オオキトンボ
ここにあった記事は、加筆訂正のうえ、こちらに引っ越しています。
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オグマサナエの成虫は、4月上旬から6月中旬まで見られますが、最もよく見られるのは5月です。 このようにオグマサナエは、サナエトンボの仲間のうちでは、タベサナエやフタスジサナエと共に、春最も早くから羽化するトンボです。 なお、和名の「オグマ」は、昆虫学者の小熊捍氏からきています。
発生場所は、幼虫が泥に浅く潜って生活するため、平地から丘陵の水草の茂った泥底の池沼です。
オグマサナエは、上記のタベサナエやフタスジサナエとは同じ属( Trigomphus )で、互いによく似ています。 これらを区別するポイントは、フタスジサナエでは名前のとおり、上の写真のaの黒条が2本です。 タベサナエは、aの黒条はオグマサナエと同様に1本ですが、bの黄色い小斑(前肩条)がありません。
下の個体は、上の個体に比較すると、前胸背の黄色の部分が発達して「Z」のようになっていますが、個体差の範囲でしょう。
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大阪付近ではお盆の頃からウスバキトンボの群が飛んでいるのをあちこちで見かけます。 ちょっとした草原などで群で飛び続けているのは、たいていはこのウスバキトンボです。
ウスバキトンボは、気温のせいなのか餌不足のためなのか、日本の冬を越せる場所は、沖縄や小笠原などに限られます。 しかし、今全国的に見られているウスバキトンボが南下することは確認されていません。 冬を越せないウスバキトンボは全て死んでしまうものと考えられています。
では、今飛んでいるウスバキトンボはどこから来たのか。 ウスバキトンボは毎年、南からの北上を繰り返しているのだと考えられています。 ウスバキトンボが見られるのは、鹿児島県では3月下旬から、高知県では4月上旬、熊本県や千葉県では5月上旬というふうに南方や海岸沿いの地方ほど早く見られ、中部山岳地帯や東北地方では7~8月になり、9月には北海道の北の端にまで達します。
上記の北上は世代交代を繰り返して行われます。 産み落とされた卵は数日で孵化し、早ければ1ヶ月ほどで成虫になります。 成虫の体は、頑丈ではありませんが軽く、翅は体に比較して大きく、長時間飛び続けることができます。
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ナニワトンボの名前は、最初に大阪で発見されたことによります。 未熟なオスやメスは黒と黄色を基調とした色をしていますが、成熟したオスは写真のように青い色になります。 分類学的には赤トンボの仲間になりますので、「青い赤トンボ」などと言われています。
このトンボは不思議な分布をしていて、見つかっているのは、瀬戸内式気候でため池の多いような所、具体的には、近畿二府四県と、三重、福井、岡山、広島、鳥取、香川、愛媛の各県に限られています。
ナニワトンボの生活史は次のように考えられています。 秋に産卵された卵は春に孵化し、7月頃に羽化します。 成虫は池の近くの林の中で隠れるように生活し、9月頃になると、成熟したオスは池に接する林の枝先などに止まってメスを待つようになります。
写真はちょうどこの時に撮ったもので、カメラを近づけて飛び立たれても、2~3m飛ぶだけで、元の場所か、その近くにとまります。
この後、林から出てきたメスと交尾し、産卵後は林の中に戻ります。 産卵はオスとメスがつながったまま、空中から水の無い所に卵をばら撒きます(連結打空産卵)。 これらのことと関係すると思われますが、ナニワトンボの生息地は、秋に水を抜くなどで土が現れ、ヤゴの時期にはヤゴの育つ浅瀬ができる池で、池と林が接している所に限られています。 もちろんナニワトンボは人間がため池の水を抜いたりする作業を行う以前から存在していたわけですが、元は夏に日照りで水位が低下することに適応していたのではないかと考えられます。 またこのことと、分布が瀬戸内式気候の場所であることと関係するのかもしれません。
上記のように生育環境が限られているからか、ナニワトンボはレッドデータブック(2007年度版)の絶滅危惧Ⅱ類にリストアップされています。
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モートンイトトンボは春の盛りから秋の初めにかけて出現するイトトンボです。 イトトンボの中でも小型で、体長は3cm前後ですが、とても細いので、すぐに見失ってしまいます。
ちなみに、モートンとはイギリスの昆虫学者 Kenneth j Morton(1858-1940)に由来します。
上は成熟したオスで、胸が青緑色、腹部は明るいオレンジ色で、なかなか美しいイトトンボです。 上の写真はお食事中です。
上は成熟オスを斜め後から撮ったものです。 青い眼後紋は「へ」の字型をしています。
