カテゴリー「昆虫02 トンボ」の29件の記事

2013年10月14日 (月)

オオキトンボ

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 オオキトンボは、2012年の環境省レッドリストでは絶滅危惧IB類に指定されています。 大阪府下でも記録は府下全体にあるのですが、最近の生息情報は府の南部からのみのようです。
 ようやく秋らしくなって重い望遠レンズもあまり苦にならなくなった今日、オオキトンボの様子を見に行ってきました。 9時半頃から10時半頃まで見ていましたが、長距離の移動もできる飛翔力のあるトンボのはずですが、思ったよりも動きは少なく、飛んでもすぐ近くにとまりました。 数頭見かけましたので、かなりいるようです。

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 オオキトンボはアカネ属のトンボ(いわゆる赤トンボ)です。 アカネ属の特徴の1つとして、前胸部の背面に長毛が見られます(上の写真)。

 ※ 以下の写真はクリックで拡大します。 「オリジナルの表示」では、1,024×768 の大きさになります。

 下は逆光ぎみに翅の美しさを狙った写真ですが、もうひとつ、雌雄についても書いておきます。 オオキトンボは雌雄の差の少ないトンボですが、上4枚の写真はメスで、下はオスだと思います。 トンボの腹部は、卵が入っている分メスの方が太いのが一般的です。 また交尾時にオスは尾の先でメスの後頭部をつかみ( このつかむための付属器はきちんと撮っていませんでした (-_-; )、メスは腹部を曲げてオスの腹部第2・3節にくっつけて精子をもらいます。 このための器官として、オスの腹部第2・3節には「副性器」という飛び出た部分があります。 メスには副性器がありませんから、その部分は平らです。
 上下の写真を比較してみると、メスの腹部下面には白っぽい部分があるようですね。

 オオキトンボは岸辺が湿地状に広がり、抽水植物の多い開放的な比較的大きな池沼で見られています。 写真のオオキトンボのいた池は平地の皿池で、まさにこのような環境にありました。
 上で赤トンボの一種と書きましたが、オオキトンボはそんなに赤くはならず、これから成熟が進むと、暗い褐色がかった色になっていくようです。
 キトンボと似ていますが、オオキトンボの翅は全体が橙黄色であるのに対し、キトンボでは翅の基部に近い部分の色が濃くなっています。 また、成熟が進むとキトンボの方が明るい赤に近い色になっていきます。

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2013年5月10日 (金)

オグマサナエ

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 オグマサナエの成虫は、4月上旬から6月中旬まで見られますが、最もよく見られるのは5月です。 このようにオグマサナエは、サナエトンボの仲間のうちでは、タベサナエやフタスジサナエと共に、春最も早くから羽化するトンボです。 なお、和名の「オグマ」は、昆虫学者の小熊捍氏からきています。
 発生場所は、幼虫が泥に浅く潜って生活するため、平地から丘陵の水草の茂った泥底の池沼です。

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 オグマサナエは、上記のタベサナエやフタスジサナエとは同じ属( Trigomphus )で、互いによく似ています。 これらを区別するポイントは、フタスジサナエでは名前のとおり、上の写真のaの黒条が2本です。 タベサナエは、aの黒条はオグマサナエと同様に1本ですが、bの黄色い小斑(前肩条)がありません。

 下の個体は、上の個体に比較すると、前胸背の黄色の部分が発達して「Z」のようになっていますが、個体差の範囲でしょう。

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2012年9月24日 (月)

ウスバキトンボ

 大阪付近ではお盆の頃からウスバキトンボの群が飛んでいるのをあちこちで見かけます。 ちょっとした草原などで群で飛び続けているのは、たいていはこのウスバキトンボです。

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 ウスバキトンボは、気温のせいなのか餌不足のためなのか、日本の冬を越せる場所は、沖縄や小笠原などに限られます。 しかし、今全国的に見られているウスバキトンボが南下することは確認されていません。 冬を越せないウスバキトンボは全て死んでしまうものと考えられています。

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 では、今飛んでいるウスバキトンボはどこから来たのか。 ウスバキトンボは毎年、南からの北上を繰り返しているのだと考えられています。 ウスバキトンボが見られるのは、鹿児島県では3月下旬から、高知県では4月上旬、熊本県や千葉県では5月上旬というふうに南方や海岸沿いの地方ほど早く見られ、中部山岳地帯や東北地方では7~8月になり、9月には北海道の北の端にまで達します。

