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2007年9月18日 (火)

カラスウリ

Karasuuri070917_1

 闇夜の中、カラスウリがその繊細な花を咲かせていました。(H19.9.17. 20:30頃 堺市南区逆瀬川で撮影)
 花弁の繊細さにも、そのガク筒()の長さにも驚かされます。 これが一夜だけの花というのは、なんとも惜しい気がしますが、これだけ繊細な花が長持ちするわけもありません。
 進化の過程で、どうしてこんな花が作られてきたのでしょうか?
※ 花弁と共に、その外側にあるガクもいっしょに伸びてきています。 写真をクリックして拡大し、ガクの先端を確認してみてください。

 花は有性生殖のために存在します。 きれいな花は、虫などを呼び寄せ、花粉を同じ種類の花のメシベに運んでもらうために生まれました。 でも、花粉を別の種類の花に運ばれては、なんにもなりません。 つまり植物にとっては、特定の昆虫に、自分たちの花だけを訪れてもらう方がいいわけです。
昆虫にとっても、特定の花を訪れると必ず蜜などにありつけるのはうれしいことです。
 このようにして、特定の花と特定の昆虫が結びつきを深め、互いが互いに依存しあい、花は他の昆虫を排除する方向へ、そして昆虫はその花をより利用しやすい形態に進化します。 このような現象を「共進化」と呼んでいます。
 もちろんこれとはまったく違った“発想”の花もあります。 できるだけ“安上がり”の花をたくさん用意して、たくさんの虫を呼び寄せ、“誰かが花粉を目的の場所に運んでくれるだろう”式の戦略もあります。 でも、カラスウリは、特定の昆虫にだけ花粉を運んでもらおうとしました。
 その特定の昆虫は、この長~いガク筒の底にたっぷり用意された蜜を吸うために、長~い口を持たなければなりません。 夜活動する長~い口を持った昆虫、スズメガの仲間です。 スズメガなら飛翔力があります。 カラスウリは雌雄異株ですが、雄花から少々離れた所に咲いている雌花にも、花粉を運んでくれるでしょう。
 写真の花は雄花なのですが、ガク筒の入り口は団子状のオシベがブロックしていて、ガク筒にもぐりこんで蜜を吸おうとする昆虫の侵入を阻んでいます。 でも、スズメガの細いストロー状の口なら、その隙間(下の写真)から差し込むことができます。 そしてカラスウリはその口の周囲に花粉をつけることができるのです。

Karasuuri070917_2

 スズメガの仲間は、ホバリング、つまり空中に停止することができます。 つまり花弁にとまらなくても蜜を吸うことができるのです。
 暗闇で咲く花は白く大きく目立たせ、でも花弁にとまろうとする昆虫にはとまりにくくする・・・ こう考えると、この繊細な花弁は決して人に美しく見せようとしているのではなく、花粉媒介の高等な戦略の結果なのかもしれません。

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コメント

20:30頃 こんな遅い時間に大丈夫ですか
というのも 今日8/18オオセイボウを撮った畑を草刈していた叔父さんが 近づいてきて 「草刈機で二匹も ずたずたにしぞ」と仰いました
やはりマムシ居るのですね
気をつけなければ
いつもロ-カルな話題ですみません 

投稿: tumumasi | 2007年9月18日 (火) 22時13分

tumumasiさん、カラスウリの咲いているところは、マント・袖群落にあたり、逆瀬川で2箇所、鉢ヶ峯で1箇所、いずれも車のすれ違える道路わきですから、マムシは大丈夫でしょう。

投稿: そよかぜ | 2007年9月18日 (火) 23時32分

カラスウリの花、妖しい魅力ですよね。

アカハネナガウンカ、キオビツチバチ、グンバイムシ、カラスウリと、このところ、そよかぜさんのネタとかぶる写真が多くなっています(笑)。
やはり季節柄、なんでしょうね。もっともそよかぜさんのカラスウリの花のお話は私のよりずっと分りやすく、説得力があります。何かの折には参考にさせて頂きます(笑)。

夜、写真を撮るときはマムシより蚊が大変ではないですか?あっという間にぼこぼこに・・・・。

投稿: タロ | 2007年9月19日 (水) 02時56分

U~~NNNNN
と、唸ってばっかりです。

ただひたすら、スズメガの標的になるように、夜目にもクッキリ(暗闇に白いレースは目立ちます)

雄花と雌花をとりもってもらって、役目を果たした花は一夜かぎりでしぼんでしまう・・

その後はどうなるんですか?
それで終わりとはホンマに儚すぎるやないですか?

投稿: わんちゃん | 2007年9月19日 (水) 15時46分

こんばんは♪
繊細な花の現実的な発想なんですね
カラスウリは夜撮ればいいのか~なるほど♪

今日スズメガのホバリングを見てたら
咲いてる花のひとつづつに飛びながら
確実に長い口を突き刺してました
それがちゃっちゃっと速いんです
エフのデジカメでは撮れませんでした

投稿: エフ | 2007年9月19日 (水) 22時26分

タロさんへ
世の中これだけいろんな生物がいるのに、やはり載せたくなる生物っているんですね。
蚊は6月のキノコの撮影のことを思えば問題になりません。このカラスウリの撮影でいちばん困ったのは、懐中電灯を持って行かなかったので、暗い中で、カラスウリの花の白さは肉眼で確認できるのですが、ファインダーの中は真っ暗で、ピントを合わせられなかったことです。

わんちゃんへ
花の後ですが、雄花は1日くらいはくっついている場合が多いのですが、その後は潔くポトリと落ちてしまいます。茶色くなってしがみついているようなことはしません。他の虫の餌となることはありますが・・・
雌花は長~いガク筒の一番下にある子房のふくらみ(写真は雄花ですのでありません)が膨れてきて、秋には赤い大きな「ウリ」になります。これも写真で紹介したいですね。

エフさんへ
エフさんの観察されたのは、何時ごろでしょうか? もし明るい時間帯なら、スズメガの仲間のホウジャクあたりだと思います。カラスウリを訪れるスズメガはもう少し大きいのですが、動きは似ています。

投稿: そよかぜ | 2007年9月19日 (水) 22時58分

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