが多数で、以前はキンポウゲ科とされていました。 しかし、上の写真のように、多くのオシベに囲まれて見えるメシベは2本で、ここからできる果実は四角形の特異な形をしていることや、ガク片の4という数などから、シラネアオイ科を独立させ、日本固有の一属一種の植物とされたりもしました。
 ところが、最近では植物の分類にも分子生物学の手法が使われるようになってきました。 この分子系統解析によれば、シラネアオイはキンポウゲ科から初期に分岐したと考えられ、系統的にはキンポウゲ科に含めるのが適切であると考えられるようになってきています。

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2008年4月19日 (土)

サルトリイバラ

 サルトリイバラが新しい葉を広げながら、花をつけています。
 サルトリイバラの巻きひげについては、この巻きひげが托葉であること、巻きつくものがある場合は残るが、無い場合は枯れていくことなどを、このブログの'07年11月1日に書きましたが、展開しかけの新葉では、巻きひげもまだ伸びきっておらず、托葉であることがよくわかります(下の写真)。

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 サルトリイバラは雌雄異株です。 下は雄株に咲く雄花。 3枚のガク片とそれより少し細い3枚の花弁があり、その内側に6本のオシベがあります。 退化したメシベも痕跡的に残っています。

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 雄株に来ていたミツバチ君。 まずは休憩といったところでしょうか。

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 下は雌株に咲く雌花。 柱頭は3裂しています。 オシベは痕跡的に残っています。

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 下は昨年の11月4日に撮影したものですが、サルトリイバラ独特のツヤの無い果実の表面の雰囲気が、上の写真のように、既に花の子房の表面に現れています。

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 柏餅の季節が近づいてきました。 地方によっては、柏餅をくるむのにカシワの葉を使わずに、このサルトリイバラの葉を使います。 サルトリイバラはユリ科ですので単子葉類ですが、単子葉類の葉が細長いというのは、ここではあてはまりません。

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2008年4月18日 (金)

スズメノヤリ

 「ヤリ」といっても、細く尖ったヤリではなく、大名行列の先頭でやっこさんが振っている毛槍でしょう。
 スズメノヤリはイグサ科に分類される風媒花です。 風媒花ですので、一つひとつの花は小さいのですが、イグサ科の花はイネ科の花ほど特殊化していませんので、比較的理解しやすい花です。
 '07年9月4日のジュズダマの記事で、一般的に虫媒花には雄性先熟の花が多く、風媒花には雌性先熟の花が多い傾向があると書きましたが、このスズメノヤリも雌性先熟の花です。
 つぼみがほころびると、花被が開ききらないうちから、メシベの白い柱頭が伸びだしてきます(雌性期:下の写真)。 柱頭は3裂しています。 下の写真では、葉に長い毛があることや、葉の先端が硬化して褐色になっていることも分かります。 これらもこの類の葉の特徴です。

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 下の写真(クリックで拡大できます)は雄性期です。 花被が開くとにぎやかになって分かりづらくなりますが、どれが1つの花かを注意して見ると、上に書いたようにイグサ科の花は一般的な花のつくりをしていますので、理解は容易です。
 1つの花の花被片は6枚、褐色で、縁が白くなっています。 オシベは6本、写真では花粉を出し始めている花とまだ出していない花が混じっています。 メシベの柱頭はしなびてねじれて褐色になり、役に立たなくなっています。

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 下の写真では果実が熟しかけています。 花被は果実になっても残り、果実の下側を包んでいます。

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2008年4月17日 (木)

ヒメウズ

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 径5mm足らずの小さな花ですが、これもキンポウゲ科。 やはりガクが発達しています。 下の花の拡大で、白い5枚はガク、その内側の黄色い5枚が花弁です。 花弁の基部は少し膨れて、小さな距(きょ)になっています。

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 「ヒメウズ」の「ウズ」は「烏頭」で、これはトリカブトの中国名です。 トリカブトもキンポウゲ科には違いありませんが、花を見ていると、あまり似ている気はしません。 むしろキンポウゲ科のオダマキに似ていると思います。 でも、果実(袋果)はトリカブトの果実によく似ています。 もっとも大きさは全く違いますが・・・ また、烏頭は漢方薬として有名ですが、ヒメウズの根塊も、天葵子(てんきし)という名前で漢方で使われています。

