トウゲシバ
トウゲシバという、林の中に生えている植物があります。 漢字で書くと「峠芝」なのでしょうが、峠のような乾燥した場所には生えていませんし、芝のように硬く種子植物のような葉ではありますが、トウゲシバはシダ植物なのです。
シダ植物は大葉類と小葉類に大別できます。 普通私たちがシダと聞いてイメージするのは大葉類で、小葉類でよく知られているものといえばヒカゲノカズラなどがあります。
トウゲシバはヒカゲノカズラ科に分類されます。 小葉類の葉脈は無いか1本の分枝しない脈だけを持つのですが、トウゲシバの葉脈も1本だけです。
シダ植物ですので、胞子で増えます。 胞子のう(=胞子が入っている袋)は、その葉の上の基部についているのですが、一見すると茎についているようにも見えます。
3月8日、ちょうど胞子のうが破れて胞子を出しているトウゲシバに出会いました。 下の写真で中央から上の胞子のうはまだ破れていませんし、下半分の胞子のうは胞子を出してしまっています。 胞子が完成すると、胞子のうが乾燥をはじめ、はじけて胞子を飛ばすのでしょうか、胞子のうの中はほぼ完全に空っぽになっています。 胞子のうの周囲には飛び散った胞子がたくさんくっついています(1枚目と2枚目の写真はクリックすると拡大します)。
◎ こちらにはこの胞子の顕微鏡写真を載せています。
トウゲシバは胞子生殖だけではなく、栄養体生殖も行います。 下の写真は、最初の写真の右端上部の拡大ですが、赤い丸をつけたところが無性芽(むかご)で、これがはずれて地面に落ち、新しい個体になっていきます。
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コメント
無性芽(むかご)
ウチの庭のシュウカイドウにもむかごがついていたというのか実っていたというのか生っていたというのか茶色の小さいのを観たことがあります。
同類のものでしょうか?
投稿: わんちゃん | 2008年3月10日 (月) 23時17分
シュウカイドウのムカゴは芽の変化したもので、組織的に言えばシダ植物小葉類のムカゴと少し違うかもしれませんが、生殖的な機能は同じなんでしょうね。
投稿: そよかぜ | 2008年3月11日 (火) 07時01分