ヤドリバエの仲間(2)
昨日に続いて、もう1種類、ヤドリバエの仲間を紹介します。 これも昨日と同じ、アノニモミイアさんを通して舘卓司博士にお聞きしたところ、ヤドリバエ科のCompsoptesis属ということでした。 なお、この属名は日本や欧亜大陸のヤドリバエ科の本には出てこないので、和名は無いだろうということでした。
でも、和名もつけられていないのならたいへん珍しいのかというと、そうでもありません。 わたしも昨年も見ていますし、他のブログにも載っているのを見たことがあります。 このあたり、昨日の記事のコメントにタロさんが書いてくれたように、他の昆虫に寄生するハエやハチの仲間は、昆虫どうしの関係で、直接人間の生活には影響しないとして、今まであまり研究が進まなかったのでしょうね。 最近は農薬の害が問題になり、寄生関係を利用して昆虫で農作物の害虫を制御する方法が注目されてきていますが、農作物の害虫ではない昆虫に寄生する昆虫は、やはり置いてきぼりなのでしょうか?
ところで、このハエは、透明な翅と白い翅の、合計4枚の翅を持っているように見えます。 しかし、ハエの仲間の翅は2枚のはずです。
以下の内容は、アノニモミイアさんに教えてもらったことを中心に書いています。
この白い翅のように見えるのは、胸弁といって、翅の後縁の基部が拡大したものです。 ヤドリバエやニクバエなどにあるのですが、このヤドリバエでは著しく広がって、しかも色が白いので大変目立って、翅が4枚あるように見えているわけです。
じつは昨日のGonia属(オオズハリバエ属)のハエにもちゃんとついています。 昨日の写真をもう一度見てください。 速い動きで翅は全くと言っていいほど見えませんが、胸弁ははっきり写っています。 つまり胸弁は動いていないのです。
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コメント
翅がきれい
玉虫色になっていて・・・
お目目は楕円形のエンジ色の・・・まさか、
アノニモミイアさんはそよかぜさんの
お師匠さんですか?
舘卓司博士はファーブルさんみたいなお方でしょうか?
投稿: わんちゃん | 2007年7月22日 (日) 23時12分
玉虫色はお好きでしょうか? では、近々虹色の虫を紹介しましょう。
だいぶ深読みするようになってきましたね。でも、この場合のお目目は、楕円形のエンジ色です。もっとも、もう3つ、小さな単眼が、複眼の間の黒い帯の、胸部に近いところにありますが・・・
単眼は、写真を拡大してもらうと、2つまでは分かっていただけると思います。
アノニモミイアさんは、ネットで質問した時に、回答をくださった方です。ハエを研究している方だと思います。
舘卓司博士は、今は大学を移っておられますが、長年九州大学でヤドリバエ科を中心に研究されてきた先生です。
お二人とも私との面識はありませんが、いろんなことをネットで教えていただける世の中になってきたんですね。
投稿: そよかぜ | 2007年7月23日 (月) 07時19分
へえ~~~ふぅ~~んとつぶやきながら
拡大しましたが、わかりません、
スミマセン、オレンジの矢印かなんかつけていただければ嬉しいですが・・・・
アノニモミイアさんはハンドル・ネーム?
私的にはアノナニモミエナイさんなんて
知らない間に・・・・・失礼!!!
投稿: わんちゃん | 2007年7月23日 (月) 10時58分
こんばんは♪
写真を拡大してみましたが
目と目の間の黒い筋の上のほうの
ぽちっとしてるのでしょうか?
こんなにたくさんの目でいったい何を
見てるのでしょうか
わんちゃんさんの質問のおかげで
単眼や複眼のことを知ることができて
(目がたくさんあるとわかった!)
そよかぜさんの豊富な知識の一端を
知ることができて
虹色の虫の楽しみもできました
わくわく♪
投稿: エフ | 2007年7月23日 (月) 22時02分
エフさん正解です。
視覚情報は複眼が担当し、単眼は明るさを感知して体内の調節に役立てているようですよ。
わんちゃんのために、例によって「そよ風BBS」に単眼の写真を載せておきます。
投稿: そよかぜ | 2007年7月23日 (月) 22時17分
今日同じ種類と思われるハエを見ました。
画像検索でこちらに参りました。
大変参考になりました。
ありがとうございました。
投稿: shino | 2016年10月10日 (月) 17時44分