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2008年4月16日 (水)

シュンラン

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 シュンランは、土の柔かいやや乾燥した明るい林床に生育していることが多いラン科の植物で、学名は Cymbidium goeringii、シンビジュームの一種です。
 写真のシュンランは、泉北ニュータウンの南西に丘陵地が開発されてトリベール和泉というニュータウンができていますが、この開発の話を聞いた時に、開発されて消える丘陵地から株を取って来て庭に植えたもので、毎年たくさんの花を咲かせています。

◎ シュンランの自生の様子をこちらに載せました(2016.3.25.)。

 ラン科の花のつくりは独特です。 シュンランの花は横を向いて咲いていますが、ガクにあたる外三弁と3枚の花弁のうちの副弁2枚(側花弁)は黄緑~緑です。 もう1枚の花弁にあたる唇弁には縦にひだがあり、深い溝を作っています。
 メシベとオシベは完全に合体して、ずい柱という一本の構造になっています。 下は花の断面を作り、唇弁が上にくるようにして撮ったものですが、ずい柱の先端にはオシベの葯があり、その下面に少しへこんだところがあり、そこが柱頭です。

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 下はずい柱を花の正面から写したものです。 花の底にある蜜を求めて昆虫はずい柱と唇弁との隙間から花の内部に入ろうとします。

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 ラン科植物の花粉は、花粉塊という塊になっていて、1つの花の花粉全部をまとめて運んでもらうようになっています。 そして受粉した花では、そのたくさんの花粉のおかげでたくさんの種子を作ることができます。
 花の内部に体を入れた昆虫が後戻りする時に、ずい柱の先端部をこするように体が触れると、ずい柱の先の覆いが取れて、その中に収納されていた花粉塊が昆虫の体にくっつきます。 下の写真は、取れたずい柱の先の覆いと花粉塊を元の位置近くに戻して撮ったものです。

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 花粉塊には虫の体にくっつくための粘性のある物質がついています。 この物質はよく伸びますし、粘着力もたいへん強そうです。 虫に代わって鉛筆でずい柱に触れたところ、花粉塊はみごとに鉛筆にくっつきました(下の写真)。 粘性物質が薄く延びて鉛筆の芯にまとわりついているのが分かりますか?

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 鉛筆の背中ならぬ虫の背中にくっついた花粉塊は、その虫が別のシュンランを訪れ、再びずい柱の下に潜り込もうとした時に、窪んだ柱頭に渡されるというわけです。

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2008年4月15日 (火)

ヒラタハナムグリ

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 ヒラタハナムグリです。 昨日記事にしたネコヤナギの花に来ていました。 体長5mm前後の小さな、扁平な体のハナムグリです。 体は小さいですが、まだ少し温度が低いのでしょうか、それとも花に夢中なのでしょうか、動きはスローモー。 安心して写せました。
 同じ日に別の場所でアブラナの花に来ているのも観察しています。

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 ネコヤナギの花には、その他にもハエの仲間やハチの仲間など、種々の虫たちが来ていました。
 下もネコヤナギの花に来ていた虫で、オシベをくわえています。 キシタトゲシリアゲだと思います。

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※ 今日の写真も全てクリックすると拡大します。

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2008年4月14日 (月)

ネコヤナギ

 堺市を流れる第二豊田川でネコヤナギの花がそろそろ終わりを迎えかけていました。
 ネコヤナギは川のふちなどの水に近いところに普通にあるヤナギで、ヤナギの中でも最も早く開花するうちの1つです。
 ヤナギの仲間は雌雄異株ですが、 下は雄株の様子です。 たくさんの小さな花が集まって尾状花序を形成していますが、花粉をまだ出していない葯は紅色、黒い小さい三角形はそれぞれの花の苞です。

