ジュズダマの花
ジュズダマの花が咲いていました(H19.9.1. 堺市南区岩室)。
ジュズダマはイネ科の植物です。 でも、ジュズダマはイネ科の中では、とても変わった花のつくりをしています。
ジュズダマを含めてイネ科の植物の多くは風媒花、つまり花粉を風に運んでもらう花。 虫を呼ぶ必要はありませんから花は目立ちませんが、そのつくりは複雑です。 おまけにイネ科の花に対しては、特異な用語を使います。 初期の形態学の頃は、何が普通の花の何に相当するのか分からなかったのでしょうね。
ジュズダマの花(の集団)の解説に必要な用語を理解していただくついでに、まずは一般的なイネ科の花について説明しておきます。 ややこしい話になりますが、しばらくご辛抱を。
まず、他の植物の1つの花に相当するものに、それを保護する「護頴」と「内頴」を加えたものを「小花」といいます。 この小花の集団に、この集団を保護する2枚の「包頴」がついたものを「小穂(しょうすい)」といい、小穂の集まりが「花序」。 これがイネ科の基本的な“穂”のつくりです。 このあたりの話は、いつか機会を見て、分かりやすいイネ科の植物で、あらためてお話しすることにします。
さて、ジュズダマです。 ジュズダマは雌花と雄花に分かれています。 このように雌花と雄花に分かれているのは、イネ科のなかではたいへん珍しいことです。
雌花(雌小穂)は、その基部にある包葉(の鞘)が包み込み、つぼ型になります。 下の写真では、つぼ型になった包葉鞘の先端から、長いひも状の雌花の柱頭が伸びています。 包葉鞘の先端からは2つの退化した小穂なども少しだけ顔を覗かせていますが、これに触れだすとさらに話がややこしくなるので、今回は略します。
包葉鞘の先端の穴からは雄の小穂も出ていますが、雄花はまだ咲いてはいないようです。
下の写真、今度は雄の小穂は花盛り。 そして雌花の柱頭は既に枯れています。 このように、ジュズダマは雌性先熟の花です。
今までに8月4日のアキノタムラソウ、8月16日のヤブガラシ、8月18日のクサギなど、雄性先熟の花を紹介してきました。 一般的に、虫媒花には雄性先熟の花が多く、風媒花には雌性先熟の花が多い傾向があります。 虫媒花は、まず花粉を昆虫の体につけ、それをメシベに運んでもらおうとするのに対し、風媒花はまず花粉を受け取る用意をし、風に乗って運ばれてくる花粉を待つ、ということでしょうか。
今日は、雌性先熟が分かりやすい花として、ジュズダマを取り上げてみました。
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コメント
おはようございます♪
うーーん読めません
護頴内頴包頴の頴・・
風の吹くまま気の向くままの風媒花
他にも戦略があるんでしょうか
ただ待ってるだけでは心もとないような
気がします
リンクの件おそれいります
URLにリンクを張るのと、
通常の文字へのリンクを張るのは
一長一短とはどんな意味なのでしょうか
前頭葉の働きが悪いのでしょうかこの頭・・
投稿: エフ | 2007年9月 5日 (水) 08時36分
繊細な写真にジィ~~っと見つめるばかりです。
特に白い糸状のものに惹かれました。
唐突ですが、
風媒花というと花粉を撒き散らすんですよね?
ウチの長男がイネ科の植物が原因でスギ花粉症が治まって、ヒノキも治まった頃、イネ科花粉症に悩まされ、左手の親指のつけ根あたりが毎年、決まったように痒くなり、右手の親指とかで掻いてます。
ジュズダマも原因の一端を担ってるんでしょうか?
投稿: わんちゃん | 2007年9月 5日 (水) 16時50分
エフさんへ
頴はおもいきって「えい(ッ!)」と発音してみてください。
リンクの件ですが、URLを書くと、詳しく見る人には、HPとブログの区別、プログの種類など、いろんな情報をそこから読み取ることができるでしょうが、そんな情報が不要な人にとってはスマートではないように感じるのではないでしょうか。
「風媒花の戦略」についてですが、「風まかせ」と見るか、頼りにならない虫などに頼らずに地上に起こる自然現象をうまく利用していると見るかで、かなり見え方は違ってくるでしょう。実際、少なくとも本州低地の草原でいちばん目立っているのはイネ科の植物で、このイネ科はほとんどが風媒花ですから、花粉を運ぶのに風を利用する戦略は成功しているのでしょうね。
わんちゃんへ
花粉症の原因となる花粉は風媒花の花粉で、重く大きく粘着力のある虫媒花の花粉が花粉症の原因となることは、まずありません。
でも、風媒花の花粉が全て花粉症の原因となるとは言えず、それぞれの植物の花粉の特長によって、花粉症の原因となる植物は限られてくるようです。
ジュズダマの花粉が花粉症の原因となることはまだ聞いたことはありません。
イネ科の植物で花粉症の原因となる植物としては、5月から6月にかけて花粉が多くなりだすカモガヤなどがよく知られています。
投稿: そよかぜ | 2007年9月 6日 (木) 00時51分