木に絡まっているクズの、地上1.7mほどの所にいたウスグモスズです。 カメラを向けると葉の反対側に回りますが、すぐに跳んで逃げるようなことはありませんでした。 左の後脚が失われていることが関係しているのかもしれませんが・・・。 産卵管があるのでメスです。
上は長い触角であることを記録しておこうとして撮ったのですが、ファインダーの中では細い触角がよく見えず、端まで撮れていませんでした。 触角の長さは体長の5倍ほどはありそうです。
ウスグモスズは、樹上性で、クサヒバリなどと同じヒバリモドキ科に分類されています。 この仲間には「○○スズ」という名前のものがいろいろいるのですが、たぶん鈴を振ったような鳴き声からでしょう。 しかし、このウスグモスズは、メスはもちろん、オスも鳴きません。
ウスグモスズはとても不思議な虫です。 最初に報告されたのは1970年に東京の渋谷で発見された個体についてで、80年代に入ると関東各地で報告されるようになり、現在では大阪や京都などの市街地などでも見つかっています。
このような発見のされ方や分布の広がり方を見ると、外来昆虫だと思われるのですが、不思議なことに、外国でのこの虫に関する記載が見当たらないのです。 つまり日本でしか見つかっておらず、どこから来たのかも分からず、日本で新属新種として記載されたということになります。 目を凝らさないと見えない大きさの虫ならいざ知らず、体長が8mmほどもある(脚を伸ばすと2cmほどになる)虫の原産地が不明だということは、どのように考えたらいいのでしょうか。
なお、ウスグモスズの学名は Usugumona genji、つまり名前の「ウスグモ」は、源氏物語第十九帖の「薄雲」からのようです。
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