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 まだ若い雄の花序がありましたので、マクロ撮影してみました(下の写真)。 花序の下の方を見ていただくと、それぞれの花のつくりが分かります(下の写真はクリックすると拡大します)。
 1つの花について書くと、上にも書いた苞は、先に近い方が黒色で、そこから紅色を経て下部は淡黄緑色になっています。 雄ずいは1つの花に2本あるのですが、ほとんどのオシベでは花糸が上部までくっついて1本になっていて、まるで1本のオシベに4個の葯がセットになっているように見えます。 オシベの根元のすぐ上には黄色い腺体があります。 ヤナギの仲間は虫媒花ですので、ここから蜜を出しています。
 以上が1つの雄花です。 メシベは退化してありません。

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 「ネコヤナギ」の名前は、雌花序の白い毛をまとった様子を猫の尾に見立てたものといわれています。
 下の写真がその雌株の様子です。 やはりたくさんの小さな花が集まって花序を形成していますが、どの花もほとんど終わりで、細く長い花柱は黒くなって子房が発達を始めています。 でも、まだそんなに子房が膨らんでいない花序では、花序全体が白い毛で覆われています。 猫の尾のイメージと結びつくでしょうか?
 苞と腺体は雄花と同様なのですが、このように子房が発達してしまった雌花序では、もう確認はできません。

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2008年4月13日 (日)

ナガメ

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 ナガメは成虫で越冬して4月下旬から5月上旬に産卵し、6月下旬~7月上旬に新成虫となり、この成虫が産卵することで、秋にも成虫が見られます。
 特に春はアブラナ科の植物でよく見かけます。 ナガメとは「菜」のカメムシ、つまり「菜の花につくカメムシ」の意味です。
 撮影:'08.4.12. 「堺自然ふれあいの森」のふれあい農園にて

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2008年4月12日 (土)

ショウジョウバカマ

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 ショウジョウバカマは、北海道から九州まで、やや湿った場所であれば、田の畦道から崖の斜面、高山帯の高層湿原まで、いろんなところに生えています。
 名前については、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』には、「花が赤いのを猩々(中国の伝説上の動物のこと)になぞらえ、根生葉の重なりが袴に似ていることから名付けられたとされる。」とあります。 そしてここからの引用でしょうが、そのように書かれたブログやHPもたくさんあります。 でも、花の「猩々」と葉の「袴」をくっつけるのは不自然です。 異質なものを組み合わせた植物名は他にはほとんどありません。 私はこの名前は「猩々の袴」だと思います。
 「猩々」という謡曲があります。 これは、中国・揚子江流域の海底に住んで酒をこよなく愛した妖精猩々が、酒売りの親孝行の子供に、酒が尽きない壷を授けるという祝言の曲です。 これを能で舞うときの姿は、赤く長い髪に赤い衣装、もちろん袴も赤い色です。 この赤い色には猩々緋(しょうじょうひ)という名前までついています。
 ショウジョウバカマは常緑です。 冬、地面にピッタリくっつけた葉は寒さに耐えるために赤い色になっています(冬における葉の色の変化は、わんちゃんのブログに書かれています)。 昔の知識人にとっては、能はもっと身近なものだったでしょう。 冬に湿った斜面で一方に垂れ下がったショウジョウバカマの赤い葉は、目立ちますし、まさしく「猩々」を舞うときに身につける袴を連想させます。
 春になると猩々緋の葉は緑に戻ります。 しかし、先の方にまだ少し緋色を残した葉もよく見ることができます。

 ショウジョウバカマの花は、大阪では3月下旬から4月上旬に咲きます。 花の色は淡紅から紫までいろいろですが、時には白い花もあり、シロバナショウジョウバカマと呼ばれています。

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 花は最初は寒さに耐えるように低い位置で咲くのですが、次第に茎が伸び、花の高さは高くなります。 花の終わりに近づくと、色は次第にあせてきますが(下の写真:4月12日撮影)、6枚の花被は花が終わっても残り、子房を保護します。

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 この後、下を向いて種子の成熟を待っていた花は、種子が完成すると、高く伸びた茎の頂で上を向き、少しでも遠くへ種子が飛ぶようにがんばっているように見えます。

 ショウジョウバカマには、もうひとつ、おもしろい特徴があります。花が終わる頃から新しい葉を出し始めますが、その頃から、古い葉の先に不定芽を作り(下の写真)、それによっても殖えていきます。

