蓮田の緊張①(オオハヤバチ、ヤブキリ)
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(今日の写真も全て、写真をクリックすると拡大できます)
クマゼミでなくてもいいのですが、今日はセミの抜け殻について。 というのは、「そよかぜBBS」で、セミの抜け殻の割れ目から見えている白い糸状のものは何かという質問をいただきました。
上の写真は真横から撮っていますので、脱皮時の割れ目がよく写っていませんが、背中側から白い糸の束のようなものが伸びていて、断ち切られたようになっています。 皆さんはこれは何だと思われますか?
これに答える前に、予備知識を2つ持っていてほしいと思います。
① 「体表」について
ご存知のように、昆虫は外骨格です。 つまり、私たちの体の内部にあるような骨はなく、体表が硬くなっていて体の形を保っています。 でもこれでは成長できませんから、硬くなった「体表」を脱ぎ捨てます。 これが「脱皮」ですね。 上の写真、透明な眼の表面も、きれいに脱いでいます。
今、簡単に「体表」と表現しましたが、案外難しいものです。 皆さんは自分の体の表面が分かりますか?
鼻の頭から出発して、口を開けて、指で体の表面を下になぞってみてください。 口の中の表面は体内ですか? 体表ですか?
胃カメラをのんだとき、胃カメラはどこに触れてどこを通るのでしょうか? 「体の表面」を突き破って「体内」に入っていくのでしょうか?
昆虫の体の体表はどこまででしょう?
② 昆虫の呼吸器について
昆虫はもちろん呼吸しています。 でも、肺はありません。 じっと見ていても胸が膨れたりへこんだりしていません。
じつは昆虫は“呼吸用の口”を、食事する口とは別に、体のあちこちにたくさん用意していて、「気門」(空気の出入り口、つまり門)と呼ばれています。 気門から取り込まれた空気は、気門から伸びる「気管」(空気の通る管)を通って、体の内部にまで運ばれ、体液とガス交換します。
昆虫のような小さな体では、酸素や二酸化炭素の拡散に任せておくだけで、十分です。 血液で体の隅々まで酸素を運ぼうとすれば、血液を流すエネルギーを消耗するだけです。
セミの抜け殻に見られる“白い糸”は何か、もうお分かりの人も多いと思いますが、確認していきましょう。
下の写真は、上の写真の抜け殻をハサミで左右に分け、内部を撮ったものです。 “白い糸”は、体のあちこちから、成虫の出た方向に向かって伸びています。
“白い糸”の“出発点”はどこでしょうか? このままでは分かりにくいのですが、“白い糸”は触れると、簡単にポキポキと折れてしまいます(上の写真も、あちこち折れかかっています)。
そこで、抜け殻を熱湯で柔かくして、“白い糸”をほぐして写したのが下の写真です。 “白い糸”の出発点が分かり易いように、抜け殻を逆さにし、腹側がよく写るようにしています。
“白い糸”のスタート位置は、気門のある場所です。 腹部を例に、もう一度、抜け殻の外側から見てみましょう(下の写真)。 白く写っているのが気門です(他にも光の反射で白くなっているところもありますが・・・)。
もうお分かりだと思います。 白い糸は、気管の内側の「表面」です。 セミは気管という管の内側の表面まで、きれいに脱皮しているのです。
“白い糸”の“正体”が分った今となっては、この“白い糸”はセミの抜け殻に限って見られるものでないことは理解いただけるでしょう。 こちらの記事の写真では、オニヤンマの抜け殻の“白い糸”がきれいに写っています。
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(「落とし文」については、こちらの私のHPで紹介しています)
7月24日の記事で、7月21日の観察を基に、4月下旬頃に作られた揺籃から生まれたと思われるヒメクロオトシブミが見られる時期になったこと、モチツツジの葉を食べていたが、モチツツジの葉のネバネバ度は雨で減少しているのではないか、という内容を書きましたが、いろいろ気になることがあって、再度見に行ってきました。
ヒメクロオトシブミは、あいかわらずそこにいました。 ここ数日雨はありませんでしたが、モチツツジの葉のネバネバ度は、指で挟むと、少し粘つく程度。 ヒメクロオトシブミも、少し歩きにくそうにはしていましたが、葉の上も茎の上も歩くことができていました。
モチツツジのネバネバ度の雨や季節などとの関係は、時間ができたら調べてみたい気がします。
