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2008年2月 8日 (金)

動かない鳥

 伊丹市昆虫館の蝶シリーズを中断して、今日は鳥の話です。 というのも、夕菅さんからおもしろい話題を提供していただきました。
 夕菅さんのお友達のKenさんが、カヤックで海上を旅していて、釣り糸が絡まったオオセグロカモメ?(以下、カモメとします)を助けたところ、カモメがカヤックから飛び立とうとはせず、旅を共にすることになったこと、昼食のためにカヤックを陸につけたところ、岩に移ってそこから動かず、見送ってくれたように思えたことなど、どうしてそんな行動を取ったのか、夕菅さんも不思議に思っていたということでした(詳しくはKenさんのHPの記事セグロカモメの「コメント」をご覧ください)。
 このことについて、夢を壊すことになるかもしれませんが、私なりの推理を書いてみたいと思います。
 私たちは人間同士、互いに相手の心を読みながら生活していますので、動物を理解しようとする場合でも、感情を移入しがちです。 でも、鳥にもいろいろありますが、一般的に言って、鳥は非常に本能の発達した動物で、気持ちで行動が左右されるということは、あまり考えられません。 ひとつには、あの小さな脳で、3次元空間を風の変化に瞬時に反応してバランスを崩さずに飛ばなければならないということもあるでしょう。 考えて行動しているヒマがないのです。
 では、なぜカヤックから離れなかったのか。2つの理由が考えられると思います。
 1つは、疲れて飛べなかったということです。釣り糸が絡まったもう一羽は死んでいました。 このカモメも飛ぼうともがき、体力を消耗していたでしょうし、餌も食べていなかったでしょう。 カモメの体は、動かずに体力の回復を待つことを求めていたはずです。
 鳥の表情変化はほとんどありません。 口を尖らせたり唇を左右に広げて笑うこともできませんし、眉毛を吊り上げることもできません。 疲れたという表情を鳥から読み取ることは不可能です。
 動かずに体力の回復を待つためには、動かないものの上にいるのがいちばんです。 カヤックも揺れますので、バランスをとることが必要ですが、波の上にいるよりもましです。 前後左右に揺れる波の上に安定して浮かんでいるためには、こまめに水かきを動かし続けなければなりません。 たぶんカヤックを岸につけたときに岩に移ったのも、岩が動かないものだからだと思います。
 もう1つ、絡んだ釣り糸を切ってあげた時に、なぜ少しでも離れようと、つまり逃げようとしなかったのかについてです。
 釣り糸を切る時に、カモメは人の手で拘束されていました。 その状態から開放されたわけです。 つまり以前より安全な状態になったわけです。 少しでも危険から遠ざかろうと行動する必要は無かったでしょう。
 ちょっと飛んでみる、試しに行動してみる、というのは、自然界の中ではたいへん危険な行為です。 中途半端な動きは敵の目を引くだけです。 逃げることもできません。
 私にも似た経験があります。 南への渡りを開始したと思われる小鳥(エゾムシクイ?)がガラス戸に激突し、飛べなくなっていました。 捕まえようとするとバタバタともがいていましたが、一旦捕まえてしまうと静かになり、じっとしたままでした。
 下の写真は数十cmからの近接撮影です。かなり回復して元気そうに見えますが、全く飛ぶ気配はありません。
 そして一旦飛ぶと、そのまま遠くへ飛んでいってしまいました。

Ezomusikui060831_007

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野鳥1 水辺の鳥」カテゴリの記事

コメント

写真の小鳥、「おじちゃんありがとう」ってお礼を言うてるように見えますけど・・・
つぶらな可愛いお目目。

<そして一旦飛ぶと、そのまま遠くへ飛んでいってしまいました。
早く仲間に追いつかないと・・・と急いだんじゃないですか?