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 上記の北上は世代交代を繰り返して行われます。 産み落とされた卵は数日で孵化し、早ければ1ヶ月ほどで成虫になります。 成虫の体は、頑丈ではありませんが軽く、翅は体に比較して大きく、長時間飛び続けることができます。

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2012年8月30日 (木)

ナニワトンボ

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 ナニワトンボの名前は、最初に大阪で発見されたことによります。 未熟なオスやメスは黒と黄色を基調とした色をしていますが、成熟したオスは写真のように青い色になります。 分類学的には赤トンボの仲間になりますので、「青い赤トンボ」などと言われています。
 このトンボは不思議な分布をしていて、見つかっているのは、瀬戸内式気候でため池の多いような所、具体的には、近畿二府四県と、三重、福井、岡山、広島、鳥取、香川、愛媛の各県に限られています。

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 ナニワトンボの生活史は次のように考えられています。 秋に産卵された卵は春に孵化し、7月頃に羽化します。 成虫は池の近くの林の中で隠れるように生活し、9月頃になると、成熟したオスは池に接する林の枝先などに止まってメスを待つようになります。
 写真はちょうどこの時に撮ったもので、カメラを近づけて飛び立たれても、2~3m飛ぶだけで、元の場所か、その近くにとまります。
 この後、林から出てきたメスと交尾し、産卵後は林の中に戻ります。 産卵はオスとメスがつながったまま、空中から水の無い所に卵をばら撒きます(連結打空産卵)。 これらのことと関係すると思われますが、ナニワトンボの生息地は、秋に水を抜くなどで土が現れ、ヤゴの時期にはヤゴの育つ浅瀬ができる池で、池と林が接している所に限られています。 もちろんナニワトンボは人間がため池の水を抜いたりする作業を行う以前から存在していたわけですが、元は夏に日照りで水位が低下することに適応していたのではないかと考えられます。 またこのことと、分布が瀬戸内式気候の場所であることと関係するのかもしれません。
 上記のように生育環境が限られているからか、ナニワトンボはレッドデータブック(2007年度版)の絶滅危惧Ⅱ類にリストアップされています。

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2012年7月 5日 (木)

モートンイトトンボ

 モートンイトトンボは春の盛りから秋の初めにかけて出現するイトトンボです。 イトトンボの中でも小型で、体長は3cm前後ですが、とても細いので、すぐに見失ってしまいます。
 ちなみに、モートンとはイギリスの昆虫学者 Kenneth j Morton(1858-1940)に由来します。

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 上は成熟したオスで、胸が青緑色、腹部は明るいオレンジ色で、なかなか美しいイトトンボです。 上の写真はお食事中です。

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 上は成熟オスを斜め後から撮ったものです。 青い眼後紋は「へ」の字型をしています。

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 上は成熟したメスです。 頭部・胸部・腹部とも青緑色で、腹部背面には黒条があります。

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 上は未成熟メスで、体全体が橙黄色です。 腹部が少し曲がっていますが、どうしたんでしょうね。

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2012年6月17日 (日)

コオニヤンマ

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 コオニヤンマの名前は小さなオニヤンマの意味です。 しかしコオニヤンマは、オニヤンマ科でもなく、カトリヤンマやヤブヤンマなどが属するヤンマ科でもありません。 コオニヤンマはサナエトンボ科に分類されています。 体長は8~9cmで、サナエトンボ科の中では日本最大ですが・・・。
 たしかにコオニヤンマの体の色は、遠くから見るとオニヤンマによく似ています。 しかしオニヤンマのようになわばりを行ったり来たりとパトロールする様子はあまり見られず、よく静止していますし、その静止する姿も、オニヤンマのようにぶら下がった姿勢ではなく、腹部を少しだけ下げてほぼ水平にとまっています。 もちろんていねいに見れば、オニヤンマとは胸部の模様は違っています。
 成虫は5月上旬から羽化し、9月ごろまで見られます。 複眼の色は、未熟の時は深緑色で、成熟するにしたがって澄んだ緑色に変わるとされています。

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2012年6月15日 (金)