面白い新たな発見がありました。 新たに生まれたヒメクロオトシブミたちが、次の揺籃を作っていましたが、その揺籃のことです。
ヒメクロオトシブミの揺籃は、葉の真ん中にぶら下がっているのが普通で、たまに葉から切り離される場合がある、と、思っていました。 ところが、ここで作られている揺籃は、全て切り離されていました。 切り離された揺籃は、モチツツジの葉のネバネバにくっついて、葉の上にありました。
下の写真には、葉にくっついた揺籃が4つ写っています。 写真の右上隅と、中央の上やや左寄りには、中央から先が揺籃作りに使われた葉が写っています。 そして写真の中央やや右には、ヒメクロオトシブミが茎の上を歩いています。(写真はクリックすると拡大できます)
揺籃を切り離すのかぶら下げておくのかは、何で決まるのでしょうか? 周囲の状況、つまり環境によるのでしょうか、それともそれぞれの個体の遺伝的な性質によるのでしょうか。
私は今のところ、遺伝的な要因が強いと思っています。 というのは、ここにいる個体は、全部同じ親から生まれた個体だと思います。 そして彼女らが全部揺籃を切り離しているわけです。
モチツツジだから切り離しているのではありません。 同日、別の場所で見たモチツツジの葉で作られた揺籃は、全てぶら下がっていました。
モチツツジの葉で作られた揺籃を1ついただいてきて、断面を作ってみました。 中央に卵が産み付けられています。
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写真はカシワマイマイのメスです。 オスはメスに比較するとかなり小さく、触角が発達していて、翅の模様も色あいも違います。
メスの後翅は美しいピンク。 少しつついて翅を広げさせ、その美しい後翅を写そうとしました。 右手でカメラのシャッターを半押しにして、左手に細い枝を持ってつつこうとしましたが、これは無理でした。 強くつつきすぎて飛ばれてしまい、ちょうど側を通った車のフロントガラスにへばりついて連れ去られてしまいました。 カメラもつつくのも微妙な調節が必要。 一人では無理な作業でした。 助手がほしいよ~。
仕方ないので顔のアップでご辛抱を・・・ これでも十分きれいでしょ。 でも、後翅はもっときれい(逃した魚は大きい)。
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沼に生えればヌマトラノオ、丘に生えればオカトラノオ、と、きれいに住み分けているわけではありませんが、その傾向はあります。 両者とも同じサクラソウ科の Lysimachia 属で、近い仲間です。
ヌマトラノオ(上の写真)は沼地などの水辺に生えるとされていますが、写真のヌマトラノオは乾いたところに生えていました。 蓮田のすぐ近くなので、蓮田で育ったものの種子が飛んできて育ったのだと思います。
オカトラノオ(下の写真)の花穂はヌマトラノオより太く、写真のように垂れているのが普通です。
オシベと花冠の裂片とが同数の場合、両者が互生する花が多いのですが、ヌマトラノオもオカトラノオも、オシベ5本は、それぞれ花冠の裂片と対生します。 画面では個々の花が小さいので分かりにくいですが、写真を拡大してよく見ていただくと分かると思います。
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今日、近畿地方の梅雨が明けました。 平年より5日遅れということです。
梅雨が明けると、梅雨のころが懐かしい(ウソ!) 梅雨の期間に撮ってまだ紹介していない写真がたくさんあるだけのことですが、そのいくつかを紹介します。
まずはヒメクロオトシブミ。 他の昆虫が葉の陰などで雨宿りするなか、雨に濡れながら、モチツツジの葉を食べていました。 背中には雨粒がいっぱい。
近くに3頭いました。 4月28日に紹介した揺籃から生まれた子供たちでしょう。
7月21日の撮影です。
(以下、7月25日の加筆です。)
大事なことを忘れていました。 写真を撮りながら思っていたこと・・・
他の昆虫が雨宿りしているなかで、なぜヒメクロオトシブミは雨に濡れながらモチツツジを食べていたのか・・・
モチツツジは粘液を出しています。 粘液を出すのは、葉を食害から守るためでしょう。 逆に言えば、それほど粘液を出さないと葉を食べられてしまうほど、葉には葉を守る物質もなく、おいしい葉なのではないか。 それならば、雨で粘液が流される、またはサラサラになる、その時が葉を食べる狙い時ではないか?
