シュクシャ
※ 今日はデータ量が多いので、どの写真も、クリックしても大きくなりません。
親類から、畑で育てたシュクシャの花をいただきました。 花瓶に入れておいたところ、今日は部屋中芳香に満ちています。
シュクシャはショウガ科の植物で、インド~マレー半島の原産で、香料の原料にも使われます。 名前は漢方の縮砂と混同されたものでしょう。 園芸上はジンジャーとも呼ばれていますが、食用にするショウガとは別物です。
ショウガ科の花のつくりは変わっています。 シュクシャの花のつくりを見ていきましょう。
ショウガ科は単子葉植物で、単子葉植物の花は「3」という数を基本として作られています。 でも、一見、シュクシャの花は花弁が4枚(そのうち上の2枚はくっついている)のように見えます(下の写真)。
そこから1本、何か突き出しています。 この突き出したものの拡大が下の写真です。
よく見ると、オシベの葯の先端にメシベの柱頭がついているようですが、じつはメシベがオシベに取り囲まれているのです。 メシベとオシベをそっと分離させたのが下の写真です。
4枚の花弁のようなもの(以後、a と呼ぶことにします)の後ろには、3枚の細い花被状のもの(以後、b と呼ぶことにします)があります。 花の若いうちは、上の2枚の b は a の後ろにピッタリと張り付き、一番下の b は2枚目の写真のように前に出てきています。 でも、古い花になると、垂れ下がってきますので、存在の確認には、この時期の方がいいでしょう(下の写真)。
a と b の下は、長~い管状になって伸び、苞の中に隠れます。 この苞をめくってみると、下のほうに、半透明の花被状のものがあります。 これを c と呼ぶことにしましょう。 下の写真は、これがよく分かるように花を下に曲げて写しています。
これで花被状のものが、下から c、b、a と、3種類あったことになります。 一般的な花のつくりで花被といえば、下からガク、花弁・・・ 2種類しかありません!
そろそろ結論をお話します。 この結論は、シュクシャに近縁な植物の花のつくりとの比較などから導かれるものです。
花の一番下にある c がガクです。 そして、花弁は基部が筒状になっていて長く伸び、その後3裂した花冠が b です。 ではいちばん花弁らしい a は!?
a はオシベが花弁化したものなのです。 近縁の植物から類推すると、オシベは6本あり、うち、花粉を出しているのは1本のみで、他の4本は花弁化し、残りの1本は退化したものと考えられます。
次に、花粉媒介について考えてみます。
花の基部の断面を作ってみると、たくさんの胚珠の上に黄色い蜜腺があります。 もちろんメシベは延々とここまで続いています。 下の写真は、よく分かるように、メシベを外に引っ張り出しています。
上の蜜腺で作られた蜜は花の下に溜まっていますから、この蜜を飲むのは、よほど長い口を持った花粉媒介者でしょう。 そして、この花粉媒介者は、メシベとオシベが突き出していることから、ホバリングすると考えられます。 この花粉媒介者は、スズメガのような昆虫でしょうか? それともホバリングできる舌の長い鳥がいるのでしょうか?
花弁化したオシベがくっつきあっている中央には、この花粉媒介者が蜜を吸うために口を差し込む穴が、ちゃんと用意されています。
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コメント
こんばんわ~
そよかぜさんのご親類の方も、
プレゼントしたお花がここまで解剖されるとは、思いもよらなかったことでしょう・・・
秘密の花園をのぞくような気分で読みすすむわたしに気づいてハッとして・・・・
投稿: わんちゃん | 2007年10月28日 (日) 00時50分
天気がもうひとつだったので、出かけずに書いていたら、長い記事になってしまいました・・・
投稿: そよかぜ | 2007年10月28日 (日) 01時09分
こんばんは♪
白い花艶かしくてくらくら
こんなにアップにしていいんですか
記事が難しくてちょっと言い訳してしまいました
出来の悪い生徒でがっくりです
投稿: エフ | 2007年10月28日 (日) 23時13分
シュクシャの花って大きいんですよ。
分かりにくいところは、どんどん指摘してください。今後の参考にしますから。
投稿: そよかぜ | 2007年10月29日 (月) 23時22分