ホソミオツネントンボ

 ホソミオツネントンボは、トンボ目イトトンボ亜目アオイトトンボ科オツネントンボ亜科に分類されるイトトンボの仲間で、低山地の水草の多い池などで見られます。
 漢字で書けは「細身越年蜻蛉」、ホソミオツネントンボは体長約4cm、腹部の径は1mmほどです。 この細身の成虫の姿で冬を越すとは驚きですが、成虫で越冬するトンボの仲間は、他にもホソミイトトンボとオツネントンボがいて、いずれも小さなイトトンボです。 冬のホソミオツネントンボは、オス・メス共に褐色で、枯草に紛れてじっとしているようです。
 そのホソミオツネントンボが美しいブルーに変わり、連結していました。 活動は4月中旬頃から盛んになるようです。 下の写真は上がオス、下がメスです。

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 ホソミオツネントンボは、上の写真のように翅を閉じて止まりますが、翅を閉じた時、前翅と後翅の縁紋が重なるのも特徴のひとつです。
 この後、産み落とされた卵は、ヤゴの生活を経て、6月末頃に羽化し、褐色の未成熟成虫として冬を迎えます。 現在産卵中のものは8月頃まで生きますので、このトンボは、褐色の場合も模様に注意して見分けることができれば、年中見ることができるということになります。

 昆虫の体は外骨格で、体表は硬く、体色の変化は脱皮時にしか見られないように思われがちですが、このホソミオツネントンボの春の変化は、脱皮しなくても昆虫は体色を変えることが可能であることを示してくれています。

 上の写真、メスにピントが合っていてオスは少しボケぎみですので、ピントの合ったオスの顔を下に載せておきます。

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2012年5月24日 (木)

ムカシヤンマ

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 ムカシヤンマはムカシヤンマ科に属する日本固有種のとんぼです。 名前のとおり、原始的な形質を持っています。 同様に原始的な形質を持っているとんぼにムカシトンボがいますが、ヤンマの名前で分かるように、ムカシヤンマはムカシトンボよりずっと大きく、体調は約8cmあります。
 具体的に原始的な形質とは、ひとつには、生殖弁ではなく、産卵管を持っています。 また他のヤンマとは異なり、複眼が離れています。

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 とんぼの幼虫(ヤゴ)は水中で生活するものと思い込んでいましたが、このムカシヤンマの幼虫は、湿ったコケや土にトンネルを掘って住み、水に入ることはほとんどないようです。 また、成虫になるのには約3年かかるといわれています。

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2012年4月28日 (土)

アジアイトトンボ

 アジアイトトンボは、その名のとおり、中国・台湾・朝鮮半島など広くアジアに分布しているイトトンボです。 日本の平地では、イトトンボの中では、春いちばん最初に現れます。

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 アジアイトトンボは雌雄で色が異なります。 上の写真で、左上のオレンジ色をしているのが若いメス、その奥と右下にいる青い色をしたのがオスです。

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 アジアイトトンボにたいへんよく似たイトトンボに、同属で少し大きいアオモンイトトンボがいます。 上はアジアイトトンボのオスで、腹部の節に赤で番号をつけておきましたが、腹部第9節に青い紋があります。 アオモンイトトンボでは、この青い紋は第8節にあります。

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 上は最初の写真の若いメスだけを拡大したものです。 若いメスもアオモンイトトンボの若いメスによく似ているのですが、アジアイトトンボの腹部第1~2節の背面に黒い斑があるのに対し、アオモンイトトンボのメスには、この斑がありません。

 アジアイトトンボのメスは、成熟すると下のようになります。

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2011年10月14日 (金)

マユタテアカネ

 この時期によく見られる赤トンボとして、アキアカネノシメトンボと書いてきましたが、もう1種、マユタテアカネも比較的普通に見られる赤トンボで、樹林が隣接したきれいな止水などでよく見られます。

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 マユタテアカネの名は、前頭部にはっきりとした黒斑があり、これを眉に見立てたものです。 メスは成熟しても、腹部上面がオレンジ色になる程度ですが、オスは成熟すると、写真のように腹部が真っ赤になります。 翅は透明ですが、メスには翅の先端が褐色になるタイプもあります。 オスの腹部の先端が上に反り返っているのも特徴のひとつです(下の写真の水色の矢印)。

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