かないませんなぁ~そよかぜさんにかかってしまうと・・・・・
ユメは壊されても、なるほど納得の名推理

投稿: わんちゃん | 2008年2月 8日 (金) 15時19分

横道にそれますが・・・

kenさんのHPをみて地図に目が釘付け
本州最東端・ととが崎
その昔、ここには灯台守が常駐して、太平洋の安全を命懸けで守ったそうです。

そよかぜさんは♪お~いらみ~さ~きの♪の「喜びも悲しみも幾歳月」は知ってはる?
昭和32年の映画で、高峰秀子さん佐多啓二さん扮する有沢夫婦の灯台守としての半生を描いたものです。
ちょっと古すぎかな??
曲は耳に残ってますが、映画はもっと後になって観た記憶があります。

「魹ケ崎」(ととが崎)この曲は最近の曲です
可愛い演歌歌手、浅田あつこチャンが歌ってます
このイントロ部分が♪お~いらみ~さ~きの♪のイントロ部分ににそっくりなんです。
「よぉ似てるね~ほらあの曲に・・・」と必ず話題になります。

この曲は
岩さえ砕く波のように、強い心を持てたなら、こんなに泣かずにすむものを・・・
あぁ~海よ叱ってこの身ごと、とうに終わった恋なのに、未練引きずるおんなの弱さ・・
との、イントロナレーションで玉置宏さんなら曲紹介されるでしょう・・・・

曲の展開がとてもドラマティックで演歌の中では好きなほうです。
もちろん、歌います。

投稿: わんちゃん | 2008年2月 8日 (金) 16時22分

そよかぜ さん
偶々セグロカモメという文字が目に飛び込んで、コメントをお送りしてしまいましたのに、こんなに長文の記事でご説明いただいて誠に恐縮です。ありがとうございました。
確かに人は生物に対して感情移入しがちです。しかし生存のための本能が優先していると考えるのがやはり正しいのですね。ただ、その時「今は飛び立てない。この人のカヤックの上に乗ってた方が無難」と判断した小さな脳の機能に感嘆します。そよかぜさんのエゾムシクイ?も危害を加えない人と感知したからじっとしていたのでしょう。
かって、私が庭の土を掘るとどこからともなく飛んで来て、掘った土の中の虫を探すモズがいました。それと重ねて「人なつっこい」という表現をしてしまいました。どうぞまたいろいろ教えて下さい。

投稿: 夕菅 | 2008年2月 8日 (金) 21時57分

去年見かけた コシアカツバメその後どのようになったのか 今又思い出しました

何か人間の気持ちが伝わってくるような内容に感心しました

投稿: tumumasi | 2008年2月 8日 (金) 22時40分

こんばんは♪
鳥って近くで見ると本当に小さいのによくできてるな~と
感心してしまいます
流れるような羽の集まり
羽の色の重なり
細い足で体を支えてるバランス
つぶらな瞳で見つめられてそよかぜさんも
思わず頬ずりしたでしょ


投稿: エフ | 2008年2月 8日 (金) 22時51分

わんちゃんへ
「喜びも悲しみも幾歳月」は、私の記憶に残っているうちでは最も古い映画です。たしか叔母に連れられて見に行った記憶があります。
「ととヶ崎」は、わんちゃんの歌を聞けるのを楽しみにしています。

夕菅さんへ
おもしろい話題を提供していただいて、ありがとうございました。
Kenさんにも、記事の内容をお借りしたこと、よろしく伝えておいてくださいね。

tumumasiさんへ
「知能」という行動パターンを持たない生き物がいかにうまく生きているか、昆虫などがそのいい例ですが、おもしろいですね。

エフさんへ
鳥に限らず、生きもの全て、合目的性からすると、すばらしいものですね。
進化の力、あなどるべからず、といったところでしょうか。

投稿: そよかぜ | 2008年2月 9日 (土) 09時19分

悠々手漕ぎ旅のKenです。そよかぜさん、カヤックカモメについての丁寧な分析と解説ありがとうございます。とても納得できるお話です。
当然、人間と鳥では全く違う感覚を持っているのでしょうけど、死の危機から抜け出せた時の安堵感というのは、同じ生命として、もしかしたら少しは共通する感情があるのかも……いや、あったらいいなと思っています。
また何か面白いことが起こったら、ご報告に来ますので、よろしくお願いします!

投稿: Ken | 2008年2月 9日 (土) 20時02分

Kenさん、コメントありがとうございます。
Kenさんのお住まいも大阪府だったんですね。
> また何か面白いことが起こったら、ご報告に来ます
ぜひともよろしくお願いします。

投稿: そよかぜ | 2008年2月10日 (日) 11時15分

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