上は成熟したメスです。 頭部・胸部・腹部とも青緑色で、腹部背面には黒条があります。
上は未成熟メスで、体全体が橙黄色です。 腹部が少し曲がっていますが、どうしたんでしょうね。
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コオニヤンマの名前は小さなオニヤンマの意味です。 しかしコオニヤンマは、オニヤンマ科でもなく、カトリヤンマやヤブヤンマなどが属するヤンマ科でもありません。 コオニヤンマはサナエトンボ科に分類されています。 体長は8~9cmで、サナエトンボ科の中では日本最大ですが・・・。
たしかにコオニヤンマの体の色は、遠くから見るとオニヤンマによく似ています。 しかしオニヤンマのようになわばりを行ったり来たりとパトロールする様子はあまり見られず、よく静止していますし、その静止する姿も、オニヤンマのようにぶら下がった姿勢ではなく、腹部を少しだけ下げてほぼ水平にとまっています。 もちろんていねいに見れば、オニヤンマとは胸部の模様は違っています。
成虫は5月上旬から羽化し、9月ごろまで見られます。 複眼の色は、未熟の時は深緑色で、成熟するにしたがって澄んだ緑色に変わるとされています。
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ホソミオツネントンボは、トンボ目イトトンボ亜目アオイトトンボ科オツネントンボ亜科に分類されるイトトンボの仲間で、低山地の水草の多い池などで見られます。
漢字で書けは「細身越年蜻蛉」、ホソミオツネントンボは体長約4cm、腹部の径は1mmほどです。 この細身の成虫の姿で冬を越すとは驚きですが、成虫で越冬するトンボの仲間は、他にもホソミイトトンボとオツネントンボがいて、いずれも小さなイトトンボです。 冬のホソミオツネントンボは、オス・メス共に褐色で、枯草に紛れてじっとしているようです。
そのホソミオツネントンボが美しいブルーに変わり、連結していました。 活動は4月中旬頃から盛んになるようです。 下の写真は上がオス、下がメスです。
ホソミオツネントンボは、上の写真のように翅を閉じて止まりますが、翅を閉じた時、前翅と後翅の縁紋が重なるのも特徴のひとつです。
この後、産み落とされた卵は、ヤゴの生活を経て、6月末頃に羽化し、褐色の未成熟成虫として冬を迎えます。 現在産卵中のものは8月頃まで生きますので、このトンボは、褐色の場合も模様に注意して見分けることができれば、年中見ることができるということになります。
昆虫の体は外骨格で、体表は硬く、体色の変化は脱皮時にしか見られないように思われがちですが、このホソミオツネントンボの春の変化は、脱皮しなくても昆虫は体色を変えることが可能であることを示してくれています。
上の写真、メスにピントが合っていてオスは少しボケぎみですので、ピントの合ったオスの顔を下に載せておきます。
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ムカシヤンマはムカシヤンマ科に属する日本固有種のとんぼです。 名前のとおり、原始的な形質を持っています。 同様に原始的な形質を持っているとんぼにムカシトンボがいますが、ヤンマの名前で分かるように、ムカシヤンマはムカシトンボよりずっと大きく、体調は約8cmあります。
具体的に原始的な形質とは、ひとつには、生殖弁ではなく、産卵管を持っています。 また他のヤンマとは異なり、複眼が離れています。
とんぼの幼虫(ヤゴ)は水中で生活するものと思い込んでいましたが、このムカシヤンマの幼虫は、湿ったコケや土にトンネルを掘って住み、水に入ることはほとんどないようです。 また、成虫になるのには約3年かかるといわれています。
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アジアイトトンボは、その名のとおり、中国・台湾・朝鮮半島など広くアジアに分布しているイトトンボです。 日本の平地では、イトトンボの中では、春いちばん最初に現れます。
アジアイトトンボは雌雄で色が異なります。 上の写真で、左上のオレンジ色をしているのが若いメス、その奥と右下にいる青い色をしたのがオスです。
アジアイトトンボにたいへんよく似たイトトンボに、同属で少し大きいアオモンイトトンボがいます。 上はアジアイトトンボのオスで、腹部の節に赤で番号をつけておきましたが、腹部第9節に青い紋があります。 アオモンイトトンボでは、この青い紋は第8節にあります。
上は最初の写真の若いメスだけを拡大したものです。 若いメスもアオモンイトトンボの若いメスによく似ているのですが、アジアイトトンボの腹部第1~2節の背面に黒い斑があるのに対し、アオモンイトトンボのメスには、この斑がありません。
アジアイトトンボのメスは、成熟すると下のようになります。
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