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2008年3月16日 (日)

オオイヌノフグリ

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 オオイヌノフグリの花を見ると、春が来たな、と思います。
 オオイヌノフグリの花の命は一日だけ。 小さな花です。 その繊細な花をアップで撮ってみました。
 花弁には花の中心に向かう模様があります。 この模様は「蜜標」と呼ばれていて、空港の誘導灯のように、虫たちを蜜のありかに導きます。 それぞれの花弁の模様は微妙に違っていて、“誘導灯”は虫たちの侵入経路も決めています。
 虫たちが花に来ると・・・ 蜜の入っている所には毛が蓋をしています。 いったん“着陸”しなければなりません。 ところが虫が花にとまると、小さな繊細な花のこと、花は虫の重みで傾きます。 虫はあわてて目の前にあるオシベにつかまります。 オシベの花糸は、ちゃんと虫たちがつかまりやすいように、花「糸」とは呼べないくらいに太くなっています。 オシベにつかまることで、虫たちは自分で自分の背中に花粉をふりかけることになります。
 写真は13時36分(3月15日)の撮影ですが、もう葯はカラッポです。 既に花粉は運ばれてしまったようです。
 こんな精巧なしくみに、オシベがたくさんあっては、かえってジャマになります。 オオイヌノフグリのオシベは、2本にまで進化しました(減ることも進化です)。
 でも、もし虫が来なかったら・・・ オオイヌノフグリの花は、その場合の準備もしています。 夕方、花の命が終わるとき、オシベの湾曲が進行し、オシベの葯はメシベの柱頭にくっつくことになります。 つまり自家受粉することになります。 虫に花粉を運んでもらって他家受粉を狙いながらも、それが成功しなかった場合は自家受粉で我慢するというわけです。
 この自家受粉するためのオシベの湾曲にも、私はオシベの太い花糸が関係していると思っています。 つまりオシベの花糸が乾燥してくると、花糸の外側と内側で縮み方が異なり、湾曲がひどくなるのではないかと思います。

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コメント

今朝の散歩の時もたくさんのオオイヌノフグリ見ました。
およそ縦横20cmくらいの群生があっちこっちにいっぱいでした。

いつ見てもいっぱい咲いているので、そんな一日だけの命だなんて思いもよりませんでした。

じゃぁ、明日の朝、今日のオオイヌノフグリをさがしてみましょう。

投稿: わんちゃん | 2008年3月16日 (日) 21時56分

夕方、自家受粉している姿もぜひどうぞ。

投稿: そよかぜ | 2008年3月17日 (月) 00時22分

今朝(6時過ぎ)さっそくオオイヌノフグリの辺りをみてみました。
そういえばまだ、その時間では花は咲いてませんでした。
ちっちゃくつぼみのような花がいっぱいついてました。というか、これは今日、咲く予定の花だったの?それとも昨日の花だったの?

ゆっくり見る間がなく通り過ぎた、あわただしい朝の散歩・・・・

投稿: わんちゃん | 2008年3月17日 (月) 15時41分

追伸
夕方だったら、土か日ですね、
虫めがね持参?

投稿: わんちゃん | 2008年3月17日 (月) 15時43分

こんばんは♪
巨大な花だ~~
2本のオシベがぶっとい角のようですネ
こんな花だったんですねオオイヌノフグリ
触れるとぽろっと花びらが落ちてしまう
繊細な花のイメージでした
他家受粉のメリットって何でしょ?

投稿: エフ | 2008年3月17日 (月) 22時35分

> ちっちゃくつぼみのような花がいっぱいついてました。
> これは今日、咲く予定の花だったの? それとも昨日の花だったの?

夕方の花と比較してみてください。何か分かると思います。

投稿: そよかぜ | 2008年3月17日 (月) 22時36分

エフさん、触れるとぽろっと花びらが落ちてしまうのは、夕方に近かったのではないでしょうか。
他家受粉のメリットは、いろんな遺伝子の組み合わせを持ったいろんな子孫ができることでしょう。

投稿: そよかぜ | 2008年3月17日 (月) 22時40分

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