ホオノキの芽 その2
昨日の続きです。
ホオノキ(モクレン科)の芽に関して、昨日の最後に3つの課題を書いておきました。
① 何がどのように変化してこのような芽を形成しているのか
② 春に展開する葉は、この芽の中にどのようにして収められているのか
③ 春に咲く花はもう芽の中にあるのか
今日はこれらのことを調べます。 ホオノキの芽はたいへん大きいので、このような観察には最適です。
まずは芽の断面を作ってみました(下の写真)。 どの部分が何だか分かりますか?
芽の断面を見ると、外側と内側で様子が違っています。 外側では同心円状のもの(これをAとします)が何重にも重なっていて、その間に何か挟まっています(これをBとします)。 断面にたくさんの毛がついていますが、この毛は断面を作るときにBから出てきたものです。 そして内側には細かいものがぎっしり詰まっています。
下の写真は、断面を作った芽の先端側の中身を押し出したものです。 先の尖った袋状のものがA、その上に乗っている銀色のものがBです。
よく見るとBには葉脈が見えます。 Bは毛に覆われた“葉の赤ちゃん”でした。
ではAは? Bが葉ならAは葉ではないはずです。 このBは芽のいちばん外側を覆っていたものと同じようです。 これはいったい何でしょうか?
もういちど、昨日の芽の写真を見てください。 芽の上をタテに溝が1本走っています。 この芽の写真に写っている裏側はどんな様子なのでしょうか?
下の写真は、昨日の写真とは違う芽ですが、溝のある反対側を写したものです。 溝の側とはかなり様子が違っています。 芽の付け根から細長い三角形のものが伸び、先端に小さな円形の部分があって、この三角形の部分から、何かが左右に広がってそれか反対側でくっつきあい、くっつきあった部分が溝になっているイメージです。 三角形のものと、そこから広がる左右一対のもの。 ここから何が連想できますか?
少しホオノキから離れ、一般的な話です。 枝の先には葉がある。 もう一度、葉をよく見ることにします。 下は春にアラカシの新しい葉が展開しようとしている写真ですが、まだ若くて柔かく、垂れ下がっている新しい葉の両脇に、立っている細長い葉のようなものがあります。 これを「托葉」と呼んでいます。 そして、下の方では、葉が目立たなくて、托葉だけが目立っています!
一般的に、葉は葉柄(ようへい)、葉身(ようしん)、托葉(たくよう)からできています。 托葉が退化した植物もありますが、多くの植物で托葉は見られます。 しかし托葉を持つ植物でも、その多くは葉が展開すると托葉は落ちてしまいます。
葉と左右の托葉、アラカシでは葉が発達せずに托葉だけが目立つ部分もある・・・ もうお分かりだと思います。 上から3枚目の写真で、細長い三角形は葉柄、そして葉身は発達せずに落ちて、その後が小さな円形になっています。 そして托葉は大きくなって左右に広がり、葉身ともくっつき、反対側でも托葉どうしがくっついて、内部を完全に覆っていたのです。 そして内部では葉は退化せず、春が来て広がるのを待っていますが、その葉の托葉は、やはりくっついて袋状になり、次の葉以下を保護しているというわけです。
さて次に、芽の断面の中心部に見られた、ぎっしり詰まった細かいものです。 これも取り出してみました(下の写真)。
これは取り出してみれば、すぐに分かります。 ぎっしり詰まった細かいものはオシベの断面でした。 さすがに大きく咲く花、たくさんのオシベです。 そしてその中心部にはメシベがあります。 メシベもたくさんあって、らせん状に並んでいます。 メシベ・オシベの外側には白っぽい花弁もあります。
春になると、外側から順に、内部を保護していた托葉で作られた袋が破れ、葉が広がるのですが、最後にいちばん中心にあった花が開きます。 その花もちゃんと準備ができていました。
芽の内部を見ると、ホオノキでは葉が開いてから花が咲くことなど、いろんなことが分かります。
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コメント
こんばんは。
ホオノキのTBを有り難うございました。今日はものすごく勉強になりました。有り難うございます。本当に役に立つブログで素晴らしいです。
投稿: 多摩NTの住人 | 2008年1月26日 (土) 21時03分
私もものすごく勉強になりました・・・
私の中では単なる葉っぱがいろんな呼び方があるということを知っただけでも・・・・
投稿: わんちゃん | 2008年1月26日 (土) 21時15分
お二人さん、ありがとうございます。
そう言っていただけると、また長い記事を書こうかなという意欲が湧いてきます。
投稿: そよかぜ | 2008年1月26日 (土) 23時01分