サザンカとツバキ
サザンカは秋の終わりから冬にかけての花、今あちこちできれいに咲いています(上の写真)。
ところで、このブログのコメントで、サザンカとツバキはどう違うのかと言う質問をいただきましたので、今日はこの2種の違いについて書いてみようと思います。 ツバキの花(下の写真)の時期は、「ツバキ」が春の季語になっているように、もう少し後の冬から春にかけてで、今は実際の花で比較することはできませんが・・・
サザンカの学名は Camellia sasanqua、一方、大阪付近に自生しているツバキであるヤブツバキの学名は Camellia japonica です。 つまり、サザンカとツバキは、同じCamellia属に分類されますが、別種です。
ただし園芸的に両者の交雑種が作られています。 ということは、園芸的にはサザンカとツバキは連続していて分けられないのでしょうか?
結論から先に言いますと、分けられます。 ただし、サザンカの性質を持ったツバキや、ツバキの性質を持ったサザンカはある、ということになります。
野生に近いサザンカとツバキを比較すると、
葉の色 | オシベ | 花が散るときの花弁 | |
サザンカ | 暗い緑 | バラバラ | バラバラになって落ちる |
ツバキ | 明るい緑 | 互いにくっつく | くっついたまま落花する |
などの違いがありますが、先に書いたように、園芸的にはサザンカとツバキの中間がありますし、最初の写真のように八重の花ではオシベを見ることはできません。
サザンカとツバキを分ける決め手は、子房と、子房が成長した果実のちがいです。
光合成を行う葉などは、環境に合わせて変化します。 例えば光の少ないところでは、薄い、表面積の大きな葉を作って、少しでも光をたくさん受けようとします。 しかし、生殖に関する部分は、そう簡単には変えられません。 簡単に変えてしまって別の生物になってしまったらたいへんです。 ですから、受精卵から胚になっていく子房や、その子房が変化した果実の様子は、サザンカとツバキを分ける決め手になります。
具体的にどう違うのかと言いますと、サザンカの子房の表面は毛むくじゃらで、その子房が大きくなった果実の表面にも毛があります(下の写真)。 古くなったサザンカの果実で、毛が縮れて見づらくなった場合でも、少なくともサザンカの果実に光沢はありません。
それに対し、ツバキの子房の表面はツルツルです。 ですから、子房が大きくなった果実の表面もツルツルです(下の写真)。
今回は夏に写した果実の様子だけを載せました。 花の子房の様子は、ぜひ花弁を取り去ってご自身の目で確認してください。 明確な違いに驚かれると思いますよ。
(以下、12月17日に追記)
ツバキの花も咲き始めていましたので、子房の様子をこちらで紹介しています。
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コメント
こんばんわ~
一度よそのおウチの庭にこっそり侵入して
花弁を取り去って、私自身驚いてみましょう
今、咲いているのはサザンカですね?
椿は年を越してからになるのでしょうか?
サザンカの花弁を取り除いたのをしっかり記憶しとかなあきませんね・・・・
一重のサザンカもあるかと思えば八重咲きもあるし、八重咲きのツバキがあるかと思えば一重のもあるし、ますます、ややこしい・・
あのぅ ヤブツバキは大好きな花のひとつです。
投稿: わんちゃん | 2007年12月 9日 (日) 18時37分
ツバキもいろんな品種があるので自信を持って言えませんが、花はたぶん年を越してからになると思います。
ヤブツバキは園芸的に改良された重さが無く、いいですね。
ヤブツバキだけを見ても、花弁の開き具合が違っているなど、個体差があっておもしろいものです。
投稿: そよかぜ | 2007年12月 9日 (日) 21時22分