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    撮影:4月12日 「堺自然ふれあいの森」にて

※ 九州には白色またはわずかに紅色を帯びて、花被片が短くて広い変種ツクシショウジョウバカマが見られます(エフさんのブログにも載っています)。 

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2008年4月11日 (金)

バイカオウレン

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 バイカオウレンは福島県以南の本州及び四国の山地の木陰に生えるとされています。 私は以前滋賀県の比良山で自生を見ましたが、残念ながら大阪府下では見たことがありません。 で、これも六甲高山植物園です。 でも、六甲高山植物園ではみごとにあちこちに広がっていて、あたかも自生地のようでした。
 3月23日にセリバオウレンについて書きましたが、バイカオウレンも同じオウレンの仲間で、常緑の葉で冬の間も光合成を続けるためか、開花の時期はやはり早く、六甲高山植物園が開園する3月中旬にはもう花の盛りを過ぎている状況です。 ですから、今日の写真は咲き残りを写したことになります。
 バイカオウレンはオウレンの仲間の中でも、株のわりに花が大きく、牧野博士が愛した花であり、園芸上の栽培価値も高い植物です。

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 花は、白く花弁のように見えるのは、やはりガクで、5枚あります。 花弁は黄色いさじ形になっています。 色からすると、蜜を出しているのかもしれません。
 オシベは多数ありますが、上の写真ではまだ伸びていません。 その内側にメシベが数本(写真の花では6本)ありますから、セリバオウレンと違って花は両性で、雌性先熟なのでしょう。

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 上の写真は、長く伸びたオシベがまだ残っていますが、花が終わった後です。 このように、オウレン属の果実は矢車状に並びます。 下は上の写真の一部を拡大したものですが、果実の先の方には隙間があって、ここから種子がこぼれ出ます。 メシベがまとまって一本になるところまで整理されていない(=進化していない)ことに加え、果実に隙間があることは胚珠の被子状態が不完全であることを示していて、オウレン属は被子植物のなかでも原始的な形態をとどめているといえます。

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2008年4月10日 (木)

キクザキイチリンソウ

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 春、温度が上がって植物が活動しやすくなった時期ですが、反応の遅い落葉樹はまだ葉を広げておらず、光が林床にまで十分届く、そんなわずかな時期を利用して、一斉に花を咲かせ、せいいっぱい光合成をして、あとは長い眠りにつく・・・ そんな植物を、ヨーロッパの人たちはスプリングエフェメラル(春の妖精)と呼んでいます。
 今までに記事にしたカタクリイチリンソウニリンソウユキワリイチゲなどもスプリングエフェメラルなのですが、もう一種、キクザキイチリンソウ(=キクザキイチゲ)をとりあげます。 これも六甲高山植物園で撮影したものです。
 キクザキイチリンソウは、イチリンソウ、ニリンソウ、ユキワリイチゲ、ミスミソウなどと同じ Anemone属で、北海道と本州に分布していますが、分布地は限られているようです。 以前、藤原岳で自生を見ていますが、大阪府下で自然の中で生育している所は知りません。

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2008年4月 9日 (水)

ミズバショウ

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 六甲高山植物園のミズバショウです。
 六甲高山植物園は牧野富太郎博士の指導を受けて1933年に開園した由緒ある博物館相当施設です。 もちろん車で前まで行くことができて、堺市にある我家からは、途中高速道路を使って1時間20分ほどです。
 海抜865mに位置するため年平均気温は北海道並。 大自然の中に咲くミズバショウを見た感激は得られませんが、手軽に観察するには便利なところです。
 白いのは花序を包む苞で、その形から特に仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれています。 この仏炎苞に包まれた細長い円柱状の花序には花がビッシリ。
 いろんな株の花を見てみると、どうやら雌性先熟のようです。 下の写真で、4枚の鱗片状の花被片からなるのが1つの花ですが、その中央からメシベの柱頭が顔を出しています。濡れて光っているようで、受粉体勢は整っているようですが、オシベはどこにも見えません。 これが雌性期です。

