シロオビアゲハ
伊丹市昆虫館の蝶シリーズ その2です。
シロオビアゲハは、トカラ列島から東南アジア、インドにかけて広く分布する蝶です。 幼虫はミカン科の植物を食草とし、1~4令は黒と白の鳥の糞のような色で、5令で緑色になるところなどもナミアゲハに似ています。
オス・メスとも上の写真のように翅を縦断する白い帯状の模様がありますが、メスの中には、下の写真のように、赤い斑点のあるものがいて、「ベニモン型」(=赤紋型またはII型)と呼ばれています。
じつはベニモンアゲハという、八重山諸島、宮古諸島から中国南部、インド、マレーシアにかけて分布するアゲハチョウの仲間がいるのですが、シロオビアゲハのベニモン型は、このベニモンアゲハにそっくりなのです。
大阪付近にもウマノスズクサ類を食草とするジャコウアゲハがいますが、このベニモンアゲハもウマノスズクサ類が食草です。 ウマノスズクサ類はアルカロイドを持っていて、これを幼虫が食べていたベニモンアゲハやジャコウアゲハは、成虫になっても体の中にウマノスズクサの毒素が残留しています。 ですから鳥はこれらのチョウを食べようとしません。
シロオビアゲハのベニモン型は、鳥にとっては無毒なのですが、ベニモンアゲハに体の色を似せることで、鳥などから身を守っていると考えられています。 このように、毒を持たない種が毒を持った種に似ることを、「ベイツ型擬態」と呼んでいます(ベイツはイギリスの探検家 Henry W. Bates の名前から)。
シロオビアゲハにはベイツ型擬態を示すものと示さないものがいるわけですが、ベイツ型擬態を示す個体の方が生存上有利であれば、ベニモン型がどんどん増えるはずです。
| 固定リンク
「昆虫05 チョウ」カテゴリの記事
- ゴイシシジミ(2014.07.05)
- タネツケバナのツマキチョウ(2014.04.09)
- アオスジアゲハの卵と若齢幼虫(2013.08.04)
- ミドリシジミ(2013.07.04)
- ダイミョウセセリの産卵(2013.06.08)
コメント
感動です。
毒を持ってる蝶を食べない鳥と・・・
鳥に食べられないように毒を持った蝶に似せる蝶が居る・・・・
ということに。
みんな一度は誤ってそれをきっかけに学習するんですか?
そうか、生まれついて持ってるもんなんですか?
投稿: わんちゃん | 2008年2月 5日 (火) 09時25分
鳥は毒を持ったチョウを食べると、食べたものを全部もどすなどでひどい目にあって学習するようですよ。
投稿: そよかぜ | 2008年2月 5日 (火) 23時38分