この考えは、今のところは何の根拠もない考えです。 雨でモチツツジのネバネバ度はほんとうに減少するのか? まずネバネバ度をどのように測定するのか? 晴れた日なら、ヒメクロオトシブミはモチツツジのネバネバに捕らえられてしまうのか? いろいろ面白いテーマが浮かんできます。
※ 続きはこちらで
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昨日に続いて、もう1種類、ヤドリバエの仲間を紹介します。 これも昨日と同じ、アノニモミイアさんを通して舘卓司博士にお聞きしたところ、ヤドリバエ科のCompsoptesis属ということでした。 なお、この属名は日本や欧亜大陸のヤドリバエ科の本には出てこないので、和名は無いだろうということでした。
でも、和名もつけられていないのならたいへん珍しいのかというと、そうでもありません。 わたしも昨年も見ていますし、他のブログにも載っているのを見たことがあります。 このあたり、昨日の記事のコメントにタロさんが書いてくれたように、他の昆虫に寄生するハエやハチの仲間は、昆虫どうしの関係で、直接人間の生活には影響しないとして、今まであまり研究が進まなかったのでしょうね。 最近は農薬の害が問題になり、寄生関係を利用して昆虫で農作物の害虫を制御する方法が注目されてきていますが、農作物の害虫ではない昆虫に寄生する昆虫は、やはり置いてきぼりなのでしょうか?
ところで、このハエは、透明な翅と白い翅の、合計4枚の翅を持っているように見えます。 しかし、ハエの仲間の翅は2枚のはずです。
以下の内容は、アノニモミイアさんに教えてもらったことを中心に書いています。
この白い翅のように見えるのは、胸弁といって、翅の後縁の基部が拡大したものです。 ヤドリバエやニクバエなどにあるのですが、このヤドリバエでは著しく広がって、しかも色が白いので大変目立って、翅が4枚あるように見えているわけです。
じつは昨日のGonia属(オオズハリバエ属)のハエにもちゃんとついています。 昨日の写真をもう一度見てください。 速い動きで翅は全くと言っていいほど見えませんが、胸弁ははっきり写っています。 つまり胸弁は動いていないのです。
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マサキの花に来ていた、ヤドリバエ科Gonia属(オオズハリバエ属)のハエです。 7月7日の撮影で、マサキの花に来ていました。 一番下にいるメスに、オス2頭が近づこうとしているところだと思っています。 3頭とも、翅は動かしていますので、写っていません。
ヤドリバエの仲間は、その幼虫が他の昆虫の幼虫やサナギに寄生して育つハエの仲間です。 ここに載せるのが遅くなったのは、名前を調べていたからですが、アノニモミイアさんに、ヤドリバエ科の系統分類学の専門家である舘卓司博士にお尋ねしていただいても,Gonia属であることを確認していただけたところまでで、写真からだけでは種名までは分からないということでした。
一般に発売されてる昆虫の図鑑の中で、最も載ってる種類が多いのは、北隆館の原色昆虫大圖鑑(全3巻で、現在2巻まで改定済みですが、旧版は\21,000×3)でしょうが、この中に載っているヤドリバエ科のハエは18種です。 ところが、九州大学農学部昆虫学教室・日本野生生物研究センター共同編集による日本産昆虫総目録(略して「九大目録」)には、ヤドリバエ科のハエが407種載っています。 さらに、埼玉県昆虫誌には、九大目録以外のハエが100種余り載せられています。