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 そして下が雄性期。 4本のオシベが花被片の下から顔を出し、盛んに花粉を出しています。

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2008年4月 8日 (火)

キウリグサ・ワスレナグサ

 2月から咲き出したキウリグサの多くは、今はもうすっかり伸びきって、写真の対象としてはおもしろくありません。 ところが、よく成長した株で、根元から新たに茎を伸ばして花をつけ始めているものがあり、さっそく撮ったのが下の写真です。

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 キウリグサ(キュウリグサともいいます)の学名は Trigonotis peduncularis (Trevir.) Benth. 2年生草本で、冬の間の葉はロゼットを作って光合成を続け、春になると茎を伸ばして花をつけ始めます。 草をもむとキュウリのにおいがするところから、名前が付けられました。

 このキウリグサとよく間違えられるのがワスレナグサです。 「ワスレナグサ」の名は、通常はムラサキ科ワスレナグサ属( Myosotis属 )の種の総称として使われます。 園芸的に使われるものの多くは、欧州原産のノハラワスレナグサや日本在来のエゾムラサキなどの種間交配種です。
 写真ではよく似ているのですが、花の直径はキウリグサの約4倍ほどもあり、品種改良の結果、花の数もたいへん多くなっています(下の写真)。 葉の形もかなり違っています。

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 花の様子はこれほどよく似ているのに、学名で属が違っているのは、少し違った仲間だということで(例えば、サクラもウメも同じ Prunus 属です)、例えば大切な子孫を作る場所である果実も、4個の分果に分かれるところは共通ですが、キウリグサの分果は四面体形であるのに対し、ワスレナグサの分果は卵形です。

 花の色や形だけではなく、花のつき方も似ているのですが、これはキウリグサやワスレナグサなどが属するムラサキ科全体の大きな特徴で、花穂を見ると、下から花が咲いていきながら、その先に渦を巻いて付いているツボミが成長を続けます。 つまり、花穂の先になるほど小さなツボミがついていることになり、花序が成長を続ければ、つまりこれらのツボミが大きくなりながらさらにその先に“ツボミの赤ちゃん”を作り続ければ、無限に花が続くことになります。
 実際には花の時期が限られており、ツボミを成長させるための栄養分補給にも限度がありますから、永久に花が咲き続けることはありませんが、このような花序を「無限花序」と呼んでいます。 また、渦を巻いている花序を、サソリが尾を持ち上げていることに見立て、「サソリ状花序」と呼ばれることもあります。
 もう一度上の2枚の写真を見てください。 花序はちゃんと渦を巻いています。 この特徴は、もちろんヤマルリソウホタルカズラなど、他のムラサキ科の植物でも見ることができます。

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2008年4月 7日 (月)

キブシ

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 茶色一色の谷筋の落葉樹の林に明かりを灯したように咲いていたキブシの花ですが、いろんな木が春の兆しを見せ始めると、その花も終わりを迎えます。
 キブシは雌雄異株といわれているのですが、そのちがいがどうもよく分かりません。 雄花は淡黄色、雌花は淡黄緑色で子房が発達し、穂の長さも短めだといわれているのですが、色も光がよく当たるか否かで変わってくるような気がしますし、穂の長さもその木の元気さが関係するような気がします。 また、どの花を見てもメシベとオシベがそろっています。
 花を記録した木をマークして結実するかどうかを確かめればいいのでしょうが、そんなにしょっちゅう行かないし・・・

(以下、7日の夜に追記)
 朝に書いた上の記事に対して、多摩の住人さんがトラックバックしてくださいました。 雌花らしいキブシの写真です。 たしかにオシベが退化しているようです。
 こうなると、残る疑問は、この写真のキブシは雄花なのか両性花なのかということになります。 雌株と雄株に分かれているとすると、雄株が多すぎる気がします。

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2008年4月 6日 (日)

ビロードツリアブ

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 ビロードツリアブが日向ぼっこをしていました。 長い口吻の先を、ファイバースコープの先端のように、くねくねさせていました。 細く長い足が印象的です。
 これはオス。 メスは目と目が離れています。
 ビロードツリアブは、丸みのある体に、細長い黄色の毛がたくさんはえたアブですが、この日は毛の下の黒っぽい体に太陽の光が当たるように体を立てていました(下の写真)。

