アサマイチモンジ、ダイミョウセセリ
アサマイチモンジ
昨日の解答です。 コメントの中で正解をいただいてしまいましたが、一昨日の写真の2種類のチョウは別種、しかも科が違います。 コメントでいただいたように、アサマイチモンジ(コメントではイチモンジチョウだといただきましたが、それに非常に近いアサマイチモンジだと思っています)はタテハチョウ科の蝶です。 そしてダイミョウセセリはセセリチョウ科。 科が違うということは、かなりの違いです。 それにしては、翅の黒地に白模様の配置、翅の縁が白いところなど、ほんとによく似ていると思いませんか?
ダイミョウセセリ
翅の模様の違いは、鱗粉の色の違いです。 鱗粉の色の違いは、鱗粉形成細胞の中でどんな遺伝子が働き、どんな色物質を作るかで決まります。 鱗粉形成細胞でどんな遺伝子が働くかは、その細胞の置かれた位置情報によります。 もちろん、位置情報もある種の遺伝子が作り出す物質の濃度勾配でしょう。
生物の発生において、位置情報はとても大切なものですが、蝶の翅の模様は、位置情報に基づいたパターン形成の様子を、色として見ることができるのだ、ということになります。
生物の遺伝子は、同じ起源と考えられるよく似た遺伝子が他の遺伝子との関わりの中で違った形質を支配することがよくあります。 しかし、このこととは逆に、蝶や蛾の翅の模様を見ていると、眼状紋や帯状・線状の模様の走り方など、科を超えて似たパターンがよく現れます。 たぶん科を超えて普遍的に存在する共通の遺伝子が同じように働いているのでしょうね。
せっかくですから、アサマイチモンジとダイミョウセセリについて、紹介しておきます。
アサマイチモンジの翅の裏
アサマイチモンジは、これによく似たイチモンジチョウより産地は限定されるというのですが、私の家の近所では、こちらの方がずっとたくさんいるようです。 幼虫の食草はスイカズラです。
ダイミョウセセリの顔
ダイミョウセセリの幼虫の食草は、ヤマノイモ、オニドコロなどのヤマノイモ科の植物です。 この写真を見て、関東地方の人は「アレッ」と思ったかもしれません。 伊勢湾から福井県に至るゾーンを境にして、東側のダイミョウセセリの後翅には白帯がありません。
今日は、蝶や蛾で、かなり離れた種類でも翅の模様に似たパターンが見られることがあり、それは種を超えて広く存在する(元は)同じ遺伝子によるのではないか、というお話をしました。
| 固定リンク
「昆虫05 チョウ」カテゴリの記事
- ゴイシシジミ(2014.07.05)
- タネツケバナのツマキチョウ(2014.04.09)
- アオスジアゲハの卵と若齢幼虫(2013.08.04)
- ミドリシジミ(2013.07.04)
- ダイミョウセセリの産卵(2013.06.08)
コメント
クイズは得意分野なんですが・・・・
やはり「知る?知らない?」の問題になると
唯一「セセリ」つながりというところにホッ
チャバネセセリは見たことあるある。
と、変なところでくっつけようとしている自分に気づき苦笑い・・・・
ところで、チョウの翅の表と裏の模様が違うのなんて、まるでリバーシブルのジャケットみたい・・・・
投稿: わんちゃん | 2007年8月20日 (月) 09時33分
わんちゃんの直感は正しいと思いますよ。
ダイミョウセセリはセセリチョウらしくないセセリチョウ。セセリチョウらしいところといえば、胴体が太いくらい。
記事にも書きましたが、分類上かなり離れているのにこんなに似ている、という事に関心を持ってもらいたかったんですから。
チョウの翅は背面側、腹面側の2層の細胞からなっていて、背面側と腹面側で違う遺伝子が働けば、違う模様になります。
記事に戻った言い方をすると、あんなに薄い翅でも、背面側と腹面側で位置情報が異なるわけです。
投稿: そよかぜ | 2007年8月20日 (月) 23時42分
イチモンジチョウ 目かにら鱗です
私が写真にUPしているもの ほとんどが
アサマイチモンジのようですね
これからも 良いヒントよろしくお願いいたします
蝶の羽の表と裏 なぜにこんなに違うものか
驚かせらるる物が沢山ありますね
そこが又楽しみなのですが
投稿: tumumasi | 2007年8月21日 (火) 11時47分
なかなか表を見せてくれない蝶もいますしね。
投稿: そよかぜ | 2007年8月21日 (火) 23時59分