北隆館に載っていないヤドリバエは珍しいのかといえば、そうでもないようです。 ここで紹介しているヤドリバエも、マサキの花にたくさん来ていました。 ですからこんな写真も撮れたのですが、私たちが手にすることのできる図鑑でいくら熱心に調べようとしても、500種以上もあるヤドリバエを、18種しか載っていない図鑑で調べるのは無理だということですね。
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昨日の1枚目の写真の近くに、クサカゲロウの幼虫もいました。 ただし、クサカゲロウと言っても、その仲間は40種類ほどいますので、そのうちの何かは分かりません。 アブラムシなどを餌にする肉食です。
クサカゲロウの幼虫は、いろんなものを背負い、カムフラージュに使います。 写真の白いものは、昨日紹介したアオバハゴロモの幼虫が作った“ロウの綿”だと思います。
見つけた時は動き回っていました。この大きさで動かれては、立った姿勢の手持ちのカメラでの撮影はあきらめざるを得ません。 持って帰って、“スタジオ撮影”したのが、この写真です。
写して気がついたのですが(肉眼では見えません)、この個体は前足が取れてしまっているようです。
すごい牙をしていますが、その付け根についている小さな眼がなかなかかわいいと思いませんか?(上の写真はクリックすると拡大できます)
参考までに、クサカゲロウの卵と成虫の写真を載せておきます。 ただし、初めに書いたように、クサカゲロウは1種類ではありませんので、ここで紹介した卵、幼虫、成虫は、同種であるとは限りません(たぶん違うでしょう)。
左の写真の卵は、自宅のガラス窓に産み付けられていたものです。 卵は「優曇華の花」と呼ばれています。
下の成虫は、昨年の5月6日に、堺市の槇塚公園で撮りました。
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上の写真、アオバハゴロモの幼虫とアミガサハゴロモの成虫が写っています。
この3連休、一昨日は雨、昨日は仕事で、今日やっと半日の散歩に出かけることができました。
いろいろ写真も撮りましたので、また順次紹介していきますが、今日の散歩でいちばんあちこちで見かけたのが、この両者とジガバチでした。
アミガサハゴロモは、羽化したばかりの個体をあちこちで見かけました。 羽化したばかりの個体は、下の写真のように緑色の粉が体を覆っているのですが、次第にこれが取れてくると、黒っぽい色になります。 血走ったような目の模様も、なかなかおもしろいものです。
ところで、じつはアミガサハゴロモの幼虫とベッコウハゴロモの幼虫とは、たいへんよく似ています。 これだけアミガサハゴロモの成虫を見るということは・・・と、心配になって調べなおした結果、どうもサイドバーの「マイフォト」でベッコウハゴロモの幼虫と紹介していたのは誤りで、アミガサハゴロモの幼虫だったようです。 お詫びして訂正します。
アオバハゴロモは、成虫も見かけましたが、まだ幼虫の方が多い感じです。
上に書いたアミガサハゴロモの幼虫は、腹部の端にロウの糸の束をつけていましたが、アオバハゴロモの幼虫は、白い体をピタッと木の枝にくっつけ、ロウの白い糸くずをその周囲に撒き散らし、自分がどこにいるのか分からなくしてしまいます。
下の写真は、例によって、幼虫をつついて少し移動させ、分かりやすくして写したものです。
(その他、今まで紹介した虫たちの今日のメモ)
・普段はじっとしているオジロアシナガゾウムシは、どうしたことか、クズの葉の上をせわしなく行ったり来たりしていました。 何をしていたんでしょうか?
・ツツジコブハムシは交尾している個体がいました。 産卵シーンが見れたらいいな!
