ヨツボシホソバ、クロテンハイイロコケガ
クリの葉の裏にヨツボシホソバがいました(上の写真)。 別の葉の影で撮りにくい位置にいたので、枝をそっと曲げるなど苦労していると、それに驚いたのか、下の草むらに落ちてしまいました。 でも、そのおかげで腹部の黄色い色も撮ることができました(下の写真:6月17日、堺市自然ふれあいの森で)。
ところで、このヨツボシホソバという名前、どこがヨツボシなのかと思いませんか?
じつは、上の写真はオスです。 下の草むらに落ちるなど、飛びにくそうにしていましたので、羽化したばかりの新鮮な個体だと思いました。 必ず近くに羽化したばかりのメスもいるに違いないと思って探したところ、予想的中! クリの木から5mほど離れたカエデドコロの葉の上にいるメスを見つけました(下の写真)。
着物を着るように、左右の翅を上下に重ねる蛾も珍しいですが、これほど雌雄で色の違う蛾も珍しいでしょう。 メスは一面黄色で、前翅に2つずつ黒い紋(=星)をつけています。 ただし前翅は写真のように重ねていますので、紋は3つしか見えません。
このメスも撮りにくい位置にいましたので、勇気を出して棒でつついてみると、予想通り飛び立たずに、やはり下に落ち、顔と腹部を撮ることができました。
上から見ると、オスとメスはまるで違う種類のように見えます。しかし、2枚目の写真と下の写真を比べると、頭部はオスでは複眼の間も黒くて少し様子が違いますが、胸部や腹部の色は同じであることが分かります。
この派手な目立つ色はどういう意味を持っているのでしょうか? 警戒色、つまり鳥たちに“私を食べないほうがいいですよ”といっているのでしょうか? ヨツボシホソバはヒトリガ科コケガ亜科に属し、もちろんドクガの仲間ではありません。 幼虫が毒針毛を持っていることは知られているのですが・・・
ちなみに、コケガとは、幼虫がコケ(地衣類やコケ類)を食べるところからきたもので、このヨツボシホソバの幼虫も、おもに幹についている地衣類を食べています。
コケガと名前のつく蛾全てが左右の翅を上下に重ねているわけではありません。 下は近くにいたクロテンハイイロコケガですが、コケガもヒトリガの仲間であることが納得できる姿です。
| 固定リンク
「昆虫04 ガ」カテゴリの記事
- ウスイロカザリバのダンス(2014.07.02)
- アヤシラフクチバ(2014.06.20)
- カレハガ(2014.06.18)
- キアシドクガ(2014.05.28)
- ナミテンアツバ(2014.05.11)
コメント
四つ星とちゃうやんか??
と、お察しの通りまずつぶやきました。
読んで行くうちに「ほぉ~~へぇ~~」の
連続でございました。
思惑通りにムシちゃんの行動が決まってよかったですこと・・・・
羽化したとこと見抜くなんて・・・・
ムシちゃんと遊んでるみたいですね・・・・
投稿: わんちゃん 質問コーナー | 2007年6月25日 (月) 17時44分
ムシちゃんと遊んでる「みたい」じゃなくて、遊んでいるんです。いつも遊ぼうとしているのに、飛んで行っちゃう場合が多いですけど・・・
虫などを見つける面白さ、写真を撮る面白さ、虫の行動などについて知る面白さ などなど、そもそもこのブログは楽しむために作っているんですから。
投稿: そよかぜ | 2007年6月25日 (月) 22時20分
楽しく拝見させて頂いております。
勿来の関では見られない蛾が沢山いて羨ましいです。
ヨツボシホソバの幼虫に毒針毛があるのを知りました。
どんな幼虫なのかネットで調べたら,よく見かけるものと似ていました。
書くところがないのでここに載せます。
「05 ガの仲間」の写真の中でヤマガタアツバ(下から10段目)とありますが,
ハングロアツバと思われます。前翅後縁中央に茶色の紋があるからです。
ご確認下さい。
ハングロアツバ
http://www.jpmoth.org/Noctuidae/Hypeninae/Bomolocha_squalida.html
ヤマガタアツバ
http://www.jpmoth.org/Noctuidae/Hypeninae/Bomolocha_stygiana.html
投稿: itotonbosan | 2013年9月15日 (日) 10時03分
ありがとうございます。
間違いの第一の理由は、手持ちの図鑑(保育社「原色日本蛾類図鑑」(改訂新版) )にハングロアツバが載っていなかったことです。
さっそく今まで載せていたヤマガタアツバをハングロアツバに訂正し、新たにヤマガタアツバを追加しました。
投稿: そよかぜ | 2013年9月15日 (日) 15時24分