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 ビロードツリアブは、この時期にのみ、あちこちでよく見られます。 「ツリアブ」の名前のように、糸でつったようにホバリングで空中に停止し、長い口吻で花の蜜を吸ったりしています。 4月5日も近所のクサイチゴの花でさかんにホバリングをしていました。

※ ビロードツリアブのホバリングの様子はこちら

 幼虫は、土中に巣を作るヒメハナバチの仲間の幼虫や蛹に寄生します。

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「ネコノメソウ」は「猫の目草」

 4月4日に書いたタチネコノメソウの記事のコメント欄から、いつもコメントをいただいているわんちゃんとのやりとりです(一部変更しています)。

> ネコノメソウってだいたい初めて聞く名前だったのに、次から次と仲間が登場されても、私のアタマはこんがらがって・・・・・
> 私は「猫の目草」って想像してしまいました。

「猫の目草」でいいんですよ。
タチネコノメソウの2枚目の写真の左上(=ピントの合っている花の上の奥)が少し猫の目っぽく見えませんか?

> それっぽく見えるのはどれですやろか?
> じぃ~~っと見てみてもわかりません。

 というわけで、ネコノメソウと名づけられた理由をもう少し詳しく書いてみます。
 本当はネコノメソウの写真があればいいのですが、いい写真の手持ちがありませんので、4月4日の記事の続きで、タチネコノメソウの写真を使います。
 下は、花が終わって、子房が膨らみかけているタチネコノメソウの写真です(下にオシベが1本残っています)。

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 果実の中で種子が成熟すると、果実に裂け目ができて、その隙間から、中にあるたくさんの黒褐色の種子が見えます。 この様子を示す写真の手持ちはありませんので、代わりに上の写真に黒い線を入れたのが、下の写真です。

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 上の写真を丸く切り抜いたものの周囲にいたずら書きしたものが下です。 猫に見えますか?
 猫に見えたら、もう一度写真を逆に上へ見て行ってください。 最初の写真が猫の目っぽく見えませんか?

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 本物の猫と比べてみてください。

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2008年4月 5日 (土)

ヤマアイ

 西国観音巡礼4番札所施福寺の参道で、イラクサ科のヤマアイが花をつけていました。
 通常の藍染(あいぞめ)に使うのは、タデアイというタデ科の植物ですが、宮中の大嘗祭(だいじょうさい)などに着用する小忌衣(おみごろも)の染色には、このヤマアイを使います。
 ヤマアイにはインディゴという藍色の色素は無いのですが、この植物の根からとった液と、媒染剤としての銅を組み合わせると、みごとな発色が見られるとのことです。 また、媒染剤を変えると、緑や茶色にもなるといいます。
 上は辻村喜一氏の研究によるもの(染織と生活社『萬葉の山藍染め』,1984)ですが、なかなかさんのこちらのHPでは、この辻村氏の研究を実証的に詳しく紹介されています。(この段落は'08年5月4日に追加)

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     ※ 写真はクリックで拡大できます

 下は雄花の花序。 雄花は3個のガクと多数のオシベからなります。

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 ヒラタアブの仲間が来ていました(下の写真)。

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 下は雌花をつけているヤマアイ。 雌花の花序は、雄花の花序のように長くはなりません。

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 下は雌花の拡大。 3個のガクと2個の棒状体と1個のメシベからなります。 子房は扁平な2つの球がくっついたような形をしていて、柱頭も2裂しています。 この棒状体は、雌花の花盤が左右に分かれ、細く上に伸びたもののようで、蜜を分泌するとのことです(なかなかさんのブログ「花*花・Flora」より)。

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 下は果実になりかけ。 子房はかなり大きくなってきていますが、柱頭がまだ残っていますし、棒状体も残っています。 それぞれの膨らみに1つずつ種子が入っています。

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2008年4月 4日 (金)

タチネコノメソウ

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 一見すると4月2日に載せたコガネネコノメソウに似ていますが、タチネコノメソウの方が葉が目立ちますし、拡大して花を見ると、コガネネコノメソウのようにガクが黄色になっていません。