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たまにはみんなの知っている動物の写真でホッとするのもいいかなと思って(ぬるぬるが嫌いな人がいたらゴメンナサイ)、今日はトノサマガエル。 とはいうものの、関東地方にはいないそうです(代わって、よく似たトウキョウダルマガエルがいます)。
でも、水田の農薬など、さまざまな影響で、トノサマガエルに限らず、カエル全体が減少しています。 それに加えて、最近、ツボカビ病も心配されています。
ツボカビ病は、起源はアフリカだといわれていますが、カエルの伝染病で、死亡率は90%だと言われています。 今まで日本でツボカビ菌が確認されていたのは、ペットのカエルに限られていたのですが、最近、野生のカエル(ウシガエル)からも発見されました。
トノサマガエルが絶滅危惧動物にならないように祈るばかりです。
また暗い話になっちゃった・・・
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7月4日から、最近4ヶ月でアクセス数の多かった記事を、サイドバーに「人気記事ランキング」として載せ始めましたが、なかなかおもしろいですね。 10位がコロコロ変わっています。
1位が地図( ALPSLAB myBase )についてなのは、地図のホームページにも私の記事が載っていたので、そこから来ていただいた人がたくさんいたのでしょう。 ですから、このブログの実質1位はムシクソハムシということになります。 ムシクソハムシの兄弟記事とも言うべきツツジコブハムシも10位以内に入ってくるのでしょうか? それともよく似た記事は「またか!?」で終わっちゃうのでしょうか。 皆さんがそれぞれの記事でどんなことを感じておられるのか、ぜひコメントをお寄せください。
今後、いろいろ変わっていくでしょうが、過去には戻れませんので、平成19年7月15日現在の記録を残しておくことにしました。 半年後、一年後には、どのように変わっているのでしょうか。
1位:地図( ALPSLAB myBase )について
2位:ムシクソハムシ
3位:カンアオイ(ミヤコアオイ)
4位:ヒメボタル・オバボタル
5位:カタクリ
6位:ニリンソウ
7位:トゲヒゲトラカミキリ
8位:タツナミソウ
9位:ギフチョウ
10位:クヌギカメムシの孵化
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ジガバチがヒメジョオンの花に来ていました(07.7.7. 天野街道)。
このジガバチ、幼虫は肉食性ですので、成虫は地面に穴を掘り、ガの幼虫を狩って、そこに卵を産み、穴の入り口を塞ぎます。
ジガバチの名は、このハチの出す音に由来しますが、昔は、ジガバチはガの幼虫を捕まえて穴に入れ、「似我似我、似我似我」(ジガジガ=我に似よ)と唱え、埋めた幼虫をハチの姿に変えるのだ、という話が、広く信じられていました。
昔の人は、ジガバチが幼虫を土に埋めるところも、そこからジガバチが出てくるところも、ちゃんと見ていたんですね。 身近なハチだったんです。
従来1種だと思われていたジガバチは、サトジガバチとヤマジガバチの2種に分けられるようです。 サトジガバチとヤマジガバチの違いについては、生態的にはいろいろ異なる点があるものの、形態的な違いはわずかで、その違いの1つとして、サトジガバチの中胸背板には皺が見られ、ヤマジガバチの中胸背板には皺が無いとのことです。 下は胸部を拡大したものですが、ここに載せたのはヤマジガバチでしょうか。
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一昨日、このブログにハスの花の記事を載せたところ、コメントで次のような質問をいただきました。
① ハスの花が開くときには、ポンと音がすると聞いたが、本当なら聞きたい。
② ハスの葉の中央で、ブクブクと水が沸いているような気がしたが、どうなっているのか。
今日は文字が多くなりますが、面白い質問なので、これに答えたいと思います。
まず①から。
正岡子規の句に、
蓮開く音聞く人か朝まだき
というのがあります。 何度か、音がすると聞いたこともあります。
でも私自身は、ハスの花が開く音は聞いたことはありません。 もっとも、そんなに朝早くから蓮田に行ったこともありませんが・・・ というよりも、音はしないと確信していますから、そのことを確かめるために早朝から出かける気にもなりません。
物理的に考えて見ます。 ポンと音が鳴るとすれば、どういう条件でしょうか?
