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2007年8月 4日 (土)

アキノタムラソウ

 まだ夏の真っ盛りですが、アキノタムラソウの花をあちこちで見かけるようになりました。 これから11月頃まで咲き続けます。
 どこにでもある野草ですが、拡大してみると、普段は気づかなかった美しさも発見できます。

Akinotamurasou070729_1

 上の写真、茎やガクに腺毛(ネバネバを出す毛)がきれいに並んでいます。 そして花には長短の柔かそうな毛。 ぜひ写真をクリックして、拡大してご覧ください。 ちょうどキタヒメヒラタアブのメスが写真に協力して、アクセントになってくれました。

 キタヒメヒラタアブが舐めているのは、突き出したオシベ。 花粉を舐めているのでしょう。
 アキノタムラソウは野生のサルビア(学名は Salvia japonica つまり「日本のサルビア」)ですが、サルビアのオシベは2本しかありません。 そして、アキノタムラソウの2本のオシベは、面白い動きをします。

 下の写真、正面を向いた花が3つ写っています。
 3つの花の中では、中央の花が最も若い花です。 2本のオシベは、その上にあるメシベにピタッとくっつき、葯は下に向いて開いています。 ちょうど花に潜り込んで奥の蜜を吸おうとする昆虫の背中に花粉がつくようになっています。 この花も、花粉はほとんど出尽くしたようです。 写真ではメシベが分かりにくいかと思いますが、メシベの先が閉じているからです。

 中央の花よりもう少し古い花が右側の花です。 花粉を出し尽くしたオシベは、メシベから離れます。 今度は花の上にあるメシベは分かりやすいと思います。 メシベの先端は上下2つに分かれていますが、それらがまだくっつきあっているのが分かっていただけるでしょうか?

 さらに時間が経ったのが左の花です。 めしべの先端が、大きく口を開くように上下に分かれて、その内側を露出させています。 これでやっと、受粉できる状態になったわけです。 写真を拡大してよく見ていただくと、そこに数個の花粉がくっついています。

Akinotamurasou070729_2

 花は生殖器官です。 遺伝子を交換するために咲くのですから、自分のメシベに自分の花粉を付けても(自家受粉しても)、あまり意味がありません。 植物は自家受粉を避けるために、いろんな工夫をしているのですが、アキノタムラソウでは、オシベとメシベの成熟の時期を変えています。 まずオシベが成熟し、花粉を出し尽くしてから、メシベが受粉できるようになるわけです。 同様なしくみは、ヤブガラシなどでも見られます。

 ところで、左の花の上には、腺毛のネバネバに捉えられて干からびてしまった小さな虫も写っています。 こんな小さな虫が花の中に入ってくると、花粉を運んでもらうことはできず、蜜を盗まれるだけです。 ただ食いは許さないアキノタムラソウの強さです。

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草1 合弁花」カテゴリの記事

コメント

「恐縮です・・・」
アキノタムラソウの代弁です。


何もかも知り尽くされて・・・・

投稿: わんちゃん | 2007年8月 5日 (日) 00時15分

最近思うんですが、種子植物に比べると、昆虫は種類も多く、ほんとに分かっていないことだらけ。
でも、植物と昆虫は互いにいろんな深い関係で結ばれていて、植物は昆虫のことをとてもよく“知っている”気がします。

投稿: そよかぜ | 2007年8月 5日 (日) 21時14分

植物はフェロモンを出して昆虫を誘い
昆虫は蜜を吸ったり花粉を媒介させてくれる
たいてい特定の植物を選ぶみたいですね?

自然界は助け合いの精神行き届いてますな。

投稿: わんちゃん | 2007年8月 5日 (日) 23時31分

おはようございます♪
腺毛を拡大してキレイだと思って
見ましたが役に立たない虫の接近阻止の
役目もしてるんですか・・
自然界って厳しい世界なんですね

植物って意思があるんでしょうか
どうもエフの意識改革が必要なようです

投稿: エフ | 2007年8月 6日 (月) 07時50分

こんばんは。
いやあ、良くわかりました。次に見る時は、今までと違った見方が出来ます。有り難うございました。

投稿: 多摩NTの住人 | 2007年8月 6日 (月) 21時34分

わんちゃんへ
花は虫に花粉を運んでもらうために蜜を出しますが、フェロモンは仲間同士の情報伝達に使うにおい物質です。

エフさんへ
「意識」をどう定義するかでしょうね。
時間は進化というプロセスを通じて思わぬことをやってくれる、ということでしょうか。

自然界はわんちゃんの言う助け合いの精神あり、エフさんのいう厳しさあり、なかなか単純には言い切れない、ということでしょうね。

投稿: そよかぜ | 2007年8月 6日 (月) 21時43分

なるほどアキノタムラソウもそうでしたか。画像で見せてもらえると改めて認識し直します(笑)。

めしべとおしべの成熟の時期が違うのは相当数の顕花植物に見られますよね?やはり性をもつ生きものは遺伝変異に幅を持たせるために、原則として自家受粉を避けたいということなんでしょうね。

エフさんへ。自然の中には、助け合いもあれば足の引っ張り合いもあるし、冷酷無比、深謀遠慮、人間界にあるありとあらゆるものが既にあります。寧ろ人間のやっていることなど可愛いとしか思えないほど巧妙かつアザトイように思えます。でしゃばってゴメンナサイ。m(_ _)m
 


投稿: タロ | 2007年8月 6日 (月) 22時40分

おはようございます♪
なにやらこの夏は生き物を
見る目が激変しそうです
特に植物・・・

四文字熟語にやられました

同じ地球に生きる同士として
強くて逞しくあざとい生き物たちに
エールを送りたいです

投稿: エフ | 2007年8月 7日 (火) 08時46分

いやぁ、いいですね。
パネルディスカッション的ブログ!
いろんな人が互いに他の人の発言を元に発言する・・・。
タロさん、「でしゃばって」なんて言わないで、どんどん書き込んでくださいね。

投稿: そよかぜ | 2007年8月 7日 (火) 22時23分

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