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 タチネコノメソウとよく似た植物にツルネコノメソウがあるのですが、ツルネコノメソウは花の後に走出枝が伸びることのほか、葉のきょ歯もタチネコノメソウよりたくさんあります。

◎ タチネコノメソウの果実を使って、「ネコノメソウ」の名前の由来を、こちらに書いています。

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2008年4月 3日 (木)

ヨゴレネコノメ

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 ネコノメソウの仲間シリーズ、本日はヨゴレネコノメ、たしかに、白い斑点のあるくすんだ葉の色は汚れているように見えますし、花も昨日のコガネネコノメソウのような鮮やかさはありませんが、昨日とはあまりにも違いすぎる名前でかわいそう・・・ 花も拡大すると、それなりにかわいい花なのですが・・・
 ヨゴレネコノメは、イワボタン(葯の色は黄色)の変種で、関東以西の太平洋側に多く分布します。 花は、オシベは通常4本で葯は暗紅色、ガク裂片は直立することが多く、花数はそんなに多くありません。 メシベについては、下の写真では、緑のガクに緑のメシベで分かりにくいのですが、他のネコノメソウの仲間同様、柱頭は2本に分かれています。

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2008年4月 2日 (水)

コガネネコノメソウ

 ネコノメソウの仲間には、たくさんの種類があります。 いずれも小さな花ですが、春に咲く、かわいい花です。
 よく見られるネコノメソウの仲間には、ネコノメソウやヤマネコノメソウがありますが、今回はそれらより少し珍しい、岩湧山のふもとで撮ったネコノメソウの仲間を、3種連続で取り上げてみます。

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 まず今日はコガネネコノメソウ、鮮やかな黄色の花です。 オシベは8本、葉は対生です。
 ネコノメソウの仲間の花も、花弁のように見えるのはガクで、遅くまで散らずに残ります。

 上の写真を見ていると、おもしろい事に気づきます。 オシベが一斉に花粉を出すのではなく、少しずつ時期をずらして花粉を出しているようです。 写真をよく見ると、1つの花の中に、もう既に花粉を出しつくして枯れかけようとしているおしべもあれば、まだ全く花粉を出していないオシベも見られます。 小さな花が、できるだけ長く花粉を出し続けようと工夫しているのでしょうか。
 ほぼ向かい合わせに咲いている2つの花のそれぞれで、早く花粉を出し始めたと思われる順に番号を付けてみたのが下です。 若い番号のオシベでは既に花粉を出しつくしています。

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 番号を追いかけてみてください。 一定のルールがあるようです。 「3or4」のオシベについては、私にはこちらが3だろうと思っているオシベがあるのですが、まだ勝手な思い込みの可能性がありますので、書くことは控えます。
 6はどのオシベでしょうか? そして、この順序は何が原因で決まるのでしょうか? 答を求めてまた撮りに行くべきなのでしょうが、行きたいところがいっぱいあって・・・

 ネコノメソウの名前は、ネコノメソウの裂開した果実が猫の目のように見えるところからですが、このコガネネコノメソウの果実の時期には少し早いようです。

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 ここのところ、このブログは花ばかりが続いています。 鳥や虫を期待して見ていただいている方、ゴメンナサイ。 でも、この時期、春の訪れと共にいろんな植物が変化をはじめ、次から次へと花を咲かせています。
 植物が葉を広げ、花を咲かせ始めると、その柔かい葉を食べる虫たちや花を訪れる虫たちが目立ち始め、次にその虫たちを餌にしながら子育てに励む鳥たちが目立ってくる・・・ 自然界にはリズムがありますので・・・

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2008年4月 1日 (火)

ナノハナ

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 春の気分を撮りたくて、菜の花畑を撮ってみました。 撮影場所は、河内長野市小山田です。
 「ナノハナ」はアブラナなどの仲間全体を呼ぶ場合に使われることが多く、油を取るためのものや、野菜として使用するものなどがありますが、これらの仲間は交雑して雑種が生まれやすい植物です。 写真はたぶんセイヨウアブラナでしょう。
※ 写真はクリックすると拡大できます。

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