花弁どうしが固くくっつきあっていて、一方、花弁の成長と共に、くっつきあっている花弁を分離しようとする力が強くなってきて、くっつきあっていた力を超えたときに、一気に勢いよく花弁が分離して花開く、ということでしょう。
でもそうなるためには、花弁の縁同士が、どこも同じような強さで、ピッタリとくっつきあっていなくてはなりません。 くっつきあっている力に強弱があれば、弱いところから徐々に離れていき、勢いよくポンと離れるということはないでしょう。
さて、ハスの花弁ですが、花弁の縁同士が互いにくっつくような花でしょうか。
下のハスの花の写真を見てください。 花弁どうしが平等に配列しているような花ではありません。 花弁が重なり合う花です。 同じような強さで互いにくっつきあう花弁ではありません。
なかにはこんなことを考える人があるかもしれません。 写真の花は八重咲きだからで、一重のハスでは、花弁が平等に配列して、開くときにはポンと音がするハスもあるのではないか、と。
じつは写真のハスは一重なのです。 ハスはメシベもオシベも花弁もたくさんある花なのです。 八重のハスというのは、たくさんあるオシベが花弁化して、メシベの周囲がゴチャゴチャとした印象の花です。
では、音がするという話はどこから出てきたのでしょうか? 私が思うに、あれほど大きな美しい花が開くときには音ぐらいしてもいいというイメージが作り出した話かもしれません。 また実際、葉が茂って水面の見えない、花の咲いている蓮田で耳を済ませていると、どこからかいろんな音が聞こえてきます。 魚やカエルが動いた時の音かもしれません。 水の底から生じる気泡がはじける音かもしれません。
さて、②の、ハスの葉の上の“水の沸騰”です。 少し遠回りして説明します。 植物は光合成をして酸素を出すというイメージが強いのですが、器官によって一概には言えません。 どの細胞だって生きていくためには呼吸しなければならず、一般に酸素が必要です。
ハスの泥の中の部分を考えてみてください。 ここにハスの体の本体とも言うべき地下茎と、そこから出る根があります。 この地下茎や根は、当然光合成できませんから、生きていくためには酸素が必要なのですが、泥の中には空気があまり入って来ず、酸素が不足気味です。
そこでハスは体の中に空気を通すスペースを作りました。 レンコンの穴です。 この穴を気体が通り、ガス交換するのですが、では、この空気の出入り口は?
地下茎、つまりレンコンからは、葉が出ています。 この葉の葉柄の中にも、空気の通る細いパイプが数本入っています。 そして、この葉柄は、葉の中央につながっています。
一方、葉は非常に水をはじきやすい構造になっています。 ハスの葉に降った雨は水滴となり、葉が揺れるたびにコロコロと葉の上を転げまわり、ついには葉から落ちてしまいます。 もし水がくっつきやすい葉であれば、葉にくっついた水の重さのため、あれだけ大きな葉は支えきれないでしょう。 また雨の多い熱帯地方にも分布するハスですから、表面が水で濡れたままだとカビが繁殖し、光合成能力がグンと低下するでしょうね。
いよいよ答に移ります。 ブクブクと水が沸いているように見えたのは、葉の中央、つまり葉柄にある空気の通り道の真上に水滴があって、その水滴の中を葉柄からの気体が通ったためでしょう。
上記の現象を動画として記録しました(8月5日)。 こちらでご覧になれます。
長い文章を読んでいただき、お疲れ様でした。 気分転換に、半月前の写真になりますが、ハスの花からの色つながりで、アカツメクサのブチヒゲカメムシを用意しました。 別記事仕立てにしておきますが、お楽しみください。
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写真は、ヤブガラシの花に来ていたものが、私から逃げてクズの葉の上に止まったクロバネツリアブです。 赤いマフラーと腹部の白帯が目立ちます。
※ かなり距離のある個体を無理して撮りましたので、今日の写真は拡大できません。
沖縄から本州まで分布しますが、大阪では夏のツリアブです。 幼虫は他の昆虫に寄生しますが、さまざまな環境の変化で、あちこちで減少が心配されています。
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6月29日の記事で、我家の近くにある蓮田では、ハスは6月中旬に葉を広げ始めることを紹介しましたが、その蓮田では、どんどん花が咲き始めています。 上の写真は、雨あがりの曇天で撮影(7月7日)したので、ハスの花独特の透明感はあまりありませんが、落ち着いた感じの写真になりました。 大きな葉の成長は驚くほど早いのですが、これは地下茎(つまりレンコン)に蓄えた栄養分を使って、一気に成長してしまうからでしょう。
虫になったつもりで、カメラをハスの花の中に入れてみました(下の写真)。
ハスの花のつくりを見ると、メシベの周囲は少し変わっています。 独立したメシベがたくさんある花の場合、そのメシベを配列しておく場所を「花床」といいますが、ハスの花では花床が発達し、メシベの周囲は完全に花床に取り囲まれ、メシベの柱頭だけが外から見えます。 というよりも、花床の穴の中にメシベがあるといった感じです。 受粉後、種子もこの穴の中で成長します。
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上は、少し分かりにくい写真ですが、黒っぽいキノコの上に白いキノコが乗っているように見えます。 黒っぽいキノコを盆踊りの時などに組む櫓(やぐら)に見立て、その上に乗っている白いキノコをヤグラタケと言います。
キノコは光合成できません。 つまり、生きていくためには、有機物を取り込まなくてはなりません。 多くのキノコは、落ち葉を分解して得られる有機物や、マツタケなどのように生きている木などから有機物を分けてもらったりしています。 ところが、このヤグラタケ、写真のように、他のキノコに寄生して、そのキノコの体を作っている有機物を“食べて”成長します。
写真の黒っぽい“食べられている”キノコは、クロハツモドキです。
新鮮なクロハツモドキ
ヤグラタケの白い菌糸がクロハツモドキの組織を侵しはじめ、キノコの形成も始まった
ヤグラタケの胞子散布の方法も変わっています。 通常、胞子はきのこの傘の下面に形成されますが、ヤグラタケでは傘の上面に形成されます。 下の写真の薄茶色の部分かそれで、写真は雨上がりのためによく分かりませんが、粉塊状になっています。
秋、クロハツに寄生したヤグラタケは、こちらで紹介しています。
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泉北ニュータウンのあちこちのヒラドツツジで、ツツジコブハムシ(ツツジムシクソハムシ)の成虫を、たくさ見ることができました。 上の写真には2頭写っています。 5月1日に紹介した、クヌギやクリなどで見られるムシクソハムシと同様、体長は約3mm、糞にそっくりです。 右の“糞”は糞をしています。
ヒラドツツジは交配によってできたツツジで、モチツツジの性質が残っていて少しベタつくのですが、ツツジコブハムシは平気なようです。
葉をガリガリ。 こうしているとハムシだってことが分かるんですが・・・
顔の正面から撮ってみました。
ムシクソハムシの仲間は、成虫が糞に似ているだけではありません。 幼虫も糞と深い関係があります。
ムシクソハムシの仲間の成虫は、卵を産むと、その卵に自分の糞を塗りたくります。 糞のコートを着せられた卵が孵化しても、幼虫は糞のコートを出ず、成長に伴って、自分の糞を継ぎ足してコートを大きくしていきます。
下の写真は、6月2日に、やはりヒラドツツジの上にいたツツジコブハムシの幼虫を撮ったものですが、糞のコートから脚だけが出ています。
やっと顔を出してくれましました。
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そろそろ7月1日の予告編の正解を発表しておきます。
今日のように大きく写すとなんとなく分かりますが、じつはこれ、ヒメアトスカシバのメス。 ガの仲間です。 それにしても見事なハチへの擬態です。 鳥たちは刺されるのが嫌で、あまりハチを食べようとしません。 そのハチに似ることで、身を守っているわけです。
オスは腹部の先端の模様が少し違っていて、白い縁取りのあるヒラヒラした部分があります。
よく見ると、後翅には鱗粉が無く透けて見えます。 だから「スカシバ」。 これとよく似たブドウスカシバは頭部が黄色です。
日本産のスカシバガ科は39種記載されていますが、スカシバガの仲間全体がハチに擬態して身を守っていると言われています。 昼間活動し、飛び方もハチによく似ています。 ただし、オオスカシバはスズメガ科で、この仲間ではありません。
幼虫はヘクソカズラ(アカネ科)の茎にもぐりこんで生活し、終令幼虫のまま越冬します。
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サイドバーに、「人気記事ランキング」を載せました。 最近4ヶ月でアクセス数の多かった順に記事が並んでいます。
どんな記事が皆さんに読まれているのかが分かりますし、初めて訪れていただいた人が「とりあえず面白そうな記事を」というような時には便利かと思います。
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クヌギの樹液が出はじめていました。 いつも何かの虫が来ている“居酒屋”の開店です。
さっそくトビズムカデ(上の写真)、キマワリ(下の写真)、ショウジョウバエなどの“お客”が来ていました。
昨年の“お店”の様子はこちらにまとめてあります。
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これは何だと思いますか? さしわたし1cmほどです。 糸くず? ケサランパサラン?
もしこれを野外で見つけたら、触れてみてください。 驚くことが起きますから!
正体はこちら(クリックしてください)。
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【 予告編 】
右の写真は何の仲間でしょう?
正解は2~3日後に・・・
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